北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】中華民国台湾-次期フリゲイト要員養成へ海外教育派遣と次世代潜水艦設計開始

2024-10-21 20:23:51 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 台湾海峡の緊張を背景に中華民国台湾の国防努力に関する幾つかの最近の話題を紹介しましょう。

 中華民国台湾は新型潜水艦開発を強化します。この計画には邦貨換算で1兆2900億円規模の費用を投じ、2038年までに完成させるとしています。中国海軍の軍事圧力が年々高まるとともに、台湾海軍の水上戦闘艦の旧式化も進む現状では、台湾有事において既存の大型水上戦闘艦はすべて撃沈されるという悲観的な研究結果があるほどです。

 潜水艦は重要な戦力となりますが、1988年に台湾がオランダから2隻の潜水艦を導入していこう、中国政府の圧力によりどの国も台湾へ潜水艦を販売することはなく、ブッシュ政権時代に8隻の通常動力潜水艦売却に関する交渉が行われていますが、アメリカには現在原子力潜水艦のみしか建造能力がなく、その後具体的進捗はありませんでした。

 海鯤型潜水艦、台湾はその後独自技術により国産潜水艦を建造し、2023年に蔡英文総統臨席の下で進水式を挙行、2025年に1番艦が就役する計画です。水中排水量2500tとされ8隻が建造される計画ですが、いまのところ性能面では傑出した部分ではなく、このため、今の時点から次世代潜水艦の建造が早い段階で認可されたという構図でしょう。
■機雷敷設艦増強
 日本の場合は掃海艇など機雷掃討を重視していますが費用対効果が最も高いといわれる機雷を台湾は重視しています。

 中華民国台湾海軍は機雷敷設艦6隻を増強するとのこと。台湾海軍は2019年から2021年に閔江級高速機雷敷設艦4隻を就役させています。これは満載排水量347tで全長41m、速力14ノットを発揮しFMLB高速機雷敷設艇と位置づけられてる。船体には20mmのT-75機関砲とT-74-7.62mm機銃が搭載、従来の老朽揚陸艦の機雷敷設任務を受け継いだ。

 閔江級高速機雷敷設艦、14ノットが高速であるのかということと347tは艇ではなく艦なのかという疑問はさておき、大型の機雷敷設艦では今後想定しなければならない台湾海峡有事では中国海軍艦艇の講堂県内では運用できないことを示しているといえて、この船体規模の採用は小型機雷を御身釣りに敷設できる能力が重視されているのかもしれません。

 台湾海軍が導入する新造機雷敷設艦はこの閔江級の追加建造となるのか、新型艦を建造するのかは未知数ですが、計画では2025年から2027年までに6隻を建造するとしています。台湾はアメリカから機雷輸入を強化しており、特に機雷は最も費用対効果の高い装備とされており、今後懸念される台湾海峡有事までに敷設能力を強化するのは狙いなのでしょう。
■新小銃T-112
 自衛隊も小銃についてはいろいろ試行錯誤がありました。

 中華民国台湾軍は新小銃T-112の量産を開始しました。台湾ではXM-177E2小銃のような形状のT-91小銃を正式小銃として配備していますが、これらの装備の老朽化が進んでおり、後継装備の国産開発を行っています。ただ、その形状については二転三転しており、部隊での評価試験を継続的に行い、その有用性や最適解模索をおこなってきました。

 FN-SCARと類似した形状のXT-97小銃試作銃を開発しており、このあたりは日本の20式小銃とにた開発過程を経ているのかもしれません。続いてやはり欧州の、しかし東欧のCZ-B1小銃と類似したXT-105小銃と類似した小銃を試験していましたが、結果的にT-91と大幅な形状変更は訓練を複雑化させると判断がなされ原点回帰した構図でしょう。

 T-112小銃は形状がM-4A1カービンの延長線上のような形状に落ち着いています。計画では2025年から部隊配備を開始することとなっていまして、レイルシステムを利用したモジュラー方式という昨今の最新鋭小銃にかんする世界的な潮流を踏襲するもよう。スコープやレーザーサイトといったモジュールオプションも同時に調達される見込みとのこと。
■次期フリゲイト要員
 あぶくま型はもちろんのこと、もがみ型でさえ厳しい戦闘海域には投入が難しいと海上自衛隊では言われていますのでノックス級なんかではもう。

 中華民国台湾は海軍次期フリゲイト要員養成へ海外へ教育要員を派遣したもよう。具体的には防空システム教育へ欧州とアメリカに人員を派遣したとしています。台湾海軍は基隆級としてアメリカ海軍から導入したキッド級ミサイル駆逐艦、OHペリー級ミサイルフリゲイトを改良した成功級巡防艦を運用していますが、同時に旧式艦も数多い。

 キッド級も1981年竣工で古いのですが、アメリカから貸与の後に購入に切り替えたノックス級フリゲイトなどがまだ現役で残ります。ギアリング級駆逐艦を2003年まで現役で運用し、第二次世界大戦中の駆逐艦いスタンダードミサイルを搭載し艦砲もOTOメララ社製76mm砲に切替え、その先にMD-500ヘリコプターまで、運用能力を付与しました。

 フリゲイト要員、キッド級とOHペリー級によりターターシステム要員は独力で養成できるため、イージスシステムの供与可能性があるのか、また欧州からはサンプソンレーダーやエイパーシステムなどの供与可能性はあるのか、中国海軍との戦闘では現在の水上戦闘艦では生き残れないとされている為、高度な防空システム供与の可否が重要となります。

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ウクライナ情勢-ウクライナ軍アンナネフト燃料貯蔵施設無人機攻撃成功とロシア契約軍人拡充努力

2024-10-21 07:00:18 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ情勢
 F-16よりも無人機が戦果を挙げている印象ですが。

 ウクライナ軍参謀本部はアンナネフト燃料貯蔵施設への無人機攻撃を成功させたと発表しました、当該施設はヴォロネジ州にある。。これは10月4日付ISWアメリカ戦争研究所ウクライナ戦況報告によるもので、複数ある燃料貯蔵施設のうち少なくとも一つを破壊したとし、燃料貯蔵移設の破壊状況などについて具体的な損害状況をあきらかにしました。

 ただ、ロシア側の発表としては、ヴォロネジ州知事のアレクサンドルグセフ氏が反論していて、ウクライナ軍無人航空機がロシア電子戦部隊の妨害により墜落し、中身の入っていない燃料貯蔵施設で火災が発生したとしています。ただ、攻撃を受けたことは発表し、燃料の入っていない施設で火災が発生したという発表には、矛盾があります。

 なおこの時期にウクライナ軍のハリコフ軍集団司令部はハリコフ市北方のリプシ地域においてウクライナ軍が七つのロシア軍陣地を奪還したと発表、ISWは踏み込んだ説明をさけていますが、ウクライナ軍無人機による弾薬集積所や燃料貯蔵庫への攻撃が繰り返され、ロシア軍の攻撃計画に影響を与えていることを暗に示している構図でしょう。
■防衛情報-ウクライナ情勢
 人的資源の限界が興味あるところ。

 ロシア軍は契約軍人への契約金に900億ルーブルを当てることを発表しました。これは10月5日付ISWアメリカ戦争研究所ウクライナ戦況報告に示されたものです。ロシアでは徴兵制が施行されていますが、ロシア国外での軍事作戦に徴兵要員は充てないとしており、契約軍人がウクライナでの軍事作戦に参加すると強調し続けています。

 900億ルーブルとはドル換算で9億4800万ドル、契約軍人は職業軍人をしめすもので、現在ロシア国防省は契約軍人に対して、契約時の一時金として40万ルーブル、ドル換算で4200ドルを支給、これは志願した時点で支払われる一時金となっています。4200ドルが支払われる場合、9億4800万ドルというのは22万5000名分となることを意味するもの。

 徴兵要員のウクライナ派遣をロシア政府が忌避している背景には、徴兵はモスクワやサンクトペテルブルクなどの大都市でも行われることから、これら要員をウクライナに派遣し、そして現在の一日あたりの高い損耗率の戦場に投入することは世論離反など大きなリスクに繋がることを自覚しているといえますが、契約軍人志願者は減り続けています。

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