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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

森ノ宮へ陸上自衛隊不発弾処理隊出動! 大阪環状線は明日午前中運休

2010-09-25 18:08:28 | 防衛・安全保障

◆21世紀に残った第二次大戦負の遺産

 大阪環状線森ノ宮駅付近で第二次大戦中の不発弾が発見され、不発弾処理が行われるため明日午前中に大阪環状線の一部区間が運休となるとのことです。

Img_3082  第二次大戦中には日本本土が米軍により繰り返し空襲を受けたため、多数の爆弾が投下されました。爆弾は爆撃機から投下され、地面に命中すると着発信管が作動して爆発し周辺を破壊するのですが、信管がしっかりと取り付けられていなかったり、不良品だったりすると不発弾となり、この割合は全体の一割程度とされます。地上い残る不発弾は早い時期に処理されるのですが、地中の潜る不発弾はそのまま潜ります。地中に残る不発弾、工事などにより発見された場合は、陸上自衛隊がこの処理に当たります。中部方面隊の不発弾処理部隊は桂駐屯地に駐屯していまして、武器科隊員が所属し任務に当たっています。

Img_7654  不発弾処理というと、米軍のように怪しいものをロボットで探知して、可能ならば処理を行い、危険がある時にはその周辺に爆発物を配置するか、対物狙撃銃で爆発装置もろとも吹き飛ばしてしまう、という方法が手早いのですが、明日行われる大阪のように大都市でこれを行う事は出来ません。発見されたのが1㌧爆弾だったりしますと爆破すると被害半径が物凄い事になってしまいますから、ね。

Img_4426  今回の運休についてJR西日本から発表がありました。平成22年 9月10日不発爆弾処理による列車の運転休止について(京阪神エリア)  大阪環状線森ノ宮駅付近の大阪市交通局森之宮検車場において、不発弾が発見されたため、平成22年9月26日日曜日に処理・撤去作業が実施されます。 つきましては、大阪環状線大阪城公園駅から森ノ宮駅間の一部が半径300メートル以内の立入り禁止区域となりますので、不発弾の処理・撤去作業中は大阪環状線の一部区間で列車の運転を取り止めます。

Img_1149 詳細1 運転休止日時 平成22年9月26日日曜日 午前8時30分頃から午後0時00分頃まで※注釈 規制解除になるまでは列車の運行をいたしません2 運転休止区間・列車・・・大阪環状線 天王寺から京橋駅間・運転休止する電車 〔京橋から天王寺方面へ向かう大阪環状線外回り電車〕 京橋駅を8時56分発の電車から運転休止〔天王寺から京橋方面へ向かう大阪環状線内回り電車〕 以下の通り、運転いたします。時間(天王寺発) 運転区間 始発から8時36分発 京橋から大阪方面行き8時46分発 森ノ宮行き9時01分発 鶴橋行き9時05分発以降 運転休止※注釈 これに伴いその他の区間も一部の電車が運転を取り止めます。

Img_3004 3 運行形態・・・〔大阪環状線内〕 ・天王寺から西九条から大阪から京橋駅間を概ね10分間隔で折返し運転します。〔桜島・ユニバーサルシティ方面〕 ・西九条から桜島駅間で折返し運転を行い、環状線直通列車は環状線内のみ運転を取り止めます。〔奈良・王寺方面〕 ・「大和路快速」電車 JR難波発、JR難波止まりとなります。〔関西空港・和歌山方面〕 ・「関空・紀州路快速」電車 天王寺発、天王寺止まりとなります。 ・「くろしお」「スーパーくろしお」「オーシャンアロー」号「はるか」号 通常運行

Img_2912_1 4 振替・代行輸送・・・運転を見合わせてから規制解除になるまで、大阪環状線内において大阪市交通局、近鉄、阪神、京阪、南海による振替・代行輸送を実施いたします。5 列車影響・・・運転休止する列車は約109本となり、影響人員は約57,000人が予想されます。6 お客様への周知方法・・・京阪神地区を中心に、ホームページや駅頭掲示、車内放送などにより、お客様への周知を行ってまいります。http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1174963_799.html

Img_6540  不発弾処理というものは一度だけ見た事があるのですが、信管さえ取り付けられていない遺棄弾薬でしたので近く、と言っても数百㍍は離れていたのですけれども、寄る事が出来ました。聞くところでは不発弾は投棄した第二次大戦中や直後でこそ破壊力を持っているのですが、炸薬等爆発物としての機能が経年劣化によりその威力が失われてしまい、当方が見た処理中の不発弾、日本海軍が戦後に投棄した爆雷ということでしたから不発弾という表現は正しくないのかもしれませんが、海上保安官の方に聞いてみましたら内部はヘドロ化していて危険性はない、といわれました。

Img_6409  ただ、地中に眠っている爆弾で、しかも信管が爆発しなかっただけで取り付けられているものについては、危険性は低くなっているのかもしれませんが、0ではないということで陸上自衛隊が出動します。神戸港なんかでは機雷が発見され、阪神基地隊の掃海艇が出動して爆破処分、ということも行われ、高い水柱が新聞の紙面を飾る事があるのですけれども、今回のような陸上での不発弾は一緒に爆破してしまうと、これは一番手っ取り早いのですけれど周辺の建物に被害が及ぶため、日本ではこの処理方法は通常とられません。

Img_2919_1  陸上自衛隊の爆弾処理方法、前述のとおり、爆弾は信管を取り除いてしまえば爆発は起きませんので、陸上自衛隊では信管を取り除く方法で不発弾を処理します。信管は螺子で本体に装着されています、これをロケットレンチという火薬の推進力により動く遠隔操作式のレンチにより回転させ、爆弾から取り外します。稀に信管が地面に衝突した衝撃で変形して回転しなくなっていて、金属鋸で爆弾の先端部分を削らなければならない、ということもあるのですが、映画のハートロッカーのような対物狙撃銃を使う処理方法は用いられません。

Img_2901_1  しかし、不発弾が都市部で見つかるたびに、まだ日本にも残っているのだなあ、とニュースを見ながらしみじみと感じたりします。今回は大阪環状線が運休になるのですが、ちょっと前には大垣市の近くで東海道本線沿線で発見されて、東海道本線が不発弾処理が行われるまで運休になっていましたし、ね。ちなみに、陸上自衛隊の不発弾処理は上空のヘリコプターなどを規制した上で周辺300㍍を閉鎖して行うので、万一の事があっても大丈夫なのですが、処理に失敗して犠牲者、という事はないようです。

Img_7641  話は少々飛ぶのですが、写真は来週日曜日に一般公開されるキャンプ富士の海兵隊爆発物処理部隊のロボット。こうした装備も検討した方がいいのかな、と。自衛隊の不発弾処理のような任務以外に、今後日本が国際平和維持活動を行う場合には、敵意がまだ生きてい、つまり下手をすれば仕掛けた武装勢力がまだ別の起爆方法を行う事が出来るような状況で、爆発物を処理しなくてはならない事も考えられますので、不発弾処理隊に加えて、爆発物処理隊、というものも編成した方が、もしかしたらいいのかな、とちょっと考えてしまいました。

HARUNA

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コメント (6)
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