■巨大台風精密予報への決め手
西日本豪雨災害と台風12号を念頭に気象研究者が気候変動を念頭に危険性を指摘する超巨大台風の日本直撃という懸念と向かい合う必要性を考えさせられるようになってきました、説得力ある正確な予報が被害局限に繋がる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/97/3590d921436d1322d062fe0a7f6a7a46.jpg)
航空自衛隊にもハリケーンハンターのような航空部隊が必要ではないか、日本の場合はタイフーンハンター、とするべきでしょうが、天候観測航空部隊の必要性を昨今、考えさせられるような巨大台風が日本へ接近する機会が増えてきました。ハリケーンハンター、フロリダ州タンパ、アメリカ空軍の第53天候偵察飛行隊が冠する愛称でWC-130J天候偵察機を運用しています。WC-130JはC-130輸送機に観測機材を搭載した航空機です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/03/c4271fe0e3368512e339f7aa3d264bd2.jpg)
台風の中はどうなっているのか、気象庁は台風進路予想とともに中心気圧などを発表していますが、最大風速や暴風圏は地上観測により得られますが、中心気圧は推測値であり正確に測定したものではありません。現在気象庁は無人機の活用を念頭としているようですが。アメリカでは1946年より不定期に巨大ハリケーンを内部から観測するハリケーンハンター任務が実施されています。世界で最初にハリケーンの中心部を飛行したのは栄華などでゼロ戦を多く演じるT-6練習機、航空自衛隊や海上自衛隊でも採用された機種です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/e4/3e0c6ab0eb4e6be6d07ab3a87bac0117.jpg)
WC-130Jはフロリダ州を中心に現在も任務を遂行しており、操縦要員には空軍予備役が活躍、高度3000m程度の中高度からハリケーンに進入します。気圧測定装置を筆頭に各種大気観測装置、そしてドップラーレーダーを搭載し、投下式のラジオゾンデを駆使し、台風内部の気象状況を直接観測します。WC-130Jの観測任務は勿論1航過で終わるわけではありません、楕円形に旋回飛行を四度繰り返し、ハリケーンの目を中心に四つ葉のクローバーを描くが如く飛行、観測を行う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/78/ed206b0fe783e23af444f875a1e0d89a.jpg)
タイフーンハンター任務が日本にも必要であると主張する背景ですが、気候変動に伴う巨大台風の発生頻度増大が、東日本大震災のような巨大地震災害とともに我が国への重大な防災政策への影響を及ぼす可能性を高めているためです。実際、1959年の伊勢湾台風では5000名以上の人命が失われていますが、1995年の阪神大震災発災までは伊勢湾台風が戦後最大の自然災害、といわれていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/b2/856fde8fd8e6f21f75c2c6ee5f603701.jpg)
水害の危険は決して小さいものではない。東京都が2012年に発表した巨大台風による被害リスクでは、東京二三区のうち一七区が浸水被害を受け、現在の整備された堤防網であっても最大10mの浸水被害を受ける、としています。これは1934年室戸台風の上陸時点中心気圧910hps、1959年伊勢湾台風の速度73km/h、の二つの要素をもって東京湾を直撃した場合の被害想定で主として高潮被害が大きく、浸水予想は墨田区99%、葛飾区98%、江東区68%という厳しい数字が突きつけられています。正確に進路を予測しなければ、日本全土に避難指示、という無意味な警戒、結果的に避難を遅らせる結果と成りかねません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/a3/ce779e0a087cd2bd340bbc1fc8d0a74a.jpg)
1974年にはグアム島に第54気象偵察飛行隊が新編、当時在比米軍基地の運用に重大な驚異を及ぼしていた台風進路の測定に当たりました。ただ、1974年10月に原因不明の墜落事故を台風観測中に発生させています。一方でハリケーンハンターの事故は台風に直接突入するという非常に難易度の高い任務でもありますが、実のところそれほど事故は起きていません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/e1/eaa340b7f33a3f205576d49fa4138b03.jpg)
自衛隊が行う任務なのか、と問われるかもしれませんが、気象庁予算でC-130輸送機かC-2輸送機を取得し気象偵察機として運用する選択肢が考えられます。気象庁予算で自衛隊が運用、戦術輸送機ではなく一種の政府専用機、という扱いで勿論必要となれば輸送任務支援に当てることも可能です。具体的には南極観測任務支援を行う砕氷艦しらせ建造が文部科学省予算により行われた点と同じ用法が考えられましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/81/ead57bc89064b82fe64d1e4d85d99eea.jpg)
気象偵察機、という任務ですが勿論台風監視任務のみに用いる必要はありません、大気情報観測任務は台風以外にも多く、例えば日本周辺において核実験が行われた場合は大気中に微量の放射性物質クリプトンが検出されます。自衛隊は北朝鮮核実験の際に集塵装置を搭載したT-4練習機を発進させ、放射性降下物の警戒に充てていますが、アメリカ空軍がRC-135などの大型機を有して実施するクリプトン検出は核実験の真贋測定に充てられる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/46/d634807236194b03f9663801baff02f2.jpg)
WP-3気象観測機としてP-3C哨戒機が転用された事例がアメリカではありますが、航空自衛隊が運用する場合C-2輸送機のような滞空時間の大きな航空機を原型とできましたら、気象観測任務は台風観測や核実験監視任務のほかに、気候変動観測としての長時間飛行が可能となります。また、輸出を模索するC-2輸送機にタイフーンハンターとして極限状態の状況下で飛行できる点が実証されたならば、これは頑強さを誇示する重要な要素とも成りましょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事捕捉-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
西日本豪雨災害と台風12号を念頭に気象研究者が気候変動を念頭に危険性を指摘する超巨大台風の日本直撃という懸念と向かい合う必要性を考えさせられるようになってきました、説得力ある正確な予報が被害局限に繋がる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/97/3590d921436d1322d062fe0a7f6a7a46.jpg)
航空自衛隊にもハリケーンハンターのような航空部隊が必要ではないか、日本の場合はタイフーンハンター、とするべきでしょうが、天候観測航空部隊の必要性を昨今、考えさせられるような巨大台風が日本へ接近する機会が増えてきました。ハリケーンハンター、フロリダ州タンパ、アメリカ空軍の第53天候偵察飛行隊が冠する愛称でWC-130J天候偵察機を運用しています。WC-130JはC-130輸送機に観測機材を搭載した航空機です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/03/c4271fe0e3368512e339f7aa3d264bd2.jpg)
台風の中はどうなっているのか、気象庁は台風進路予想とともに中心気圧などを発表していますが、最大風速や暴風圏は地上観測により得られますが、中心気圧は推測値であり正確に測定したものではありません。現在気象庁は無人機の活用を念頭としているようですが。アメリカでは1946年より不定期に巨大ハリケーンを内部から観測するハリケーンハンター任務が実施されています。世界で最初にハリケーンの中心部を飛行したのは栄華などでゼロ戦を多く演じるT-6練習機、航空自衛隊や海上自衛隊でも採用された機種です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/e4/3e0c6ab0eb4e6be6d07ab3a87bac0117.jpg)
WC-130Jはフロリダ州を中心に現在も任務を遂行しており、操縦要員には空軍予備役が活躍、高度3000m程度の中高度からハリケーンに進入します。気圧測定装置を筆頭に各種大気観測装置、そしてドップラーレーダーを搭載し、投下式のラジオゾンデを駆使し、台風内部の気象状況を直接観測します。WC-130Jの観測任務は勿論1航過で終わるわけではありません、楕円形に旋回飛行を四度繰り返し、ハリケーンの目を中心に四つ葉のクローバーを描くが如く飛行、観測を行う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/78/ed206b0fe783e23af444f875a1e0d89a.jpg)
タイフーンハンター任務が日本にも必要であると主張する背景ですが、気候変動に伴う巨大台風の発生頻度増大が、東日本大震災のような巨大地震災害とともに我が国への重大な防災政策への影響を及ぼす可能性を高めているためです。実際、1959年の伊勢湾台風では5000名以上の人命が失われていますが、1995年の阪神大震災発災までは伊勢湾台風が戦後最大の自然災害、といわれていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/b2/856fde8fd8e6f21f75c2c6ee5f603701.jpg)
水害の危険は決して小さいものではない。東京都が2012年に発表した巨大台風による被害リスクでは、東京二三区のうち一七区が浸水被害を受け、現在の整備された堤防網であっても最大10mの浸水被害を受ける、としています。これは1934年室戸台風の上陸時点中心気圧910hps、1959年伊勢湾台風の速度73km/h、の二つの要素をもって東京湾を直撃した場合の被害想定で主として高潮被害が大きく、浸水予想は墨田区99%、葛飾区98%、江東区68%という厳しい数字が突きつけられています。正確に進路を予測しなければ、日本全土に避難指示、という無意味な警戒、結果的に避難を遅らせる結果と成りかねません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/a3/ce779e0a087cd2bd340bbc1fc8d0a74a.jpg)
1974年にはグアム島に第54気象偵察飛行隊が新編、当時在比米軍基地の運用に重大な驚異を及ぼしていた台風進路の測定に当たりました。ただ、1974年10月に原因不明の墜落事故を台風観測中に発生させています。一方でハリケーンハンターの事故は台風に直接突入するという非常に難易度の高い任務でもありますが、実のところそれほど事故は起きていません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/e1/eaa340b7f33a3f205576d49fa4138b03.jpg)
自衛隊が行う任務なのか、と問われるかもしれませんが、気象庁予算でC-130輸送機かC-2輸送機を取得し気象偵察機として運用する選択肢が考えられます。気象庁予算で自衛隊が運用、戦術輸送機ではなく一種の政府専用機、という扱いで勿論必要となれば輸送任務支援に当てることも可能です。具体的には南極観測任務支援を行う砕氷艦しらせ建造が文部科学省予算により行われた点と同じ用法が考えられましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/81/ead57bc89064b82fe64d1e4d85d99eea.jpg)
気象偵察機、という任務ですが勿論台風監視任務のみに用いる必要はありません、大気情報観測任務は台風以外にも多く、例えば日本周辺において核実験が行われた場合は大気中に微量の放射性物質クリプトンが検出されます。自衛隊は北朝鮮核実験の際に集塵装置を搭載したT-4練習機を発進させ、放射性降下物の警戒に充てていますが、アメリカ空軍がRC-135などの大型機を有して実施するクリプトン検出は核実験の真贋測定に充てられる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/46/d634807236194b03f9663801baff02f2.jpg)
WP-3気象観測機としてP-3C哨戒機が転用された事例がアメリカではありますが、航空自衛隊が運用する場合C-2輸送機のような滞空時間の大きな航空機を原型とできましたら、気象観測任務は台風観測や核実験監視任務のほかに、気候変動観測としての長時間飛行が可能となります。また、輸出を模索するC-2輸送機にタイフーンハンターとして極限状態の状況下で飛行できる点が実証されたならば、これは頑強さを誇示する重要な要素とも成りましょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事捕捉-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)