◆明日から2010年代
本日は大晦日、まもなく2009年は幕を閉じ、2000年代は終わりとなります。そして2010年から、2010年代が始まります。
2010年代を迎えるにあたって、Weblog北大路機関の関心事として大きなことは日米関係がどういう方向で進むのか、ということです。インド洋給油支援任務が終了、そして対テロ国際協調に対する次の日本が行う貢献が未だその方向性が定まらない中、その混乱に普天間問題の日米摩擦が覆いかぶさり、混沌の度合いは更に増すという状況。
普天間問題は、そもそも海兵隊のグアム移転事業が、指揮機能を中心に移転し、戦闘部隊が残るという前提を考慮せず、ヘリコプター部隊のみをグアムや沖縄県外に移転できる、という発想が、日米間の合意に至ることのできる提案を出すことが出来ない背景にあり、そろそろ、日本の安全保障を担うことのできる政治能力を、政府に求めたい次第。
現時点で、日米合意を大きく逸脱せずに沖縄県に新しい基地を建設しない、という選択肢としては、民間空港である那覇空港をキャンプシュワブ沖合の辺野古飛行場移転予定地に移転し、那覇に海兵隊のヘリコプター部隊を移転させる、という選択肢を提示したのだが、現時点では、これ以外に現実的な案というのは思い当たらない。
自衛隊の装備体系について、今後航空自衛隊の次期戦闘機F-Xや次期輸送機C-X,そして量産された、はつゆき型護衛艦の後継艦や、ひゅうが型に続き22年度防衛予算に盛り込まれた19500㌧型護衛艦22DDHがどのような進展を見せるのかが興味深いところである。そして陸上自衛隊のAH-1S対戦車ヘリコプターの後継も忘れてはならない。
F-2支援戦闘機の生産終了が間近になる中、航空自衛隊のF-4戦闘機の後継に、開発が難航している国際共同開発のF-35への開発参加が模索されているという新聞報道があった。しかし、これはもっとも多くの予算を要するとともに、完成がいつとなるか不明という最悪の選択肢である。思い切って再検討を促したい。
2010年こそは初飛行の記事を掲載できるのだろうか、老朽化しているC-1輸送機を代替する国産輸送機C-X、航空自衛隊の増大する国際貢献任務への輸送には不可欠な機体であるのだが、機体強度の面で考慮する必要があり、この部分の解決が未だ見通しが立たない状況にある。2010年こそは、2009年に為し得なかった初飛行を期待する次第。
12隻が短期間で建造された海上自衛隊はつゆき型護衛艦、続き比較的短期間で8隻が建造された、あさぎり型護衛艦とともに、いよいよ除籍の時期が近づいてきている。しかし、近年の海上自衛隊護衛艦は、大型化と高機能化が盛り込まれ、建造費が増大する傾向にあり、果たして計20隻の護衛艦の後継をどのように整備するのかに、興味は尽きない。
遂に訴訟に至る富士重工のAH-64D戦闘ヘリコプター。約60機の生産予定が、防衛省により一方的に生産を10機に縮小され、富士重工がボーイングとの間で交わしたライセンス生産契約や部品の損失補てんを防衛省が拒んだために起きた訴訟で、こののち、どのように進展するのか、そしてAH-64Dが生産終了することで宙に浮いたAH-1Sの後継はどうなるのかが注目だ。
このように、関心事は多岐に及ぶ訳ではあるが、勝手に問題事案を提示し、主観的にその対処法を検討するというWeblog北大路機関、このWeblog北大路機関があるのは、読者諸兄の皆さまのお陰です。今後も出来る限り、記事の掲載を続けてゆきますので、お急ぎではない方は、また来年も御一読等いただければ幸いです。
北大路機関