■米ミサイル防衛専用艦を参考
ひゅうが型護衛艦の3番艦と4番艦を建造しミサイル防衛専用艦とする一見突飛な案について。
ひゅうが型護衛艦の設計を応用し、イージス艦を建造する。この利点は、ひゅうが型の艦内容積には余裕があり、例えばSPY-7大型レーダーが必要とする巨大な電力需要をも担いうる発電装置を搭載でき、また、艦内容積に余裕がある点は、例えば乗員の大部屋を個室主体に転換し、艦内居住空間を充分採る事で長期間の警戒監視に対応する意味を持ちます。
サンアントニオ級輸送揚陸艦派生型のミサイル防衛専用艦構想、ノースロップグラマン社がアメリカ政府に提案した試案を基に、ひゅうが型護衛艦派生のミサイル防衛専用艦を構想してみましょう。ミサイル防衛専用艦はイージス艦のように対水上戦闘や対潜戦闘を自ら担う必要は無く、基本的にミサイル防衛に専従し、その他の自衛能力を持つのみとなる。
LPD-BMD構想という揚陸艦派生の構想では、満載排水量2万5000t、サンアントニオ級の巨大なステルス統合マストの部分を大きく省いて、ここに直径6.7mというSPY-6大型レーダーを搭載、一方、輸送揚陸艦のドック部分はそのままミサイル弾薬庫に転用するかたちとなり、Mk.41VLSには288発のスタンダードSM-3を搭載する、という構想でした。
アメリカ海軍にミサイル防衛専用艦というものが提案された背景には、中国の射程5000km内外という中距離弾道弾や長距離弾道弾の脅威がグアムはハワイに及んでおり、既存のイージス艦をミサイル防衛に充てようにも、航空母艦等を狙う対艦弾道弾への防空任務と両立する必要があり、それならば重要拠点を専用艦で防衛する、という背景がありました。
スタンダードSM-3を288発、アメリカらしい大袈裟な提案、と思われるかもしれませんが、弾道ミサイル防衛を考える場合、五発十発のスタンダードSM-3では数十発の飽和攻撃を加えられた場合の対応策がありません、もちろん核ミサイルを数十発連続発射する事は無いでしょうが、通常弾頭と混成し射撃された場合、レーダー分析では識別ができません。
日本本土を核攻撃から防衛する、しかし攻撃する側から考えるならば日本本土を核攻撃する、都市部へ落下するならば多数の在日外国人を巻き込んで核爆発で蒸発破裂させるのですから、ほぼ確実にアメリカ本土よりミニットマン大陸間弾道弾での反撃を覚悟せねばなりません、すると確実に日本国内の目標を破壊し目標を達せなければならない、手段は。
核ミサイルで日本本土を攻撃する場合には核ミサイルを他の通常弾頭ミサイルに紛れ込ませるという選択肢、更に日本本土のミサイル防衛システムを破壊する為の措置を並行して行うでしょう、この能力を整備しないならば核兵器だけを保有しても政治的な道具にも達せられない、こうした軍事上の要請から、迎撃システムにも高い能力が求められる訳です。
ミサイル防衛において、例えば核弾頭ミサイル1発と通常弾頭ミサイル99発が同時発射された場合、弾頭の中身がHE弾頭か核弾頭かは、発射した側しかわからず、喩え通常弾頭を99発撃墜したとしても、一発の核弾頭が東京首都圏に命中した場合は15万規模の死者を想定せねばならず、これは迎撃に成功したと云えない、これがミサイル防衛の難しさ。
LPD-BMD構想、アメリカはサンアントニオ級揚陸艦の巨大な船体に288発というミサイルを搭載し対応する構想です、スタンダードSM-3は一発当たり40億円を超えますので、搭載するミサイルだけで一兆円を超えるという、中々にアメリカらしい発想ですが、日本でも核攻撃から一億二千万国民を防衛するならば、選択肢としては有得る様に思うのです。
ひゅうが型設計を応用するならば、ヘリコプター用エレベータ部分をそのまま、SM-3のVLS区画に転用する事で、288発、これは行き過ぎとしましても、イージス艦2隻分の192発ならば充分搭載できるでしょう。また、冒頭にも記しましたが、大型化することで居住環境を良好化できます、これは長期での警戒監視を考える際に極めて重要といえましょう。
イージス艦、北朝鮮ミサイル危機に際して、舞鶴などを探訪しますと、ちょうかい、きりしま、次々と舞鶴基地の所属では無い護衛艦が入港しまして、舞鶴基地に配備されているイージス艦みょうこう既に出航中という事もあれば造船所にて定期整備を受けている事も。即ち長期のミサイル防衛任務に対し、ローテーションを組んでいる事に驚かされました。
イージス艦で満載排水量9500t、こんごう型護衛艦は建造当時は護衛艦の中でも居住性が良い事で知られていますが、ここまでの長期ローテーションを想定して建造されたか、1990年代防衛環境を考えますとなかなか考えられません、乗員に無理を強いている。基本的に整備以外は母港に戻らず遊弋して警戒監視、この任務の艦には相応の居住性が必要です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ひゅうが型護衛艦の3番艦と4番艦を建造しミサイル防衛専用艦とする一見突飛な案について。
ひゅうが型護衛艦の設計を応用し、イージス艦を建造する。この利点は、ひゅうが型の艦内容積には余裕があり、例えばSPY-7大型レーダーが必要とする巨大な電力需要をも担いうる発電装置を搭載でき、また、艦内容積に余裕がある点は、例えば乗員の大部屋を個室主体に転換し、艦内居住空間を充分採る事で長期間の警戒監視に対応する意味を持ちます。
サンアントニオ級輸送揚陸艦派生型のミサイル防衛専用艦構想、ノースロップグラマン社がアメリカ政府に提案した試案を基に、ひゅうが型護衛艦派生のミサイル防衛専用艦を構想してみましょう。ミサイル防衛専用艦はイージス艦のように対水上戦闘や対潜戦闘を自ら担う必要は無く、基本的にミサイル防衛に専従し、その他の自衛能力を持つのみとなる。
LPD-BMD構想という揚陸艦派生の構想では、満載排水量2万5000t、サンアントニオ級の巨大なステルス統合マストの部分を大きく省いて、ここに直径6.7mというSPY-6大型レーダーを搭載、一方、輸送揚陸艦のドック部分はそのままミサイル弾薬庫に転用するかたちとなり、Mk.41VLSには288発のスタンダードSM-3を搭載する、という構想でした。
アメリカ海軍にミサイル防衛専用艦というものが提案された背景には、中国の射程5000km内外という中距離弾道弾や長距離弾道弾の脅威がグアムはハワイに及んでおり、既存のイージス艦をミサイル防衛に充てようにも、航空母艦等を狙う対艦弾道弾への防空任務と両立する必要があり、それならば重要拠点を専用艦で防衛する、という背景がありました。
スタンダードSM-3を288発、アメリカらしい大袈裟な提案、と思われるかもしれませんが、弾道ミサイル防衛を考える場合、五発十発のスタンダードSM-3では数十発の飽和攻撃を加えられた場合の対応策がありません、もちろん核ミサイルを数十発連続発射する事は無いでしょうが、通常弾頭と混成し射撃された場合、レーダー分析では識別ができません。
日本本土を核攻撃から防衛する、しかし攻撃する側から考えるならば日本本土を核攻撃する、都市部へ落下するならば多数の在日外国人を巻き込んで核爆発で蒸発破裂させるのですから、ほぼ確実にアメリカ本土よりミニットマン大陸間弾道弾での反撃を覚悟せねばなりません、すると確実に日本国内の目標を破壊し目標を達せなければならない、手段は。
核ミサイルで日本本土を攻撃する場合には核ミサイルを他の通常弾頭ミサイルに紛れ込ませるという選択肢、更に日本本土のミサイル防衛システムを破壊する為の措置を並行して行うでしょう、この能力を整備しないならば核兵器だけを保有しても政治的な道具にも達せられない、こうした軍事上の要請から、迎撃システムにも高い能力が求められる訳です。
ミサイル防衛において、例えば核弾頭ミサイル1発と通常弾頭ミサイル99発が同時発射された場合、弾頭の中身がHE弾頭か核弾頭かは、発射した側しかわからず、喩え通常弾頭を99発撃墜したとしても、一発の核弾頭が東京首都圏に命中した場合は15万規模の死者を想定せねばならず、これは迎撃に成功したと云えない、これがミサイル防衛の難しさ。
LPD-BMD構想、アメリカはサンアントニオ級揚陸艦の巨大な船体に288発というミサイルを搭載し対応する構想です、スタンダードSM-3は一発当たり40億円を超えますので、搭載するミサイルだけで一兆円を超えるという、中々にアメリカらしい発想ですが、日本でも核攻撃から一億二千万国民を防衛するならば、選択肢としては有得る様に思うのです。
ひゅうが型設計を応用するならば、ヘリコプター用エレベータ部分をそのまま、SM-3のVLS区画に転用する事で、288発、これは行き過ぎとしましても、イージス艦2隻分の192発ならば充分搭載できるでしょう。また、冒頭にも記しましたが、大型化することで居住環境を良好化できます、これは長期での警戒監視を考える際に極めて重要といえましょう。
イージス艦、北朝鮮ミサイル危機に際して、舞鶴などを探訪しますと、ちょうかい、きりしま、次々と舞鶴基地の所属では無い護衛艦が入港しまして、舞鶴基地に配備されているイージス艦みょうこう既に出航中という事もあれば造船所にて定期整備を受けている事も。即ち長期のミサイル防衛任務に対し、ローテーションを組んでいる事に驚かされました。
イージス艦で満載排水量9500t、こんごう型護衛艦は建造当時は護衛艦の中でも居住性が良い事で知られていますが、ここまでの長期ローテーションを想定して建造されたか、1990年代防衛環境を考えますとなかなか考えられません、乗員に無理を強いている。基本的に整備以外は母港に戻らず遊弋して警戒監視、この任務の艦には相応の居住性が必要です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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