■覚悟の平和主義
平和主義を単に安全保障を観ないだけの能天気の言いかえとしていたならば次の戦争は起こってしまうかもしれない。
日本の海洋国家としての現代について。こういう場合には将来を語るべきなのかもしれませんが、将来を形作るのは現代です。そして、戦後80年、昭和100年、Weblog北大路機関創設20年、最後のは別にどうでも良いのですが、日本の、一世代遅れた先進国としての能力が期待されるのかもしれない、こう考えるのです。
プロパテント政策を筆頭に、世界は、というよりも先進国は1990年代後半から製造業をサービス業に転換し、知的財産を念頭に収益構造を図る経済に転換、我が国でも第一次産業第二次産業を超えて最大の収益基盤は第三次産業へ転換を果たしたのちに21世紀を迎え、四半世紀を経たことになります、しかし日本の構造は。
製造業を捨てきれなかった先進国、という状況が日本なのですが、G7先進七カ国中では最大の造船業を有し、そしてこれも驚くべき事なのかもしれませんが、G7先進七カ国で戦車を製造している最後の一国となっている、レオパルト2やM-1A2エイブラムスは過去に製造された車両を近代化改修し供給しているに過ぎません。
航空産業は、統廃合を独禁法が制限した構図となっていますが、C-2輸送機とP-1哨戒機の国産という一つとって多国間国際共同生産によりスペインで生産しているA-400M輸送機とは対照的ですし、戦闘機国内生産基盤はF-2戦闘機生産終了ののちに消えていますが、三菱小牧南工場は維持された故、戦闘機生産再開は可能です。
造船業一つとって、アメリカでは現在、潜水艦や水上戦闘艦艇の建造能力が中国の建造能力よりも遙かに下回っている実情が危惧され、仮に米中軍事衝突となった場合にアメリカは最初に勝つことが出来ても、その大きな損耗から先に立ち直るのは中国が先である、という造船能力不足に警鐘を鳴らす報告書などが既にある。
護衛艦の建造、舞鶴では造船を終了してしまい実質日本で護衛艦を建造できるのは長崎と横浜に玉野、この三カ所となっています。もっとも潜水艦造船所は神戸に二カ所ありますし、長崎の建造能力は毎年複数隻を竣工させられる水準で、横浜では30000t程度の全通飛行甲板型護衛艦を量産することも不可能ではありません。
現代の安定を将来につなげるには、日本の造船能力を世界の安定に資するステイクホルダーとして機能させる覚悟が必要と考えます、簡単に言えば日本も護衛艦の世界への供給をおこなうという覚悟が必要だ、ということ。それは武器輸出三原則が解消された後にも残るガラスの天井というべき状況への覚悟も示唆して。
ヘリコプター搭載護衛艦の量産と供給、一つの方向性として考えるのは豪州やカナダ、可能であれば最も重視すべきはアメリカへ、供給することです。それはF-35B戦闘機を搭載可能である最小限の水上戦闘艦という意味で、中国はマルチエンジンステルス機開発を志向していますが、まだVTOL第五世代機の目処はありません。
現代を次の戦前にしないために、こういう論調が戦後80年という節目にあるように聞くのですが、中国経済は斜陽期を迎えているという論調と政策反映が顕在化しています、権威主義国家故にこの論調には一定のバイアスを視野に考えるべきですが、中国が一国主義から国際協調へ転換する日も、半世紀以内に来るかもしれない。
日本の防衛政策、その分水嶺は、上記の転換点までに軍事的冒険に出ることを抑止する、言い換えれば覚悟を以て封じ込め、外交により解決する、つまり1941年に日本がなしえなかったことで生じた悲劇の再来を回避させるための、あらゆる手段、憲法上の制約も超えた、講じる覚悟が必要となるように思うのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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平和主義を単に安全保障を観ないだけの能天気の言いかえとしていたならば次の戦争は起こってしまうかもしれない。
日本の海洋国家としての現代について。こういう場合には将来を語るべきなのかもしれませんが、将来を形作るのは現代です。そして、戦後80年、昭和100年、Weblog北大路機関創設20年、最後のは別にどうでも良いのですが、日本の、一世代遅れた先進国としての能力が期待されるのかもしれない、こう考えるのです。
プロパテント政策を筆頭に、世界は、というよりも先進国は1990年代後半から製造業をサービス業に転換し、知的財産を念頭に収益構造を図る経済に転換、我が国でも第一次産業第二次産業を超えて最大の収益基盤は第三次産業へ転換を果たしたのちに21世紀を迎え、四半世紀を経たことになります、しかし日本の構造は。
製造業を捨てきれなかった先進国、という状況が日本なのですが、G7先進七カ国中では最大の造船業を有し、そしてこれも驚くべき事なのかもしれませんが、G7先進七カ国で戦車を製造している最後の一国となっている、レオパルト2やM-1A2エイブラムスは過去に製造された車両を近代化改修し供給しているに過ぎません。
航空産業は、統廃合を独禁法が制限した構図となっていますが、C-2輸送機とP-1哨戒機の国産という一つとって多国間国際共同生産によりスペインで生産しているA-400M輸送機とは対照的ですし、戦闘機国内生産基盤はF-2戦闘機生産終了ののちに消えていますが、三菱小牧南工場は維持された故、戦闘機生産再開は可能です。
造船業一つとって、アメリカでは現在、潜水艦や水上戦闘艦艇の建造能力が中国の建造能力よりも遙かに下回っている実情が危惧され、仮に米中軍事衝突となった場合にアメリカは最初に勝つことが出来ても、その大きな損耗から先に立ち直るのは中国が先である、という造船能力不足に警鐘を鳴らす報告書などが既にある。
護衛艦の建造、舞鶴では造船を終了してしまい実質日本で護衛艦を建造できるのは長崎と横浜に玉野、この三カ所となっています。もっとも潜水艦造船所は神戸に二カ所ありますし、長崎の建造能力は毎年複数隻を竣工させられる水準で、横浜では30000t程度の全通飛行甲板型護衛艦を量産することも不可能ではありません。
現代の安定を将来につなげるには、日本の造船能力を世界の安定に資するステイクホルダーとして機能させる覚悟が必要と考えます、簡単に言えば日本も護衛艦の世界への供給をおこなうという覚悟が必要だ、ということ。それは武器輸出三原則が解消された後にも残るガラスの天井というべき状況への覚悟も示唆して。
ヘリコプター搭載護衛艦の量産と供給、一つの方向性として考えるのは豪州やカナダ、可能であれば最も重視すべきはアメリカへ、供給することです。それはF-35B戦闘機を搭載可能である最小限の水上戦闘艦という意味で、中国はマルチエンジンステルス機開発を志向していますが、まだVTOL第五世代機の目処はありません。
現代を次の戦前にしないために、こういう論調が戦後80年という節目にあるように聞くのですが、中国経済は斜陽期を迎えているという論調と政策反映が顕在化しています、権威主義国家故にこの論調には一定のバイアスを視野に考えるべきですが、中国が一国主義から国際協調へ転換する日も、半世紀以内に来るかもしれない。
日本の防衛政策、その分水嶺は、上記の転換点までに軍事的冒険に出ることを抑止する、言い換えれば覚悟を以て封じ込め、外交により解決する、つまり1941年に日本がなしえなかったことで生じた悲劇の再来を回避させるための、あらゆる手段、憲法上の制約も超えた、講じる覚悟が必要となるように思うのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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