北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和三年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2022.03.05-2022.03.06)

2022-03-04 20:21:03 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 札幌と道南を防衛する精鋭第11旅団の写真と共に。今週末も行事は行われませんが自衛隊関連行事について一部部分再開の見通しが出てきましたのでお伝えしましょう。

 陸上自衛隊関連行事について、部分的に再開の見通しが立ってきました。行事そのものは募集対象者限定というかたちで2020年にも実施されており、また2021年にも数は少ないものの継続されています。ただ、いままでのように、当日に駐屯地を探訪すれば手荷物検査のみで式典を見学できる水準にはまだ時間がかかるようです、事前申請が必要という。

 COVID-19,自衛隊も広報行事には可能な限り人を入れたいものの、感染対策と両立できるのか、この一点が自由な行事という式典を阻んでいます。2022年も実質、募集対象者が優先される実情はあるのでしょうが、自由に見られる行事となりますと、航空部隊の飛行を外柵から眺めるか、艦艇基地の出入港を埠頭から眺めるか、この状況はまだまだ続きます。

 青野原駐屯地創設46周年記念行事、行事は2022年5月29日ですが、公募制で応募期間は3月1日から4月28日までとのこと、部隊HPにて申し込みを行い入場券は抽選制、ワクチン2回接種が応募の条件という。青野原駐屯地は兵庫県小野市、姫路から少し内陸に入りました立地となっていまして、03式中距離地対空誘導弾システムが配備されています。

 第1師団創設60周年記念・練馬駐屯地創設71周年記念行事、2022年4月10日におこなわれますが、こちらは往復はがきによる抽選制となっています、往復はがきは3月18日の必着ですので、興味のある方は第1師団ホームページをご覧下さい、こちらは観閲行進と訓練展示が行われ、第1師団は戦車と特科部隊を排した地域配備師団となり最初の行事だ。

 1962年は自衛隊にとり重要な部隊改編を行っています、これは当時の管区隊と混成団という編成、大型の歩兵師団編成である管区隊を小型だが機動力の高い機械化部隊中心の混成団が共同するという運用から、小型の普通科連隊を基幹とし、三個普通科連隊基幹部隊を乙師団、四個普通科連隊基幹の部隊を甲師団、こうした師団編成へ移行した年度でした。

 2022年というのは遡る事、1962年から60周年、現在の師団という名称が誕生した60年ということになりますので、師団祭等は大きな意味を持つ事となります。節目の行事ですので、2022年にはCOVID-19の感染が収まっている事を願っていましたが、師団祭となれば開門待ち行列は数百m、会場は通勤電車並みの混雑、感染対策と両立は難しいのですね。

 地政学的影響、しかし懸念するのはCOVID-19の感染拡大とともに、これまでは中々考えられない視点、地政学的リスクというものを認識せざるを得ない程に安全保障情勢が緊迫化していることです。云うまでもありません、報道は勿論Weblog北大路機関でも毎朝臨時情報を掲載している通り、ウクライナ情勢緊迫化ですね。臨時情報は東日本大震災以来だ。

 国際観艦式が本年実施と紹介したのは一か月前の2月4日、しかしウクライナ情勢がそれまでにロシア軍全面撤退と日欧米経済制裁全面解除による防衛交流の再開、恐らく不可能であるばかりか、先程ウクライナのザポリージャ原子力発電所が攻撃され火災が発生、火災は鎮火しましたが原発施設はロシア軍に占拠され、ウクライナ情勢は新局面を受けつつあるのです。

 自衛隊行事は平和でなければ実施できませんが、今や“見知らぬ明日”というような、核兵器の使用というものが日常生活にリスクとして影響を及ぼす懸念もあります。COVID-19も巨大な災厄ではありましたが、仮に核兵器が使用され、欧州へ被害が及ぶことと成れば第三次世界大戦です。祈るだけの平和主義で良いのか、昨今この言葉を考えさせられます。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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【臨時防衛情報】ロシア軍ザポリージャ原発を砲撃-ウクライナ戦争,欧州最大の原発で火災

2022-03-04 14:40:01 | 国際・政治
■原子力規制庁-情報収集中
 原子力施設は軍事攻撃の際に環境被害が大きくなるために標的とならないのではないかとの淡い期待が在りましたが。今後日本防衛上でも課題だ。

 ウクライナのザポリージャ原子力発電所がロシア軍の砲撃を受け火災が発生しました。ウクライナ非常事態省によれば火災はその後鎮火しているとのことですが、原発敷地内にロシア戦車が突入し消防隊の消火活動に支障が出るとしてウクライナ当局は原発への砲撃を中止するよう要求しています。なお、原発の火災は現在は鎮火しているとのことです。

 日本の原子力規制庁はIAEAを通じ情報を集めていますが、現在のところ放射線量に変化は確認されていないとしています。原発はクリミア半島北部のドニエプル河畔、ザポリージャ原発には原子炉六基が在り、欧州最大の原子力発電所であるとともに、1986年に発生したソ連のチェルノブイリ原発事故の十倍の核燃料が原子炉にて稼働中とされています。

 欧州全域を核汚染が包み日本を含む北半球へ影響が及びかねない事態です。現時点では原子炉建屋などが直接の標的とはなっていない為、ロシア軍がウクライナ全域を核汚染で居住不能とし欧州全域を破壊しようとした証拠はありません。しかし、開戦後にキエフ北部のチェルノブイリ原発を占拠するなど、現在ロシア軍の攻撃は現実として原発施設に及んでいます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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国連ロシア非難決議概要とキエフ・ハリコフ防衛戦,善戦しつつ圧迫されるウクライナ軍概況

2022-03-04 07:00:38 | 国際・政治
■臨時防衛情報-ウクライナ情勢
 第二次世界大戦後最大規模といえるロシア軍によるウクライナ侵略は今この瞬間も続いています。

 国連総会ESS緊急特別会合のロシア非難決議が議決され、実に141か国が賛同、反対は僅か5か国で棄権は35か国という、世界の認識の一致を見ました。国連創設以来十一回目、今世紀初の招集となりましたESS非難決議の概要は、“ロシアのウクライナ侵攻を最も厳しい表現で遺憾の意を示す”“ロシア政府にロシア軍の即時かつ無条件の撤退を求める”と。

 ロシア非難決議は続いて“ロシア政府はウクライナ東部の親ロシア派支配地域の独立承認撤回を要請”“ロシア政府の核戦力準備への決定を非難”“ベラルーシの不法な武力行使を非難し国際的義務の尊重を求める”“ロシアによる軍事行動は国際社会が過去数十年間欧州では見た事の無い規模である”“戦争の惨劇から救うための緊急の行動が必要”とした上で。

 決議は“国連憲章が最も重要である事を再確認した”と締め括っています。国連総会ESS緊急特別会合決議は、このままでは国際法としての法的拘束力を有する訳ではありません、しかし、法的拘束力を有する国連安全保障理事会の安保理決議を代行する安保理決定を受けてのものであるため、世界政治が、この決議で満足するか次に進めるかが、重要です。

 国連は何らかの措置を求められる、勿論これには自衛隊派遣が求められる可能性がありますが。こういいますのも、ロシア政府が現在のウクライナ独立を維持したままで停戦に応じるとは考えにくく、長期の市街戦がNATO加盟国隣国で続く、そしてロシアが譲歩しなければNATOとロシア占領下のウクライナという冷戦時代の悪夢が再来する為です。

 ウクライナ軍は奮闘していますが、同時に圧されているのも現実です。一方でNATOは盛んにルーマニアやポーランドと黒海公海上に情報収集機や早期警戒機を飛行させており、これはADR飛行経路情報として世界に開示されていますが、ウクライナ軍善戦にはNATOからのロシア空軍情報や通信傍受と解析による戦域情報提供も一役買っていましょう。 

 キエフ包囲の概況について。キエフに向かう道路上に並ぶロシア軍車列は、アメリカ国防総省のカービー報道官によれば、過去36時間で前進は無い、こう発表しました。渋滞したままの車列は、アメリカ国防総省の分析では単なる物資欠乏、燃料や食料弾薬の補給、包囲への再編成などが考えられるとのこと。想定より長く停滞しますが何れ動くと分析する。

 ヘルソンとマリウポリでのウクライナ南部情勢ですが、一時ヘルソン陥落をロシア国防省が発表したものの、ウクライナ軍による抵抗が続き市内にロシア軍部隊が侵入した後に市街戦が続いているとのこと。アゾフ海沿岸のマリウポリもロシア軍の攻撃正面に位置しながら、大都市でありウクライナ軍の激しい攻撃を前に前進が停滞し包囲に移行しています。

 ハリコフはじめウクライナ軍は激しく抵抗していますが、CNNがアメリカ国防総省関係者の分析として報じたのが、ウクライナ軍が総戦力の10%を損耗しているのに対し、ロシア軍は全軍の3%から5%に留まるとのこと。ただ、ロシア陸軍の75%を投入した今回のウクライナ侵攻において5%の打撃、ロシア全軍に対してかは言及が無いが、驚くべき数字です。

 苦戦と云う状況は変りありません、ウクライナ軍はアメリカなどから供与されたジャベリンミサイルやイギリスから供与されたNLAWミサイルが威力を発揮し、共に千数百発と数千発が供与されているといいますが、ジャベリンの射程は僅か2kmでNLAWは高精度ではあるものの射程700mでしかなく、防衛用装備ではあっても反撃用装備ではありません。

 苦戦のウクライナ軍は、まだ国産T-84戦車にT-80を340両にT-72を300両と稼働不稼働問わずのT-64戦車1700両など戦車等を多数保有しています。ただ、動かせば航空優勢はロシア軍に有利であり、そしてCNN報道ではアメリカ国防総省関係者の話として、不足している物資は銃弾や砲弾と医薬品など基本的な軍事物資であるとも指摘されています。

 苦戦する一方、ロシア航空部隊が不活性であり、緒戦以降あまり出撃していません。ソ連時代にはソ連空軍は制空任務の戦闘機が主体で攻撃機が少ないという特性がありましたが現代のロシア空軍は多用途戦闘機を主力としており、練度不足なのか温存しているのかは未知数だ。緒戦のロシア軍発表は華々しいものでしたが実態と乖離し、激戦が続きます。

 ウクライナ軍の奮闘ですが、1904年日露戦争や1939年冬戦争と日本やフィンランドは大国ロシアを、ロシア帝国やソ連という国家体制の違いはりますが、撃退に成功しています。故にロシア軍へ軍事抵抗が不可能となるのは必至、こうした視点でウクライナを見るのではなく、ロシアへ更なる経済制裁を示唆し、人道危機を回避する世界の選択肢は残っているのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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