北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】第7師団創設56周年記念行事(05)装甲普通科連隊の観閲行進準備(2011-10-09)

2022-03-20 20:17:05 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■始動する北海道の機甲師団
 ウクライナ戦争、ロシア軍のウクライナ侵攻は一部でロシア軍が防御陣地を構築しはじめたと衛星写真で判明し長期化の様相を呈す、そんななかで北海道の抑止力を紹介だ。

 73式装甲車に89式装甲戦闘車に96式自走迫撃砲、戦車や自走砲に加え装甲車両の観閲行進待機位置への前進が開始されました。これは写真でも案外届くのかもしれませんが、これだけの装甲車両が一斉に動きはじめますと本当に大気が揺れ動き始めるのですよね。

 装甲戦闘車は、しかし自衛隊にはいま最も必要な装備であるように思う、それはロシアの脅威の為でも中国の脅威でもましてや北朝鮮の脅威からでもない、少子高齢化の時代において、普通科隊員は必要なのです、だからこそ守らなければならない。この日本の為にも。

 自衛隊の普通科隊員は、いろいろ調べてみますと先進国の中では最も体力を強いられている、徒歩機動や山岳機動力などでは恐らく世界最高でしょう。武装競争などはあのフランス外人部隊の水準といいますし、ここまで個人技術に頼るのはアメリカ海兵隊など一部で。

 空挺兵としてアメリカの101や82は凄いといいますし、フランスの27山岳も凄いという、イギリス海兵隊などは全員コマンドーだ、と反論されればまさにその通りなのですが、全般的な平均値としては、陸上自衛隊はかなり高い水準にあるのではないのか、平均値です。

 装甲車に乗車させるならば、最後の瞬間まで体力を温存でききますので下車戦闘では短距離走のような瞬発力を発揮できます、逆に長距離競歩の能力で短距離走に勝てというような要求そのものが不思議というものでして、それならば装甲戦闘車に乗せるべきとおもう。

 日本の89式装甲戦闘車は銃眼からの乗車戦闘を念頭とした第一世代の装甲戦闘車ですが、世界の装甲戦闘車は乗車戦闘能力よりも歩兵戦闘の迅速化へ、打撃力を機関砲に特化させ、その上で乗車歩兵は銃眼からの射撃で戦闘への参加よりは、下車戦闘に軸を置くようなる。

 機関砲の3P弾やフレシット弾など散弾型の砲弾を含め陣地攻撃を行うことで装甲戦闘車への陣地からの反撃を抑制させ、近接戦闘に下車展開を開始するまで、とにかく陣地に肉薄するという運用に転換しています。ここが重要で、防御力をたかめなければならないのだ。

 防御力を高めるという構図から銃眼は、銃眼に対戦車擲弾が命中した場合は構造上メタルジェットが戦闘室内に流れ込み乗車人員を殺傷する懸念、こうしたものを回避する必要があり、銃眼を改良により塞ぐか、新型では排する設計が新しい常識となりつつあります。

 これは同時に装甲戦闘車の車内設計が従来は銃眼を射撃するために座席を車体中央部に配置し乗員は車体左右で背中合わせに配置していたのに対し、従来のAPC装甲人員輸送車のように向かい合わせに、つまり通勤電車のロングシートのように座席を配置するのです。

 これは利点が一見分かりませんが、車内中央部に空間が生まれることを意味し、対戦車ミサイルを車内に持ち込みやすくなる利点が生まれるということ。対戦車ミサイル、第一世代装甲戦闘車には対戦車ミサイルを車載するものが、予算が許せが広範に行われました。

 ミサイルの搭載、ソ連のBMP-2やBMP-1はサガー等、そしてアメリカのM-2ブラッドレーなどはTOWを標準装備、イギリスのウォリアーはオプションとして輸出用に提示していました、日本の89式装甲戦闘車も79式対舟艇対戦車誘導弾を標準装備していたのですが。

 これは砲塔に搭載するもので、車内には89式装甲戦闘車では84mm無反動砲を装備する程度、ブラッドレーでは昔は旧型のドラゴン対戦車ミサイルまでは持ち込んでいたようですがジャベリン対戦車ミサイルなどは持ち込みません。最初の時点で窮屈だったのですね。

 対戦車ミサイル、必要ならば無理矢理持ち込もうと思えばのせられるのでしょうが、なにしろ車内の戦闘室中央部の座席が邪魔になります、ジャベリンもドラゴンも携帯対戦車ミサイルですが、これが三脚を要するミラン対戦車ミサイルやスパイクER対戦車ミサイルは。

 ミラン対戦車ミサイルやスパイクER対戦車ミサイルなどとなりますと、打つ手なし、入らなくなる。これがCV-90やASCODなどでは三脚ごと持ち込むことが可能です。邪魔にはなりますが車内は相応に広く、足の位置を工夫するならば81mm迫撃砲も持ち込めます。

 ミサイルも迫撃砲も予備弾薬も搭載できる。利点は多い、対戦車ミサイルは基本的に直接照準で運用します、いやレーザー誘導型の第三世代型などはレーザー照射装置を離隔して運用するならば直接照準の必要はないのですけれども、各国なかなかそういう運用はない。

 対戦車戦闘、基本的に装甲戦闘車が独立戦闘を行う場合には、直接照準の必要があり、見通しの良い射撃陣地に展開する必要がある、対戦車ミサイルの速度はTOWや重MATなど有線誘導型が200m/sというところ、この速度の根拠は誘導ワイヤーが切れてしまうため。

 レーザー誘導型が400m/sで音速を超える程度なのですが、戦車砲弾は1800m/s程度が普通、4kmの射程で射撃しますと命中まで十秒二十秒と対戦車ミサイルが要するとともに誘導しつづけねばならないのですが、対する戦車は主砲の瞬発交戦能力が極めて高いという。

 戦車砲弾は2秒で誘導中の装甲戦闘車を撃破し得るということにほかなりません。装甲戦闘車にミサイルを搭載するのはこうした問題点がありまして、たとえば今後は装甲戦闘車に伸縮式マストを、ドイツオランダのフェネク装甲偵察車のようなものを搭載することも。

 伸縮式マストを、ここから誘導し車体は掩砲所からミサイルを射撃することもあり得るのかもしれませんし、威力は限られますがスイッチブレード徘徊式弾薬を装甲戦闘車から打ち上げるとか、ミサイル誘導用に無人機を活用する選択肢もあるのかもしれませんが。

 しかし、現状では車体をさらす必要がある。すると、下車戦闘でミサイル班を降ろして有利な地形からミサイルを運用する利点は、実は大きいのですよね。実際、CV-90の訓練をみますと戦車との遭遇戦では即座に対戦車班3名を下車させる。ミサイル射程は3kmほど。

 対戦車班を下車展開させると装甲戦闘車は迅速に後方の掩蔽可能な地形に後退し機関砲で対戦車班を敵歩兵から防護しつつ、対戦車班は素早く地形防御の彼方に隠れて敵戦車を攻撃しています。戦車と協同が前提であれば、装甲戦闘車は出番は薄くなるのかもしれない。

 時代遅れ、乗車戦闘の時代は終わりつつあるのかもしれませんが、これを根本から示すのが殆ど乗車戦闘だけを想定して開発した様な旧ソ連製BMP-3を見ますと納得するのではないでしょうか、今年二月中旬までは搭載火砲口径だけで強力な装甲戦闘車と信じていた。

 アメリカのブラッドレー装甲戦闘車等を見ますと、乗車戦闘能力というものが反映されているのですよね、これは89式装甲戦闘車と同じ様に乗員は背中合わせに着席する、銃眼から外を狙えるように。ドイツのマルダー装甲戦闘車も同様、その下車戦闘の乗降口は狭い。

 プーマ装甲戦闘車やCV-90装甲戦闘車といった、新時代の装甲戦闘車は車内がフラットで乗員は隔壁に沿って座席を配置しています、これですと銃眼は無いので乗車戦闘は想定していないのですが、対戦車ミサイルを車載する際にも座席などの配置は邪魔になりません。

 戦車の時間だ。観閲行進準備は戦車連隊の移動が開始される頃合いに。90式戦車、これだけ数が揃うと中々の迫力です。第71戦車連隊、第72戦車連隊、第73戦車連隊と、第7師団には三個戦車連隊が揃っていまして、有事の際の機動打撃を担う骨幹戦力となります。

 第71戦車連隊、第72戦車連隊、第73戦車連隊と、各戦車連隊は本部管理中隊と五個戦車中隊を基幹としていて、戦車連隊戦闘団を組む際には第11普通科連隊に六個普通科中隊と重迫撃砲中隊が置かれていますので、任務に応じた様々な編成が状況に応じて可能という。

 BMP-3装甲戦闘車はやはりダメだったのか、ロシア軍ウクライナ侵攻にともなうウクライナ戦争によりBMP-3がかなりの数が撃破されたことで、打撃力に特化した装甲車両の限界というものを痛感させられました、また撃破された車両をみますと乗員は、とも思う。

 装甲戦闘車、このなかにあってBMP-3は異端児でした、こういうのももともとは軽戦車として設計された車体を応用した車両ですので異色といえば異色なのですが、同時に100mm低圧砲と30mm機関砲を連装し火力重視設計で、100mmという口径に身構えたもの。

 100mm低圧砲は陣地攻撃に火力支援として用いるか、または対戦車ミサイルを運用し遠距離にある戦車などに対抗するという運用が用いられていまして、動く相手いにたいして正確に照準できるものではなく、こうした場合には基本的に機関砲を用いていました。

 PT-76水陸両用軽戦車、BMP-3の車体設計はこのPT-76を応用したものなのですが、これは同時に下車戦闘を想定した車体ではないために乗員は苦労して下車するという設計でした。車体後部にあるエンジンが邪魔で下車の際にはエンジン上を屈んで降りてゆくという。

 乗車戦闘重視、もともとBMP-3はソ連陸軍の無理な火力至上主義という要請により設計されたものでした。このために下車戦闘は可能でさえあれば設計上の配慮が重視されなかったのかもしれません、故に乗車戦闘が第一であり、車内配置も相応のものとなっています。

 BMP-3は座席がすべて前を向いて配置されている、いやより具体的には100mm低圧砲と30mm機関砲を備えた巨大な砲塔、その基部を囲むように座席が配置されていまして、窮屈というものを考えさせられる、だけではなく砲弾と兵員が同居する危険な配置を採った。

 装甲車の必然、下車戦闘に際して、BMP-3は下車に時間をかけるものですが、同時にそれは乗車、つまりBMP-3への復帰へも時間を要するものである裏返し。訓練でどの程度の歩兵全員下車や再度乗車所要時間を想定しているかは未知数ですが、迅速は不可能でしょう。

 一方、100mm低圧砲と30mm機関砲の連装というものは一見強そうに見えまして、しかし主砲だけで二系統の弾薬を必要とするにほかなりません。このためロシア軍は57mm自動砲への換装を計画しています、本来はアルマータT-15重装甲戦闘車用に開発されたもの。

 57mm自動砲は高射機関砲を転用したもので、発射速度も高いのですが初速が高く射程も長い、具体的にはアメリカのTOWミサイルを遙かに凌駕する性能であり、アメリカ製装甲戦闘車をアウトレンジする性能を備えている。装甲戦闘車同士の戦闘では相応に脅威です。

 日曜特集、これは北大路機関記事の資料写真としての機能もありますので写真点数を多めとしましたら、何回記事が必要なのか、と24枚記事を36枚記事に強化してみましたが、その分はわたしの戦車観を列挙する記事となってしまいました。御付き合いください。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都幕間旅情】京都市交通局10系電車ステンレス車と京都市営地下鉄乗入れの近鉄電車たち

2022-03-20 18:10:04 | コラム
■京都市交通局10系電車
 烏丸線と東西線という二つの路線が京都の地下鉄として今日も頑張っています。

 10系電車。京都市営地下地下鉄はここ竹田駅にて近鉄京都線と烏丸線が合流するとともに烏丸線始発駅、京都駅を経て阪急と乗換える四条駅に東西線乗換駅である烏丸御池駅を経て、北大路バスターミナルのある北大路駅、そして終点の国際会館駅へ伸びています。

 10系電車、京都市交通局10系電車は烏丸線の登場以来の唯一で主力の電車です。この車輛は1981年の市営地下鉄開通時から運用されていまして1980年代らしい武骨なステンレス車輛に貫通扉の形状と色彩に調和を配慮した、まあ京都では馴染み顔という電車なのです。

 烏丸線の唯一の電車、こう強調しますのは、実は来たる3月26日から後継車両の導入が始まりますので、この10系が唯一という時代ももうあと六日というまさに転換期となっていまして。もっとも、唯一という割には隣のマルーンカラーは何なのでしょうと思われるか。

 近鉄3200系電車。こちらも1986年に登場したという1980年代の車両なのですがアルミニウム合金製の車両ということで地金剥き出しの10系電車のステンレス車輛よりも随分と違う印象です。5年違いで、近未来的というよりも現代の車両そのものという印象ですね。

 8000系電車、京都市地下鉄にそうだった近鉄電車が乗入れていた、こう油断していますと、例えば竹田駅なんかでは気が付いたら京都駅に居るつもりが近鉄京都駅にいました、なんてこともある。運賃に違いが、という問題も発生しますが何より京都駅以北には行けない。

 Yの字のように京都市営地下鉄と近鉄京都線が竹田駅で分れて京都に向かっていまして、市営地下鉄は国際会館駅まで延伸しています。開業当時には終点は北大路駅でしたので、10系電車の方向幕には北大路行も残っています。もっとも後期型はLED表示方式なのだけど。

 急行国際会館行き。近鉄京都線に乗り入れていますが、国際会館から近鉄奈良まで乗り入れている車輛もあるので逆も然り、すると近鉄線内では急行運用されている車輛もあるのですね。つまり北大路から大久保駐屯地や宇治駐屯地、奈良基地へ乗り換えなしで行ける。

 市電の代替という位置づけにあるような地下鉄、と市電時代を知る方は仰るのですが、路線は烏丸線と東西線と二系統に限られているものの、なにしろ渋滞しませんので移動には市バスよりも遥かに速くそして確実な時間で移動できますので、これは大事な交通手段なのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

キンジャール極超音速ミサイル-ロシア軍がウクライナ西部地下施設攻撃に使用した新兵器

2022-03-20 07:00:15 | 先端軍事テクノロジー
■臨時情報-ウクライナ情勢
 極超音速ミサイルとはイージスシステムなど既存の防空システムを突破するべく開発されたもので、イージスシステムなどが能力向上を重ねる背景の一つ。

 ロシア軍ウクライナ侵攻、この最中の18日、ロシア軍がウクライナ西部の軍事目標攻撃にキンジャール極超音速ミサイルを使用したと発表しました。ウクライナ西部の目標とは、西部のイワノフランキフスクにある地下弾薬庫とされ、ロシア軍発表によればキンジャールにより破壊されたとのこと。なお、命中精度の特性から真偽はまだ確認されていません。

 極超音速ミサイルとは。多くのミサイルは超音速飛行が可能となっていますが、極超音速とは音速の五倍以上のものを概ね示し、例えば弾道ミサイル等は一定以上の射程となりますと高高度から落下する際の落下速度を稼ぎこの速度に達します、似たものとして極超音速滑空兵器が開発されていますが、今回使用されたものは高度を利用する極超音速兵器だ。

 キンジャールミサイルとは、MiG-31戦闘機から運用するもので、ミサイルそのものはイスカンデル短距離弾道ミサイルが使用されています。イスカンデル短距離弾道ミサイルはロシアがINF中距離核戦力全廃条約下で開発したミサイルで、射程は500kmとなっています。これはINF全廃条約が550kmから5500kmまでの地上発射ミサイルを禁止したため。

 イスカンデルミサイルの射程は500kmでロシアにとっては戦域運用を考えた場合に十分とは言えない射程でした、そこで短距離弾道弾を高高度から発射させる事で射程を延伸するという妥協の産物のようなミサイルです。高高度から発射する、これは鳥人間コンテストを考えれば分りやすい、琵琶湖畔の滑走台から発進するより飛行機から発進した方が飛ぶ。

 MiG-31戦闘機がキンジャールミサイルの発射に利用されます。このMiG-31戦闘機とは冷戦時代のソ連防空軍が開発した、防空戦闘に特化した戦闘機であり主目標は冷戦時代のアメリカ軍戦略爆撃機による核攻撃の阻止、その基本設計は1976年に函館空港に亡命し有名となったMiG-25戦闘機で、あのF-15戦闘機よりも遥かに大きな機体を有しているもの。

 キンジャールミサイルの搭載機にMiG-31戦闘機が選ばれたのは、広大なソ連本土を防空するべく、早期警戒機並のレーダー能力と航続距離を戦闘機に盛り込んだために機体は非常に大きく、この機体を機動させる為に最高出力のエンジンを搭載した為、巨大なイスカンデル弾道ミサイルを運用するにはMiG-31の大きな機体が最適、と考えられたためでした。

 2000km、キンジャールミサイルは高度1万3000m以上で発射しますと、そのまま上昇し飛行高度を稼ぐ事により元々のイスカンデルミサイル射程の500kmを大幅に上回る2000kmの射程を叩き出すとともに、高度を稼いだことにより落下速度はマッハ10近くまで加速するという、これだけの速度が有ればその速度はエネルギーとなり貫徹力も増える。

 カリブル巡航ミサイルを撃ち尽くしたのか、地下施設を破壊する必要がある程に重要な弾薬庫であったのか、キンジャールミサイルが必要な程にウクライナ軍の防空が硬かったのか、単に新兵器で圧力を掛けたかったのか。今回ロシア軍はキンジャールミサイルを使用した背景にはこうしたものが考えられるでしょう。これらの複合的な関係も考えられます。

 ロシア軍の装備でウクライナ西部へ到達するものとして射程2500kmのカリブル巡航ミサイルがありますが、相当数発射しており備蓄が憂慮される規模です、そしてこのミサイルは地下施設を狙えません。またウクライナ軍の地対空ミサイルは相当数健在である為、ミサイルではなく通常の自由落下型爆弾を搭載した戦闘機では攻撃が難しい可能性もある。

 ロシア軍は考えるに、キンジャールを用いる事で西部を攻撃する能力を誇示し、且つキンジャールミサイルを使用するに適した目標として地下施設を標的としたのでしょうか。地下弾薬庫とNHK等は報じていますが、例えばウクライナ空軍が温存するMiG-29戦闘機などが核戦争を想定した硬化シェルターに掩蔽しているものを標的としたのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする