北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

小松-装輪装甲車(改)の再評価【2】NBC偵察車基本車体応用の”機動防護車”という選択肢

2022-09-24 20:15:41 | 先端軍事テクノロジー
■仮称”機動防護車”の提案
 防衛予算における装甲車両の位置づけの低さ、人命に直結する装備でありながら、ここを冷静に考えるならば重要なのは”取得費用”なのかもしれません。

 小松製作所のNBC偵察車、機動戦闘車に随伴しての激烈な近接戦闘の弾雨鉄の暴風最中に進出するという運用を考えるならば1cmでも車高を低くし、しかしIED簡易爆発物に耐える最低地上高を維持するという厳しい制約が加わり、あの形状となることは残念ながら致し方ないところではあります、しかし他の用途ならばどうでしょうか。固い車両の需要は。

 NBC偵察車。激烈な戦闘を考慮しないのであれば、あの装輪装甲車(改)の無理な車高低下再設計でなくとも車内容積を十分に採ったNBC偵察車の小改造型でも、運転台の隣に車長席を配置していますし、十分対応できたように考えます。小改造というのは唯一、NBC偵察車は兵員輸送を想定していないため、後部扉が小さく下車戦闘に支障が生じる点です。

 装輪装甲車(改)ではなくNBC偵察車派生の車両、機動防護車、とでも表現すべきでしょうか、この試案は第一に後部兵員扉を96式装輪装甲車のような動力ハッチ式とするか、観音開き扉として左右両側に開くよう再構成するというところ。武装はハッチ部分が車高を挙げているため、前部の車長席真上に遠隔操作銃塔RWSを搭載する、などなど方法はある。

 指揮通信車。端的に挙げられるのはこの用途でしょうか、もともとNBC偵察車の前型である化学防護車が82式指揮通信車でしたので誰でも思いつく安直な案ではあるのですけれども。NBC偵察車は膨大な化学検知機材や分析装置を搭載する容量での余裕があります、これは通信機材の搭載容積に転じた場合でも、発電容量含め十分搭載し得るようにおもう。

 支援車両として。考え得るのは現在後方支援連隊の戦車直接支援小隊に配備されている96式装輪装甲車の後継です。戦車部隊に随伴し整備支援をおこなう部隊ですが、敵火砲による攪乱射撃や曳火射撃に巻き込まれることを想定し96式装輪装甲車が配備されています。そこまで激烈な戦闘に巻き込まれることは想定しないため、小松案でも対応可能でしょう。

 フクス装甲車。実はこの小松製NBC偵察車であっても十分用途がある、と考えるのはドイツ軍が冷戦時代に似た選択肢を採っているためです。ドイツ連邦軍の冷戦時代における装甲車といえば20mm機関砲の小型砲塔を備え敵の30mm機関砲弾の直撃にも正面傾斜装甲が耐える強力なマルダー装甲戦闘車を思い出すところですが、そればかりではありません。

 マルダー装甲戦闘車とともに、ドイツ連邦軍は汎用装甲車としてアメリカ製M-113装甲輸送車を多用していましたし、そしてもう一つ、装輪装甲車として汎用輸送に重点を置いたフクス装輪装甲車を大量生産していました。フクスはフランスのVAB軽装甲車をふた周り大型化させたような形状の装甲車ですが防御力も高く、後に改良型フクス2が開発された。

 フクスは車体後部兵員室を可能な限りフラットな形状としまして、もちろん折り畳み式ベンチシートを有していますので兵員輸送を念頭に考えているのですが、これを畳めば第一線への強行輸送に用いうる構造となっています。装輪装甲車ですがフクス2は防御力も向上し1990年代の設計ながら14.5mm機銃弾にも耐える比較的充実した装甲を持つもの。

 NBC偵察車に期待するのはこの点でして、また96式装輪装甲車よりは車高が高い分、車内容積も確保できていますので2個小銃班の乗車は不可能としても3両で4個小銃班、というような輸送力の高さを示せるかもしれません。車体は三菱の機動装甲車よりも安価ですが、なにしろ用途が違うのですがら一人当たりの費用を抑えられる点が重要でしょう。

 装輪装甲車(改)のように無理な改修をするのではなく、装甲が在ればいいのは当然だけれども、機動装甲車やパトリアAMVやピラーニャLAVを転用するには、数を揃える必要から防衛予算の上限もあり限界がある、こうした用途にNBC偵察車派生型は適している様に考えます。なにより装輪装甲車(改)開発の背景に安価、という利点があったのですから、ね。

 汎用装甲車として考えるならば、装輪装甲車(改)が制式化断念の背景に在った幾つかの問題が解決されます、例えば防御力の不足が挙げられましたが、第一線で16式機動戦闘車や10式戦車と共に突撃する装甲車と、支援用に運用する装甲車とでは防弾性能の要求水準が違います。また装輪装甲車(改)の難点、砲塔搭載等の将来発展性という問題もそれ程ではない。

 NBC偵察車派生型の装甲車、何しろ自衛隊には装甲車が不足しています、82式指揮通信車も232両も製造されていますが、後継をどうするのか。新たに装甲救急車を導入する事が決定しましたが、実際にはトラックに防弾板を張り付けるだけという始末で、あの程度で曳火射撃には生き残れない、こうした中の選択肢に、安価という点は重要な視点でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-北海道,蟹をちょっとだけ頂き銘酒をちょっぴり嗜み旅の思い出とする

2022-09-24 14:40:03 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 グルメな話題の掲載がちょっと右往左往してしまいましたので改めて居酒屋の話題を。

 北大路機関のグルメ特集はもう少し順番を考えなければならないなあ、と思いつつ今回は何処を紹介しようかと考えていますと気づけば変な順番や重複掲載となってしまうことがありまして、これも三連休で変な多忙と変な幕間故だなあと気を引き締めなおして。

 北海道、COVID-19とともに自衛隊関連行事がこれほど長期に渡り実施できなくなるとは中々思いませんでしたので、北海道空の玄関口であります千歳空港、今はどうなっているのかと思い馳せるところではあります。来年こそはと思ったのは昨年の2021年の話でした。

 朝市食堂、千歳空港で頂く夕餉はなかなかに愉しいものでして、こういうのも札幌と千歳空港が微妙に距離が有りますので、時間に余裕を持つと札幌を散策するよりも千歳空港にいなければならない、という事情故なのですが、だから晩酌も空港で済ませる事が多い。

 男山、銘酒を頂くのですが、今風のお店ではあるところでは少ししか注がないところもあります中で、こうなみなみと注いでくれますと、これはまた来なければならないなあと考えてしまいます。燗酒よりも冷やのほうがするするとはいってくれまして時間配分できる。

 カニ、朝市食堂ですとお手頃に、蟹の甘みを純粋に楽しみ、酒が引き立て蟹が引き立ての美味しい循環を愉しむ事が出来る、北海道だからこうしたものを頂きたいよねえと考えますと余り気張りますと高い、つまり食材の方に気兼ねしてしまう、だから気軽さは大切だ。

 銘酒とお酒、わたしは煙草は香りが受け付けなくなったのですが、お酒は、食事を際立てるものだと思う、銘酒がありますと一口一口の変化を楽しむ時間が生まれるのですが、昔お酒を飲む前の頃はこうしたものを一口で齧り、勿体ない事をしていたようにも思う。

 じゃがいもをホクホクしつつ。この塩辛、実はおしゃれ絵もなんでもなく北海道では昔からの食べ方だと旭川で教えて頂きました、なんでもバターが高級品で在った頃に口さわりを滑らかにするためにおじゃがに塩辛を載せたという、烏賊と歯応えの違いも愉しめる。

 ちょっとした時間帯のちょっとした一杯とちょっとした肴、気取らずに楽しめるというのは、こうしたご飯屋さんの面白い所なのかもしれません、そして、北海道で蟹を頂いたという確かな思い出と共に、旅客機へと歩み始められるのですから、この一幕がいいですよね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-新京極,響きを聞けば思い出すクラシックな昭和モダン

2022-09-24 14:11:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 スタンドという店名のこの響きを聞けば思い出す風景のお店を紹介しましょう。

 有名だけれども入った事が無い場所、というところは京都には意外と多いのではないでしょうか、こう答えますと経ヶ岬分屯基地とか海軍記念館とか反応が返ってきました方と八坂の塔の中とか修学院門跡とか返ってきました方と、その方の価値観が反映されてしまう。

 スタンド、知っているし前を通るけれども入りにくい雰囲気があるのだよねえ、こんなお話しについて。ここは新京極、そして阪急河原町駅からも直ぐという一角にありますお店で目立つ場所の入りやすい位置にありながら、雰囲気から敷居が高いという話を聞きます。

 IWハーパー、入ってみると落ち着いたといいますか昭和の情感をわざとではなく当時の最新をそのまま維持していたらクラシックな装いになってしまった的な伝え方のお店になっていますけれども、世代を変えつつもお客さんはむなしのままと代替わりと、そして。

 ポークなスタミナ焼き、KBS京都が角野卓造さんを招いた居酒屋番組でこのスタンドを紹介しましたが、酒場詩人こと吉田類さんも京都を代表するお店といいますか日本の中のお気に入りの三軒を選んだ際にスタンドを挙げるなど、何故かお気に入りの方が多いのです。

 スタンドなのですが、しかしさっきのアップ写真を少し引いてしまいますと、これは普通の定食メニューだったりします、流石昭和モダン風、とおもわれるかもしれませんがここ、要するに普通の定食屋さんでもある。しかしグラスを並べると普通の居酒屋さんとなる。

 新京極、ビンゴカードの様な、ここ独特の伝票とともに勿論定食の他に一品料理もありまして全部は肴として愉しめます、カウンターもありますがテーブルを相席でおひとり様同士が静かにグラスを傾けるのも、談笑するのも、なにかこう自由さがあるスタンドという。

 スタンド、そしてここは四条通も近くもうすこし下りますと寺町電気街、まあ電気街というには昨今その装いは薄れているようですけれども、修学旅行の街から家電街となる境界線にあるという、一杯やるにも、ちょっと気になる看板の奥は、不思議な日常が広がります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ロシア軍動員令-30万動員予備役以外も対象ショイグ国防相示唆,プーチン大統領は戦術核兵器使用の可能性示唆

2022-09-24 07:01:22 | 国際・政治
■臨時情報-ロシア動員令
 2022年は予測不能な出来事が多すぎるところですが今回の動員令と戦術核兵器使用示唆はウクライナ情勢が対岸の火事ではなく我が国安全保障へも影響し得る認識の必要性を説いています。

 プーチン大統領の動員令、ロシア軍の予備役は200万名とされていますが、今回の動員令に対してショイグ国防相は、ロシア国内の予備役は軍務経験者や技術者など2500万であるとした上で、その内の1.1%を招集するに過ぎない、と発言しました。これは昨日の記事で危惧した、大学の軍事教練履修者への招集、この可能性が現実となった構図といえます。

 ロシアからの成年男性の出国が加速している、日本や欧米の報道にみられる通り、旅客機や鉄道と自家用車により周辺国へのロシアからの成年男性の出国の動きが加速しています。他方で、今回の動員は30万名規模ですが、ロシア軍に十分な装備が在るのかは多分に疑問で、経済制裁により破損した戦車を整備する半導体も無く、装備が充分ではありません。

 北朝鮮からロシア軍が弾薬等を調達しようとしている、アメリカ情報機関がこうした警鐘を鳴らしていますが、北朝鮮側は否定しているものの、例えば北朝鮮国内の弾薬の他に近代化改修されたBTR-60装甲車やT-62戦車なども可能性として輸出される選択肢はありますし、ロシア経済制裁に参加していない諸国から中国製戦車等を迂回取得する可能性も。

 ウクライナ軍は、ロシア軍の動員に対し冷静な姿勢を堅持しています。この背景には、ウクライナ軍の予備役は90万名であり、そして装備品についてはNATOからの旧ソ連製装備の補充とアメリカ始め友好国からの装備供与により、実態としては非常に苦しい状況ではあるのですが補給目処があり、幸いにして質的優位で量的優位に対抗出来ている為です。

 ロシアの動員令について、楽観的要素を一つあげるとするならば、ロシア軍はウクライナ領内での戦術核兵器使用に慎重である事を証左しています。ロシアのプーチン大統領は戦術核兵器の使用に対して、ロシア領内の一体性が損なわれる事態に対しては使用を躊躇しないとの姿勢を示しており、これは従来の姿勢より使用の可能性が高まったと考えられる。

 戦術核兵器、しかし、今回の動員令とともにウクライナへの侵攻兵力が動員規模30万名に対して、半数が送られると仮定した場合、ウクライナ領内のロシア兵が増大する事を示しますが、ウクライナへロシア軍の対核防護兵器の展開状況はほぼ確認されておらず、ここで戦術核兵器を使用した場合、ロシア軍の被害も甚大となる事が避けられない為です。

 勿論、この週末にはドンバス地域とヘルソン州のロシア軍占領地においてロシアへ併合に関する擬似的な住民投票が行われており、この結果如何でウクライナ国土の一部をロシアに併合した場合、国土の一貫性に反する動きとして戦術核兵器を使用する蓋然性は高まります、しかし核防護装備無しにロシア軍自身が核兵器を使用できぬ事に変わりありません。

 戦術核兵器ですが、使用される懸念は低いものの、1945年の広島長崎への核攻撃以来では、最大の緊張で、1956年のスエズ危機や1962年のキューバ危機に準じた極度の緊張である事は確かです。しかし、いきなり使用するのではなく、ロシアとしては先ず、地下核実験などCTBT包括的核実験禁止条約離脱による作動確認を行うのではないかと、考えます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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