◆名護市陸上部が最有力、社民党は国外のみを提示
アメリカ空軍は2025年からF22の除籍を始めるという方針を固めたそうで、航空自衛隊FXとF22の話を掲載しようかと思ったのですが、普天間問題を掲載することにします。ホワイトビーチが候補に加わった話は、昨日に掲載しましたが、あの文章はPCがトラブルを起こす前に作成したものです。しかし、昨日に連立与党の普天間移設案が出揃いましたので、本日はこちらを掲載します。
いろいろ案が提示されているようなのですけれど、いったい、キャンプシュワブ沖合案よりもどの点で優れているのかが全く見えてきません。キャンプシュワブ沖合が何故駄目なのか、ということも見えてこないのです。まず最初に、北大路機関として普天間移設案は、現行の名護市キャンプシュワブ沖合以外に案を、という問題に対して、解決策を考えたのですが、過去に掲載しましたとおり、民間空港として手狭になりつつある那覇空港に普天間飛行場を統合する、そして那覇空港代替施設を名護市キャンプシュワブ沖合に巨大な沖縄空港として建設する、沖縄空港が完成するまでの期間、暫定飛行場として一部が完成した時点で海兵隊を一時的にキャンプシュワブ沖合に移転させて普天間飛行場を閉鎖、民有地を全て返還して、キャンプシュワブ沖合の飛行場が全ての滑走路が完成した時点で那覇空港と沖縄空港が移行する、という提案を示しました。
この案は、どこからも似た案は提示されていないようなのですけれども、利点はかなり多いという事を強調してみます。まず沖縄県は発着枠が一杯となって懸案の那覇空港拡張問題が解決するとともに空港建設費用の多くが基地と重複することから国庫負担により建設される、那覇空港周辺住民には大型旅客機がヘリコプターに置き換わることで騒音軽減が見込める、普天間飛行場の宜野湾市には基地がなくなることで事故危険性の根絶と巨大な基地が返還され再開発計画を立てることができる、名護市住民には市街地に沖縄最大の空港が完成することで沖縄の玄関としての活性化が、米軍には陸海空自衛隊が展開する那覇に駐留することで交流と情報交換が容易に、自衛隊には米軍との一体化により基地警備の充実が、可能になるという利点があります。難点は、那覇市では騒音が低下することで国からの給付金など財政面での影響が生じ、米軍基地ができるという事で治安上のリスクの可能性が、宜野湾市では普天間飛行場が返還された場合地権者の特定が難しいことと、果たして再開発は可能なのかという疑問、名護市にはリゾート開発ほどではないにしても現行案よりも沖縄空港は大規模なものとなるので環境負荷の問題、という点。
今回提示された案は、キャンプシュワブ陸上案が最有力、嘉手納基地統合案、ホワイトビーチ拡張案、そしてグアム・テニアン案。民主党案として提示されているのがキャンプシュワブ陸上案で、こちらは国民新党も検討している案。このほかに民主党案として提示されているのはホワイトビーチ案。関西国際空港に移転するという案は、非現実的だとして今回は盛り込まれなかったようだ。ホワイトビーチ案は昨日掲載したように環境負荷が大きいという難点がある。名護市と比べれば住民理解についてのリスクもあり、漁業補償という問題も未知数。そもそも自民党時代に却下された案だ。キャンプシュワブ陸上案も昨日書いたように、沖合ではなく陸上部に建設した場合、自民党時代に繰り返し提示されていた地元には航空機の騒音は及ばない、という唯一ともいえる利点がなくなってしまうという大きな問題が解決されていません。興味深いのは、名護市沖合に建設する案が、環境破壊に繋がるという理由から却下されているのに、ホワイトビーチ案では環境負荷が凄いことになっている。自然環境重視なのか住民環境重視なのか全く逆になっていることで、果たして民主党は自然と人間どっちが大切なの?と。キャンプシュワブ沖合が駄目なのならば、何故なのか見えてこないというのはこのことです。環境に悪いから駄目というのはホワイトビーチ案と矛盾、住民が反対しているから駄目というのならキャンプシュワブ陸上案と矛盾。
社民党案からは、グアム・テニアン案が提示され、強行するならば地元が東富士演習場の使用制限を求めるとしたキャンプ富士案、規模的に収容能力では問題のある佐賀空港案というような国内案が次善策としての提案に留まり、明示されなかったという事が一つの特色でしょうか。グアム・テニアンんひついては、もともとアメリカ海兵隊側が反対している、遠すぎる、という理由から。そしてグアムには沖縄県からの移転が決定している部隊受け入れで収容能力は限界になっているし、テニアンは受け入れるインフラが全くないので一から建設することになる、これはコストが大きい。日本側が負担しなければならないコストが増えるのだけれども、社民党には日本の財政的余裕はそんなに大きいのかな、と思えてくる。現状でそういう分析をされたらば、それはそれで危ないのですけれどもね。次善策で県外案をもっているということなのだけれども、これを明記していないということは、そこを候補に入れていないということになるわけで、それ以前は国外案だけを押すと現実的でないので結局沖縄県内にはいってしまう、という危惧から県外案を検討していた、と過去に発言しているので、これは五月末で連立与党から離脱するという意図があるのかな、と思ってしまいます。もっとも、県外案でも、受け入れてくれる自治体がどこにも名乗りを上げていないので、無理なのでしょうけれども。
国民新党案は、キャンプシュワブ陸上案と嘉手納基地統合案。しかし、嘉手納基地統合案は、嘉手納基地の訓練を県外に移転して、というこれは米海兵隊ではなくて空軍と交渉を重ねなくてはならない問題で、交渉を複雑化させてしまうという大きな問題があるのが大きいですね。嘉手納基地は、戦闘機部隊だけではなく、早期警戒管制機や空中給油機など多数をそろえた第18航空団が展開していて、これを割って、というのは難しいかもしれない。もちろん、アメリカ空軍全体をみれば、一個の航空団が複数の基地に分散されて配置されている事例はあるのだけれども、嘉手納基地は航空機整備や備品・部品集積の一大拠点になっていて、これを移設することの方が難しいので、下手に分散、ということは難しいでしょう。訓練だけを分散、といっても嘉手納基地を拠点にする以上、分散できる範囲は限られているし、その分航空自衛隊が訓練空域をとられてしまうという問題も忘れられているように思えてきます。結局嘉手納統合案といいますと、読谷補助飛行場を再び接収して新しい飛行場を建設する、というくらいしか現実的ではないようなのですけれども、これはこれでもともと大きい嘉手納基地周辺の大きい騒音問題をさらに大きくさせてしまうという解決できない問題があります。また、国民新党は、新しい基地に15年の使用期限を設けようという構想のようですが、これは日米安保に15年の期限を盛り込むということにもなりますから、この点が一番非現実的でしょうね。もっとも現実的な案は現行案、というアメリカの主張はかなり説得力はあると思うのですけれども、一方でもう少し連立与党は妥当な案を見つけられなかったものですかね、と思います次第。
HARUNA
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