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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

自衛隊でも使われる屋外作業における熱中症への対処、キャメルバック

2010-09-07 23:43:59 | 先端軍事テクノロジー

◆熱中症は死に直面する危険なもの

NHKを見ていましたら九月に入って建築現場や施設保守の関係で熱中症で重篤に陥る方が増えているとのことですが、キャメルバックという携帯性に優れた水筒があります。

Img_6798  熱中症の危険あふれる暑い最中での外の務め、キャメルバック、これを揃えていただければ多少は乗り切れるのでは、と思います。とにかく水分補給が絶対必要です、その昔、給水の負担に耐えかねたイスラエル軍が水分補給を少なめにして作戦行動を継続する研究を行ったのですが、バタバタ倒れて、結局そんな努力をするよりは給水の努力をした方がいい、という結論が出されたりしています。屋外での作業では特に水筒をもって仕事が出来ない状況では、持ち運びと給水が容易で、自衛隊でも使われているほどです。これは背負うタイプの水筒で、普通の水筒のようにいちいち蓋を開けて飲まなくてもチューブが口元まで伸びているので作業しながらチューブから給水できます。

Img_8733_1  水筒なんて持ち歩けない、といわれるかもしれませんが、これならばなんとかなるかもしれません。キャメルバック、写真では情報小隊の斥候の方、バックパックから伸びているホースの様なものがキャメルバックのチューブなのですが、背負う本体はバックパックに収められていて、1.5リットル入りから4リットル入りなんてものもあります、90年代に軍の特殊部隊でたくさん水が入るし休憩のために立ち止まらなくとも給水出来るという事で使われはじめました。そして自衛隊にも愛用者が、とのこと。当初は陸幕も制式装備ではないということから使用には難色を示していたのですが、何年か前の軍事研究の記事で、イラク派遣が迫った頃、訓練を有効に行う観点から黙認されはじめた、と記述がありました。

Img_07001  軍用品(自衛隊用品)を使うのはちょっと難色がある方もいるかもしれませんが、民生品でも結構出ています。カバーは迷彩が自衛隊では使われているのですが、ブラックから登山用品店では蛍光色まであります。軍用、ということではあるのですけれども、民間用としての歴史も長く、もともとは砂漠のキャラバンが水を入れて背負った袋型水筒にたどり着くとのことで、砂漠戦、映画の「モロッコ」にでてくるフランス外人部隊あたりがイメージなのでしょうか、使用を始めたことから欧州で認識されるようになり、特に登山用品や自転車によるツーリング用品として普及が始まったようです。

Img_0699  写真左側のグレーのチューブがキャメルバックのチューブです。ここが背負った後ろの本体と繋がっていて水が飲めます。ちなみに隣の黒いコイル状のものは無線機、繋がった黒い丸いのは喉に当てて声帯から音を拾うマイクです。イラク戦争やアフガニスタン空爆後、米軍が大量に使用している様子が報道などに写っていたのですが、背中から転ぶと、何分、袋に水を入れているものですから体重で潰れて破裂してしまう、という難点が指摘されています。これが軍用のキャンティーン、2クオート入り水筒に劣る点で、普及を妨げた、といえるのでしょうけれども、使ってみると便利とのことです。当方はロードレーサーで短距離のツーリングの際には2クオート入り水筒二つを弾帯に装着して使っているのですが、今度上野に行ったらば中田商店で購入しよう、と考えています次第。

Img_2366_1  熱中症は重篤化すれば、簡単に死亡してしまう危険なものです。水を撒いて気化熱で気温を下げる、という方法もあるのでしょうが限定的で、やはり補給が一番の方法です。先日、暑い最中のロードレーサーでのツーリングを行った経験上、屋外にでて作業がある場合には水分補給でけっこう乗り切れてしまうのですけれども、工事現場などの近くを通った際、見てみてこういう水分を携行している人がいないのに驚きました。ペットボトルと比べれば多少、値段は張ります。キャメルパックは背負うカバー付きで5000円前後、単体なら2000円前後のものもあり、ナップサックに入れてチューブだけ口元に寄せて使うことも出来ます。ミリタリーショップの現用装備品を中心に扱っているお店か、登山用品店、アウトドアショップなどで入手できるので、お勧めです。

Img_1644_1  しかし、ニュースや新聞見ていますと、公立の小中学校で冷房のないところでは相当大変なようですね。高等学校なんかは受験の関係上、この時期に体育祭を設定していて熱中症、という事案があったり、東北の公立学校なんかは冷房は勿論扇風機もなく、仕方なく消防団が出動して校舎の屋根に放水したり、今更ながら校舎を植物のツタで覆って体感温度を下げよう、という試みもあるようです。ううむ、聞くところではドイツなんかは32度を超えると熱波警報が出て学校は休校になるそうで、日本も春休み、冬休みの時期を夏休みに振り分けて対処したり、37度以上の猛暑日には熱波警報の導入など、考えなければならないのかな、と思ったりしました。もっともNHKによれば、ここまでの猛暑酷暑は平安時代までさかのぼって分遣を見ても記録が無く、千年に一度の猛暑、ということで考えてください、と言っていたのですが。来年の夏はどうなるのでしょうかね。

HARUNA

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コメント (16)
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