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平成19年度護衛艦(5000トン型/2321号艦)、来る10月13日に進水式・命名式

2010-09-21 21:28:34 | 先端軍事テクノロジー

◆三菱重工長崎造船所にて19DD進水式

 本日、海上自衛隊HPに平成19年度護衛艦の命名式・進水式に関する情報が出ていました。

Img_9658  平成19年度護衛艦は、たかなみ型に続く新型護衛艦として建造されているもので、来る10月13日水曜日、三菱重工長崎造船所におきまして佐世保地方総監加藤耕司海将が執行役を務め行われます。行事は1037時から1055時に行われ、建造された護衛艦が初めて海に進む訳です。スン吸い式と命名式を終えれば艤装工事を進め、来年秋ごろに公試を開始、再来年に自衛艦旗授与式を経て就役することとなるでしょう。写真は、たかなみ型最終艦すずなみ、ですが、新型艦は本艦よりも大きく強力になります。

Img_9670  新型艦は基準排水量5000㌧、満載排水量は6800㌧に達し、艦の大きさとしては、ヘリコプター搭載護衛艦はるな、に匹敵する大型艦となり、汎用護衛艦としては過去最大の大きさを備えた護衛艦の誕生です。全長150.5㍍、全幅18.3㍍、深さ10.85㍍。主機関は四基のガスタービンエンジンで、出力は64000ps、最高速力は30ノットと発表されています。既に進水式を迎える19DDに加えて、二番艦となる20DDが今年6月2日に起工式を迎えていて、平成21年度防衛予算では同型艦2隻の予算が承認しているため、来年には二隻の21DDが起工式を迎える事となります。

Img_1767  19DDは、船体表面部分に複合素材を採用しステルス性と船体歪みの抑制という新技術、推進動力統合化先進推進システムの採用による推進能力の向上、FCS-3改の搭載による暫定的な艦隊防空能力所謂僚艦防空能力の付与という新機軸が盛り込まれた護衛艦で、弾道ミサイル防衛に当たるイージス艦を航空機やミサイルによる断続的な攻撃から防護する任務が期待されています。一方で建造費が750億円と、たかなみ型よりも100億円程度高く、緊縮財政下では弾道ミサイル防衛任務に当たる四隻のイージス艦に合わせ4隻の建造に留まる、と考えられているようです。

Img_7878  式典執行は佐世保地方総監加藤耕司海将(写真は舞鶴地方総監在職中の写真)。尖閣諸島を筆頭に南西諸島での緊張を引き受ける南鎮の要というべき指揮官です。新型艦は、どういう名称になるのでしょうか、旧海軍の空母直衛防空艦として建造された駆逐艦秋月の名前を護衛艦二代目として継ぐのか、初代ミサイル護衛艦あまつかぜ、の系譜にある風の名前を継ぐのか、海上自衛隊最初の電気推進艦あさひ、の名前を継ぐのか、それともまったく別の基軸に艦名を求めるのか、興味は尽きません。

Img_9719  一方で、平成23年度防衛予算に盛り込まれると考えられていた取得性を高めた量産型の護衛艦23DDについて、予算への計上が見送られています。19DDを筆頭とする5000㌧型護衛艦の建造費が高く、この為大量に除籍が続く、はつゆき型の後継艦は、現在の日中関係を筆頭に日本との周辺関係を考えれば、その必要性は大きく、このあたりも新型艦の建造と並行して考えてゆく必要性は大きいでしょう。個人的には新型艦は、多用途性という側面に加えて、特に省力化と自動化を考えるべき、と考えるのですけれども、その為には年末の防衛大綱改訂への議論にも注目してゆきたいと思います。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (6)
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