北大路機関

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【防衛情報】中国003型航空母艦進水式間近とロシア最新鋭ジルコン超音速ミサイル配備間近

2022-03-07 20:06:37 | インポート
■週報:世界の防衛,最新10論点
 今回は海軍関連の話題を10論点紹介しますが深刻な話題の前に心斜めに温まる話題から。

 東京を親善訪問しましたドイツ海軍フリゲイトバイエルンは日本の文化を堪能している、海上自衛隊はホストシップとして護衛艦さみだれ、を派遣しているが、艦艇愛好家が見たところでは護衛艦さみだれ備品として搭載されている艦隊これくしょん駆逐艦五月雨等身大パネルが甲板上で展示され、ドイツ海軍関係者が記念写真を撮影する様子がありました。

 バイエルン、さみだれ、は太平洋上において親善訓練を実施しており、冷戦時代には定期的に練習艦を派遣していたが冷戦後に交流が縮小していたものの20年ぶりに日本を訪問したドイツ海軍艦艇として、訓練を行うとともに軍艦の擬人化という日本文化も堪能したようだ。なお帝政ドイツ時代に戦艦バイエルンが運用されているが、擬人化はまだのもよう。

 海上自衛隊の護衛艦は、多くが旧海軍艦艇の艦名を継承しており、その中の少なくない艦は第二次世界大戦に参加した艦名となっています。ゲーム艦隊これくしょん擬人化の艦艇は第二次世界大戦中の艦艇が基本となっており、広報に資するという観点から等身大パネルを護衛艦に搭載しているものも多く一般公開ではある種の名物となり親しまれています。
■003型航空母艦進水式間近
 航空母艦と云えばニミッツ級が量産された最大の空母ですが今追い付こうとしている国が在ります。

 中国海軍の003型航空母艦が2022年初頭にも進水式を迎える可能性がある、アメリカのシンクタンクCSIS国際戦略問題研究所が11月9日に衛星画像解析の情報として発表した。003型航空母艦は上海の江南造船所において建造が進められているが、10月23日に撮影された画像では船体がほぼ完成し艦橋構造物についても既に完成している事が識別できる。

 003型航空母艦はウクライナから取得した001型空母と称される遼寧や、これを元に中国が国内建造した002型空母こと山東など2隻の中国空母よりも大型化しており、スキージャンプ台式発艦方式からカタパルトによる発艦方式に転換されており、空母艦載機の兵装などへの冗長性が高まるとともに、今後早期警戒機などより大型の艦載機が開発できよう。

 003型航空母艦の排水量は発表されていないが、満載排水量では10万t前後となる可能性があり、これはニミッツ級航空母艦に匹敵する巨大な母艦となる事を意味する。ただ、中国海軍は当初002型空母2隻を建造する計画があり、この計画と比較すれば中国空母建造の進捗は遅れている、003型も2隻建造が構想されているが現在未だ起工には至っていない。
■コンステレーション級のVLS
 コンステレーション級ミサイルフリゲイトは護衛艦あきづき型を強化したような大型の護衛艦です。

 アメリカ海軍が進めるコンステレーション級ミサイルフリゲイトはVLSを32セルとする、アメリカ連邦議会調査局が調査書を発表しました。コンステレーション級ミサイルフリゲイトは、近年増大する従来型脅威を背景に、高速性能とステルス性に特化した沿岸海域戦闘艦の打撃力及び抑止力の不足が指摘され建造が決定した従来型の水上戦闘艦です。

 コンステレーション級ミサイルフリゲイトについては、中国海軍水上戦闘艦との互角な戦闘を展開するには、イージス艦であるアーレイバーク級ミサイル駆逐艦の半数程度、Mk.41-VLS垂直発射装置が48セル必要であると、海軍や議会一部から要請が示されていました。しかし、多数を建造する背景から、建造費を抑える必要から決定が先延ばしに。

 アーレイバーク級ミサイル駆逐艦の不足を補うというコンステレーション級ミサイルフリゲイトについて、海軍は建造費を11億ドルに抑える事を要求していますが、この為にはVLSを32セルとする必要がありました。一番艦コンステレーションの建造費は13億ドルとなっていますが、議会は建造費を抑え量産性を重視する選択肢を推した構図でしょう。
■キロ級からカリブル
 カリブル巡航ミサイルはコルベットに搭載され小型艦でも戦略打撃力を誇示できる事をすでに示していますが。

 ロシア海軍は黒海にてキロ級潜水艦よりカリブル巡航ミサイルの発射訓練を実施した。カリブル巡航ミサイルはロシア版トマホークミサイルと呼ばれる巡航ミサイルだが、当初1987年中距離核戦力全廃条約に基づき、地上発射型の550kmから4500kmの射程のミサイル開発と配備が禁止されており、カリブルの射程も500km程度と考えられていたものだ。

 カリブル巡航ミサイルは、しかし地上発射型より開発されたが、海軍型がシリア内戦介入に際しカスピ海よりシリアの反政府勢力拠点に対して発射され、2500km以上の射程が在る事が判明し世界を驚かせている。今回の発射訓練はキロ級潜水艦ヴェキリイノブゴロドより実施された。通常動力潜水艦であるが戦略打撃の一端を担えることを誇示したかたちだ。

 ロシア海軍は近年、コルベットクラスの小型水上戦闘艦や通常動力潜水艦からの巡航ミサイル運用能力を誇示している、これは裏返せばソ連崩壊後のロシアが2020年代の今日でも大型水上戦闘艦や巡航ミサイル原潜を置換える規模での新規建造が実現しない経済状況を示すものであるが、小型艦に戦略兵器を分散させる手法は独特の抑止力を構成してゆこう。
■露,極超音速ミサイル来年にも
 極超音速ミサイルは21世紀におけるゲームチェンジャーともなりうる装備で日本でも開発が進められている。

 ロシアのプーチン大統領は11月3日、極超音速ミサイル配備が来年にも開始されると発言しました。これはロシア南部のソチにおいて国防省幹部を前に、新装備開発の状況を発表したものです。プーチン大統領が発言した極超音速ミサイルは、ジルコンミサイルで、ロシア海軍では潜水艦やミサイル巡洋艦などからの発射試験がくりかえされています。

 ジルコンミサイルはツィルコンミサイルとしても知られ、音速の五倍以上の速度により高速飛行が可能、従来の亜音速巡航ミサイルと比較して迎撃が難しいとされ、また、アメリカでは極超音速誘導弾の開発実験の遅れが指摘されています。プーチン大統領の発言は政治的な側面があるとも考えられますが、冷戦後の技術的欠缺が埋められようとしています。
■自衛隊4900t型油槽船YOT-01
 油槽船というと小型のものを創造するのですがトン数では護衛艦なみのものがでてきました。

 海上自衛隊4900t型油槽船YOT-01が新来島どっく今治工場で進水式を迎えました。4900t型油槽船は地方隊の貯油施設間の燃料輸送等を担う支援船です。ただ、油槽船に4900t型という規模は過去にない水準であり、また、新来島どっく造船能力は国内七位の水準ですが、防衛省用艦船の建造に参加するのは4900t型油槽船YOT-01が最初となりました。

 4900t型油槽船YOT-01が建造された背景には、護衛艦の大型化と南西諸島警備などの任務増大を背景に、佐世保基地や呉基地から離れた沖縄基地や奄美基地では燃料補給に必要な燃料を基地近傍では調達が難しいという実情があり、海上で護衛艦に補給する補給艦とは別の、基地施設に燃料を補給する為の大型の油槽船が必要になったという背景があります。

 新来島どっく、4900t型油槽船は2020年に2隻が50億6000万円で建造されることとなっており、2022年までに2隻が竣工する計画とのこと。4900tの輸送能力を持つ支援船は、作戦輸送に当る艦艇とは別枠で建造されるもので、これは過去に検討された1900t型輸送艇、防衛計画の大綱に制約される艦艇定数の枠外装備充実の鏑矢となるのかもしれません。
■豪首相は嘘つき,仏大統領発言
 金額が金額ですので気持ちはわからないでもありませんが無理な要求を突き付けつづけた豪州と無茶な納期延期と価格高騰のフランスという構図でもある。

 フランスのマクロン大統領はG20サミットにて潜水艦問題に触れオーストラリアのモリソン首相を嘘つきと改めて批判しました。オーストラリアはフランスに発注していたアタック級潜水艦の突然の建造中止を発表し、アメリカから原子力潜水艦を導入すると発表して以来、設計や施設建設費などの関連費用の支払いを求める等、関係悪化が続いています。

 一国の元首が他国の首脳を公式の場で嘘つきと呼ぶのは極めて異例です。モリソン首相は10月31日、マクロン大統領の発言に際して、潜水艦中止前に食事をした際にフランスの潜水艦は完全ではないと発言しており、突然キャンセルしたのではないと反論していますが、問題がある事を示唆する事が巨大な輸出事業を白紙化することは正当化できません。
■米,補給艦にゲイの政治家
 乗員の方はどう思うのだろうかという部分がどうしても気に成りまして触れないようにするという日本の曖昧さが同盟国にはないのでしょうか。

 アメリカ海軍は11月6日、暗殺されたゲイの政治家ハーベイミルク氏を給油艦名に冠すると発表しました。給油艦ハーベイミルクはジョンルイス級給油艦の2番艦で、満載排水量49850tとなっています。ゲイの政治家として暗殺された事が今回の艦名命名式において紹介されていますが、海軍潜水士として任官した事もあり、海軍功労者でもあります。

 ゲイの政治家、アメリカではLGBTに関する寛容な機運は20世紀と比較するならば高まっていますが、軍隊では指揮官と兵士が愛人関係となる事は指揮命令系統に支障を来すとして長らく敬遠されてきました。ミルク氏は海軍退役後にサンフランシスコ管理委員会委員として地方政治界に進出しましたが、ゲイと公言した数カ月後の1978年に暗殺されました。
■韓国,最新艦にチョナム
 水上戦闘艦が撃沈されたという事件は今なお鮮明に記憶しています。

 韓国海軍はテグ級フリゲイトの艦名に北朝鮮魚雷攻撃に遭ったチョナムを命名しました。テグ級フリゲイトは基準排水量2800tで満載排水量3592tの水上戦闘艦で6隻が建造されたインチョン級フリゲイトに続き8隻の建造が計画され、1980年代に大量建造され近年退役が進んでいるウルサン級フリゲイト9隻やポハン級コルベット24隻を置換える計画です。

 チョナムは天安艦沈没事件として先代のチョナムが2010年3月26日に韓国西方海域を警戒監視中、北朝鮮潜水艇からの魚雷攻撃を受け撃沈され有名となりました。事件では北方限界線近くにて攻撃を受け船体は真っ二つに破断、乗員104名のうち46名が戦死、満載排水量1220tのチョナムは朝鮮戦争中を含め韓国海軍が喪失した最大の戦闘艦となりました。
■ドイツ,シーファルコンUAV採用
 ブラウンシュバイク級コルベットはミサイル艇の後継ではありますが水上打撃力が凄いのですよね。

 ドイツ海軍はブラウンシュバイク級コルベット艦載機としてシーファルコン無人機の採用を決定しました。ブラウンシュバイク級は冷戦時代に建造されたミサイル艇の後継となるコルベットで、満載排水量1840t、速力は26ノットに留まりますが射程350kmのRBS-15対艦ミサイルと個艦防空用にRAM21連発発射装置2基、76mm艦砲を搭載しています。

 シーファルコン無人機はスウェーデンのUMS社製無人機、ヘリコプター方の無人機で最大離陸重量は235kgあり、40kgまでの各種機器を搭載し風速20ノットでの運用が可能であると共に5時間の連続運用が可能となっています。ブラウンシュバイク級コルベットはドイツ海軍にて2008年から9隻運用中、無人機運用能力がありますが搭載されていません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ侵攻-スウェーデン・フィンランドでNATO加盟世論過半数,依然深刻な戦線拡大

2022-03-07 07:00:05 | 国際・政治
■臨時防衛情報-ウクライナ情勢
 本日も朝の防衛情報。日本では遠い東欧の人道危機であり若干の反戦運動等は行われている程度ですが、欧州では火の及ぶかもしれぬ脅威という認識だ。

 スウェーデンでは4日に公表された世論調査において史上初めてNATO加盟への賛同が半数を超え51%となった、5日にAFP通信が報じました。これはスウェーデンのデモスコープ研究所が実施したもので、賛成51%と反対派27%、わからないが22%となりました。スウェーデンのフルトクビスト国防相は、しかしNATO加盟は時間がかかるとしました。

 スウェーデン世論の高まりを認識したうえで国防相は、国防政策の転換は一朝一夕には実現せず世論調査だけで可能となるものではないとし、政府が軍事予算を多数確保し他国との協力関係を進めていると発言しています。スカンジナビア半島に位置するスウェーデンは地理的にロシアとちかく、そして戦前からの武装中立政策で知られている中立国です。

 NATO加盟を求める声は同じくノルディックバランス中立政策で知られるフィンランドでも初めて過半数を超えたとのことで、特にフィンランドはロシアとの陸上国境を接しており過去にはソ連時代に侵略をうけたこともあります。スウェーデンとフィンランドではウクライナ危機が高まるこの一ヶ月間にて、NATO加盟を求める声が増大しているとのこと。

 日本も油断できない。ロシアのプーチン大統領は、ロシア軍ウクライナ侵攻について“ウクライナは核武装しようとしている”として行動を正当化しました。ただ、侵攻前には東部地域でのロシア系住民民族浄化を口実として挙げており、恰も試験答案が回収された後で問題用紙をすり替えるような悪質な発言と云わざるを得ません。また、その発言は正当性も疑わしいものです。

 プーチン大統領の発言は5日に行われたイスラエルのベネット首相による訪露と首脳会談を受けての発言をロシア大統領府が発表しましたもの、核武装疑惑があるのならば一旦停戦しIAEA国際原子力機関による中立的な査察を行うべきであるし、その際にロシア側を含めて証拠捏造が行われないよう、国連防護軍を派遣し停戦担保する必要があるでしょう。

 ウクライナ国内の情勢は、依然深刻で、ウクライナのゼレンスキー大統領は黒海沿岸に在るウクライナ第三の都市オデッサ市がロシア軍により包囲されつつあり、ロシア軍の砲撃準備が進められているとのこと。黒海沿岸都市ではアゾフ海沿岸のロシア占領下クリミア半島からみて東方地域での攻勢が進められてきましたが、オデッサ市は西方にある都市だ。

 首都キエフの情勢は総攻撃には着手されていませんが、ベラルーシ国境から南下しているロシア軍部隊の動きは依然として緩慢である一方で、ハリコフから侵入している戦車部隊がハリコフを素通りしキエフ方面へ進出しており、兵站線は伸びる事となりますがキエフは東方からも包囲されつつあるようです。また時間と共に非戦闘員被害が増大しています。

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