■BvS10両用装甲車登場!
アルビオン艦内、速報記事でも紹介するには前篇後篇に各24枚級記事に分ける程、注目の行事でした。
アルビオン艦内では、それこそ水陸両用作戦について学ぶところばかりであり、とにかく驚きの連続でした。イギリス海兵隊は6500名、水陸機動団の倍程度ですが、アメリカ海兵隊の15万名と比較すればその規模は驚くほど小型で装備は平凡、しかし能力は非常に高いです。
イギリス海兵隊にこそ学ぶべきではないか、アメリカ海兵隊は日本陸軍との太平洋島嶼部での戦闘を経て水陸両用作戦能力を高めましたが、イラク戦争などの戦史を振り返れば強襲上陸と同程度その後の内陸への侵攻能力を重視しており、水陸機動団の任務とは少々違う。
水陸機動団を新編した陸上自衛隊ですが、主たる任務は島嶼部防衛と離島奪還任務にあり、正直内陸への反撃という逆上陸作戦は、それ程必要ないようにも思えます。北海道九州逆上陸、の必要はありませんし自衛隊は仁川上陸作戦や上海敵前上陸を行う予定は全くない。
BvS10水陸両用装甲車、原型は傑作全地形車両BV-206ですが、装甲の装着とエンジン出力の強化により野戦車両としての完成度を高めています。速度だけでもBV-206は最高速度52km/hでしたがBvS10は最高速度65km/h、この速度ならば日本でも公道を普通に走れる。
BAEランドシステムズ社とヘルグランド社の共同開発で、275hpのディーゼルエンジンを搭載し重量8.5t、これは前部5tと後部3.5tの合計重量で操縦手と車長に加え12名を輸送可能、物資輸送の場合は5tまで搭載できるとの事。勿論この搭載能力は増加装甲へ反映させることも可能だ。
イギリス海兵隊は同時にこのBvS10が防弾性能を有する一方で水上速度5km/hという両用性能に着目し2006年より調達を開始しました。最初の調達は14両を1400万ポンド、2006年のポンドレートは1ポンド220円ですのでBvS10は1両当たり2億2000万円となる。
2013年にスウェーデンが取得した際には1両が108万ドルに抑えられていましたので大量調達を行い、その上で整備維持部品などをふくめた場合は取得費用は96式装輪装甲車を若干上回る程度に抑えられるのか。なお車幅は2.34m、日本の道路運送車両法にも適合します。
BvS10はイギリス海兵隊の第3コマンドー旅団へ108両配備され、アフガニスタンでの山岳任務にその登攀力が大きな能力を発揮し、海兵隊は2016年に9700万ポンドを投じて96両のBvS10延命改修を実施しています。今回派遣された車両も第3コマンドー旅団のもの。
装甲車として視た場合のBvS10はアフガニスタンでの実戦運用において簡易爆発物IEDによる待伏せ攻撃に対し脆弱性を露呈しました、装甲戦闘車が次々30t代へ巨大化が進む中で8.5tの車体、アメリカのM-113装甲車の12.3tよりも軽量故仕方ないといえば仕方ない。
増加装甲としてイギリス海兵隊は籠状のスラッド装甲を増加装甲として装着しました、この他の装甲車では山間部を登攀できず、BvS10の防御強化以外には選択肢が無かったのですね。晴海での一般公開ではスラッド装甲は通常の増加装甲に取り換えられていました。
装甲全地形車両としては非常に優れた車両であるようで、オランダ海兵隊は74両を配備、フランス軍は山岳戦や両用作戦用に53両を、スウェーデン軍もBV-206の補完に充てる全地形装甲車両として150両導入し、オーストリア軍も2018年にも取得を開始するという。
ジャッカル耐爆車両、イギリスのスパキャット社が開発した偵察警戒用の耐爆車両です。6.65tの車体は簡易爆発物IEDによる待伏せ攻撃に備え最低地上高38cmを確保し、全乗員が即座の応戦を行えるよう開放型戦闘室を採用、全員が機銃等で応戦する武装の配置です。
コヨーテ耐爆車輛とジャッカル耐爆車両で六輪駆動と四輪駆動のファミリーを構成しており、開放型戦闘室と上面の防御力は皆無ですが、側面は機銃弾に耐えると共に耐衝撃座席を採用し、IEDの爆風と破片に振動と全ての脅威に対応できる実は重装甲、という設計だ。
イギリス陸軍は2003年のイラク戦争後、イラク治安作戦において市街地や近郊道路網と近郊村落、またアフガニスタンでの街道警戒等に当てる装甲車を必要としました。従来の北アイルランド警備用の小型装輪装甲車はIEDが路肩に並ぶこの種の用途に適合しません。
2008年からイギリス軍はジャッカルとコヨーテの配備を開始、ジャッカルは2008年調達分で100両、2008年後半に72両、2010年に改良型のジャッカル2を140両を追加し、ジャッカルだけで212両、その後の追加とコヨーテを併せれば500両近くが納入されました。
自衛隊の普通科連隊情報小隊に必要な車両、ジャッカルは斥候と後方連絡線維持に最適です。特に開放型戦闘室は五感を活かした情報収集に寄与し、偵察部隊の敵前衛を突破する打撃力は有しませんが、航続距離は800kmありますので長距離の迂回機動も可能でしょう。
レオパルド/ヒッポBRV,アルビオンに搭載の特殊車両の中でも群を抜いて異彩を放っていたのは戦車の車体上に大型トラックの運転台と鋼鉄のダンパーを並べた車両の存在です。BRVとはビーチリカバリーヴィーグルの略称で沿岸部の上陸支援を行う大型装軌車輌だ。
BRVの任務は上陸用舟艇が接岸しすぎて離岸できなくなった場合に海上に押し戻す装備です。戦車のような車体はその通りレオパルド1A5車体を利用していまして240tまでの上陸用舟艇を海上に押し戻す、また50tまでの重車輌を陸上に引き上げる能力を有しています。
上陸用舟艇の擱座は、海上自衛隊輸送艦みうら型が現役当時、LCMの擱座が少なからず発生していました、陸上自衛隊の施設大隊が徐々に周りに土を積みつつ作業場を拡大しブルドーザーで押しつつ、同時に輸送艦で引き戻したという。この作業はかなり時間を要した。
レオパルド1A5車体を利用するヒッポBRV,は駆動系はそのままですが元々の戦闘重量42.5tの戦車も補助動力装置やシュノーケルの追加、そして操縦席の沿岸作業へのかさ上げにより重量は50tに増大しています。その分擱座車両牽引や上陸用舟艇押し戻しに強い。
C-721-CXT、前回紹介したもの。JCB427ホイールローダーの軍用仕様でスチールカーペットボビンを装着しています。要するに鋼鉄のカーペットを海浜に敷設する装備でして、これ一台だけで110m程度の海浜に車両揚陸通行路を開設できます。JCB社はイギリスが誇る建機メーカーだ。
JCB427だけならば日本でも建設会社などが普通に購入する事が出来ますが、JCB社といえばHMEE装甲工兵車を量産しているメーカーです。装輪式で最高速度88km/hを発揮しバケットローダーとバックホーを搭載する戦闘工兵車両でイギリス陸軍も採用しています。
グロック17、スパイク対戦車ミサイル、FN-MAG軽機関銃、MINIMI分隊機銃、L85A2小銃、L-22カービン、L-123小銃擲弾発射器、L-129A1自動狙撃銃、M-134ミニガン、装備一式から戦闘糧食に野戦救急装備に背嚢から携帯天幕まで一通り展示され、見どころ。
掃海母艦うらが一般公開も隣で行われていますので、時間は有限なのですが何しろ初めてみたBvS10等、キャンプ富士アメリカ海兵隊一般公開以上の密度と充実ぶり、もう少し長く撮影したかったのですが、徐々に混雑が凄くなってきましたので移動しました次第です。
晴海に行けばよかった、と今回の写真をご覧になり思われた方が居ましたら朗報です。防衛省によれば今月23日と24日に静岡県沼津市の片浜海岸において日英共同訓練が実施され、海上自衛隊輸送艦とアルビオンが参加します。海岸から訓練の様子を見学できますので、興味のある方は是非、と思います。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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アルビオン艦内、速報記事でも紹介するには前篇後篇に各24枚級記事に分ける程、注目の行事でした。
アルビオン艦内では、それこそ水陸両用作戦について学ぶところばかりであり、とにかく驚きの連続でした。イギリス海兵隊は6500名、水陸機動団の倍程度ですが、アメリカ海兵隊の15万名と比較すればその規模は驚くほど小型で装備は平凡、しかし能力は非常に高いです。
イギリス海兵隊にこそ学ぶべきではないか、アメリカ海兵隊は日本陸軍との太平洋島嶼部での戦闘を経て水陸両用作戦能力を高めましたが、イラク戦争などの戦史を振り返れば強襲上陸と同程度その後の内陸への侵攻能力を重視しており、水陸機動団の任務とは少々違う。
水陸機動団を新編した陸上自衛隊ですが、主たる任務は島嶼部防衛と離島奪還任務にあり、正直内陸への反撃という逆上陸作戦は、それ程必要ないようにも思えます。北海道九州逆上陸、の必要はありませんし自衛隊は仁川上陸作戦や上海敵前上陸を行う予定は全くない。
BvS10水陸両用装甲車、原型は傑作全地形車両BV-206ですが、装甲の装着とエンジン出力の強化により野戦車両としての完成度を高めています。速度だけでもBV-206は最高速度52km/hでしたがBvS10は最高速度65km/h、この速度ならば日本でも公道を普通に走れる。
BAEランドシステムズ社とヘルグランド社の共同開発で、275hpのディーゼルエンジンを搭載し重量8.5t、これは前部5tと後部3.5tの合計重量で操縦手と車長に加え12名を輸送可能、物資輸送の場合は5tまで搭載できるとの事。勿論この搭載能力は増加装甲へ反映させることも可能だ。
イギリス海兵隊は同時にこのBvS10が防弾性能を有する一方で水上速度5km/hという両用性能に着目し2006年より調達を開始しました。最初の調達は14両を1400万ポンド、2006年のポンドレートは1ポンド220円ですのでBvS10は1両当たり2億2000万円となる。
2013年にスウェーデンが取得した際には1両が108万ドルに抑えられていましたので大量調達を行い、その上で整備維持部品などをふくめた場合は取得費用は96式装輪装甲車を若干上回る程度に抑えられるのか。なお車幅は2.34m、日本の道路運送車両法にも適合します。
BvS10はイギリス海兵隊の第3コマンドー旅団へ108両配備され、アフガニスタンでの山岳任務にその登攀力が大きな能力を発揮し、海兵隊は2016年に9700万ポンドを投じて96両のBvS10延命改修を実施しています。今回派遣された車両も第3コマンドー旅団のもの。
装甲車として視た場合のBvS10はアフガニスタンでの実戦運用において簡易爆発物IEDによる待伏せ攻撃に対し脆弱性を露呈しました、装甲戦闘車が次々30t代へ巨大化が進む中で8.5tの車体、アメリカのM-113装甲車の12.3tよりも軽量故仕方ないといえば仕方ない。
増加装甲としてイギリス海兵隊は籠状のスラッド装甲を増加装甲として装着しました、この他の装甲車では山間部を登攀できず、BvS10の防御強化以外には選択肢が無かったのですね。晴海での一般公開ではスラッド装甲は通常の増加装甲に取り換えられていました。
装甲全地形車両としては非常に優れた車両であるようで、オランダ海兵隊は74両を配備、フランス軍は山岳戦や両用作戦用に53両を、スウェーデン軍もBV-206の補完に充てる全地形装甲車両として150両導入し、オーストリア軍も2018年にも取得を開始するという。
ジャッカル耐爆車両、イギリスのスパキャット社が開発した偵察警戒用の耐爆車両です。6.65tの車体は簡易爆発物IEDによる待伏せ攻撃に備え最低地上高38cmを確保し、全乗員が即座の応戦を行えるよう開放型戦闘室を採用、全員が機銃等で応戦する武装の配置です。
コヨーテ耐爆車輛とジャッカル耐爆車両で六輪駆動と四輪駆動のファミリーを構成しており、開放型戦闘室と上面の防御力は皆無ですが、側面は機銃弾に耐えると共に耐衝撃座席を採用し、IEDの爆風と破片に振動と全ての脅威に対応できる実は重装甲、という設計だ。
イギリス陸軍は2003年のイラク戦争後、イラク治安作戦において市街地や近郊道路網と近郊村落、またアフガニスタンでの街道警戒等に当てる装甲車を必要としました。従来の北アイルランド警備用の小型装輪装甲車はIEDが路肩に並ぶこの種の用途に適合しません。
2008年からイギリス軍はジャッカルとコヨーテの配備を開始、ジャッカルは2008年調達分で100両、2008年後半に72両、2010年に改良型のジャッカル2を140両を追加し、ジャッカルだけで212両、その後の追加とコヨーテを併せれば500両近くが納入されました。
自衛隊の普通科連隊情報小隊に必要な車両、ジャッカルは斥候と後方連絡線維持に最適です。特に開放型戦闘室は五感を活かした情報収集に寄与し、偵察部隊の敵前衛を突破する打撃力は有しませんが、航続距離は800kmありますので長距離の迂回機動も可能でしょう。
レオパルド/ヒッポBRV,アルビオンに搭載の特殊車両の中でも群を抜いて異彩を放っていたのは戦車の車体上に大型トラックの運転台と鋼鉄のダンパーを並べた車両の存在です。BRVとはビーチリカバリーヴィーグルの略称で沿岸部の上陸支援を行う大型装軌車輌だ。
BRVの任務は上陸用舟艇が接岸しすぎて離岸できなくなった場合に海上に押し戻す装備です。戦車のような車体はその通りレオパルド1A5車体を利用していまして240tまでの上陸用舟艇を海上に押し戻す、また50tまでの重車輌を陸上に引き上げる能力を有しています。
上陸用舟艇の擱座は、海上自衛隊輸送艦みうら型が現役当時、LCMの擱座が少なからず発生していました、陸上自衛隊の施設大隊が徐々に周りに土を積みつつ作業場を拡大しブルドーザーで押しつつ、同時に輸送艦で引き戻したという。この作業はかなり時間を要した。
レオパルド1A5車体を利用するヒッポBRV,は駆動系はそのままですが元々の戦闘重量42.5tの戦車も補助動力装置やシュノーケルの追加、そして操縦席の沿岸作業へのかさ上げにより重量は50tに増大しています。その分擱座車両牽引や上陸用舟艇押し戻しに強い。
C-721-CXT、前回紹介したもの。JCB427ホイールローダーの軍用仕様でスチールカーペットボビンを装着しています。要するに鋼鉄のカーペットを海浜に敷設する装備でして、これ一台だけで110m程度の海浜に車両揚陸通行路を開設できます。JCB社はイギリスが誇る建機メーカーだ。
JCB427だけならば日本でも建設会社などが普通に購入する事が出来ますが、JCB社といえばHMEE装甲工兵車を量産しているメーカーです。装輪式で最高速度88km/hを発揮しバケットローダーとバックホーを搭載する戦闘工兵車両でイギリス陸軍も採用しています。
グロック17、スパイク対戦車ミサイル、FN-MAG軽機関銃、MINIMI分隊機銃、L85A2小銃、L-22カービン、L-123小銃擲弾発射器、L-129A1自動狙撃銃、M-134ミニガン、装備一式から戦闘糧食に野戦救急装備に背嚢から携帯天幕まで一通り展示され、見どころ。
掃海母艦うらが一般公開も隣で行われていますので、時間は有限なのですが何しろ初めてみたBvS10等、キャンプ富士アメリカ海兵隊一般公開以上の密度と充実ぶり、もう少し長く撮影したかったのですが、徐々に混雑が凄くなってきましたので移動しました次第です。
晴海に行けばよかった、と今回の写真をご覧になり思われた方が居ましたら朗報です。防衛省によれば今月23日と24日に静岡県沼津市の片浜海岸において日英共同訓練が実施され、海上自衛隊輸送艦とアルビオンが参加します。海岸から訓練の様子を見学できますので、興味のある方は是非、と思います。
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