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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

普天間移設問題 来年先送りにルース駐日大使「強い懸念」

2009-12-05 23:34:14 | 国際・政治

◆政府、鹿児島県離島移転案を提示

 普天間移設問題に関して話し合う日米作業部会の第二回会合が4日、外務省で開かれ、出席したルース駐日大使は問題の来年先送りに「強い懸念」を示したという。

Img_9933  ルース駐日大使は、現在の辺野古沖への移転が唯一の選択肢であると表明した。ルース大使は、移転が進まなければ在沖米軍部隊のグアム移転、嘉手納基地南側土地返還作業などにも悪影響が生じ、現行の計画が沖縄県内の負担を軽減する唯一の選択肢であると述べた。実際その通りで、普天間の辺野古沖移転は、絶対的な反対の中交渉に交渉を重ねて地元から最低限の妥協と理解を引き出したものであり、反対出来るのならば反対したいだろう。

Img_2545  小生も実際に、基地依存経済が破たんしても基地は無いほうが嬉しい、という沖縄県の首長からお話を聞いたこともある。そこで、政権公約に辺野古沖反対を明記した新政権は、最早アイディア大会という様相を呈している普天間移転案だが、鹿児島県島嶼部、種子島の西方12kmに浮かぶ馬毛島の基地転用案が浮上した。

Img_9050  馬毛島への米軍移転は、過去に陸上空母発着訓練の基地候補として提示されたものの、騒音や事故を懸念した周辺の島々の住民の反対により実現しなかった馬毛島への移転案である。馬毛島、一応過去に貨物専用空港の構想は出ていたものの、強行すれば鹿児島県民の意思を無視することとなる。

Img_9943  こうなると沖縄以外に移転できれば、最早どこでもいいという定義で選定しているようにも見えてくる。実際問題はいくつもある、海兵隊ヘリコプターは駐機する場所を探しているのではない、訓練空域や海兵隊訓練支援のために沖縄本島の演習場は不可欠であり、沖縄本島に向かう屋久島、奄美大島、徳之島上空を頻繁に海兵隊ヘリが行き来することとなる、このことに関して合意はとれる見通しはあるのだろうか。

Img_9579  しかも、海兵隊ヘリは有事の際に増強されるのだが、海兵隊ヘリを空輸するのは空軍の輸送機であり、空軍の輸送機との協同を考えたからこそ、米海兵隊は空輸拠点となる嘉手納基地近傍に航空基地を求めてきたわけであるので、完全な離島にこうした拠点はあり得るのか、という問題も、米側が今回の案を非現実的である、と反対したことの背景にあろう。また忘れてならないのは、完全な離島に基地を建設するのは、資材輸送を中心に、代替基地建設の費用捻出を行う日本政府に大きな負担を強いるもので、財政に余裕のない現状では非現実的ではないだろうか。

HARUNA

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コメント (2)
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