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防衛省発表:中国海軍ミサイル駆逐艦瀋陽、フリゲイトとともに沖縄近海に出現

2010-03-19 23:21:03 | 防衛・安全保障

◆3月18日南西諸島沖で旅州型など五隻を確認

 統合幕僚監部が3月19日に発表した情報では、中国海軍の水上戦闘艦など五隻が南西諸島周辺海域で護衛艦、哨戒機により確認されたとのことです。

Img_6971  舞鶴基地の護衛艦あまぎり、が18日午前、沖縄本島西南西180km海域において南東に進んでいた旅州型ミサイル駆逐艦、江衛Ⅱ型フリゲイトの計2隻を発見したとのことです。あまぎり、は第二護衛隊の護衛艦ですが、18日午後、同じく沖縄本島西南西180kmの海域を南東に進む江衛Ⅱ型フリゲイト、江滬Ⅲ型フリゲイトを確認しました。沖縄本島西南西180kmの海域を二つの隊を組み、同じ方向に航行していたということになるのですが、18日午前中に那覇航空基地の第5航空群に所属するP-3C哨戒機が福清型補給艦と不明艦の2隻が宮古島南140kmの太平洋を南西に航行していたとのことです。

Img_2546  旅州型駆逐艦は、発表された写真の艦番号によれば一番艦の瀋陽で、満載排水量7000㌧、2006年に就役した比較的新しいミサイル駆逐艦です。旅州型ミサイル駆逐艦は、SA-N-20艦対空ミサイルを搭載した艦隊防空用の駆逐艦で、瀋陽、石家荘の二隻が就役している水上戦闘艦で、2004年と2005年に就役、外見が中国版イージスとしてマスコミが紹介した旅洋Ⅱ型の蘭州、海口に続いて建造されたミサイル駆逐艦です。蘭州は相応に高い建造費を要したとされています、旅州型からはレーダーを塔型マストの頂点に配置した形状となっているため、果たしてどういった能力を有しているか、世界の海軍関係者が注目している水上戦闘艦です。

Img_5108  江衛Ⅱ型の二隻は、綿陽、洛陽と思われ、双方ともに2005年に就役した新しいフリゲイトです。このクラスは、満載排水量2250㌧とコンパクトですがヘリコプターを搭載していて、1998年から10隻が建造されています。江滬Ⅲ型は、写真を見る限り1986年に就役した黄石のようで、満載排水量は1924㌧、エクゾセ対艦ミサイルと酷似したYJ-1対艦ミサイルを搭載していたため、フランスとの間で中国が技術提供を受けているのではないか、という憶測を含め就役当時、世界から注目された一隻です。福清型補給艦は満載排水量21750㌧、1970年代から建造された補給艦で、建造された四隻のうち、二隻は民間へタンカーとして輸出されています。同艦は17日に東シナ海を南下していたとのことです。随伴の不明艦は、航洋タグボートのようにみえます。詳しくは、統合幕僚監部HPの報道発表をご覧ください・・・http://www.mod.go.jp/jso/press2010/press_pdf/p20100319.pdf

Img_7414_2  中国海軍の日本近海での行動は、鹿児島の枕崎を西進すれば対岸に上海、那覇から西進すれば、そのまま対岸が福州になっているわけで、中国海軍が東シナ海の等距離中間線に沿って航行すれば日本に接近することとなります。このため、中国海軍が太平洋に向かって行動する場合、日本近海を航行することが多い訳なのですけれども、東シナ海は境界線を巡り、中間線か大陸棚基点かで係争状態となっている状況です。したがって、日本周辺にこうした状況が生じた際には、相応に確認し警戒する、という行動が必要となるわけですね。こうした節度が、国際紛争が武力紛争に発展することを未然に防ぐ事が出来る訳です。

HARUNA

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コメント (6)
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