北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】豪州ストライクマスターNSM対艦ミサイル搭載装甲車と韓国MUH-1ヘリコプターガンシップ計画

2023-01-23 20:22:59 | インポート
週報:世界の防衛,最新11論点
 今回は陸軍関係の11の話題を紹介します。この通り各国軍隊は前に進むべく陸軍の近代化を進めているのですが日本は冷戦時代の薄くとも堅実な陸王防衛力はと嘆息するばかりで陸上と陸王の誤字も増える。

 オーストラリアのコングスベルクフィフェンスオーストラリア社とタレス社はストライクマスターNSM対艦ミサイル搭載型のブッシュマスター沿岸防衛車輛を発表しました。ブッシュマスターはオーストラリア陸軍に1000両以上が配備された四輪駆動の歩兵機動車輛で陸上自衛隊など多くの国に採用されていまして、耐爆車両としての設計となっています。

 ストライクマスター沿岸防衛車輛は、ブッシュマスターのもともと大きな歩兵用後部区画をそのまま転用し、この種の車両と比べれば巨大なNSM海軍ストライクミサイル発射装置2発分を搭載しています、NSMミサイルの射程は350kmと大きく、これはオーストラリアのLand4100Phase2計画として進められていた地対艦ミサイル計画の主柱となっている。

 Land4100Phase2計画はアメリカ海兵隊のMLR海兵沿岸連隊改編計画と歩調を合わせた装備計画であり、オーストラリア軍はストライクマスター沿岸防衛車輛3両と火力統制車輛及びミサイル補給車両を以て戦術単位とする計画で、また将来的に沿岸レーダー車輛を加える構想だ。ストライクマスター沿岸防衛車輛はミサイル発射装置だけで3tとなります。
射程150kmのER-GMLRSロケット
 MLRSの12発装填できるロケット弾をATACMS並の射程まで伸ばすという。

 アメリカのロッキードマーティン社は射程を倍増させたER-GMLRS長距離精密誘導ロケットシステムについて初のシステム実験を実施しました。実験はニューメキシコ州のホワイトサンズミサイル射撃場において実施、実験では短縮させた59kmの距離での飛翔を通じて飛翔軌道や命中精度と改良型弾薬の制圧範囲など各種性能試験を実施しています。

 ER-GMLRS長距離精密誘導ロケットシステムは現在60000発以上が生産された射程70kmのGMLRSが射程などの面で限界が指摘されており、これを135km乃至150kmまで延伸する事が目的とされています。ER-GMLRSはM-270-MLRS多連装ロケットシステムやM-142-HIMARS高機動ロケットシステムから運用が想定され、友好国にも供与されます。
V60ロボット犬にミサイルを
 対戦車犬というとソ連の第二次大戦中の地雷犬という悲惨な話を思い出して駄目なのですが未来の新装備は逆に戦車に地獄を見せるロボットとなるもよう。

 アメリカ陸軍は軽量型ジャベリンミサイルとV60ロボット犬の統合運用を計画しています、これは2018年に東夷のマティス国防長官が近接戦闘タスクフォースとして開始した将来戦闘能力構築の一環であり、マティス長官の2019年辞任後は軽悪の優先度は低下したものの、継続されており、例えば現在進められる6.8mm弾薬などはその成果の一環です。

 軽量型ジャベリンミサイルは現在のシステム重量23.58kgから半分に軽量化される一方、射程は現在の2kmから3.5kmまで延伸する計画であり、V60ロボット犬はゴーストロボティクス社が開発した歩兵随伴用ロボットです。これらの装備は軽量化と共に歩兵が戦闘に専念できる環境構築を目指しており、移動などでの体力消耗を抑える事が期待されている。
グリフィンSAN
 どんな装甲車でもいいからまともな最低限の性能を100万ユーロ以内でという要求仕様が素晴らしい。

 フランス国防省軍総局DGAはグリフィン装甲車の救急車型であるグリフィンSANを制式化しました。グリフィンSANのSANとはサニタリーバージョンを意味し、ジャガー装甲偵察車の車体を応用し極力安価な車両として100万ユーロを上限として単価を求められたコスト管理の厳しい装甲車であるグリフィン装甲車、新しい派生型の誕生となりました。

 グリフィンSANは医療モジュールとして医療機器とともに、担架上の重症者4名を輸送する能力があり、応急処置に用いる診療台とリフティングインチの採用により担架上の負傷兵を迅速に収容する能力があります。グリフィン装甲車はこの救急車型に加え、歩兵8名を輸送する基本型の装甲輸送車から指揮通信車や砲兵観測車などが開発されています。
アナコンダDMV
 我が国空挺部隊も徒歩に徒歩というよりは輸送機から気軽に投下できる機動車輛をもっと増やすべきだ。

 オランダ陸軍は新型のアナコンダDMV軽機動車輛を発表しました。アナコンダDMV軽機動車輛はMUVプラットフォームというNATO標準の車体を応用しておりSTANAG3542標準釣り下げ能力を確保し、ヘリコプターによる吊下げ機動能力を有する他、STANAG4569NATO防弾規格のレベル1水準という追加装甲の装着が可能となっている。

 アナコンダDMV軽機動車輛はトラック形状の車体の前部に運転台、中央部に向い合せ4名分と後部に貨物兼後部座席区画を有し、オランダ国防省の発表写真では車体上部に12.7mm重機関銃及びスパイク対戦車ミサイル発射装置を備えたターレット、側面に7.62mm機銃が左右に装着され、また後部区画には斥候用のオートバイが装着されています。
フィリピンの自走砲
 少数でも離島に長射程の自走砲がいますとよからぬことを考える諸国には頭痛の種です。

 フィリピン国防省は9月、ATMOS装輪自走砲2門をミンダナオ島へ配備したとのこと。フィリピン陸軍はイスラエルのエルビット社製ATMOS装輪自走砲12門を導入、史上初めて155mm砲の取得に続き、その部隊化を進めています。配備部隊はローリングサンダー大隊こと陸軍第10野砲大隊に集中配備していますが、今回その分散配置を開始した形という。

 ATMOS装輪自走砲はトラック機動式の52口径155mm榴弾砲であり、12両の導入に24億ペソを要しました。フィリピン軍は陸軍12個師団を基幹とする斧の過激派など治安維持任務を想定した軽装備部隊を主柱としてきましたが、1990年代以降の中国軍海洋進出により国軍近代化を推し進める必要に迫られ、近年、数は少ないものの重装備化を推進中です。
陸軍協会年次総会
 日本の防衛技術シンポジウムとの最大の違いは数年後に出てくるものをしっかり展示するのがアメリカだ。

 アメリカのジェネラルダイナミクスランドシステムズGDLS社は10月10日から三日間にわたり行われたアメリカ陸軍協会年次総会に次世代装甲車両等を出展しました。展示した車両はストライカーX次世代装輪装甲車とその派生型等、そしてTRXブリーチャーロボット戦闘車両、MPF機動防護火力車両、そして将来主力戦車を期すエイブラムスXなど。

 ストライカーX次世代装輪装甲車はディーゼルエレクトリック方式のハイブリッド車輛で、燃費を向上させると共にアクティヴ防護装置と360度の全周外部情報把握能力が付与されています。また、この派生型としてストライカーレオニダスという高出力マイクロ波ビーム装置を搭載、M-SHORAD野戦防空システムを置換える対無人機戦闘能力を持ちます。

 TRXブリーチャーロボット戦闘車両は10tのロボット車輛で、偵察任務や先鋒部隊など、戦闘には不可欠で当ても危険性の高い任務に対応する装備とされていて、この10tという重量は陸軍のCH-47輸送ヘリコプターや空軍のC-130輸送機により輸送可能です。MPF機動防護火力車両は制式化されたばかりの歩兵旅団戦闘団用の軽戦車となっています。
ベルギーのJLTV導入
 自衛隊の軽装甲機動車も考えれば20年前の脅威に対応するべく開発された二世代前の軽装甲車です。

 ベルギー陸軍はJLTV統合軽戦術車輛の不整地踏破試験を実施しました。試験はベルギーのマルシェ アンファメンヌの試験場において実施されています。ベルギー陸軍は2020年9月、陸軍の機動戦術車輛としてアメリカのオシコシュ製JLTVを322両導入する決定とともに1億3500万ユーロを支出し、現在のイヴェコLMV軽装甲車を置換える計画です。

 JLTVはベルギーではJLTV-CLVファルコン指揮連絡車として運用される構想で、現在の評価試験が完了し次第2023年にも部隊配備が開始される軽悪です。車体はアメリカ軍のJLTVと共通ですが、部品の互換性は90%でありベルギー独自仕様が含まれています、特に武装はRWS遠隔操作銃搭に搭載されるのは7.62mm機銃と軽量化されてたのが特徴だ。
ポーランドの韓国製ロケット
 ポーランドの軍拡は脅威が目の前と云うか国境を隣接しているとはいえ財政的に限界を遥かに超えているのではないかと冷や冷やします。

 ポーランド軍は韓国よりK-239多連装ロケット砲を数百輌導入するべく二か国間交渉を完了させたとの事です。K-239多連装ロケット砲は当面300両を導入するとの事で、ポーランド政府はK-239多連装ロケット砲のライセンス生産を希望、韓国政府もこれを了承する方向で調整されているといいます。ポーランドはHIMARS大量取得を発表したばかり。

 K-239多連装ロケット砲300両を導入する背景には、ポーランドの国家予算では如何に国防費を確保したとしても、ポーランドが希望したHIMARSの500両導入は実現不可能であると考え、韓国から安価なロケット砲を導入する事で補完とするのでしょう。射程36kmのK33ロケット弾、射程45kmでMLRSからも運用可能なKM26A2などを射撃可能です。
韓国軍のガンシップ国産
 多用途ヘリコプターを改造したガンシップの様ですが韓国は国産2種類とAH-64Eの導入を進めています。

 韓国海兵隊はKAI韓国航空工業との間で攻撃ヘリコプター開発契約を結びました。これは現在運用されているKAI製MUH-1スリオン多用途ヘリコプターを原型とし、海軍のドクト級強襲揚陸艦から運用可能という攻撃ヘリコプターを目指しており、開発費用として4384億ウォン、米貨換算で3億0384万ドルを投じて開発されることとなりました。

 KAI韓国航空工業に求められる性能はMUH-1スリオンとの間で96%の部品互換性をもたせること、そして試作機を46ヶ月以内に製造するという要求が含まれています。韓国海兵隊に依れば性能とともにほかの海外ヘリコプターと比較した場合、特に取得費用の面でMUH-1スリオンの派生型はゆうりであるとしています。設計は手堅いものとなる。

 MUH-1スリオンヘリコプターはもともとガンシップ型が設計段階で想定されており、これが今回海兵隊へ提示されることとなります。これは機首部分に光学照準ターレットを追加し、20mm機関砲と1400発の弾薬、2.75inロケット発射筒、及び対戦車ミサイル4発を搭載するものが想定され、北高増加共通、タンデム構造化などの無理な改良は行いません。
MUH-1スリオン武装型
 日本もOH-1をしっかり育てていればこれほど戦闘ヘリコプター問題で悩まずに済んだと思うのです。

 韓国海兵隊はMUH-1スリオンヘリコプター装備体系により独自の空中機動部隊を編成予定です。これは今回開発が決定した攻撃ヘリコプターとMUH-1スリオンから編成されるものです。実は韓国海兵隊はMUH-1とともに攻撃ヘリコプターには別のヘリコプターを想定していました、候補はボーイングAH-64EアパッチやベルAH-1Zバイパーなど。

 海兵隊は水陸両用戦部隊としては比較的大規模な編成を有しているもの、2017年まで独自の海兵航空部隊を有しておらず、しかし水陸両用作戦にはヘリボーンは必須であるために陸軍からヘリコプターを借用しています。海兵隊は2023年までにMUH-1を28機導入、最終的に32機を配備予定とのことで、新型機はこの整備補給体系へ統合を期します。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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