北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

イスラエル情勢-第四次中東戦争以来の奇襲攻撃は何が有ったのか?ガザ地区からの攻撃開始は現地時間0630時

2023-10-11 07:00:01 | 防衛・安全保障
■臨時情報-イスラエル情勢
 予備役動員30万とガザ地区包囲兵力10万というガザ地区情勢は、イスラエル南部に浸透したハマス戦闘員を一応鎮定できたとしていますが緊迫度を増しています。イスラエルが真珠湾と表現したこの状況、平和は一瞬にして崩れる事から学ぶ点をみてみましょう。

 ガザ地区からのイスラエルへの総攻撃、ちょうどこの2023年は1973年のヨムキプール戦争から50年、イスラエルの祝日であるヨムキプール、敢えて祝日は油断しやすいことから警戒を強化する、故にその警戒強化が何も起こらないであろうという正常性バイアスを働かせると、1973年にエジプトのサダト大統領が決断し完璧な奇襲に成功しました。

 日本の視点から考えた場合、日本にはガザ地区にあたる地域は無く政治的に安定しているのですが、今回のような奇襲攻撃は北朝鮮や中国、そしてロシアとの緊張関係が今後高まる場合には、突如数千機の長距離無人機攻撃という形で現実化する蓋然性は相応の確立で存在し、決して無視できない、安定していても油断すべきでないことを示唆しています。

 2023年10月7日はユダヤ教の安息日であり祭日、イスラエルも行楽ムードが高まっていたところですが、ガザ地区からの攻撃開始は現地時間0630時頃、ハマスによるロケット弾攻撃により火蓋が切られました。ロケット弾攻撃はしかしハマスが多用する手段であり、特にガザ地区を囲むイスラエルの防護壁完成後、自爆テロなどの頻度は劇的に下がった。

 アイアンドームミサイル防衛システム、ハマスによるロケット攻撃は1セットあたり60発を初度弾薬として同時多数の攻撃に備えているイスラエルの短距離防空システムにより通常迎撃されるのですが、0630時から三時間にわたり5000発、イスラエル国防省は攻撃が2500発であったとしているのですが、アイアンドームでさえ数が多すぎました。

 防護壁。ガザ地区はイスラエルからの自治区承認とともにイスラエル入植者の入植禁止と駐留イスラエル軍の撤収とともに防護壁、4mから6mの高さのコンクリート壁で覆いました。いや予算の関係上フェンスが設置され防護壁の無い場所もありましたが、夜陰に紛れて自爆テロ要員が浸透するという事案は劇的に低下、ここにイスラエルは油断が、と。

 ブルドーザーを集中的に使用して防護壁を破壊、防護壁の北部にあるエレズ市隣接防護壁で3カ所が破壊、キスフィム通行所とその南北を含めた3カ所にも破壊、更にガザ南部のケレムシャローム検問所も突破され、ここからハマス戦闘員が、つまり7カ所の突破口から一気に浸透を開始、併せて複数のパラグライダー空挺部隊による浸透も開始している。

 第四次中東戦争から半世紀という節目の時期であったのですが、可能性なのですがイスラエル軍でも、かなりの損耗を強いられた第四次中東戦争、奇襲を受けた経験を活かして今後も国防に努力しよう、という開戦半世紀のような談話などはあったのかもしれません、しかしその最中に警戒しているという自信の表れが、今回の状況に繋がった、とも。

 日本への教訓としては、安定しているし、イスラエルの場合はサウジアラビアとの国交正常化が近づくなど融和ムードの最中に突如侵攻されたという構図、そして既に人口一万人の一人の割合で殺害されている状況です、平和だから安全だ、として相手の能力への警戒を怠りますと、逆に奇襲攻撃により国民が大きな損耗を強いられることも、あるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【防衛情報】ドイツフランス... | トップ | 【京都幕間旅情】仁和寺,厳し... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

防衛・安全保障」カテゴリの最新記事