北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都幕間旅情】清水寺,平安遷都前の寺院-平安の枕草子に源氏物語や今昔物語集に記された観音巡礼の賑わい

2022-11-17 20:00:41 | 写真
■賑わいは平安朝の頃から
 青空が広がり椛も色づく季節でしたからやはり清水寺は多くの拝観者が訪れ実に賑やかでした。

 紅葉の季節がやってきた。こう認識するところで、まだ椛も楓も鮮やかではあっても深紅の一面という紅葉最盛期までには時間があるところではあるのですが、こう色合いの移ろいを見ますと、いよいよ一年も終盤の冬に入るのだなあ、こう心に沁みるようなもの。

 鞍馬寺に広隆寺、平安遷都よりも遡る事この当地に信仰の庵を開いていました寺院は幾つかあるのですが、ここ清水寺もその一つです。清水寺は南都六宗の一翼を担う法相宗の寺院となっていますが、始まりは僧侶延鎮は夢のお告げを受け当地を巡った事に始まる。

 清水寺は、物凄い観光客、これはもう宗教関係なく拝観者というよりも観光客でにぎわうというところですが、不思議と混雑は情緒の一つを醸しているよう、それは清水寺の拝観通路が巨大な一方通行であり、一日10万20万は日常の様に拝観できるという順路による。

 西国三十三所第16番札所となりました寺院ですが、延鎮が清らかな水の湧く山麓に行くようお告げを受けたといい、そこで不思議な老人とであった事を縁として庵を開いた、そこに偶然といいますか、坂上田村麻呂が鹿狩りに訪れまして、延鎮と出会う事で歴史は動く。

 延鎮と坂上田村麻呂、普通ならば山道でであっても会釈して通り過ぎるようなものなのでしょうが、鹿狩りを行おうとする坂上田村麻呂に延鎮は生命の尊さを説き、やめるよう促しました、ただ坂上田村麻呂は懐妊の奥方に滋養のつくものを探しており、狩りを続けた。

 出会いのある寺院、こういう訳ではないのでしょうが坂上田村麻呂は初代征夷大将軍、こう射った矢は見事鹿に命中するのですが、その鹿は身篭っていて絶命の瞬間に小鹿を生む、その瞬間目の当たりにしまして坂上田村麻呂は後悔したのですね、そして仏教へ帰依する。

 坂上田村麻呂は桓武天皇に平安京造営を命じられた一人でして、実はこの時代まで日本はほぼ20年から30年おきに首都を転々とさせていたのですが、これが経済的に膨大な負担、平安京を千年の都とした数名の武人と官僚が居なければ日本は経済破綻していた可能性も。

 京都が京都たりえたというのは、幾つかの出会いと偶然とが積み重なったものなのですから、もちろん論拠と根拠を集積し学説まで昇華させるには個人では研究費という箍が厳しく響くところですが、状況証拠と伝承から想像を膨らませるのは知的好奇心をよく満たす。

 音羽山こと清水山は標高242m、ここからは想像にすぎないのですが坂上田村麻呂は仏教に帰依すると延鎮の庵に寄進を続け、大きな寺院としていました。経済破たんの瀬戸際にある古代日本を、音羽山の眼下に広がる平安京を最後の遷都とする事で守ろうとしたのか。

 観音霊場である清水寺は、ほんとうに賑やかでして、実のところ雑踏をかき分けて撮影するという表現が正しいように人波の凪を探して人のいない瞬間を撮影するのです。ただこの賑やかさというのは昔からと云いまして、それもコロナ前とか戦後とかの話ではない。

 枕草子、中世日本文学には枕草子に清水観音の縁日について触れているといいまして、さわがしきもの、その一例としてつまり雑踏は嫌あねえ的に挙げています。つまり21世紀にもこの当たりは観光客が多すぎる、と感じるのは千年前からの二番煎じ千番煎じという。

 源氏物語や今昔物語集にも記されているといいますから、歴史絵巻が流れる様に人の流れに身を任せ流れてゆくと共に、しかし寺院の懸造という構造は不変であっても眼下に広がる京都の市街地や木々の色合い雲の形に青い空と空気に香さえ、同じものは無いのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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消防航空機モジュールA-400MとKC-390で相次ぎ実験,ブラックサマー豪州山林火災とC-2輸送機消防機転用案

2022-11-17 07:01:44 | 防災・災害派遣
■大規模火災を考える
 日本にも必要という単語を安易に使わないように考えているのですが費用対効果が高く汎用性のある装備の活用方法については考えてしまう。

 エアバスA-400M輸送機とエンブラエルKC-390輸送機、新進気鋭の輸送機が今年相次いで消防装置の評価試験を実施しました。これは消防用航空機ではなく、既存輸送機に放水用モジュールを搭載することで短時間で輸送機を消防用に転換する、輸送機の汎用性を示したものですが、これの機能は我が国のC-2輸送機にも必要な能力ではないでしょうか。

 山林火災、懸念するのは気候変動により我が国においても大規模な森林火災が発生する危惧があり、消防車の入れない錯綜地形、防災ヘリコプターや自衛隊のヘリコプターが搭載するバンビバケットによる消火だけでは対応できないような火災を、防災リスクとして考える段階に来ているのではないかという事、この種の火災は北米や豪州で多発しています。

 オーストラリア森林火災、2019年から2020年に発生した森林火災では、その喪失面積が例にないほど大きく、自然災害としては過去最大と視る学者もいるとのこと。実のところ例えばVEI火山爆発指数7以上の噴火に比較すると限られた被害にも思えるのですが、オーストラリアに限っていうならば、まぎれも無く史上最悪の自然災害といえるでしょう。

 ブラックサマーと呼ばれたこのオーストラリア森林火災、2022年2月にも600万平方メートルが焼失する森林火災があり、2020年から2022年までの火災では、例えばコアラだけで全生息数の三割が死亡し、オーストラリア政府は東部地域のコアラを絶滅危惧種に指定する深刻な事態となりました。日本の防災はかつては水害、地震と津波に偏重しています。

 オーストラリア山林火災は、かなり高い火災旋風が同時発生し地上やヘリコプターからの放水は出来ない状況であり、消火活動には限界がありました。影響は甚大で焼失地域では90%の動植物が死滅し、生態系ごと崩壊したと考えられる種もあり、半年後の雨季により、焼失地域の砂漠化は回避されたようですが、ひとたび火災が発生した場合の危険性を示す。

 C-2輸送機は各国が輸送機用に開発したモジュールをそのまま搭載可能です。消防といえばUS-2飛行艇を消防用機に転用する選択肢もあるのでしょうが、US-2は外洋で発着できる点が強み、海水は船舶火災や沿岸工業地と都市火災の消火に有用ですが、森林火災に用いた場合は塩害の懸念が生じます、この点からC-2で、森林火災対処を検討するべきです。


北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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