◆無関心な地域へこそ広報を試みた施設の閉館
渋谷に自衛隊の広報施設が完成した!、と2008年に注目された自衛館ですが、この程閉館の日程が決定され、公表されていました。
自衛隊にかかわらず、全ての組織にあって最も重要なのは人材の確保、と考えて間違いは無いでしょう。適性のある優れた人材、というものは中々巡り会えないことでして、こうした理由から多くの人材を集めるには広報、というものが何よりも重要となってきます。中には広報は平時の実戦、と考えて人材発掘と獲得への意気込みを語る方もいました。
自衛隊では、駐屯地記念行事の一般公開や艦船の一般公開や体験航海、展示訓練、そして航空祭や基地一般公開を行い、地元との理解増進とともに、一般の方々への任務や意義の広報や、自衛官募集を行っています。ただ、なんといいますか、一般の方々にはこうした“行事”へ参加するというものには敷居があることも事実です。
こうしたことから、“特別な日”“限られた日”に行われる行事や一般公開ではなく、自衛隊に全く興味の無い方々に、まず接点を持ってもらおう、ということで常設的に展示を行う設備が必要とされました。その中には、各地の広報館が挙げられるのですけれども、もうひとつ、東京の渋谷に造られたのが自衛館、広報VTRや装備品模型の展示を行い、若者にアピールする施設という位置づけを担いました。しかし、こんなお知らせが出ていました。
自衛館の閉館のお知らせ:平成20年7月にオープン以来、多くのお客様に親しんでいただきましたが、平成22年3月8日(月)をもって終了することになりました。残りわずかな期間ですが、上記日程までは平常営業しておりますので、皆様のご来館をお待ちしております。自衛隊のオフィシャルPRスペースです。館内には、自衛官の募集資料・自衛隊関連のDVDソフト・自衛隊情報誌「MAMOR」など各種資料をご用意しており、すべてご自由にご覧いただけます。陸・海・空の制服をご試着いただくこともでき、お好みの背景を選んでの記念撮影が好評です。また、インターネットがご利用いただけるPCもございます。どうぞお気軽にお立ち寄りください。http://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/jieikan/index.html
事業仕分の影響、そして事業評価が芳しく無かったのでしょうか、もっとも事業評価がどういう観点から行われていたのか、少し気になるのですけれども、渋谷という、これまで自衛隊と無関心という意味で距離のあった地域に開設された広報施設の閉館、というものはもう少し慎重に考えられるべきだったのでは、と思います。また、効果が無いのならば、それで諦めたとしても募集の必要性は低下しないのですから、事業評価を高めるべく拡充と施設数の増強、という選択肢も採られるべきだったのではないかな、と思うのですが、どうでしょうか。
最後にお詫びと訂正。昨日のF-2へのAAM-4搭載の記事ですが、本文にも少し書きましたようにAAM-4の搭載試験は昨年から行われています。そこでやたら古い写真を提示して、記事を掲載したのでは、という受け止め方があったようなのですが、実はただ、撮影の機会に恵まれず、昨日撮影することが出来ましたので掲載をしました、という次第です。一見するとようやく昨日からAAM-4を搭載、とも受け取られかねない、誤解を招く表現でした。
HARUNA
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)