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中国空母圧力と自衛隊プレゼンスオペレーション,東南アジア諸国空軍整備を俯瞰する日本予防外交の重要性

2023-01-23 07:00:55 | 国際・政治
■プレゼンスオペレーション
 軍事力の本来の任務は戦争に勝つ事ではなく抑止力により戦争を防ぐことにあります。

 海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦によるプレゼンスオペレーション、今後重要度が増す可能性があります。2025年までの東南アジア諸国の空軍力整備計画をみてみますと、やはり中堅国でも戦闘機数が50機を超える空軍がほとんどなく、軽攻撃機や練習機転用軽戦闘機を含めて漸く、という諸国が大半、稼働率で一個飛行隊を組むにも苦労があります。

 プレゼンスオペレーションとは、いずも型護衛艦によるインド洋への長期展開任務を示し、インド海軍を筆頭に様々な国との共同訓練を実施するものです。しかし重要なのは、いずも型護衛艦が2021年にアメリカ海兵隊F-35B戦闘機の協力を受け発着試験に成功、来年には新田原基地へ航空自衛隊もF-35B配備を開始する為、その搭載能力を整備するのです。

 50機以下の空軍力、これは中国海軍の空母艦載機に対して決して十分な規模とは言い切れません、特に南沙諸島問題において中国との係争関係にある諸国は特に、です。いずも型護衛艦へのF-35B搭載能力は、決して大きなものではありませんが、それでも想定されている12機、F-35Bは第五世代戦闘機である為、そのポテンシャルの大きさは無視できない。

 東南アジア諸国から考えれば、自国だけでは中国空母の軍事圧力に対抗が難しくとも、海上自衛隊が同時期にヘリコプター搭載護衛艦を派遣し、F-35B戦闘機を派遣し共同訓練を行う事は意味があります、充分なF-35Bが無ければ、その訓練の際だけでもアメリカ海兵隊は岩国からF-35Bを護衛艦艦上に展開させるだけでも多国間演習の度合いを強められる。

 日本にとっては、東南アジア諸国が中国の軍事圧力に屈し、特に日本の艦船やシーレーンの航行に悪影響が出る事は得策ではありません、故に友好国との友好関係を強化する必要はあるのです。友好関係を強化するならば自衛隊でなくとも経済協力や文化交流でもよいではないか、こう思われるかもしれませんが、文化だけで空母の圧力には対抗できません。

 ウクライナと欧州諸国の関係を視れば分かる通り、本当に困った時に支援しない国家とは真の友情関係、頼り頼られる関係は維持できないのが現実なのでしょう。ショウザフラッグ、とはよくいったものですが平時からプレゼンスを誇示し、日本もこの地域の安全保障には無関心ではなく覚悟はある、こう示す事が戦争を防ぐ予防外交というものなのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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