北大路機関

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【日曜特集】百里基地航空祭二〇一二【01】F-4EJファントム退役一周年(2012-10-20)

2022-03-13 20:11:55 | 航空自衛隊 装備名鑑
■百里航空祭の思い出話
 日曜の夜と云う事で、十年一昔といいますので一つ此処は昔話としての百里航空祭の話題を少し記してみましょう。

 ファントム、岐阜基地でほぼ一年前の3月17日にラストフライトを迎えた戦闘機です、そしてそのファントムが日本で最初に配備されたのが百里基地でした。様々な背景があるのですが、一時は全ての飛行隊にイーグルが配備された百里は最後ファントムに戻ってゆく。

 百里基地、十年一昔と云いますので文字通り一昔の話題とはなりますが、今回から百里基地航空祭の懐かしい写真を思い出話や備忘録と共にお伝えしようと思います。日曜特集、二系統を各隔週で掲載していますが、一つは第七師団、もう一つが、百里の第七航空団だ。

 初めて撮影へ展開する基地というのは緊張します、それはどこから撮影すればよいのかわからない、そして概ね遠出した基地ほど初めて撮影するということが多いものですから、さてどの位置から撮影すればよいか、五里霧中ではないが百里霧中という感じでしょうか。

 撮影、いや五里霧中は比喩の表現です、百里霧中では飛行展示ができませんからね。もちろん抜群の事前情報収集とか、007みたく衛星写真で撮影位置を、とか、ランボーみたく地元案内人を、という選択肢もあるのですが、どうもわたしは直感で撮影している印象だ。

 カメラは重い、そして事前情報収集といいましても、どの程度混雑しているのかは実際進出しなければわからないものですし、晴天なのか曇天なのか、シャトルバスの発着位置さえ、撮影適所というものを左右します、遠い場所に着く頃は満員御礼の可能性もあるのだ。

 百里基地航空祭、そういう視点で考えれば、まあ良い撮影位置、順光で撮影でき、百里基地らしさを写真に収められる、そして航空機の写真として眺めても充分合点がゆく構図には、できたと思います。しかしこれは自己採点、皆さんにも採点に写真を見てもらいたい。

 ファントムが航空自衛隊から引退したのがちょうど一年前でしたか。実際問題としてよく、ラストフライト撮影、これに間に合ったものです。同じ2021年は護衛艦はつゆき型最後の一隻が自衛艦旗を返納し除籍、防衛力の世代交代はまさに転換点といえるものでした。

 岐阜基地に響いていましたファントムのエンジン音は、かかりの枚数を撮影しましたので、ふと、まだどこかに響いているような気がします。いや実際にJ-79エンジン音が聞こえるならば近くにF-4ではなく古いU-2偵察機でも飛行しているのかもしれませんが。

 百里基地航空祭。今回は2012年の百里基地航空祭の様子をお伝えしましょう。考えてみますとCOVID-19新型コロナウィルスの影響により航空祭はもちろん、自衛隊行事が総崩れとなっていますので、なにかそうとうな昔のように見えるのですが、2011年の航空祭です。

 2011年はほんとうに日本史にとって大きな転換点となりました。10年一昔とはいうのですが、ここで改めて翌年の百里基地航空祭、その様子を紹介しましょう。そう、2011年、東日本大震災のあった年の翌年ですね。あの福島第一原発事故の記憶、当時は現在進行形だ。

 東日本大震災、当時国会答弁では外国人献金問題が議論され、仕事場でもTVで国会中継を点けたままにしていましたが、突然の緊急地震速報に驚かされまして、しかし震源は東北地方沖、距離としては非常に離れていることは確かですが直感したのはべつのもの。

 宮城県沖地震、最悪の場合はマグニチュード8クラスの巨大地震となり数m規模の津波を引き起こすと、当時から周期的に発生しており防災行政上課題として警戒されていました、宮城県沖地震がやってきたのか、こう身構えたものですが、NHK国会中継は無音のまま。

 国会議事堂内が揺れている、中継では連動して南関東でも地震が発生したのかと考えていまして、しかし、これは東北地方の地震が東京へも影響しているというものではないのか、そうした嫌な予感がどす黒く染み出してきましたのを、やはり11年を経ても忘れられない。

 こちらまで揺れが始まったのは、その少し後でした。不思議な揺れというもので、浮き桟橋の上でゆったりと揺れているような、しかし確実に大地に振られていることを認識しまして、いや震源は1000km先だろう、頭では理解していても感性が追いつかない違和感だ。

 阪神大震災、個人的に震源から離れていましたが巨大地震の揺れは経験しているものでして、それこそ地震は揺れるものだけれども、揺れるにしても1000kmはなれていて揺れるものか。NHKは遠の昔に国会議事堂内から仙台駅前、そして東京撮ってと叫び声が響いて。

 津波とコンビナート火災に、そして福島第一原発、これは歴史に残るだろうという認識はありましたが、実際歴史的災害となりました。ただ、忘れてはならないのですが、この百里基地航空祭はその翌年の開催なのですね、日常の回帰、日本の底力を知った気持ち。

 航空祭のファントムかっこいい、こう思われるでしょうが。石岡駅からバスが運行、一年以上を経ても東日本大震災の影響を考えさせられる情景は広がっていました、屋根瓦が、大半の住宅で破損し、ブルーシートで覆っているのですね、阪神大震災の時のように。

 茨城県は隠れた被災地、こう呼ばれていたのですが、そんな生やさしいものではない、此処単体でも激甚災害というような被害がでています、津波もかなりの高さに及んだというではありませんか。聞けば瓦の価格が高騰しており、修理は瓦供給の様子見とのこと。

 F-4EJ改ファントムの後継として航空自衛隊はF-35戦闘機を選定しました。難産ではあったが素晴らしい戦闘機として完成した戦闘機です。F-35戦闘機を航空自衛隊はどのように運用するのか、この部分が未知数です。ただ危惧していたような単なる戦闘機ではない。

 JSF計画統合打撃戦闘機として開発されたF-35戦闘機は制空権確保や邀撃戦闘能力も相応に高いのですが、統合打撃戦闘機の名の通り、戦域優勢をつかみ取るための航空機であり、打撃の対象は敵戦闘機にとどまることなくもう少し幅広い可能性を有しているように思う。

 敵の優勢に資するものを根本から無力化することに重点を置いた航空機です、これは結果として日本の伝統的な専守防衛政策と合致するものではありません。専守防衛政策、しかしこの議論が形骸化しているといいますか、平和を現実的に議論していないよう危惧する。

 リアリズムに依拠した平和論争というものが我が国では成り立たず、防衛力を認めるか認めないかというゼロサム論点にとどまっていることで専守防衛に伴う弊害をリスクとしてどこまで負担するのかという視点に昇華していません、平和の空白、これは不思議に思う。

 そして統合打撃戦闘機という理念を、これは代替案を理解せずに導入したことは不思議にも、こういうよりも専守防衛を実際の政策に盛り込むものなのかを疑問符として突きつけたように思う。多少取得費夜が高くともF-22戦闘機の方が良かったのではないか、とね。

 憲法問題、この視点は防衛という、軍事という、科学的な命題に相容れるのかという視点はあるのですが軍事機構というものは結局行政機構でもありますので、この論争は避けることは出来ません。ただ、自衛隊は憲法違反ではない、こうした主張が最近増えている。

 憲法改正へ自民党が現実的な制度枠組みを構築しようとする段階において、自衛隊が憲法違反であるとしていた野党連合が一部転向したような認識を示す点に疑問符がつくものでして、自衛隊が合憲であるという視点で与野党、で自衛隊は合憲という主張が最近目立つ。

 野党といいましても旧民主党系政党の一部ですが、こうした合致が出来るとして、2010年代に既成事実化している構図の防衛政策全般についても合憲であるので改憲の必要はない、として認識を一致させることはできるのでしょうか。出来るならば、良い事なのですが。

 自衛隊が合憲と云うならば自衛隊法に基づく平和安全法制も武力攻撃事態法も含めて合憲と考えているのか、よくわからないが自衛隊は有るので合憲、というのか、ここで議論は判れてしまうのですが。有るので合憲という視点ですと、国土防衛が違憲の可能性が残る。

 JSF統合打撃戦闘機としてのF-35能力を最大限発揮させることについて、これが自衛隊のF-35導入の背景であり現実なのですが、この部分まで踏み込んで与野党、野党すべてではなく結局共産党は反対するでしょうし連立与党でも公明党は難色を示すのでしょうが。

 策源地攻撃を含めて合憲であると合意できるのであれば、ある意味で改憲の必要はないのかもしれません。もっともここまで踏み込んだ議論を行っていないよう思う。例えばシーレーンを絶たれるだけで日本は崩壊します、第二次大戦でも沖縄戦だけで降伏した背景だ。

 JASSM,F-35戦闘機には航空自衛隊がF-15戦闘機に搭載する計画があり、しかしボーイング社の見積もりの甘さから開発費が高騰し導入を断念したスタンドオフミサイルの運用能力があります、要するにこの種の装備を相応に整備する事が合憲なのかという視点が要る。

 そしてF-35は敵勢力圏内に深く浸透して指揮通信や作戦中枢を破砕する能力を有しており、そのためのステルス性や大量の装備を搭載するビーストモードなどを有しています。ビーストモードはF-35がステルス性を脱ぎ捨てて大量のミサイルを主翼等に搭載する方式です。

 ビーストモードのF-35はミサイルのデパートと云うべき存在で、攻撃能力はF-2戦闘機と比較しても極めて高いものが、対艦能力は別として評価すべき水準となっています。対艦攻撃能力についてはF-35開発時で日本のFS-Xのような対艦攻撃の必要性が低かったため。

 F-35戦闘機の能力を最大限活用する、これは専守防衛に関する伝統的な枠組みからははずれることとはなりますが、憲法との整合性を考えるならば、専守防衛は他国への攻撃能力を根本から否定するものと限定解釈することなく、発揮する事は問題はないのでしょうか。

 これは内閣法制局の政府統一見解として1970年代から堅持されているものだけれども、相手国国土を根本から破壊するものは装備できない、当時A-5ビジランシティ攻撃機から核爆弾を運用していた攻撃型空母、水爆運搬などに用いられていた戦略爆撃機、挙げられた。

 こうした過去の流れを記しているのですが、一方で実はこの詳報として写真キャプションを作成していた際、てっきりこの航空祭を2011年に撮影したものと勘違いして二万字ほど書いてからよくみれば2012年、つまり東日本大震災の同年ではなく翌年と気づきました。

 イーグル&ファントムの時代という百里基地航空祭、十年一昔とは言うけれども、なるほど覚えているつもりでもこうして情報を整理しておかなければ、記憶と云うのは曖昧になるものなのだなあ、と再認識しつつ、次の百里航空祭はいつだろうと思い返す次第です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影速報】江田島二〇二二,練習艦隊出航-実習幹部青春の旅立ち(2022-03-12)

2022-03-13 18:11:21 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■帽振れ!出航する卒業生たち!
 今年も卒業の季節がやってまいりまして速報と云う事で昨日撮影しました江田島の様子をお伝えしましょう。

 江田島基地からの近海練習航海部隊、外洋練習航海部隊が今年も無事出航しました。毎年、といいたくはありませんが2020年と2021年に引き続きCOVID-19感染拡大影響をうけ行事は大幅に縮小、こうしたなかでも練習艦かしま以下4隻堂々の江田内出航です。

 かしま旗艦に近海練習航海部隊は練習艦しまかぜ、訓練支援艦くろべ、3隻が近海練習航海その1を実施、また同時に外洋練習航海として護衛艦すずつき、が参加しています。しまかぜ護衛艦から練習艦転籍後初の近海練習航海となり、しまかぜ先生というべき様相だ。

 幹部候補生学校、この卒業式とともに挙行される練習艦隊出航は、幹部候補生が実習幹部となり、その初めての海上勤務が練習航海、記念すべき門出です。北大路機関では近海練習航海は毎年撮影していまして、2012年からは江田島にて撮影するようになりました。

 練習艦隊出航、江田島はコの字型の地形となっていまして、出航の様子を対岸から撮影できるのですが、高台から撮影しますと恰も洋上をゆく艦隊、一応湾内ですが大海原を進む艦隊のように見える情景が素晴らしいのですね。展示訓練を懐かしく思い出すところ。

 卒業式はどこの場合でも厳粛かつ新しい一歩を記念する区切りの季節ですが、ここ江田島では卒業生の行進と練習艦や護衛艦乗り込み、昨年に続き訓練支援艦が加わっていますが、このさなかに祝賀飛行と、厳粛とともに華やかさが同居する不思議な情景が広がっている。

 帽振れ。2022年は見方を変えますと、この江田島での撮影をするようになりましてから10周年というわけで、広島県では解除されたまん延防止等重点措置も当方からはいまだ発令中、府県越えての越境に少々申し訳なく感じつつも10年間連続での撮影ができました次第です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ戦争-停戦監視には国連防護軍派遣しか無い!日本と中国とインドへの派遣期待

2022-03-13 07:00:08 | 国際・政治
■臨時防衛情報-ウクライナ情勢
 第三次世界大戦か人道危機かというきわどい綱渡りが続いていますが出口戦略を真剣に議論すべき時でしょう。

 国連防護軍派遣によるウクライナ派遣。現在のウクライナ有事を第三次世界大戦まで発展させず、そしてウクライナを国家及び経済破綻させず停戦に導くのは、国連総会ESS緊急特別会合決議を以て、1956年スエズ危機に際しての核戦争危機を回避したように、国連防護軍を派遣するほかありません。現状放置すれば最悪の災厄がこの世界を覆いかねません。

 日本には傍観する平和主義、つまり世界危機を放置し関与しない事で漁夫の利を得ようとする陣営と世界政治において孤立を強めるのか、世界第三位の経済大国としての責務を果たすのか、戦後政治を問われる事となります。一方で、国連防護軍とはいえ、日本が1992年以降派遣した自衛隊のPKO国連平和維持活動とは大きく変容する事となるでしょう。

 10式戦車と96式装輪装甲車を中心とした重装備部隊を派遣するしか、停戦状態が破綻した場合にロシア軍が再攻勢に出た場合に対抗できません。実際には89式装甲戦闘車でも防御力不足の懸念があるのですが数が無いのは致し方ありません。具体的には従来型の普通科連隊戦闘団を組むか、即応機動連隊に戦車中隊を増加配備するなど施策が考えられます。

 実際に行うのであれば、安全保障関連法制を改正するしかありませんが、傍観し大戦の危機を放置するか、責任を果たすか、という問題です。明らかに戦後の憲法秩序への大転換となりますが、このまま放置して第三次世界大戦という状況まで進むならば戦後という概念そのものが破綻してしまいます。第三次大戦阻止へ非難声明しか出さない選択肢は無い。

 日本にそこまで行う必要はあるのか、こう問われるかもしれません。しかし、逆に日本でなければ不可能でもある任務と云えます、何故ならば国連防護軍がNATO主体であれば、ロシア軍とNATO軍の直接戦闘の可能性が増します、同様の視点でアメリカ軍が参加を進めるならばまた、国連防護軍へロシア軍を参加させろとの圧力も強まるのは必至でしょう。

 中国軍の参画を強いる。自衛隊を参加させるには同程度に中立性を担保できる部隊として、中国人民解放軍から戦車主体の重型合成旅団を参加させる要求を日本から中国へ出す事が出来ます。中国とロシアは共に上海協力機構加盟国ですが、軍事同盟は結んでいません、またウクライナと中国の関係も良好で、ウクライナ側に受け入れる余地は充分に有ります。

 人民解放軍と自衛隊は南西諸島と南シナ海東シナ海情勢では緊張関係に在りますが、1945年以降戦闘はありません、そして仮に重型合成旅団をウクライナへ派遣するならば、それだけ日本と中国の対立が深刻化した場合にも日本へ投入される戦力が減少します。その上で日中がウクライナ派遣を通じ両軍信頼醸成措置へ繋がる波及効果も期待出来る可能性が。

 インド軍機甲部隊派遣、オーストラリア軍や韓国軍からも機甲部隊を捻出して対応する必要があります。もちろんインドネシア軍なども昨今第三世代戦車部隊を有していますが、かつて第三世界と呼ばれた諸国、NATOとロシアから中立性を保てる諸国で、且つロシア軍の重戦力に対抗できる国と云えば限られますが、それら諸国の結集が求められるのです。

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