北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

三沢基地F-16 “年内の撤退報道”に“撤退具体的計画無し”と米空軍

2009-12-28 23:07:35 | 防衛・安全保障

◆現時点で第35戦闘航空団の撤退に関する計画は無い

 今年九月、年内に三沢基地のF-16飛行隊が米本土に撤収する、という報道が共同通信より為され、議論となった。

Img_8641  普天間基地の海兵隊ヘリコプター部隊を現時点で日米合意の上で移転予定の沖縄県キャンプシュワブ沖合飛行場以外の場所へ、移転するという当時の民主党新政権による政権公約のもとで、代替地を探している最中、“三沢基地のF-16飛行隊が米本土に帰国する”、“三沢基地に嘉手納基地の第18航空団からF-15飛行隊の半分が移転する”という報道が為された。

Img_8762  このため、嘉手納基地から三沢に移動する24機分のF-15戦闘機の運用地区に、海兵隊のヘリコプターを、つまり普天間基地の嘉手納統合案が民主党新政権から提案されるに至った。しかしながら、現時点で、“年内に撤収される”と報じられた三沢基地のF-16飛行隊は移転しておらず、F-16を運用する第35戦闘航空団も移動する予定は無いとのことだ。

Img_8619  今月号の航空ファン誌(文林堂2010年2月号通巻686号)には、第35戦闘航空団司令のデイヴィッド R. スティルウェル空軍大佐のインタヴューが4ページにわたり掲載されているが、司令は、航空団の任務や三沢基地のポテンシャルについて応えるとともに、今回の報道についても、初耳で最初の報道は日米親善の綱引き大会会場にて、そして秘書が翻訳し、初めて知ったとのことである。そして現状では、三沢からF-16が撤収するという具体的計画を私は聞きません、と司令は答えている。

Img_8665  少し考えてみよう、F-16は未来永劫三沢に展開する訳では無い、いつかはF-35といった新機種に交代するだろう。F-16撤退報道、そしてF-15の三沢移転報道、この二つの報道は、民主党新政権が、嘉手納統合案の可能性について異なったシグナルとして受け止められ、時間の空費に繋がった。しかし、実際には憶測がしかるべきルートを経て生まれた報道なのだろう。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする