北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【G3X撮影特報】トンガ派遣準備進む小牧基地.C-130H輸送機とKC-767空中給油輸送機(2022-02-14)

2022-03-26 20:16:44 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
■U-680A飛行点検機飛来
 U-680A飛行点検機,接近してくる航空機の正体がこの機体である事を判別できた際は気分が高揚しました。

 U-680A飛行点検機。実は初めて撮影する機会となる、航法装置が作動しているかを点検するための航空機で、YS-11とU-125が運用されていましたが、残念なことに2016年にU-125墜落事故が発生、これを契機に導入された後継機です。今年撮影の新装備ですね。

 COVID-19感染拡大は2020年初頭からですが、このU-680Aが自衛隊へ納入されたのは2020年3月21日から、3機が108億円で調達され先ず2020年に2機が納入、残る1機は2021年に納入され入間基地の飛行点検隊に配備、セスナサイテーションシリーズのひとつ。

 自衛隊関連行事が総崩れとなっています昨今に、北大路機関では過去の行事写真から日曜特集を掲載し、また舞鶴基地と岐阜基地、2021年からは小牧基地と横須賀基地を加えて僅かに新しい写真を掲載する以外は、京都幕間旅情と防衛情報で凌いでいる構図があります。

 しかし、こうした中で毎年困るのが、“自衛隊最新装備”という年末の記事なのです。このU-680A飛行点検機についても、2022年でも比較的早い時期にいわゆる“はつもの”を撮影する事が出来ましたので、まずはホッと一安心、というところが実態だったりします。

 F-35戦闘機、小牧基地に隣接して三菱重工小牧南工場がありまして、ここではF-15戦闘機やF-2戦闘機の、かつては製造で今は定期整備が行われ、そしてF-35戦闘機の最終組立が行われています、小牧基地を撮影していますと、時にその発着に出会う事も出来るという。

 U-125救難機とU-680A飛行点検機が並ぶ、御承知の通りこのU-680A飛行点検機の前任として飛行点検機に当っていたのはU-125飛行点検機となっていまして、基本的にこのU-125と同型、搭載機材が捜索救難用か飛行点検用機材かの違いがあるのみとなっている。

 KC-767空中給油輸送機とC-2輸送機の並びも、中々見れない取り合わせと云えば云い得るもの。搭載しているエンジンは同型でして、個人的にC-2輸送機はもう少し評価されるべきだと考えるのですが、当初量産計画を下方修正し、そして微妙な時代を迎えています。

 C-2輸送機、C-130輸送機よりも大量の装備を長距離に輸送できるのですが、これはC-1輸送機の後継として配備されていますので、12機でC-1輸送機飛行隊は編成されていたのを、C-2は大量に運べるので飛行隊は8機で良い、と転換し製造規模が縮小されていますが。

 輸送機はどれだけ優れていても同じ機体は複数の方面へ分離して飛行する事は出来ませんし、業務輸送以外の即応機を確保する際に1機確保するには8機の内の重整備と定期整備と業務輸送と訓練飛行を差し引いた場合、12機の飛行隊と8機の飛行隊では意味がちがう。

 C-130輸送機と同程度の搭載能力で開発していれば、12機の飛行隊となっていたのかもしれませんが、それならばC-130を買えという圧力が来ます。実際、同じ選択肢を採ったブラジルのエンブラエル社はKC-390輸送機の生産数を大幅削減させているのですから、ね。

 北大路機関は防衛安全保障を主な記事として採用しているのですけれども、その為には現場の雰囲気を極力触れておく必要があります、この為にもこうした風景を撮影するというものは意味があるのだろうなあ、と思うところです。昨今ガソリン代が痛いものですが。

 小牧基地撮影、さてさて、コロナ時代が続く中ではCOVID-19感染対策を意識せざるを得ません、この際に小牧と云いますと県営名古屋空港が撮影適地として知られているのですが、隣接している公園からですと案外と風通し良く撮影でき、なかなかに快適でしたね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【榛名備防録】バルバロッサ作戦-三個軍集団208個師団420万名動員,2022年ロシア軍ウクライナ侵攻停滞背景

2022-03-26 14:10:02 | 国際・政治
■歴史の中のバルバロッサ作戦
 賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ、有名な言葉が在るのですが多くの場合は歴史を学んだつもりが視野狭窄に陥っている事が多いのでしょうか。

 バルバロッサ作戦。今も続くロシア軍のウクライナ侵攻によるウクライナ戦争ですが、ロシア軍は過去の戦訓をあまり研究せずに作戦立案したのではないか、こう危惧するところです。こういいますのもウクライナの国土は広大であり、この全土を制圧するにはBTG大隊戦闘群を70個や90個集めたとしても、難しく、過去のドイツでさえ達成できていない。

 1941年6月22日、ドイツ軍はソ連へ侵攻するバルバロッサ作戦を発動しましたが、大軍を動員する典型的な19世紀型の戦闘を機械化して展開したものでしたが、今回のロシア軍が動員した17万名という規模とは比較にならない大規模な戦力を動員しています。このバルバロッサ作戦に際して、ドイツ軍は実に208個師団420万名を動員しているのですね。

 208個師団の内訳は、21個装甲師団と14個自動車化師団に163個歩兵師団と更に1個騎兵師団、戦車3500両と航空機3900機という文字通り桁違いの戦力でソ連へ侵攻しています。この大軍は三つの軍集団に分かれ、一つはレニングラード、いまのサンクトペテルブルクに。一つは主目標の首都モスクワへ、そしてもう一つはキエフを経てセバストポリへ。

 北方軍集団はフォンレープ元帥隷下ソ連占領下にあるポーランドのリガを経てバルト諸国を蹂躙しレニングラードへ。主力はフォンボックス元帥が指揮する中央軍集団でモスクワを。またフォンルントシュテット元帥が指揮する南方軍集団でキエフを経て軍港セバストポリを攻略すると共に連動してハリコフとスターリングラード。クルスクなどを目指す。

 今回のロシア軍ウクライナ侵攻に際してロシア軍が無視したのは、バルバロッサ作戦が208個師団420万名を動員しているのですが、防衛に当るソ連赤軍の兵力は280万であった点で、しかも奇襲攻撃により圧倒的な空軍力が文字通り一つ一つのソ連空軍基地を無力化させたうえで奇襲攻撃を加えたのですが、結果としてドイツはモスクワを制圧できていない。

 バルバロッサ作戦は演習名目での兵力集結、勿論この種の軍事演習が軍事侵攻に転用される事はままあるのですが最後までソ連への欺瞞工作が成功し、奇襲攻撃を成立させたものの、それでも到達できなかった第二次世界大戦、いやその戦訓をロシアはソ連の軍事科学と戦史研究を継承しているのだから理解しているはずなのですが、今回の侵攻はどうか。

 ロシア軍17万に対してウクライナ軍は22万まで拡大しています、そして更に動員が可能であったとともに、今回のロシア軍侵攻は事前にアメリカ政府により、ロシア軍のウクライナ侵攻蓋然性が高まっているとの事前警告があり、陣地構築や兵力分散という時間的余裕がありました、ここで侵攻するのだからロシア軍は画期的な戦術でもなければ勝てない。

 バルバロッサ作戦も、上記の通りフォンレープ元帥隷下北方軍集団とフォンボックス元帥が指揮する中央軍集団とフォンルントシュテット元帥が指揮する南方軍集団と兵力を分散させ、家局モスクワを攻略するまでに時間がかかる事を認識し、石油資源獲得を首都攻略に優先するとして主目標を南方軍集団に切替えるという、政治主導の作戦を行っている。

 ロシア軍はウクライナ東部二州の親ロシア系住民居留地域を占領するのか、首都キエフを攻略してウクライナ政府を崩壊させるのか、黒海沿岸地域を占領するのか、ハリコフを占領してドニエプル川に沿ってウクライナ東部を占領するのか、何をしたいのかわからない施策を採って、開戦一ヶ月を経てこの二週間は動けていません、過去の歴史を学んでいないのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ軍反撃-ベルジャンスクで揚陸艦オルスク撃沈!黒海艦隊戦慄-弾道ミサイルによる撃沈は史上初

2022-03-26 07:01:58 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシア軍のウクライナ侵攻部隊がここ二週間大きな動き無く停滞しているのは報道されている通りですが、ウクライナ軍が反撃に転じました。

 ウクライナ軍が反撃に転じています。首都キエフ北方に迫ったロシア軍は撃退され、30km圧し戻されました。しかし驚かされたのはロシアの揚陸艦が撃沈された事でしょう、この規模の大型艦が戦闘により喪失するのは、1987年のイランイラク戦争におけるアメリカ海軍が展開したプレイングマンティス作戦でのイランフリゲイトジュージャン撃沈以来です。

 オルスク撃沈、ロシア海軍のアリゲーター級戦車揚陸艦オルスクは、艦首に揚陸扉を配置する第二次大戦型の戦車揚陸艦ですが、黒海艦隊に7隻配備されている揚陸艦の1隻で、24日にウクライナ南部のベルジャンスクに揚陸中、ウクライナ軍の短距離弾道弾が命中し火災の末に撃沈されました。なおこの上陸作戦では少なくとも3隻が参加していたもよう。

 アリゲーター級戦車揚陸艦は満載排水量4000tと海上自衛隊がかつて運用していた輸送艦みうら型に相当する揚陸艦で、クリミア半島のロシア海軍セバストポリ基地から部隊を輸送していましたが、港湾施設に直接揚陸していたところを短距離弾道弾が命中し撃沈、並んで停泊していた2隻は退避していますが内1隻も火災を発生させていたのが確認できる。

 弾道ミサイルによる艦船撃沈は史上初です。本来は弾道ミサイルに感染を撃沈する程の精度はありません、何故可能だったのでしょうか。背景にはロシア海軍の戦意高揚の為の拙い情報管理が在りました、ベルジャンスクに上陸している様子をロシア海軍が戦意高揚の為にWeb上で公開しまして、毎日続々とこの埠頭から増援が来ている、と発表しました。

 ベルジャンスクの埠頭はウクライナが管理していますし、なにより市街地を完全に制圧した訳ではありませんので大まかな停泊位置は暴露している状況です、そしてアリゲーター級戦車揚陸艦が並んで接岸している情報を元に、短距離弾道ミサイルを発射したのですね。当る精度は無くとも目標が並んで停泊しているならば、と発射して幸いに命中した構図だ。

 黒海艦隊には旗艦にスラヴァ級ミサイル巡洋艦モスクワが配備されていまして、ロシア海軍では比較的新しいアドミラルグリゴロヴィチ級フリゲイトも3隻配備されています、これはインド海軍のタルワー級を元にしたものでS-300系統の艦隊防空ミサイルが搭載されているのですが、ウクライナ軍のミサイル攻撃を予測していなかったのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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