■海峡幅33km脅かす機雷脅威
アメリカが離脱しつつも現時点で欧州諸国とイランが留まるイラン核合意、ここからイランが離脱しないよう緊張緩和を願うのですが、イランの動向は難しい。
海上自衛隊の掃海部隊、万一のホルムズ海峡閉鎖という危機が現実のものとなった際には海上自衛隊掃海部隊が世界各国の有志連合への参加を求められる可能性があります。海上自衛隊には、すがしま型、ひらしま型、えのしま型、各種掃海艇と深深度機雷を掃討する掃海艦あわじ型、そしてMCH-101掃海輸送ヘリコプターがあり機雷戦能力は高い為です。
ホルムズ海峡封鎖の懸念、アメリカとイランの対立が続く限り懸念は継続します。そしてこの危機は1980年のイランイラク戦争勃発以来多寡はあっても続いてきました。ホルムズ海峡は世界最大の産油地帯ペルシャ湾と外洋を結ぶ幅33kmの海峡、タンカーなど大型船が航行できるのは中央の3kmのみ、その北岸のイランとアメリカが対立している構図だ。
ホルムズ海峡周辺で続いたタンカー襲撃事件は、イランが関与したとの映像証拠等がアメリカ海軍により撮影されています。無論、イランと外交的に対立する国は多く、その国が関与した可能性は払拭できませんが過去にイランはタンカー無差別攻撃を行った歴史があり、イラン軍や革命防衛隊がアメリカとの対立を背景に海峡封鎖を再開する可能性はある。
想定される脅威は、機雷や小型艦艇など。勿論、タンカー攻撃がイランによるものではない、というイランの主張を完全に捨てる訳ではありません、しかしタンカーが六件も攻撃された事も事実です。ホルムズ海峡の監視を通じて襲撃者を確実に追尾する事で、襲撃犯を確実に明白なものとする事が、イラン政府の主張と矛盾する事でもないように思います。
機雷、ホルムズ海峡封鎖の懸念で最も高いものは機雷であり、元も脅威度の高いものも機雷です。触発式や音響感知式や磁気感知式があり、海中に係留されるものや海底に横たわるものに浮遊するもの、浮流機雷という国際法で禁じられていますが相手が国際法を順守しない場合に用いられ得る、浮いて潮流により延々と漂い無差別に攻撃する物等がある。
機雷敷設、機雷は一連のタンカー襲撃で用いられたとみられるリンペット機雷とは比較になりません。DEKAリンペット機雷を一例に挙げますと重量は6kgのFRP製本体に内蔵されている爆薬はRDXの1kgです。対してM-08/39触発機雷は200kgの本体に爆薬80kgが内蔵、破壊力は文字通り桁違いですが費用は1000ドルと大きめのテレビと同じ程度でしかない。
テロ的な方法で海峡封鎖を試みる、これは1984年にスエズ運河機雷テロ事件という実例があります。1984年7月9日にスエズ湾を航行していたソ連貨物船ヌード-ジェスパーソン号が突如機雷の爆発により損傷しました。この日を境に日本船を含め商船やタンカー等が次々と機雷被害を受け、二ヶ月間で実に15か国、19隻もの商船が機雷被害を受けました。
スエズ運河機雷テロ事件の実行犯は今を以て判明していません。しかし、スエズ運河に経済の大半を依存するエジプト政府とサウジアラビア政府は対応を迫られ、掃海部隊を派遣します。機雷被害はスエズ湾から紅海に至る広大な海域に及び、エジプトとサウジアラビアだけでは対応が難しい事から両国政府は世界へ救援を要請し有志連合が派遣されます。
スエズ運河と紅海へは、アメリカ海軍、ソ連海軍、イギリス海軍、フランス海軍、イタリア海軍、オランダ海軍、六カ国が派遣され東西冷戦下の東西両陣営が共に掃海に当りました。スエズ運河は1956年のスエズ危機や1973年の第四次中東戦争では戦場となり不発弾も多数が回収されましたが、中には1981年以降に製造されたソ連製機雷も発見されている。
スエズ運河はソ連経済にも影響する為、ソ連製機雷を以てソ連の関与とは考えにくく、テロ事件との見方が強まりました。疑惑を持たれたのは当時ロッカビー事件ジャンボ機爆破事件等世界中でテロ事件を引き起こしていたリビアの関与でした。疑惑をもたれていたのがリビア船ガート号で7月6日から21日まで異様に長期間を掛け紅海を航行していました。
リビアの関与は確定したものでは無く推測ではありましたが、ガート号紅海の入り口からスエズ運河までを15日間掛けゆっくり航行し、その後スエズ運河からリビアのトリポリまでは2日間で戻っています。は同船は後部にランプを持つRORO船で、ここから機雷を敷設したのではないか、と。これはテロ的な海峡封鎖であれば商船でも可能という事を示す。
ホルムズ海峡が機雷封鎖、現実となった場合には特にタンカーが被害に遭った場合、流出原油により湾口全域が汚染され、大規模原油火災の懸念もあります。中東からの石油に電力や工業生産等の多くを依存する我が国にも対岸の火事では全くなく、掃海部隊の派遣や、海峡封鎖を監視する哨戒機部隊の派遣等、必要性は今後起きくなる可能性は、あるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
アメリカが離脱しつつも現時点で欧州諸国とイランが留まるイラン核合意、ここからイランが離脱しないよう緊張緩和を願うのですが、イランの動向は難しい。
海上自衛隊の掃海部隊、万一のホルムズ海峡閉鎖という危機が現実のものとなった際には海上自衛隊掃海部隊が世界各国の有志連合への参加を求められる可能性があります。海上自衛隊には、すがしま型、ひらしま型、えのしま型、各種掃海艇と深深度機雷を掃討する掃海艦あわじ型、そしてMCH-101掃海輸送ヘリコプターがあり機雷戦能力は高い為です。
ホルムズ海峡封鎖の懸念、アメリカとイランの対立が続く限り懸念は継続します。そしてこの危機は1980年のイランイラク戦争勃発以来多寡はあっても続いてきました。ホルムズ海峡は世界最大の産油地帯ペルシャ湾と外洋を結ぶ幅33kmの海峡、タンカーなど大型船が航行できるのは中央の3kmのみ、その北岸のイランとアメリカが対立している構図だ。
ホルムズ海峡周辺で続いたタンカー襲撃事件は、イランが関与したとの映像証拠等がアメリカ海軍により撮影されています。無論、イランと外交的に対立する国は多く、その国が関与した可能性は払拭できませんが過去にイランはタンカー無差別攻撃を行った歴史があり、イラン軍や革命防衛隊がアメリカとの対立を背景に海峡封鎖を再開する可能性はある。
想定される脅威は、機雷や小型艦艇など。勿論、タンカー攻撃がイランによるものではない、というイランの主張を完全に捨てる訳ではありません、しかしタンカーが六件も攻撃された事も事実です。ホルムズ海峡の監視を通じて襲撃者を確実に追尾する事で、襲撃犯を確実に明白なものとする事が、イラン政府の主張と矛盾する事でもないように思います。
機雷、ホルムズ海峡封鎖の懸念で最も高いものは機雷であり、元も脅威度の高いものも機雷です。触発式や音響感知式や磁気感知式があり、海中に係留されるものや海底に横たわるものに浮遊するもの、浮流機雷という国際法で禁じられていますが相手が国際法を順守しない場合に用いられ得る、浮いて潮流により延々と漂い無差別に攻撃する物等がある。
機雷敷設、機雷は一連のタンカー襲撃で用いられたとみられるリンペット機雷とは比較になりません。DEKAリンペット機雷を一例に挙げますと重量は6kgのFRP製本体に内蔵されている爆薬はRDXの1kgです。対してM-08/39触発機雷は200kgの本体に爆薬80kgが内蔵、破壊力は文字通り桁違いですが費用は1000ドルと大きめのテレビと同じ程度でしかない。
テロ的な方法で海峡封鎖を試みる、これは1984年にスエズ運河機雷テロ事件という実例があります。1984年7月9日にスエズ湾を航行していたソ連貨物船ヌード-ジェスパーソン号が突如機雷の爆発により損傷しました。この日を境に日本船を含め商船やタンカー等が次々と機雷被害を受け、二ヶ月間で実に15か国、19隻もの商船が機雷被害を受けました。
スエズ運河機雷テロ事件の実行犯は今を以て判明していません。しかし、スエズ運河に経済の大半を依存するエジプト政府とサウジアラビア政府は対応を迫られ、掃海部隊を派遣します。機雷被害はスエズ湾から紅海に至る広大な海域に及び、エジプトとサウジアラビアだけでは対応が難しい事から両国政府は世界へ救援を要請し有志連合が派遣されます。
スエズ運河と紅海へは、アメリカ海軍、ソ連海軍、イギリス海軍、フランス海軍、イタリア海軍、オランダ海軍、六カ国が派遣され東西冷戦下の東西両陣営が共に掃海に当りました。スエズ運河は1956年のスエズ危機や1973年の第四次中東戦争では戦場となり不発弾も多数が回収されましたが、中には1981年以降に製造されたソ連製機雷も発見されている。
スエズ運河はソ連経済にも影響する為、ソ連製機雷を以てソ連の関与とは考えにくく、テロ事件との見方が強まりました。疑惑を持たれたのは当時ロッカビー事件ジャンボ機爆破事件等世界中でテロ事件を引き起こしていたリビアの関与でした。疑惑をもたれていたのがリビア船ガート号で7月6日から21日まで異様に長期間を掛け紅海を航行していました。
リビアの関与は確定したものでは無く推測ではありましたが、ガート号紅海の入り口からスエズ運河までを15日間掛けゆっくり航行し、その後スエズ運河からリビアのトリポリまでは2日間で戻っています。は同船は後部にランプを持つRORO船で、ここから機雷を敷設したのではないか、と。これはテロ的な海峡封鎖であれば商船でも可能という事を示す。
ホルムズ海峡が機雷封鎖、現実となった場合には特にタンカーが被害に遭った場合、流出原油により湾口全域が汚染され、大規模原油火災の懸念もあります。中東からの石油に電力や工業生産等の多くを依存する我が国にも対岸の火事では全くなく、掃海部隊の派遣や、海峡封鎖を監視する哨戒機部隊の派遣等、必要性は今後起きくなる可能性は、あるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
となると、イラン側からすると狙いやすい訳です。
その航路に、1隻でも沈み、かつ、喫水が限られてしまうとOver Panamaxはお手上げです。
ホルムズ海峡を通過できません。
それがイランの終局的な狙いでしょう。
片や、有志連合としては、切れ目なく、その動きを監視することになるので、統一的な指揮命令の如何に問わず、情報を共有できるネットワークの構築が鍵となります。
日本は、どうするんでしょうね?
タンカー戦争時と同様に、アラビア海で原油の積み替えをおこなうのでしょうか⁉
原油価格は、さらに高騰するでしょう。
何故なら、海上での積替えには、べらぼうな追加費用が掛かるからです。
また、80年代に還りますかね、ガソリン価格が…。
いや、インフレ目標を達成する為の道具になるんですかね⁉
インフレにせよ、国際公序の維持に要する有形無形のコストにせよ、国民が負担することには変わりはないので、どちらがより好ましいのかという選択を迫られるでしょう。
イギリスタンカー拿捕を見た限り、ヘリボーンが用いられていますが、機雷敷設の本論に対して、ヘリボーンの場合はどう阻止するのか、昔の北方海域の海防艦のように、こちらの方からも乗り込んでこちら側の第一線指揮官から無理やり話し合いに持って行くか、難題です