■特報:世界の防衛,最新論点
中華民国台湾について中国軍事演習への対抗といえる新装備の発表がありました。

台湾空軍は8月17日、戦闘即応演習としてアメリカから導入した最新鋭のF-16V戦闘機による夜間演習を発表した。この訓練は台湾花蓮県の花蓮空軍基地において実施され、F-16V戦闘機6機の同時発進が行われている。この基地では翌日に新型の天弓3型地対空ミサイルの報道公開が行われており、対抗演習における報道拠点の役目を担ったといえる。

F-16VはF-16戦闘機のBlock70とBlock72を示す名称で、当初は廉価な戦闘機で在ったとの印象のあるF-16は年々強力な改良型が開発される一方、改良とともに費用の増大に見舞われている。自衛隊のF-2戦闘機と比較されたBlock52は過去のものとなり、ロッキードマーティン社では新型を強調すべくF-16E/Fの呼称を用いたが、更に一歩進めたもの。

F-16Vはロッキードマーティン社が製造する戦闘機では第五世代戦闘機であるF-35戦闘機に準じる性能を持ち、AN/APG-83AESAレーダーを搭載するとともに機体フレーム強化設計により耐用飛行時間が12000時間に延伸、エンジンも強力なF100-PW-229を積む。台湾はF-16V戦闘機をを66機導入する方針であり、既に導入したF-16の改良も急いでいる。
■天弓3型地対空ミサイル
天弓3型地対空ミサイルという新型ミサイルが公開されました。

中華民国台湾国防部は新型の天弓3型地対空ミサイルを報道公開した。天弓3型は2022年8月18日、台湾花蓮県の花蓮空軍基地で報道陣に公開された。天弓3型は中華民国台湾が国産開発した地対空ミサイル天弓シリーズの最新型で、これにより旧式化が著しいMIN-23ホーク地対空ミサイル全てをこれからの数年間で置換える事が期待されている。

天弓ミサイルシリーズは1984年に台北での閲兵式において初公開され、公開された当時はアメリカのペトリオットミサイルよりも優秀とされ、一方で閲兵式当日には当時最新の技術であったアクティヴフューズドアレイ方式のAESAレーダーは完成せずモックアップが行進していた、しかし、現物の開発は遅延を重ね、最終的にペトリオットを輸入する。

天弓はその後一応のめどが立ち、1993年より配備開始となったが射程は70kmに留まった、この為2002年に改良型の天弓2型が開発され射程を150kmに延伸するとともに射程500kmの短距離弾道ミサイル天戟の母体ともなった。天弓3型は射程を更に200kmへ延伸すると共に、当面の脅威である中国製短距離弾道弾への迎撃能力を付与した新型である。
■Mk.41VLS対応の艦載型
日本の様にイージスシステムの早い段階での供与が実現した状況とは違う台湾の新しい試み。

天弓3型地対空ミサイルの報道公開により今後台湾が開発する対空ミサイル体系への影響と、この派生型となる短距離弾道弾の開発は大きな関心事といえよう。地対空ミサイルの弾道ミサイル改修は、例えば韓国の玄武シリーズの原点となる玄武Ⅰ型はアメリカから供与されたナイキハーキュリース地対空ミサイルをそのまま転用したもので、一般的だ。

天弓3型の一つの特色は天弓2型と異なり発射器を垂直発射可能とした点だ、これは陸上自衛隊が沖縄などに配備する03式中距離地対空誘導弾システムと同様だが、森林やビル街等の錯綜地形から発射できると共に、艦載運用の可能性を示すものとなっている。特に台湾は海軍艦艇に搭載する天弓3型艦載型を試験中である、Mk.41VLSからの運用を見込む。

Mk.41VLSは標準的な垂直発射装置であるが、台湾では1993年から8隻を導入した成功級ミサイルフリゲイトの搭載するターターシステムの旧式化という問題を抱えており、例えば台湾が過去に実施した第二次大戦型のギアリング級駆逐艦改修の様に成功級へMk.13発射装置に代えMk.41を搭載するならば、相応に強力な防空艦として再生しうるといえよう。
■強弓計画
台湾では中国の弾道ミサイル脅威にもさらされている最中だ。

中華民国台湾国防部は強弓計画という天弓3型地対空ミサイル改良型を開発中だ。天弓3型地対空ミサイルの報道公開の実施はそのシステム完成を誇示するものだが、同時にその発展型の開発も今後本格化する事だろう。具体的には射程を延伸し弾道ミサイル迎撃能力を強化するもので、特に8月初旬に中国の実施した演習が開発を加速させる要素となる。

強弓計画そのものは2014年より推進されており、天弓3型地対空ミサイルは開発時点でミサイル防衛に転用するものであったといい得る。計画では有効射高を70kmまで延伸するといい、この為に現在の単段式ミサイルを二段式ミサイルへ改修する計画といい、今後は天戟戦術弾道ミサイルを転用した標的弾道ミサイルを用いた射撃試験を行う構想とされる。

中国の軍事演習が加速させる可能性について、中国はアメリカのペロシ下院議長台湾訪問を受け、アメリカを牽制するべく弾道ミサイル演習を強行し、弾道ミサイルは敢えて台北上空を飛翔する経路で台湾東方沖海上へ着弾させる試験を実施している。台湾では国民を安心させるためにはミサイル防衛能力の強化も必要となり、計画の加速が予想されよう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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中華民国台湾について中国軍事演習への対抗といえる新装備の発表がありました。

台湾空軍は8月17日、戦闘即応演習としてアメリカから導入した最新鋭のF-16V戦闘機による夜間演習を発表した。この訓練は台湾花蓮県の花蓮空軍基地において実施され、F-16V戦闘機6機の同時発進が行われている。この基地では翌日に新型の天弓3型地対空ミサイルの報道公開が行われており、対抗演習における報道拠点の役目を担ったといえる。

F-16VはF-16戦闘機のBlock70とBlock72を示す名称で、当初は廉価な戦闘機で在ったとの印象のあるF-16は年々強力な改良型が開発される一方、改良とともに費用の増大に見舞われている。自衛隊のF-2戦闘機と比較されたBlock52は過去のものとなり、ロッキードマーティン社では新型を強調すべくF-16E/Fの呼称を用いたが、更に一歩進めたもの。

F-16Vはロッキードマーティン社が製造する戦闘機では第五世代戦闘機であるF-35戦闘機に準じる性能を持ち、AN/APG-83AESAレーダーを搭載するとともに機体フレーム強化設計により耐用飛行時間が12000時間に延伸、エンジンも強力なF100-PW-229を積む。台湾はF-16V戦闘機をを66機導入する方針であり、既に導入したF-16の改良も急いでいる。
■天弓3型地対空ミサイル
天弓3型地対空ミサイルという新型ミサイルが公開されました。

中華民国台湾国防部は新型の天弓3型地対空ミサイルを報道公開した。天弓3型は2022年8月18日、台湾花蓮県の花蓮空軍基地で報道陣に公開された。天弓3型は中華民国台湾が国産開発した地対空ミサイル天弓シリーズの最新型で、これにより旧式化が著しいMIN-23ホーク地対空ミサイル全てをこれからの数年間で置換える事が期待されている。

天弓ミサイルシリーズは1984年に台北での閲兵式において初公開され、公開された当時はアメリカのペトリオットミサイルよりも優秀とされ、一方で閲兵式当日には当時最新の技術であったアクティヴフューズドアレイ方式のAESAレーダーは完成せずモックアップが行進していた、しかし、現物の開発は遅延を重ね、最終的にペトリオットを輸入する。

天弓はその後一応のめどが立ち、1993年より配備開始となったが射程は70kmに留まった、この為2002年に改良型の天弓2型が開発され射程を150kmに延伸するとともに射程500kmの短距離弾道ミサイル天戟の母体ともなった。天弓3型は射程を更に200kmへ延伸すると共に、当面の脅威である中国製短距離弾道弾への迎撃能力を付与した新型である。
■Mk.41VLS対応の艦載型
日本の様にイージスシステムの早い段階での供与が実現した状況とは違う台湾の新しい試み。

天弓3型地対空ミサイルの報道公開により今後台湾が開発する対空ミサイル体系への影響と、この派生型となる短距離弾道弾の開発は大きな関心事といえよう。地対空ミサイルの弾道ミサイル改修は、例えば韓国の玄武シリーズの原点となる玄武Ⅰ型はアメリカから供与されたナイキハーキュリース地対空ミサイルをそのまま転用したもので、一般的だ。

天弓3型の一つの特色は天弓2型と異なり発射器を垂直発射可能とした点だ、これは陸上自衛隊が沖縄などに配備する03式中距離地対空誘導弾システムと同様だが、森林やビル街等の錯綜地形から発射できると共に、艦載運用の可能性を示すものとなっている。特に台湾は海軍艦艇に搭載する天弓3型艦載型を試験中である、Mk.41VLSからの運用を見込む。

Mk.41VLSは標準的な垂直発射装置であるが、台湾では1993年から8隻を導入した成功級ミサイルフリゲイトの搭載するターターシステムの旧式化という問題を抱えており、例えば台湾が過去に実施した第二次大戦型のギアリング級駆逐艦改修の様に成功級へMk.13発射装置に代えMk.41を搭載するならば、相応に強力な防空艦として再生しうるといえよう。
■強弓計画
台湾では中国の弾道ミサイル脅威にもさらされている最中だ。

中華民国台湾国防部は強弓計画という天弓3型地対空ミサイル改良型を開発中だ。天弓3型地対空ミサイルの報道公開の実施はそのシステム完成を誇示するものだが、同時にその発展型の開発も今後本格化する事だろう。具体的には射程を延伸し弾道ミサイル迎撃能力を強化するもので、特に8月初旬に中国の実施した演習が開発を加速させる要素となる。

強弓計画そのものは2014年より推進されており、天弓3型地対空ミサイルは開発時点でミサイル防衛に転用するものであったといい得る。計画では有効射高を70kmまで延伸するといい、この為に現在の単段式ミサイルを二段式ミサイルへ改修する計画といい、今後は天戟戦術弾道ミサイルを転用した標的弾道ミサイルを用いた射撃試験を行う構想とされる。

中国の軍事演習が加速させる可能性について、中国はアメリカのペロシ下院議長台湾訪問を受け、アメリカを牽制するべく弾道ミサイル演習を強行し、弾道ミサイルは敢えて台北上空を飛翔する経路で台湾東方沖海上へ着弾させる試験を実施している。台湾では国民を安心させるためにはミサイル防衛能力の強化も必要となり、計画の加速が予想されよう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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