北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ザポリージャ原発再度ミサイル攻撃,隣国ロシアの価値基準と免責だらけの脆弱目標わが国原子力発電所

2023-03-13 07:00:28 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 日本では3.11慰霊の日とともに福島第一原発事故12年を迎えようとする前日の3月10日、ロシア軍はウクライナのザポリージャ原発をミサイル攻撃し外部電源喪失に追込まれました。

 原子力施設へのロシア軍攻撃、幸いウクライナ戦争では格納容器を破壊されるような深刻な攻撃が加えられることはありませんが、日本の隣国としてのロシア、有事の際には日本の原子力施設が攻撃を受けるという想定が必要になることが明白となりました。原子力施設、隣国の視点からは攻撃する理由はいくつでもあります、まず目標として脆弱施設だ。

 航空基地や艦艇基地を比べれば防備はないに等しく、警察の原子力警備隊はミサイルを迎撃する高射機関砲さえ装備していません。そして攻撃する側にリスクは皆無です。東日本大震災における福島第一原発事故では、最悪の場合東京首都圏の住民退避が必要だ、こう聞きますと深刻には見えますが、周辺国は圏外ですし格納容器は無事でも社会不安を招く。

 攻撃する側には、相手国土を広範に汚染するが、自国領土までは被害が及ばないわけですから、絨毯爆撃などに多数の爆撃機を展開させるよりは原子力施設を破壊した方がリスクがないこととなる。そして、ロシアがウクライナにおいて主張するように、日本の原発を破壊した場合でも、日本がミサイルで自爆したと主張すれば相手国内的に責任を逃れうる。

 ミサイル防衛、電力会社の責任か、ととわれますと電力会社が20mm高射機関砲をもちいたC-RAMを購入したいと税関に申請してもおそらく通関できないでしょう、明らか武器だからです。いや、警備会社に機関拳銃さえ装備させられないために警察の原子力警備隊がいるのですから、電力会社は外部攻撃には所管外であるという認識が成り立つでしょう。

 自衛隊の任務か、ととわれれば重要施設防護は自衛隊任務であると小泉内閣時代に閣議決定があり、実際一時期自衛隊はテロ対策訓練を重視していました、故に原発警備も自衛隊が関与する前例を作った訳なのですが。しかし、それで問題はないのか、と問われますと、テロリストならば89式小銃で対抗できますが、来るのは弾道ミサイルや巡航ミサイルです。

 電力会社にはミサイル攻撃には免責が成り立つ、しかし格納容器が破壊された場合、周辺住民はたまったものではない、例えば若狭地区の原発から100km圏内であれば京都も周辺住民に含まれる、ではどのように原子力施設を守るのか、高射特科部隊の増強か、原発をいっそ廃止するのか、ウクライナ戦争開戦一年を経た今、結論を出さねばなりません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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