■特報:世界の防衛,最新論点
今回は世界の装甲戦闘車に関する話題を集めたのですが、見れば見る程89式装甲戦闘車の防御力は1980年代のものであり、せめて車体を40tに強化できるよう再設計しなければならないと痛感させられます。
イタリア陸軍はダルド装甲戦闘車の延命改修を実施します。イタリア陸軍は現在AIFV装甲歩兵戦闘車計画を進めていますが、この配備は2026年以降となり、場合によっては更に遅延する可能性もあることから、ダルド装甲戦闘車135両を改修する方針です。ダルドは別名VCC-80, Veicolo Corazzato da Combattimento80は80年代型装甲戦闘車の意味だ。
ダルド装甲戦闘車は1980年代における装甲戦闘車を企図し1986年には完成しているのですが、イタリア経済の悪化を受け量産開始が遅れに遅れ、制式化が完了したのは1998年、量産開始は2003年と、試作車完成から17年も後の事で、戦闘重量は23.4tと軽量、武装は25mm機関砲とTOW対戦車ミサイルですが車体はアルミ合金製、設計が古いのです。
近代化改修はエンジン出力の強化と火器管制装置の更新に防弾性能強化などが盛り込まれる見込みです。エンジンは520hpであり、また装甲が1970年代に主流であった防弾アルミニウム合金である為に対戦車火器への脆弱性が指摘されています。なお、AIFV計画の後に、ダルドの車体は自走迫撃砲や指揮通信車等への転用が検討されているとのことです。
■スロバキアのCV-90
CV-90の採用国がまた増えるようですがCV-90はもともと20t台の車両であったものを改良により35t級となりました、日本も89式装甲戦闘車の防御力強化は可能と思う。
スロバキア共和国とチェコ共和国はCV-90装甲戦闘車の共同調達を検討しているという。これはスロバキアのヤロスラフナド国防相とチェコのヤナチェルノホワ国防相が8月27日にスロバキアのクチナ空軍基地にて行われたSIAFスロバキア国際航空祭の会場において表明したもので、チェコとスロバキア、二つに分離した国家の安全保障面での協力です。
CV-90装甲戦闘車はスウェーデンのヘルグラント社が開発し、現在はBAE系列のBAEシステムズヘルグラント社が供給している装軌式装甲戦闘車です、これは汎用性の高い車体に基本型はボフォース40mm機関砲を搭載していますが、30mm無人砲塔や35mm機関砲に砲塔を載せず遠隔操作式銃搭を搭載するなど、様々な用途に対応する装甲戦闘車です。
スロバキアは先行してCV-90の導入を決定していて、スロバキア国内の防衛産業との予備部品生産や定期整備などBAEシステムズヘルグラント社と調整中です。この整備基盤にチェコが参加する事で運用基盤や予備部品備蓄などを効率化できるとしています。両国は旧式化したソ連製BMP-1,BMP-2やライセンス生産したBVP-1,BVP-2を置換える構想です。
■米軍がリンクスを検討
リンクス装甲戦闘車は歩兵が多数乗っているからこそ損耗から守るという思想で50t規模となった装甲戦闘車だ。
アメリカDEVCOM-GVSC陸軍戦闘能力開発コマンド地上車両システム センターはリンクス装甲戦闘車の試験を開始します。これはミシガン州スターリングハイツにあるアメリカンラインメタルヴィーグルス社が9月6日に開発契約を締結したためであり同社はバージニア州レストンにあるアメリカンラインメタルシステムズ社の子会社となっています。
OMFV有人戦闘車両としてラインメタル社はリンクス装甲戦闘車を提示する計画です。興味深いのはアメリカ陸軍が2008年に開発中止したFCSフューチャーコンバットシステム将来戦闘車両の構成要素とリンクス装甲戦闘車は、重量を除き重なる点です。FCS計画では一つの共通車輛を元に戦車や装甲戦闘車と自走榴弾砲等の後継車を開発する計画でした。
リンクス装甲戦闘車は最大級の防御力を有する装甲戦闘車であり、戦闘重量は50tに達します、そして基本型は大口径機関砲を搭載する計画ですが、リンクス120として120mm滑腔砲を搭載したものが開発され、更に155mm榴弾砲モジュール砲塔はリンクスにも搭載可能とされています。もっとも、FCSは重量を20t以下としC-130で輸送する計画でした。
■KF-41リンクスにミサイル
KF-41リンクスはミサイルが搭載されていなかったのですが遂に追加される事となる。
ドイツのラインメタル社はKF-41リンクス装甲戦闘車へスパイクLR対戦車ミサイルの適合試験を進めています。ラインメタル社がプライベートベンチャーにより開発したリンクス装甲戦闘車は、増加装甲の装着により戦闘重量が50tに達する装甲車両であり、開発当初は非常識な重装甲と目されていましたが、近年は人命重視として評価されています。
しかしリンクス装甲戦闘車は30mm機関砲か35mm機関砲を搭載、これはラインメタル社の傘下となったスイスのエリコン社やドイツ企業であるマウザー社の機関砲を採用した為で、オプションとして120mm機動砲型も開発されていますが、装甲戦闘車としての性能を維持しつつ、戦車と遭遇戦となった場合への戦闘能力は欠如している問題が在ったのです。
スパイクLR対戦車ミサイルはイスラエルのラファエル社が開発したもので射程は4km、この距離で700mmの圧延均一装甲を貫徹します、35mm機関砲の有効射程は3kmであり、しかもAP弾を用いた場合での貫徹力は戦車を撃破するには不十分となっています、スパイクLR対戦車ミサイルの搭載は、高度な火器管制装置と併せ戦闘力を強化する事となります。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は世界の装甲戦闘車に関する話題を集めたのですが、見れば見る程89式装甲戦闘車の防御力は1980年代のものであり、せめて車体を40tに強化できるよう再設計しなければならないと痛感させられます。
イタリア陸軍はダルド装甲戦闘車の延命改修を実施します。イタリア陸軍は現在AIFV装甲歩兵戦闘車計画を進めていますが、この配備は2026年以降となり、場合によっては更に遅延する可能性もあることから、ダルド装甲戦闘車135両を改修する方針です。ダルドは別名VCC-80, Veicolo Corazzato da Combattimento80は80年代型装甲戦闘車の意味だ。
ダルド装甲戦闘車は1980年代における装甲戦闘車を企図し1986年には完成しているのですが、イタリア経済の悪化を受け量産開始が遅れに遅れ、制式化が完了したのは1998年、量産開始は2003年と、試作車完成から17年も後の事で、戦闘重量は23.4tと軽量、武装は25mm機関砲とTOW対戦車ミサイルですが車体はアルミ合金製、設計が古いのです。
近代化改修はエンジン出力の強化と火器管制装置の更新に防弾性能強化などが盛り込まれる見込みです。エンジンは520hpであり、また装甲が1970年代に主流であった防弾アルミニウム合金である為に対戦車火器への脆弱性が指摘されています。なお、AIFV計画の後に、ダルドの車体は自走迫撃砲や指揮通信車等への転用が検討されているとのことです。
■スロバキアのCV-90
CV-90の採用国がまた増えるようですがCV-90はもともと20t台の車両であったものを改良により35t級となりました、日本も89式装甲戦闘車の防御力強化は可能と思う。
スロバキア共和国とチェコ共和国はCV-90装甲戦闘車の共同調達を検討しているという。これはスロバキアのヤロスラフナド国防相とチェコのヤナチェルノホワ国防相が8月27日にスロバキアのクチナ空軍基地にて行われたSIAFスロバキア国際航空祭の会場において表明したもので、チェコとスロバキア、二つに分離した国家の安全保障面での協力です。
CV-90装甲戦闘車はスウェーデンのヘルグラント社が開発し、現在はBAE系列のBAEシステムズヘルグラント社が供給している装軌式装甲戦闘車です、これは汎用性の高い車体に基本型はボフォース40mm機関砲を搭載していますが、30mm無人砲塔や35mm機関砲に砲塔を載せず遠隔操作式銃搭を搭載するなど、様々な用途に対応する装甲戦闘車です。
スロバキアは先行してCV-90の導入を決定していて、スロバキア国内の防衛産業との予備部品生産や定期整備などBAEシステムズヘルグラント社と調整中です。この整備基盤にチェコが参加する事で運用基盤や予備部品備蓄などを効率化できるとしています。両国は旧式化したソ連製BMP-1,BMP-2やライセンス生産したBVP-1,BVP-2を置換える構想です。
■米軍がリンクスを検討
リンクス装甲戦闘車は歩兵が多数乗っているからこそ損耗から守るという思想で50t規模となった装甲戦闘車だ。
アメリカDEVCOM-GVSC陸軍戦闘能力開発コマンド地上車両システム センターはリンクス装甲戦闘車の試験を開始します。これはミシガン州スターリングハイツにあるアメリカンラインメタルヴィーグルス社が9月6日に開発契約を締結したためであり同社はバージニア州レストンにあるアメリカンラインメタルシステムズ社の子会社となっています。
OMFV有人戦闘車両としてラインメタル社はリンクス装甲戦闘車を提示する計画です。興味深いのはアメリカ陸軍が2008年に開発中止したFCSフューチャーコンバットシステム将来戦闘車両の構成要素とリンクス装甲戦闘車は、重量を除き重なる点です。FCS計画では一つの共通車輛を元に戦車や装甲戦闘車と自走榴弾砲等の後継車を開発する計画でした。
リンクス装甲戦闘車は最大級の防御力を有する装甲戦闘車であり、戦闘重量は50tに達します、そして基本型は大口径機関砲を搭載する計画ですが、リンクス120として120mm滑腔砲を搭載したものが開発され、更に155mm榴弾砲モジュール砲塔はリンクスにも搭載可能とされています。もっとも、FCSは重量を20t以下としC-130で輸送する計画でした。
■KF-41リンクスにミサイル
KF-41リンクスはミサイルが搭載されていなかったのですが遂に追加される事となる。
ドイツのラインメタル社はKF-41リンクス装甲戦闘車へスパイクLR対戦車ミサイルの適合試験を進めています。ラインメタル社がプライベートベンチャーにより開発したリンクス装甲戦闘車は、増加装甲の装着により戦闘重量が50tに達する装甲車両であり、開発当初は非常識な重装甲と目されていましたが、近年は人命重視として評価されています。
しかしリンクス装甲戦闘車は30mm機関砲か35mm機関砲を搭載、これはラインメタル社の傘下となったスイスのエリコン社やドイツ企業であるマウザー社の機関砲を採用した為で、オプションとして120mm機動砲型も開発されていますが、装甲戦闘車としての性能を維持しつつ、戦車と遭遇戦となった場合への戦闘能力は欠如している問題が在ったのです。
スパイクLR対戦車ミサイルはイスラエルのラファエル社が開発したもので射程は4km、この距離で700mmの圧延均一装甲を貫徹します、35mm機関砲の有効射程は3kmであり、しかもAP弾を用いた場合での貫徹力は戦車を撃破するには不十分となっています、スパイクLR対戦車ミサイルの搭載は、高度な火器管制装置と併せ戦闘力を強化する事となります。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)