■鎮魂-3.11
今年も3月11日がやってい参りました。
3.11、東日本大震災から13年目となりましたが、日本列島はあの3.11のような巨大地震と災厄には見舞われていないものの、熊本地震や能登半島地震と断続的な巨大災害に見舞われ続けています。そして、これは恐らく3.11の間接的な要因と考えることも出来ると思うのですが、2011年から続く電力不足は日本経済をむしばみ続けています。
国家規模の災害に対しては万全のリスクコントロールを行わなければ、十年単位二十年単位で国家に悪影響を受ける、いた、これは1923年関東大震災、これが大正デモクラシーの社会を一変させ昭和初期の破滅的な大東亜戦争と太平洋戦争に突入していった、この教訓から学ぶべきであったのかもしれませんが、今回はまだ手遅れではありません。
リスクコントロール、巨大災害として第一に考えなければならないのは南海トラフ連動地震、そして首都直下型巨大地震です。第一にと挙げつつ二つ並べるのかと批判はあるかもしれませんが、この二つは安全保障面で例えれば日中全面戦争と米ロ全面核戦争、というようなもので、次点を附けても日本に甚大な影響という点で同義、ということ。
南海トラフ連動地震は、昭和南海地震や昭和東南海地震と同程度であれば、リスク管理の範疇なのかもしれません、ただ、南海トラフは静岡県中部から本州太平洋沖と四国を機を通り日向灘まで伸びる巨大な海溝であり、歴史地震としては同時に全てが動きマグニチュード9規模の地震を引き起こしたことが例えば宝永地震など、複数確認される。
白鳳地震、仁和地震、永長地震、正平地震、康安地震、明応地震、慶長地震、宝永地震、安政東海地震、安政南海地震、南海トラフでの歴史地震はこうしたものが理科年表として確認されており、また2年間を挟んで昭和東南海地震と昭和南海地震、というようなものも発生、その一つとって熊本地震や新潟中越地震を上回る被害を及ぼす規模です。
歴史地震故に再来しない、というよりは逆に、もう少し地学的観点から東北地方太平洋沖地震というもののリスクを評価していたならば、たとえば東北電力の原子力施設と同程度の津波対策を東京電力が取っていたこととなるのでしょうし、被害を局限化する幾つかの施策に対して公共事業を集中させることは出来ていたのかもしれません。
現実的リスクとしてのリスクコントロールの視点とダメージコントロールというものをある程度考えなければならないのです。ただ、幾つかの施策で逆に東日本大震災の影響が次の南海トラフ巨大地震に対する対策強化を阻害しているのではないか、という危惧があるのです。一例といえば防衛力の転換や国土強靭化計画の遅延、などでしょうか。
防衛力については、東日本大震災の頃と比較して自衛隊のヘリコプター保有数が激減していますので、非常に残念なことですが次の南海トラフ地震に際して前回の東日本大震災のような大規模な空輸能力を発揮できない可能性がある。防衛費が挙がっているのにきゆうだろう、と思われる方は防衛費の金額しか見ていない事を気づくべきではないか。
国土強靭化計画の遅延は、東日本大震災に際して、次の地震が差し迫っているとして政府が正当な手続きを経ずして全国の原子力発電所を停止させ、更に高額なガスタービン火力発電など化石燃料に負担する枠組み、世界で最も割高な太陽光発電買取電力制度を開始したことで電気代全般が高騰したままとなってしまい、製造業が衰退していること。
対策強化には膨大な国費が必要ですが、その為には増税、というよりも日本全体の経済規模を強化することが不可欠です。特に毎年、震災前には殆どなかった、夏の節電要請、冬の節電要請、電力は足りていると豪語し原発不要論を掲げる方は居ますが節電要請を行っていること一つとっても不足は明らかで、製造業が日本から海外へ流出している。
自由貿易の時代ですのでコスト管理は何よりも重要で、日本の電力は電圧変化がなく高品質故にたかいのだ、という指摘もあるにはありますが、問題は全発電量の三割を超えていた原発を、法的根拠もなく停止したことで再開強制に法的根拠を置く事ができず、結局事なかれ主義、電力不足の責任と電気料金高騰の責任を曖昧としたことが原因だ。
日本の震災対策は、例えば道路網の強化による津波避難路は勿論、例えば沿岸部居住者への内陸部の万一の際に避難先となり得るセカンドハウス取得の税制優遇措置、港湾や空港設備の拡充と津波対策、津波避難高層ビルの沿岸過疎地建設、防波堤一つとって、いや確かに東日本大震災では世界最大の防波堤は破壊されているが、有用ではある。
道路網ともう一つ鉄道網は、逆に地方鉄道路線の赤字経営を払しょくする抜本的な施策はなく、東日本大震災では大活躍した鉄道貨物輸送、仙台市など東北地方の製油施設が津波により破壊された為に京浜地区より燃料輸送貨物救援列車が日本海縦貫線を活用し日本海側から東北地方まで燃料を輸送した、こうした緊急輸送措置が次も維持できるか。
ただ、この全般を見渡したうえで考えなければならないのは、現在の防災は都道府県が主力となり国が全力で支援する構図となっているのですが、そもそも都道府県の情報収集能力や通信と指揮能力、物資集積計画能力や防災インフラ整備能力の範疇に収まる災害、いや南海トラフ地震は都道府県能力にとり想定外ではないか、ということです。
想定外、というのは防災計画などを俯瞰しますと、地震単体の災害には万全であっても、地滑りを想定していない、津波被害を想定していない、原子力事故を想定していない、大規模火災の被害を想定していない、一つ抜け落ちただけでも、実際に機能しないものとなります、いや、平時のインフラを前提とした防災計画が比較的多いと気付く。
空輸一つとって、広域災害であれば空港が本当に無事なのか、それ以前に空港へ燃料を運ぶ道路網は無事なのか、想定される大規模なヘリコプターなどの救援を支えられる整備インフラ受け入れを想定しているのか、そもそも増援に駆け付けるヘリコプターの飛行場そのものが維持できない状況は広範囲の災害の場合に在り得ないのか、と問題が。
物資集積についても、いや東日本大震災の時には東北地方に支援を送ろうとした奈良県の県全体の備蓄食料が段ボール30箱分であったなど、大規模災害が少なかったからこそ、どの自治体も予算に潤沢な自治体などないという現代に在って、備え、というものがおろそかにされすぎてきていた、この状況は多少払拭されたものの、それでも十分かと。
国が主体となる、憲法の地方自治に関する条文さえある程度超法規的な措置を含むか場合によっては改憲さえ視野に含め、規格外の災害に対しては国が全般的な指揮中枢となり、これは生命の選択さえ含むのだけれども、防災対策と防災指揮の正面に立つ覚悟が必要なのではないか、と考えるのです。そのための非常事態法制も必要でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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今年も3月11日がやってい参りました。
3.11、東日本大震災から13年目となりましたが、日本列島はあの3.11のような巨大地震と災厄には見舞われていないものの、熊本地震や能登半島地震と断続的な巨大災害に見舞われ続けています。そして、これは恐らく3.11の間接的な要因と考えることも出来ると思うのですが、2011年から続く電力不足は日本経済をむしばみ続けています。
国家規模の災害に対しては万全のリスクコントロールを行わなければ、十年単位二十年単位で国家に悪影響を受ける、いた、これは1923年関東大震災、これが大正デモクラシーの社会を一変させ昭和初期の破滅的な大東亜戦争と太平洋戦争に突入していった、この教訓から学ぶべきであったのかもしれませんが、今回はまだ手遅れではありません。
リスクコントロール、巨大災害として第一に考えなければならないのは南海トラフ連動地震、そして首都直下型巨大地震です。第一にと挙げつつ二つ並べるのかと批判はあるかもしれませんが、この二つは安全保障面で例えれば日中全面戦争と米ロ全面核戦争、というようなもので、次点を附けても日本に甚大な影響という点で同義、ということ。
南海トラフ連動地震は、昭和南海地震や昭和東南海地震と同程度であれば、リスク管理の範疇なのかもしれません、ただ、南海トラフは静岡県中部から本州太平洋沖と四国を機を通り日向灘まで伸びる巨大な海溝であり、歴史地震としては同時に全てが動きマグニチュード9規模の地震を引き起こしたことが例えば宝永地震など、複数確認される。
白鳳地震、仁和地震、永長地震、正平地震、康安地震、明応地震、慶長地震、宝永地震、安政東海地震、安政南海地震、南海トラフでの歴史地震はこうしたものが理科年表として確認されており、また2年間を挟んで昭和東南海地震と昭和南海地震、というようなものも発生、その一つとって熊本地震や新潟中越地震を上回る被害を及ぼす規模です。
歴史地震故に再来しない、というよりは逆に、もう少し地学的観点から東北地方太平洋沖地震というもののリスクを評価していたならば、たとえば東北電力の原子力施設と同程度の津波対策を東京電力が取っていたこととなるのでしょうし、被害を局限化する幾つかの施策に対して公共事業を集中させることは出来ていたのかもしれません。
現実的リスクとしてのリスクコントロールの視点とダメージコントロールというものをある程度考えなければならないのです。ただ、幾つかの施策で逆に東日本大震災の影響が次の南海トラフ巨大地震に対する対策強化を阻害しているのではないか、という危惧があるのです。一例といえば防衛力の転換や国土強靭化計画の遅延、などでしょうか。
防衛力については、東日本大震災の頃と比較して自衛隊のヘリコプター保有数が激減していますので、非常に残念なことですが次の南海トラフ地震に際して前回の東日本大震災のような大規模な空輸能力を発揮できない可能性がある。防衛費が挙がっているのにきゆうだろう、と思われる方は防衛費の金額しか見ていない事を気づくべきではないか。
国土強靭化計画の遅延は、東日本大震災に際して、次の地震が差し迫っているとして政府が正当な手続きを経ずして全国の原子力発電所を停止させ、更に高額なガスタービン火力発電など化石燃料に負担する枠組み、世界で最も割高な太陽光発電買取電力制度を開始したことで電気代全般が高騰したままとなってしまい、製造業が衰退していること。
対策強化には膨大な国費が必要ですが、その為には増税、というよりも日本全体の経済規模を強化することが不可欠です。特に毎年、震災前には殆どなかった、夏の節電要請、冬の節電要請、電力は足りていると豪語し原発不要論を掲げる方は居ますが節電要請を行っていること一つとっても不足は明らかで、製造業が日本から海外へ流出している。
自由貿易の時代ですのでコスト管理は何よりも重要で、日本の電力は電圧変化がなく高品質故にたかいのだ、という指摘もあるにはありますが、問題は全発電量の三割を超えていた原発を、法的根拠もなく停止したことで再開強制に法的根拠を置く事ができず、結局事なかれ主義、電力不足の責任と電気料金高騰の責任を曖昧としたことが原因だ。
日本の震災対策は、例えば道路網の強化による津波避難路は勿論、例えば沿岸部居住者への内陸部の万一の際に避難先となり得るセカンドハウス取得の税制優遇措置、港湾や空港設備の拡充と津波対策、津波避難高層ビルの沿岸過疎地建設、防波堤一つとって、いや確かに東日本大震災では世界最大の防波堤は破壊されているが、有用ではある。
道路網ともう一つ鉄道網は、逆に地方鉄道路線の赤字経営を払しょくする抜本的な施策はなく、東日本大震災では大活躍した鉄道貨物輸送、仙台市など東北地方の製油施設が津波により破壊された為に京浜地区より燃料輸送貨物救援列車が日本海縦貫線を活用し日本海側から東北地方まで燃料を輸送した、こうした緊急輸送措置が次も維持できるか。
ただ、この全般を見渡したうえで考えなければならないのは、現在の防災は都道府県が主力となり国が全力で支援する構図となっているのですが、そもそも都道府県の情報収集能力や通信と指揮能力、物資集積計画能力や防災インフラ整備能力の範疇に収まる災害、いや南海トラフ地震は都道府県能力にとり想定外ではないか、ということです。
想定外、というのは防災計画などを俯瞰しますと、地震単体の災害には万全であっても、地滑りを想定していない、津波被害を想定していない、原子力事故を想定していない、大規模火災の被害を想定していない、一つ抜け落ちただけでも、実際に機能しないものとなります、いや、平時のインフラを前提とした防災計画が比較的多いと気付く。
空輸一つとって、広域災害であれば空港が本当に無事なのか、それ以前に空港へ燃料を運ぶ道路網は無事なのか、想定される大規模なヘリコプターなどの救援を支えられる整備インフラ受け入れを想定しているのか、そもそも増援に駆け付けるヘリコプターの飛行場そのものが維持できない状況は広範囲の災害の場合に在り得ないのか、と問題が。
物資集積についても、いや東日本大震災の時には東北地方に支援を送ろうとした奈良県の県全体の備蓄食料が段ボール30箱分であったなど、大規模災害が少なかったからこそ、どの自治体も予算に潤沢な自治体などないという現代に在って、備え、というものがおろそかにされすぎてきていた、この状況は多少払拭されたものの、それでも十分かと。
国が主体となる、憲法の地方自治に関する条文さえある程度超法規的な措置を含むか場合によっては改憲さえ視野に含め、規格外の災害に対しては国が全般的な指揮中枢となり、これは生命の選択さえ含むのだけれども、防災対策と防災指揮の正面に立つ覚悟が必要なのではないか、と考えるのです。そのための非常事態法制も必要でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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