◆東北鎮守半世紀
本日、仙台市の霞目飛行場において陸上自衛隊東北方面隊創立50周年記念行事が盛大に執り行われました。本日は第一報として、新幹線車内からの記事です。
東北方面隊は東北地方六県の防衛警備及び災害派遣を担当する陸上自衛隊の方面隊で、第6師団、第9師団と方面混成団や方面特科部隊を始めとした方面直轄部隊から編成されています。特に冷戦時代は青函地区という重要地域をその管区に有していたことから北部方面隊に準じて重要視されており、部隊の装備や火力も重視されていました。近年では再度軍事力の強化に乗り出す北方からの脅威に対し防衛基盤を維持するとともに、西方の脅威に対しては即座に増援として展開できる精鋭として睨みを利かせています。
今回の式典には君塚総監とともに隊員2100名、車両160両、航空機17機が観閲行進に参加するとともに、海上自衛隊からは航空機4機、航空自衛隊からは航空機5機、在日米陸軍からも航空機2機が参加、式典を盛り上げました。参加隊員が2000名を越えるというのは希有とのことで、連隊旗だけで実に12、東北方面隊の、50周年行事にかける意気込みの強さが伝わってくるようでしたね。霞目飛行場は、飛行場と言うだけあって非常に広く、この広い会場に多数の人員と車両、航空機が展開し式典に参加するのは迫力の一言に尽きます。
従来は東北方面隊記念行事において神町駐屯地に駐屯する第6師団がその中核を担うのですが、今年度は青森駐屯地から第9師団の部隊も多数が参加していて、第9戦車大隊の戦車も参加していました。戦車も多く、戦車試乗では一個中隊が参加していたほどです。第6師団は、旭川の第2師団とともにデジタル化改編を行っており、一方で第9師団は近年まで徒歩普通科部隊を中心とした従来型の編成でしたが、今年度までに近代化改編を受け近代化された師団として今回の行事に臨んでいます。
航空自衛隊からの参加は三沢基地第3航空団よりF2A支援戦闘機が参加しており、例年は近傍の松島基地から練習型のF2Bが参加していましたので、実戦部隊のF2参加には驚かされました。複座型よりも個人的に単座型の方が強そうに見えますし、ね。海上自衛隊からは大湊航空基地のSH60Jと八戸航空基地のP3Cが参加、在日米陸軍からはキャンプ座間のUH60Aが参加し、物量輸送展示と輸送されたミネラルウォーターの配布などを行っていました。こういう展示は初めてでしたので非常に新鮮でした。
50周年の目玉ということで、松島基地からブルーインパルスが展開し、展示飛行を実施しました。このため今年度はブルーインパルスの雄姿を一目見ようと多くの来場者が集まりまして、前列付近の人口密度では同じく本日開催されていました小牧基地航空祭よりも大きかったのではないか、というほどでした。もっとも、ブルーインパルスの飛行展示が終了すると訓練展示を見学せず帰路に就かれる方も多数いらしたようですが、まあそれはそれでありなのかな。聞くところでは松島基地航空祭でも二回行われる飛行展示片方を見て帰られる方もいるのだとか。
訓練展示は、多数の弾道弾攻撃による混乱に乗じて装甲化された強力な敵上陸部隊が我が国の都市を占領、加えて内陸部へ進出を図り、防衛出動命令を受けて出動した第22連隊戦闘団が航空自衛隊と中央即応集団の支援を受け反撃するという内容で、昨今の情勢を考えると、考えさせられるものがあります。今回はとにかく迫力、で仮設敵が市街地を火炎放射機で襲撃して戦車で蹂躙しようとする状況など、使用弾薬はもの凄いことになっていました。とにかくどこで射撃するか、射撃したかは音の衝撃波で伝わって気づくくらいです。
対する我が方も、仙台市中心部を背景に部隊が展開していて、特科火砲、近接航空支援、対戦車ヘリコプターの攻撃で仮設敵陣地付近が視界を遮るほどの土煙に覆われ、敵戦車に対しては戦車の小隊集中射撃、特科火砲は大隊規模で展開して射撃を繰り返し、最後は多用途ヘリコプター4機から空挺降下まで展開、双方の防戦応戦で訓練展示は見応え充分、例えは妙ですが戦争映画の戦闘シーンよりも長い、実に30分にも上る長時間の展開となりました。このほか音楽演奏に戦車と特科火砲に航空機が参加したり、迫力と火力のある一日です。
本日の仙台は時折雲は見えるもののほぼ快晴といえる天候で、台風の影響はありませんでした。心配した雨ですが、帰路、郡山のあたりで少し飛んできたくらいで、式典に最適な天気といえます。坑道掘削車が参加しなかったのが、残念といえば残念ですが、野外給水装置を搭載する車両が防弾化されていたり、短SAMCが観閲行進に参加したり、重箱の隅を見て回っても、なかなか興味深いものの連続でした。
HARUNA
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