北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ミサイル防衛専用艦,ひゅうが型設計応用案【2】サンアントニオ級転用LPD-BMD構想

2022-09-03 20:11:35 | 防衛・安全保障
■米ミサイル防衛専用艦を参考
 ひゅうが型護衛艦の3番艦と4番艦を建造しミサイル防衛専用艦とする一見突飛な案について。

 ひゅうが型護衛艦の設計を応用し、イージス艦を建造する。この利点は、ひゅうが型の艦内容積には余裕があり、例えばSPY-7大型レーダーが必要とする巨大な電力需要をも担いうる発電装置を搭載でき、また、艦内容積に余裕がある点は、例えば乗員の大部屋を個室主体に転換し、艦内居住空間を充分採る事で長期間の警戒監視に対応する意味を持ちます。

 サンアントニオ級輸送揚陸艦派生型のミサイル防衛専用艦構想、ノースロップグラマン社がアメリカ政府に提案した試案を基に、ひゅうが型護衛艦派生のミサイル防衛専用艦を構想してみましょう。ミサイル防衛専用艦はイージス艦のように対水上戦闘や対潜戦闘を自ら担う必要は無く、基本的にミサイル防衛に専従し、その他の自衛能力を持つのみとなる。

 LPD-BMD構想という揚陸艦派生の構想では、満載排水量2万5000t、サンアントニオ級の巨大なステルス統合マストの部分を大きく省いて、ここに直径6.7mというSPY-6大型レーダーを搭載、一方、輸送揚陸艦のドック部分はそのままミサイル弾薬庫に転用するかたちとなり、Mk.41VLSには288発のスタンダードSM-3を搭載する、という構想でした。

 アメリカ海軍にミサイル防衛専用艦というものが提案された背景には、中国の射程5000km内外という中距離弾道弾や長距離弾道弾の脅威がグアムはハワイに及んでおり、既存のイージス艦をミサイル防衛に充てようにも、航空母艦等を狙う対艦弾道弾への防空任務と両立する必要があり、それならば重要拠点を専用艦で防衛する、という背景がありました。

 スタンダードSM-3を288発、アメリカらしい大袈裟な提案、と思われるかもしれませんが、弾道ミサイル防衛を考える場合、五発十発のスタンダードSM-3では数十発の飽和攻撃を加えられた場合の対応策がありません、もちろん核ミサイルを数十発連続発射する事は無いでしょうが、通常弾頭と混成し射撃された場合、レーダー分析では識別ができません。

 日本本土を核攻撃から防衛する、しかし攻撃する側から考えるならば日本本土を核攻撃する、都市部へ落下するならば多数の在日外国人を巻き込んで核爆発で蒸発破裂させるのですから、ほぼ確実にアメリカ本土よりミニットマン大陸間弾道弾での反撃を覚悟せねばなりません、すると確実に日本国内の目標を破壊し目標を達せなければならない、手段は。

 核ミサイルで日本本土を攻撃する場合には核ミサイルを他の通常弾頭ミサイルに紛れ込ませるという選択肢、更に日本本土のミサイル防衛システムを破壊する為の措置を並行して行うでしょう、この能力を整備しないならば核兵器だけを保有しても政治的な道具にも達せられない、こうした軍事上の要請から、迎撃システムにも高い能力が求められる訳です。

 ミサイル防衛において、例えば核弾頭ミサイル1発と通常弾頭ミサイル99発が同時発射された場合、弾頭の中身がHE弾頭か核弾頭かは、発射した側しかわからず、喩え通常弾頭を99発撃墜したとしても、一発の核弾頭が東京首都圏に命中した場合は15万規模の死者を想定せねばならず、これは迎撃に成功したと云えない、これがミサイル防衛の難しさ。

 LPD-BMD構想、アメリカはサンアントニオ級揚陸艦の巨大な船体に288発というミサイルを搭載し対応する構想です、スタンダードSM-3は一発当たり40億円を超えますので、搭載するミサイルだけで一兆円を超えるという、中々にアメリカらしい発想ですが、日本でも核攻撃から一億二千万国民を防衛するならば、選択肢としては有得る様に思うのです。

 ひゅうが型設計を応用するならば、ヘリコプター用エレベータ部分をそのまま、SM-3のVLS区画に転用する事で、288発、これは行き過ぎとしましても、イージス艦2隻分の192発ならば充分搭載できるでしょう。また、冒頭にも記しましたが、大型化することで居住環境を良好化できます、これは長期での警戒監視を考える際に極めて重要といえましょう。

 イージス艦、北朝鮮ミサイル危機に際して、舞鶴などを探訪しますと、ちょうかい、きりしま、次々と舞鶴基地の所属では無い護衛艦が入港しまして、舞鶴基地に配備されているイージス艦みょうこう既に出航中という事もあれば造船所にて定期整備を受けている事も。即ち長期のミサイル防衛任務に対し、ローテーションを組んでいる事に驚かされました。

 イージス艦で満載排水量9500t、こんごう型護衛艦は建造当時は護衛艦の中でも居住性が良い事で知られていますが、ここまでの長期ローテーションを想定して建造されたか、1990年代防衛環境を考えますとなかなか考えられません、乗員に無理を強いている。基本的に整備以外は母港に戻らず遊弋して警戒監視、この任務の艦には相応の居住性が必要です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-三島,ひかり号待つ駅前鮨で静岡の駿河湾の三島の名物を頂く

2022-09-03 14:46:52 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 三島といえば観艦式では海から眺め横須賀へ行く際は新幹線で通過するという地元の人には申し訳ない事が多かったのですが。

 三島駅。静岡県は本当に新幹線の駅が多いのですが超特急ひかり号も停車駅が多すぎると若干残念です、すると停車駅がもう三島以外名古屋まで素通りするようなダイヤの列車を待った方が、急いて超特急こだま号各駅停車の旅よりも早い事の方が有るということです。

 東海道新幹線は京都駅のあたりでは混雑していない列車は、こだま号、しかし静岡県内では一番混雑しているようでして驚いたものです、考えればそのはず、静岡県内を素早く移動するには、ひかり号では全部通過してしまう故に、こだま号天下、おどろかされました。

 鮨でも摘まみながら。わたしは、この人にはかなわないなあと素晴らしい写真を撮影する方を何人か知っているのですが、その中の一人の方が沼津駅で列車時間を待った際に魚がし鮨というローカルチェーンのお店が良かったという話を聞きまして、倣ってみよう、と。

 白隠正宗と日替わり地酒の開運に喜久水の呑み比べセットを。あまり長居するほど時間はありませんので、この澄んだグラスに注がれたその名の通りの清らかな清酒を三種類並べて、ちびりちびりと上品に頂きます、ひかり号を逃さないようにね、五分は掛かるから。

 焙り鮨三点、一寸おもしろそうだったからおまかせでお願いしてみましたが、なるほど、分ってると言いますかこれだよこれですよ、という美味しさが並んでいます、先ずは焙られた大トロ、静岡はマグロ水揚げが日本有数の清水港を抱える、これは食べたいですよね。

 鮪の煮物が御通しの小鉢で、大根と共に煮られていますが、三島市内を右往左往するのではなく最初からここに長居した方が確かな愉しみを過ごせただろうなあ、という逸品から、しかし焙り三点盛りと煮物とで生のマグロを頂かないというのも少し不思議に思うのだ。

 金目鯛、深海は駿河湾の名産で御目出度い紅一点を焙りとしていまして、そしてもう一つは鰻、焙りで一度は刺身で頂いてみたいとも思う鰻ですが、そうなのです三島は鰻が名物なのです。静岡の名物に駿河湾の名物に三島の名物という、三選よくぞ選んでくれました。

 喜久水とともに。三貫は一貫一貫大事に頂きたいところですが、ひかり号を待つ間、そんな短時間でよくぞ寿司屋にと思われる程の時間の短さではあったのですが、グラス一つと逸品一貫、時間は無いのですが愉しめるものでした。しかし、時間がだんだんと限られる。

 魚がし鮨、駅前鮨で一寸もう少し趣き深い街中の鮨屋さんを探したくなるものですけれども、駅前鮨には侮れないものがあるのだ、こう実感しました。そしてここから新幹線乗車までざっと四分弱、東海道本線を超えて新幹線、よくぞ乗れたものですが帰路につきました。

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検証:防衛予算-令和五年概算要求【2】不可解な事項要求-パトリアAMV装甲車か三菱機動装甲車か29両要求

2022-09-03 07:02:53 | 国際・政治
■検証:来年度概算要求
 防衛予算令和五年概算要求の検証についての第二回です。

 来年度予算概算要求における機械化装備について。防衛省は装甲車両の調達を継続します。その調達は次期装甲車を29両、19式装輪自走榴弾砲10両、16式機動戦闘車18両、10式戦車6両です。装甲車については2個中隊分、自走榴弾砲も2個中隊分、機動戦闘車は1個機動戦闘車隊に若干満たない規模、そして戦車はほぼ維持生産という範疇となっている。

 少なすぎるとは思う、具体的には自衛隊には9個師団と6個旅団に5個方面混成団があります、この数では一個旅団の装備を更新するだけでも三年分を要する計算であり、装備品の耐用年数を考えれば思い切った改革、例えば全国に部隊を配置する基盤的防衛力、この基盤に依存する災害派遣任務を切捨てコンパクト化するか、装備調達を増やすか、決断が。

 ただ、装甲車について気になる点があります、車種が未定のままなのだ。次期装甲車29両として概算要求ではフィンランド製パトリアAMV装甲車と三菱重工の機動装甲車と思われる車両の写真を並べていますが、どちらを採用するかはいまだ決定していません、取得費用は異なる装甲車ですので、恐らく29両の総額を明示しない事項要求となるのでしょう。

 不思議なのはパトリアAMVと機動装甲車では収容人員が異なります、機動装甲車は16式機動戦闘車の砲塔を取除き戦闘室をかさ上げしたもので車内容積はそれ程広くはありません、対してパトリアAMVは装甲車として設計、当り前ですが、専用設計である為に完全武装の12名を収容するのです、29両となると定員2名の違いは小隊以上の違いとなります。

 96式装輪装甲車と軽装甲機動車の製造ラインは小松製作所が閉鎖している為に最早取得は出来ないという話なのでしょうが、機動装甲車にしてもパトリアAMVにしても96式装輪装甲車の2.5倍以上の費用となります、それならば車種が決まらないままに選定するのではなく、29両の予算を概ね当てはめ、72両程度追加生産した方が、とも思うのですね。

 車種を画定せず事項要求するというのはこれ程に乱暴と思えるものです。逆に同じ事項要求を行うのであれば、“XX師団を総合近代化師団へ改編する為の必要な装甲車両や火砲と通信装備や施設器材の新規取得”というような方式の方が、まだ車種が不明故に何名輸送するかを未知数な要求よりも、防衛政策としては方向性が明示できている様に思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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