◆機体価格は102億円、ただし開発費分担費未知数
防衛省航空自衛隊は16日、次期戦闘機としてF-35の調達を正式に契約すると発表しました。
契約は6月29日までに実施され、初年度調達機として4機分を契約、一機当たりの取得費用は102億円と、当初予算の99億円を弱化うわ廻ることとなりますが、これにより十年にわたりその決定が注目された次期戦闘機が決定、航空自衛隊用の初飛行から41年を経たF-4EJ戦闘機の後継機が正式に調達されることとなりました。
一説には調達費用高騰と開発計画の難航を背景に防衛省が辞意戦闘機選定を白紙撤回し、別の機体の導入を模索するのではないか、という見方もあったようですが、この場合、再度の選定には更に一年以上の年数を要し、F-4戦闘機の運用について、今でもかなりの無理を重ねているだろう実情からは大きな懸念があったところ。
他方で、機体価格は102億円という想定の範疇に収まっていますが、初度調達品を始め今後我が国が様々な内容を経て支出しなければならない開発費分担金という問題は解決されていないのです。102億円ですが、上位開発参加国であるイギリス海軍が導入を計画するF-35Bの単価1億ポンドと変化はなく、開発に不参加であり開発費を支出していない我が国はこの負担をしなければなりません。
このほか、F-35は第五世代戦闘機に当たり、ソフトウェアの近代化改修が能力維持に大きな影響を及ぼすという点のほか、国内での近代化改修を行うことが実質的に不可能であり、制空戦闘ではなく統合打撃任務に用いる機体と、航空自衛隊の運用体系と必ずしも合致しない中をどのように適合させてゆくのか、これも大きな問題となるでしょう。
そして納期が実質的に何時になるのか、航空自衛隊の飛行隊に実際に配備されるのはいつなのか、即ちF-4EJ改をいつまで運用しなければならないのか、という問題はこれからの課題ということでもあり、まだまだ予断を許すところではありませんが、少なくともF-4EJの後継機が決定した、航空自衛隊が第五世代戦闘機を導入する、この点は歓迎すべき決定と考えます。
北大路機関:はるな
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