北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

徴兵制を巡る議論の再考:ウクライナの動員体制成功の評価とロシア動員体制の低評価,日本での徴兵論への一考察

2022-11-03 20:21:15 | 国際・政治
■定期的に論題となる命題
 徴兵制というものがウクライナ戦争により再度関心が高まっているようです、軍事知識の深い方程専門性から志願制志向であり軍事へ警鐘を鳴らす方は徴兵制を危惧する印象だ。

 徴兵制、ウクライナ戦争を契機に揺れています。それは日本にも一定数居る徴兵制論者というもので、ロシア軍ウクライナ侵攻に際してウクライナは大量の予備役、90万もの予備役兵が在籍しているために、ロシア軍に対して、当初は48時間保たないのではないかと危惧されましたが、48日後には反撃に転じ、半年越え48週間後の見通しさえ立ってきました。

 ウクライナでの予備役は徴兵制によるものとともに、ウクライナは2014年のクリミア併合とともにドンバス紛争へ徴兵を短期間でも派遣し実戦経験を積ませることで、いわば90万の予備役兵は大半が短期間でも実戦経験を有しているという、これほどの実戦経験者はアメリカなど数える国でしかなく、ロシア軍も少なくとも今年二月末までは居ませんでした。

 ロシアでの動員、しかし、徴兵制についてウクライナの奮戦が従来の、現代戦における短期間の徴兵経験者の有用性の評価を大幅に高めた可能性を示したのに対して、ロシアでの動員体制、実際に動員をされてみますと、やはり徴兵制は有用だ、とはとてもいえない状況がかいま見えてきました、具体的に言えば練度と装備が明確に不十分、特に武器が無い。

 AK-47小銃、驚かされたのはロシアでの召集令状出頭者に対して貸与されていたのが、ロシアメディアの報道、検閲され厭戦機運を出す報道を違法とされる報道、ここで貸与されていたのがAK-47だったのです、中国軍でさえ使っていない、ソ連地上軍では1956年より後継のAKM小銃に切り替わっているため、要するに1940年代の小銃を貸与された。

 日本でも徴兵制を、といいますと国内の装備備蓄からウクライナよりもロシアのような状況となるのかもしれません、日本はアメリカから貸与された装備を返還するべく補給処に備蓄しており、2000年代までハーフトラックさえ返還待ちで備蓄されていました、恐らく自衛隊はM-1カービンとM-1小銃ならば、仮に64式小銃が無くとも、備蓄している。

 ハーフトラックは解体していますが、なにしろ自衛隊には用途廃止された装備を保管する場所が無く、近年退役したMLRSさえ解体しています。ロシア軍が2014年に廃棄されたT-62を再生しウクライナへ派遣していますが、駐屯地に展示されている61式戦車や60式装甲車でも修理し再生できれば御の字ですが流石に腐食度合いから現実的に再生は難しい。

 74式戦車がまだ100両程度残っていますので、これも873両生産したことを考えれば少なくなったものですが、これを延命するという選択もあるのかもしれません。このほかに、残っている装備があるとするならば、古い106mm無反動砲くらい、補給処に積まれているのかもしれません。ただ、徴兵制を敷くとして精々装備がこの程度という現実があります。

 M-1小銃と残っていればM-1919A6機関銃、いっそBARでもあれば分隊支援火器に最適なのでしょうか。車両はトラックがただでさえ不足しているので地方協力本部のバンと指揮車はプリウス、敵の戦車がきたら106mm無反動砲と、火炎瓶くらいは使える、今の状況で徴兵制などを行いますと、軍隊というよりチキチキマシン猛レース的な状況ですよ、ね。

 徴兵制云々よりも、やはりまともな装備をそろえることの方が先決です、ウクライナはM-113装甲車やT-72戦車などを友好国から大量に供与されていますが、一応日本は世界第三位の経済大国という地位にあり、時刻で国防の予算を出したくないので恵んでくれ、と友好国に願い出たとしても、そんなものならば日本よりウクライナ最前線へ送るでしょう。

 要するに装備が現時点で現役部隊でも充分とは言い難い中で徴兵制を日本が行ったとしてもまともな戦力にはできないということ。そしてベビーブーム到来中ならばともかく少子高齢化の時代には、若者は居るにしてもロシア軍のように無茶苦茶な戦死者を前提として使い捨てる運用よりは、せめて全員をまともな装甲車に乗せる必要があるのではないかと。

 三菱機動装甲車、最低でも96式装輪装甲車や軽装甲機動車に乗せるか、高機動車に乗せるにしても間合いを持って任務に向かえるよう中距離多目的誘導弾や軽対戦車誘導弾が潤沢に必要となります。するとこれらは税金で購入するのですから、国民の10%を徴兵し上記の一億円程度の装甲車に乗せるためには国民90%の税金で買うということに他なりません。

 陸上自衛隊の隊員はに全人口の0.01%強ですので、志願制の現時点で0.1%の自衛官の装備と給与などを99.99%の国民が支えている構図です、これを仮に徴兵で人口の1%とした場合でも装備や生活面での支える国民の負担は100倍になる、ということなのですね。装備を増やす必要はありますが、駐屯地や演習場ももっともっと必要となる、可能なのか、と。

 自衛官の応募者が少ない点などを徴兵制志向の論拠とされる方が居ますが、それは2010年度から自衛官候補生制度など、幹部自衛官以外の自衛官が事実上の非正規公務員となったためです、拘束時間が長く残業代制度のない非正規雇用が、ほかの企業や公務員、正規雇用へ志願者をとられた構図です。この点は混同せず別個の問題だと、考えねばなりません。

 自衛官候補生制度という数年間だけの期間雇用に、曹候補学生という事実上の非正規公務員制度を改めれば、職業が安定しているというだけで若者は選択肢に自衛官を加えられる、また今の自由時間にも門限という意味不明の制度を切り替え、自衛隊は防衛に専念できる体制に切り替えるだけでも、働きやすい職場となります。これこそ防衛力の基盤でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-舞鶴,海軍の街舞鶴は東舞鶴駅前で頂く今宵最初の晩酌を巡る

2022-11-03 14:44:41 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 舞鶴は日本海防衛の要衝で鎮守府の街を受け継いだ総監部の街です。

 炭火やきとり松平、ああ、大将変わったのかと嘆息しつつ。ここは東舞鶴駅前、メイン通りを南へ基地の方へと歩み進めますと大きなタクシー会社のモータープールがありますが、そこから気持ちもう少しだけ歩み進めたところに、昔は焼き鳥大吉さんがありました。

 大吉から松平、大将さんがかわったのでしょうか。大吉さんといえばチェーン展開、フランチャイズチェーンで食材は供給するが価格設定や限定メニューなどはそのお店の大将さんの裁量に任されている、自由な気風であるようで、喫茶店と珈琲会社の関係に近いのか。

 プレミアムモルツと消毒用アルコール、これも時代というものですよね。エチルアルコールといいますか飲料メーカーがCOVID-19感染初期には消毒用アルコール不足を補うべく緊急性さんしていましたが、あれをコーラにいれるとどうなるか、友人と話し合ったもの。

 ビールとともに、見上げる風景は自宅でも庭でもベランダでも当然できる情景と構図なのですが、こう、木のどっしりとしたカウンターに身を預けまして、注ぐのもお店で出すのもお店でお片づけさえもお店でありわたしは客でただ静かに呑む、これがお店の醍醐味と。

 馬力を、ようするにニンニクの紫蘇漬けなのですが、素早く出てきます一品とともに注文しました焼き物が焼きあがる様子を目の前でみます、基本的にカウンターの配置はここが大吉さんであった頃と同じ、いや大吉さんのころは大混雑、これはCOVID-19の影響故か。

 焼き鳥のぶたばら身を二本、タレかシオかは悩むところですが。わが家は焼鳥屋さん、という電熱調理装置を好奇心で買ったのはコロナが一番厳しい頃か、ブレインフォグという後遺症でまともに仕事できなくなった方の話を聞きますと文章を大切にする身には厳しい。

 豚バラは北海道ではこれも焼き鳥というらしい、考えれば小樽へフェリーがでています。実際に新千歳空港で焼き鳥がぶたさんだったときはそっちょくに驚いたものですが、しかしあのJR千歳駅前の公園の方に歩くと見える大きな焼鳥屋さんもそうなのだろうか、なあ。

 ねぎま、タレが照明に反射して輝いている、この二本づつという注文方式が増えているのですが。考える手間はないのですが、いろいろな部位を食べたいときにはちょっと使いにくい注文方式です、これもコスト管理といいますか薄利多売を両立させる為なのだろうか。

 二本づつよいうよりも、盛り合わせで自由に食べたいものです、大将お任せ5本とか10本とか。それも一皿ではなく焼きあがった順番に五月雨式に、そのあつあつをふうふういいながらかじり食べ、そして呑む、こういうのが一つの焼鳥屋の楽しみだと思っていました。

 松平の夜はこれから、いや夜もこれからなのです。さてさて、宵の口なのですが、舞鶴基地の夜景撮影にもいきたいところ、ここから基地までは徒歩で少し、散策するかもう少し混雑していない店で晩酌の続きとするか日本海の幸をホテルに持ち帰るか、さあ夜の始まりです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナへホーク地対空ミサイル供与,旧式だが日本で現役-アメリカがNASAMSミサイルに続いて供与決定

2022-11-03 07:01:41 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 三連装発射装置の威容というこの装備は陸上自衛隊では旧式装備に分類されつつも能力向上改修を積み重ね今でも現役の装備だ。

 アメリカ政府はウクライナへホーク地対空ミサイルの供与を決定しました。アメリカに先んじてスペイン政府がスペイン軍の保有するホーク地対空ミサイル2セットの供与を発表しており、これに続くものとなります。ウクライナ政府が求めたロシア軍巡航ミサイル攻撃やイラン製無人機に備える近代的な防空システムとして供与される若干古い装備です。

 ホーミングオールウェイズキラーHAWKミサイル、陸上自衛隊でも長らく運用しており1961年から導入が開始されました、ただ60年代のシステムをそのまま使っているわけではなく、原型のホークミサイルは1000m以下の中低空目標や10000m以上の高空目標に対処できないという、いまの視点からは牧歌的なミサイルで、三度にわたり改修されました。

 射程50km、有効射高20000mで速度はマッハ2.5、戦域防空ミサイルとしては優秀なミサイルです。こういいますのもミサイル本体は1959年に開発されたもので直径が370mmと現代の地対空ミサイルと比較すれば異様に太く、このために先端的な半導体などを用いた誘導装置の追加に対応できる容量があったためでした。大量に配備されるも退役は進む。

 ウクライナへホークミサイルが供与された場合、無人機攻撃を有効に防ぐことは可能なのでしょうか。50kmに及ぶ射程は優秀ですが、アメリカ軍では最後まで運用を続けたアメリカ海兵隊が20年前の2002年に用途廃止しており、能力向上が行われていません。ただ、スペイン軍やギリシャ軍、台湾と韓国にイスラエル、UAEや陸上自衛隊などで現役です。

 AN/MPQ-50レーダーについて、その探知能力は1平方メートルの目標を79kmで探知識別し、3平方メートルの目標であれば104kmで探知識別が可能という、F-15戦闘機は10平方メートル、ステルス性に配慮したF/A-18E戦闘攻撃機で1平方メートルのRCSレーダー反射面積とされています。ロシア軍戦闘機に対し有効ですが、小型無人機へは未知数だ。

 短距離弾道ミサイルに対してはある程度有効とされ、その背景にはアメリカ海兵隊が陸軍防空砲兵の採用したペトリオットミサイルを採用しなかったため、海岸堡などを防衛するために必要な能力として能力向上の際に盛り込まれたという背景がある。一方、ウクライナへはアメリカは最新型と云い得るNASAMS地対空ミサイル供与を決定しています。

 NASAMSはAMRAAM空対空ミサイルを地対空ミサイルとしたもので、射程は25km以上とされています。遙かに新しいミサイルシステムなのですが、AMRAAMは対戦闘機用を想定した空対空ミサイルであり、もともと巡航ミサイルへの対処能力は求められていませんでした、その後の改修により十分な性能を有したといされるのですが、さてさて。

 アメリカとしては射程の長いペトリオットミサイルシステムの供与がウクライナ軍の運用能力の限度を超えると考えたか、ロシア政府を刺激すると考えた結果、非常に古いが射程と信頼性の大きいホークミサイルを供与する事としたのでしょう。ただ、具体的な疑問で現在何発程度のホークミサイル備蓄がアメリカにあるのか、これについては未知数です。

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