■海上自衛隊六〇周年観艦式
これが日本の海上防衛力だという特集を今回から紹介します。
海上自衛隊60周年観艦式を海上自衛隊70周年国際観艦式の実施されました本年からその様子を紹介しましょう。この60周年観艦式は今年行われた国際観艦式とは規模が根本から大きく、よくぞここまで護衛艦を集めたものだ、堂々の観艦式に驚かされたものでした。
十年前の観艦式、驚くのはこのころにFOIPも艦隊これくしょんも存在しなかったということです。そして日本の防衛は、このままなにもせずに時間を空費するならば、大陸中国に一国平和主義を掲げる日本は単独で立ち向かう必要さえありました、本土決戦主義的に。
海上防衛というものは、考えれば日本の防衛はゲオポリティクス的なハートランドとリムランドの関係、このゲオポリティクスの提唱者は中華思想的影響を多少なりともうけていたのでしょうが、太平洋に面した海洋国家でありながら発想が大陸的なものという印象だ。
FOIP自由で開かれたインド太平洋、日本の防衛はこの10年間で大きく転換しましたが、その最たるものは護衛艦いずも型を中心として行われるインド洋地域へプレゼンスオペレーション、ポテンシャルオペレーションと言い換えるべきと信じるのですが、この開始で。
もっと世界の国々と協力する関係を深めてゆこう、プレゼンスオペレーションの背景にはこうしたものがあります。そして、単なるヘリコプター母艦というヘリコプター搭載護衛艦の位置づけが陸上自衛隊のV-22可動翼機の導入、そして次の段階の航空機導入でかわる。
F-35B戦闘機、F-35A戦闘機の導入は野田政権時代の決断ですが、安倍政権ではF-35A戦闘機の従来のF-4EJ戦闘機後継という位置づけからF-15Jの一部を置き換えるとともに、護衛艦からさえも発着可能というF-35B戦闘機の導入へ転換したのですね、意味は大きい。
プレゼンスオペレーション、日本はいわばFOIPのステイクホルダーとして参画するために海上防衛力が実のところ最適ではあるのですが、そのためのポテンシャルを示すには離れた地域へ一定のパワープロジェクション能力を護衛艦に付与させる必要性がありました。
十年一昔、こういうものですがこの観艦式が挙行されました2012年は、あの東日本大震災、2011年3月11日から一年以上を経ているのですが、その記憶は一年以上を経てなお鮮やかであり、しかし政権は民主党政権から自民党公明党連立政権へと転換した直後という。
FOIP自由で開かれたインド太平洋、安倍政権が提唱しアジア太平洋という概念からインド太平洋という二つの大洋を結ぶ国際関係へ、ダイナミズムという転換期を迎えつつありましたのが、この2012年という時代です。これはマルチラテラリズムといういみで、です。
多極化時代、考えてみますと京都大学の高坂学派は冷戦時代から多極化時代という認識で国際関係を研究していましたが、安倍政権の外交ブレーンたちはこの門下生がおおく、そして外務省にも多く、神川学派の戦後体系化の分散とは一線を画した認識といえました。
田岡良一の国際法学派からの影響、もともと司法は国際慣習法の時代から大国と小国の関係を国際関係の慣行と慣習の整合化という、多極化を志向していた概念とみることもできるのですが、高坂教授の国際関係の理念は根底に田岡良一教授の影響をみる事ができます。
神川先生の時代は日本の国際関係を考える場合、なにしろ東京帝国大学の時代ですので戦前の国際観に依拠した多極化というよりも大国間関係という認識が基盤としてあり、これはいまでの比較的容易に入手できる全集を読んでみても幾つかき付かされることでしょう。
マルチラテラリズムの認識は、これは国際政治という認識から世界政治という認識という非国家主体の国際公序醸成への影響という、2000年代と比較しますと2020年代には非国家主体の関与度合いは若干後退したのか、分散した印象も受けますが、合致する点もある。
FOIPの認識とマルチラテラリズムとの関係ですが、従来のアジア太平洋という認識では、アジアは中国で太平洋はアメリカ、いやアジアには日本も韓国も東南アジアもあるし太平洋にはオセアニアも太平洋諸国も、という反論はあるでしょうが、二元的構図に違いない。
二極論、こうしますと日本の位置づけが非常に微妙なたち位置となります、もちろん大東亜共栄圏を掲げていました1940年代の日本であれば、二極論の一方に陣営をくむことはできるのかもしれませんが、アメリカと中国、どちらかに一方で対抗できる国力はもうない。
単極化とは1990年代にソ連崩壊の後の国際関係はアメリカ一極となる認識が一応は存在していました、これは国力をハードパワーだけではなくソフトパワーという部分も含めてです。ただ、2010年代に入りますと、ハードパワーでは競合国が生まれてくるという認識が。
ソフトパワーの国際関係、やはり世界政治というものは認識の領域が広いものですから敢えてこの単語を選択するのですが、この点については、アメリカの認識、いや欧米と言い換えてもよいのでしょうか、幾分強いよう考えるのです、それは個人のポテンシャルから。
自由主義と社会主義という認識は、民主主義と権威主義というように微妙に変化しているといえます、社会主義というには中国は資本の共有が偏りすぎていますし、安易に自由主義国と区分することはできません、すると政治システムの部分から類別する手法をとる。
権威主義国は個人の価値観を国家が定型化するのにたいして、民主主義国は自由主義という選択肢を国家が選ぶこと、個人の価値観についてを内心の自由として、いわば尊重される制度である。ここでどちらが良いかをとう結論がソフトパワーの強さと解釈できうる。
アジア太平洋の概念では、日本という位置が明確に示すことが難しい、一方で、再度日本に高度経済成長時代のような年率10%の経済成長は、10%成長ならば7年で経済力は2倍となり物価も連動する、そんなものは望めないのですし、軍事力も今更核開発しても、と。
二極構造では、日本と中国という構図では日本がアメリカを凌駕する国力をもつ、ちょっと考えにくい構図となりますし、中国ではなく日本がアジアの中心としてアジア30億の代表を担うという概念、1940年代に潰えました、すると多極化しか生き残る手段はなくなる。
FOIPはその発想の延長であり、インド太平洋と二つの大洋を結ぶ概念に意味があります、インド太平洋という概念ならば人口で中国に対抗しうるインドが加わる、こう考えるだけではなく二つの大洋を結ぶ国際関係という認識を加えれば、もう一つの要諦が加わります。
ヨーロッパは地中海地域がアラビア半島を通じてインド太平洋地域に隣接していますし、なによりも知的財産と先端工業の集約拠点というヨーロッパの地政学的用件はアジアと車輪の両輪が如く相関関係を有していますので、地域安全保障にも大きく関与する余地が。
安倍政権の時代から日本と各国の防衛関係は大きく前進している、FOIPの概念とともにインド海軍東部艦隊司令官が、小さくない規模の艦隊とともに横須賀基地を親善訪問したことは記憶するところです、いわばFOIPはインドを国際政治の頂に持ち上げた構図というわけなのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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これが日本の海上防衛力だという特集を今回から紹介します。
海上自衛隊60周年観艦式を海上自衛隊70周年国際観艦式の実施されました本年からその様子を紹介しましょう。この60周年観艦式は今年行われた国際観艦式とは規模が根本から大きく、よくぞここまで護衛艦を集めたものだ、堂々の観艦式に驚かされたものでした。
十年前の観艦式、驚くのはこのころにFOIPも艦隊これくしょんも存在しなかったということです。そして日本の防衛は、このままなにもせずに時間を空費するならば、大陸中国に一国平和主義を掲げる日本は単独で立ち向かう必要さえありました、本土決戦主義的に。
海上防衛というものは、考えれば日本の防衛はゲオポリティクス的なハートランドとリムランドの関係、このゲオポリティクスの提唱者は中華思想的影響を多少なりともうけていたのでしょうが、太平洋に面した海洋国家でありながら発想が大陸的なものという印象だ。
FOIP自由で開かれたインド太平洋、日本の防衛はこの10年間で大きく転換しましたが、その最たるものは護衛艦いずも型を中心として行われるインド洋地域へプレゼンスオペレーション、ポテンシャルオペレーションと言い換えるべきと信じるのですが、この開始で。
もっと世界の国々と協力する関係を深めてゆこう、プレゼンスオペレーションの背景にはこうしたものがあります。そして、単なるヘリコプター母艦というヘリコプター搭載護衛艦の位置づけが陸上自衛隊のV-22可動翼機の導入、そして次の段階の航空機導入でかわる。
F-35B戦闘機、F-35A戦闘機の導入は野田政権時代の決断ですが、安倍政権ではF-35A戦闘機の従来のF-4EJ戦闘機後継という位置づけからF-15Jの一部を置き換えるとともに、護衛艦からさえも発着可能というF-35B戦闘機の導入へ転換したのですね、意味は大きい。
プレゼンスオペレーション、日本はいわばFOIPのステイクホルダーとして参画するために海上防衛力が実のところ最適ではあるのですが、そのためのポテンシャルを示すには離れた地域へ一定のパワープロジェクション能力を護衛艦に付与させる必要性がありました。
十年一昔、こういうものですがこの観艦式が挙行されました2012年は、あの東日本大震災、2011年3月11日から一年以上を経ているのですが、その記憶は一年以上を経てなお鮮やかであり、しかし政権は民主党政権から自民党公明党連立政権へと転換した直後という。
FOIP自由で開かれたインド太平洋、安倍政権が提唱しアジア太平洋という概念からインド太平洋という二つの大洋を結ぶ国際関係へ、ダイナミズムという転換期を迎えつつありましたのが、この2012年という時代です。これはマルチラテラリズムといういみで、です。
多極化時代、考えてみますと京都大学の高坂学派は冷戦時代から多極化時代という認識で国際関係を研究していましたが、安倍政権の外交ブレーンたちはこの門下生がおおく、そして外務省にも多く、神川学派の戦後体系化の分散とは一線を画した認識といえました。
田岡良一の国際法学派からの影響、もともと司法は国際慣習法の時代から大国と小国の関係を国際関係の慣行と慣習の整合化という、多極化を志向していた概念とみることもできるのですが、高坂教授の国際関係の理念は根底に田岡良一教授の影響をみる事ができます。
神川先生の時代は日本の国際関係を考える場合、なにしろ東京帝国大学の時代ですので戦前の国際観に依拠した多極化というよりも大国間関係という認識が基盤としてあり、これはいまでの比較的容易に入手できる全集を読んでみても幾つかき付かされることでしょう。
マルチラテラリズムの認識は、これは国際政治という認識から世界政治という認識という非国家主体の国際公序醸成への影響という、2000年代と比較しますと2020年代には非国家主体の関与度合いは若干後退したのか、分散した印象も受けますが、合致する点もある。
FOIPの認識とマルチラテラリズムとの関係ですが、従来のアジア太平洋という認識では、アジアは中国で太平洋はアメリカ、いやアジアには日本も韓国も東南アジアもあるし太平洋にはオセアニアも太平洋諸国も、という反論はあるでしょうが、二元的構図に違いない。
二極論、こうしますと日本の位置づけが非常に微妙なたち位置となります、もちろん大東亜共栄圏を掲げていました1940年代の日本であれば、二極論の一方に陣営をくむことはできるのかもしれませんが、アメリカと中国、どちらかに一方で対抗できる国力はもうない。
単極化とは1990年代にソ連崩壊の後の国際関係はアメリカ一極となる認識が一応は存在していました、これは国力をハードパワーだけではなくソフトパワーという部分も含めてです。ただ、2010年代に入りますと、ハードパワーでは競合国が生まれてくるという認識が。
ソフトパワーの国際関係、やはり世界政治というものは認識の領域が広いものですから敢えてこの単語を選択するのですが、この点については、アメリカの認識、いや欧米と言い換えてもよいのでしょうか、幾分強いよう考えるのです、それは個人のポテンシャルから。
自由主義と社会主義という認識は、民主主義と権威主義というように微妙に変化しているといえます、社会主義というには中国は資本の共有が偏りすぎていますし、安易に自由主義国と区分することはできません、すると政治システムの部分から類別する手法をとる。
権威主義国は個人の価値観を国家が定型化するのにたいして、民主主義国は自由主義という選択肢を国家が選ぶこと、個人の価値観についてを内心の自由として、いわば尊重される制度である。ここでどちらが良いかをとう結論がソフトパワーの強さと解釈できうる。
アジア太平洋の概念では、日本という位置が明確に示すことが難しい、一方で、再度日本に高度経済成長時代のような年率10%の経済成長は、10%成長ならば7年で経済力は2倍となり物価も連動する、そんなものは望めないのですし、軍事力も今更核開発しても、と。
二極構造では、日本と中国という構図では日本がアメリカを凌駕する国力をもつ、ちょっと考えにくい構図となりますし、中国ではなく日本がアジアの中心としてアジア30億の代表を担うという概念、1940年代に潰えました、すると多極化しか生き残る手段はなくなる。
FOIPはその発想の延長であり、インド太平洋と二つの大洋を結ぶ概念に意味があります、インド太平洋という概念ならば人口で中国に対抗しうるインドが加わる、こう考えるだけではなく二つの大洋を結ぶ国際関係という認識を加えれば、もう一つの要諦が加わります。
ヨーロッパは地中海地域がアラビア半島を通じてインド太平洋地域に隣接していますし、なによりも知的財産と先端工業の集約拠点というヨーロッパの地政学的用件はアジアと車輪の両輪が如く相関関係を有していますので、地域安全保障にも大きく関与する余地が。
安倍政権の時代から日本と各国の防衛関係は大きく前進している、FOIPの概念とともにインド海軍東部艦隊司令官が、小さくない規模の艦隊とともに横須賀基地を親善訪問したことは記憶するところです、いわばFOIPはインドを国際政治の頂に持ち上げた構図というわけなのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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