北大路機関

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FF-57ルーベンジェイムス(O,Hペリー級)、ハワイから横須賀へ寄港中!

2010-03-27 22:30:54 | 世界の艦艇

■ミサイルフリゲイトからフリゲイトへ改修

 アメリカ海軍のフリゲイト、ルーベンジェイムスが横須賀に寄港しています。聞くところでは、一週間ほど前に入港して、そのまま停泊しているとのことでした。

Img_1949  明日は横須賀基地一般公開ということなのですが、それに併せて、ということでもないのでしょうけれどもルーベンジェイムスの寄港です。現在、アメリカ海軍横須賀海軍施設に前方展開している水上戦闘艦はすべてイージスシステムを搭載したイージス艦で構成されているのですけれども、アメリカ海軍にはOHペリー級というミサイルフリゲイトが運用されています。ルーベンジェイムスは、このOHペリー級ミサイルフリゲイトの一隻として建造されたわけです。

Img_1950  ミサイルフリゲイトとして建造されたOHペリー級は、はたかぜ型ミサイル護衛艦、たちかぜ型ミサイル護衛艦と同じスタンダードミサイル発射機Mk13を搭載するミサイルフリゲイトとして建造されました。これは、空母機動部隊を上空からの脅威に対応するべく搭載したもので、反面、その他の対艦装備や対潜装備では、海上自衛隊の護衛艦と比べても見劣りする部分がありました。これを補うために、後部にはヘリコプター二機の運用能力を付与させていたわけです。

Img_1921  しかし、東西冷戦が終結して、少なくともアメリカ海軍の空母機動部隊に大胆な航空攻撃を仕掛けるような脅威、というものがなかなか考えにくくなってきました。一方で、垂直にミサイルを収容するVLS方式とくらべて、一発一発を下部の弾薬庫から装填して発射するMk13発射機は、可動部分が多く、保守整備の面で厳しいものがありました。そこで、アメリカ海軍では、このMk13を取り外すこととしたのです。もし私がアメリカ海軍作戦部長の立場にいたならば、Mk13を取り外して、そこにMk41VLSを配置して、任務に当てたでしょう。しかし、アメリカ海軍は前述のように上空からの脅威の相対的減少を背景に、Mk13をはずして、そこに機関砲を搭載する、という改修を行うこととしたのです。

Img_1912  OHペリー級は、満載排水量3600~4000トンという比較的小さな船体にスタンダードミサイルの関連設備を搭載した上で、さらにヘリコプター二機を搭載するという設計を採用したので、搭載されている76ミリ単装砲は上部構造物の中央部分に配置するという独特の設計を採用しています。これはこれで使い勝手は悪くない、という話もあるのですけれども、アメリカ海軍を始め各国海軍の水上戦闘艦に、これに追随する設計を採用する事例がでていませんので、厳しいものがあったのでしょう。それならば、76ミリ砲を前に移設しては、と思ったりもしたのですが、機関砲を搭載する、という改修に落ち着いたようです。

Img_1928 機関砲の追加搭載ですが、ごらんの通り、艦内部からの管制式ではなく砲員が操作するタイプのもののようです。揚弾機などの設備がみられませんので、ふつうに水上戦闘艦が近接防備用に搭載している25ミリ機関砲のようです。やや、上部の形状が違うようなのですけれども、砲塔式ではないことは確かです。この足場のようなものを、そのままMk13発射機の撤去跡地に搭載、いや、これはもうほとんど載っけていつろいう表現が正しいのでしょうか。

Img_1904  ミサイルフリゲイトから、やや強引にフリゲイトとなったOHペリー級は、Mk13から対空ミサイルであるスタンダードミサイルに加えてハープーン対艦ミサイルを運用していました。しかし、MK13を撤去したことで、OHペリー級は、三連装短魚雷発射管、76ミリ単装砲、20ミリCIWSと機関砲を搭載しているだけのフリゲイトよなりました。レーダーなどはミサイルフリゲイト時代のものを踏襲している部分が大きく、センサーとしては大丈夫なのでしょうが、やや力不足にも感じます。

Img_1963  しかし、そこはアメリカ海軍の運用体系が少し見えてくるようにも感じます。まず、アメリカ海軍は艦隊がデータリンクで結ばれていますし、脅威度の高さに応じて部隊を展開させます。OHペリー級が発見した脅威情報は、すぐにデータリンクにより艦隊で共有されることとなるわけです。そしてもう一つは、テロのと戦いを含めて、ヘリコプター二機のプラットフォームとなれる、つまりOHペリー級はその航空機運用能力が評価された、ということが今回の改造により現役に残った背景として考えられるでしょう。個艦の優越ばかり図るのではなく、一国の政策を反映させるための軍事力、その一翼を担うことが求められている、ということができるのかもしれません。・・・、しかし、個人的にはVLSにESSMを搭載して運用しては、と思うのですけれどもね、とってつけたような機関砲は少し違和感があります。

HARUNA

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