■自衛隊観閲式二〇一六
自衛隊観閲式、二回に分けて掲載する予定でしたが三回目、今回が最終回となります。
中央観閲式、予行では装備品展示において16式機動戦闘車は展示されませんでした、元々観閲行進への参加は予定されていませんでしたが、装備品展示へ予定されていたものです。今年夏までは機動戦闘車と呼ばれていた車両が来年度予算概算要求に際して16式機動戦闘車という制式名称が初めて示された新装備、既に習志野や富士にて一般公開されています。
16式機動戦闘車は毎年30両以上が調達されていまして現段階で約200両が残る74式戦車を次期中期防衛力整備計画までに代替されることとなります、今回の中央観閲式では74式戦車が遂に観閲行進に参加しませんでしたが、次の2019年中央観閲式には、機動連隊へ配備が完了し参加する事ができるのでしょうか、その頃には100両以上が配備されている。
74式戦車の観閲式参加は、装備品展示で第1機甲教育隊の車両が参加していました、驚くのは掩体から射撃姿勢を採って展示されていたもので、5日間の陣地構築期間を採ったという。着上陸まで三週間あれば充分な防御陣地を構築できるという事ですが、地下に構築の掩砲所と主陣地に予備陣地と前哨陣地の構築を考えれば三週間という意味が理解できます。
戦車と掩体という部分ですが、今回の陸上自衛隊中央観閲式は朝霞駐屯地朝霞訓練場へ陣地構築し、射撃陣地の様子を展示するという凝った趣向でした。なにしろ、74式戦車を筆頭にMINIMI分隊機銃に120mmRT重迫撃砲から果てはFH-70榴弾砲まで射撃陣地となる掩体へ配置され、MINIMI機銃に至っては天蓋も厳重に掩蔽されている力の入れよう。
自衛隊はどのように海外任務が増えようとも、アメリカとの集団的自衛権行使の法整備が進もうとも、専守防衛の平和憲法の下、国土が敵に蹂躙されるまで平和的解決に努め、止むを得ず平和主義の看板を下げる瞬間は既に本土決戦という、国土と国民財産を危険に曝す徹底した平和主義、国民と一体となりこのように国土を要塞化する、という展示でした。
ただ、陣地構築は全国に均一の連隊戦闘団を配置する基盤的防衛力があって初めて、着上陸の三週間前から防衛出動待機命令発令一下全土を防御陣地化し、決意を示す事ができます、が、統合機動防衛力として全国から部隊を緊急展開させる新しい防衛戦略への転換は、平時から陣地を維持する訳にはいかず、装甲機動部隊へ収斂してゆかねばなりません。
本番でのストライカー装甲車の参加、陸上自衛隊は現在将来装輪装甲車を開発中ですが、先行して量産する96式装輪装甲車の改良型と16式機動戦闘車派生の装輪装甲車を開発する将来装甲車と二類型となる模様、ストライカーですが車体間データリンクと遠隔操作銃搭を採用した新世代の装甲車です、ただし、日本では車幅が道路運送車両法に引っかかる。
ストライカーですが、2-2 ID 4-23IN、と表記されていたようです。 第2歩兵師団第2旅団の第23歩兵連隊第4大隊、という意味です、第23歩兵連隊は既に解体されていまして実質2個大隊が独立、しているのですが連隊旗と伝統呼称は捨てられずこの名称になっています 、在日米軍の車両ではなく在韓米軍の車両の自衛隊式典も初参加となりました。
将来装輪装甲車はどの方向で開発されるかは未知数ですが、16式機動戦闘車の時点で道路運送車両法の車両限界を超えまして、基本的に平時の自走には法的制約が加わるという感覚を所轄警察署長と国土交通省への申請を迅速に行うという課題を抱えても、車幅を充分に採り戦闘車両としての能力を優先しました、人員輸送用装輪装甲車も同発想となるのか。
自衛隊向きの装輪装甲車といいますと、陸軍のストライカー装甲車よりは海兵隊のLAV-25の方が車幅も2.5mに収まっていますので最適ではないかな、と思う次第ですが。ちなみにどちらもスイスのモワク社製ピラーニャ装輪装甲車で、LAV-25は初期型のピラーニャⅠ原型、ストライカー装甲車は改良型LAV-Ⅲが原型、現在の最新型はLAV-Ⅴとなっています。
新装備の話題、今回の中央観閲式、輸送防護車等新装備の中で微妙に注目度が薄れましたが、新師団通信システム師団等指揮システムの構成車両、初参加の新装備で注目の装備といえるものでした、サーバ計算機室装置と中央処理装置、これで最前線でも戦術インターネットが可能となっています。制式化から三年後に参加という実情に則っていますね。他方訂正、対迫レーダーと思ったもの、よく見たらJTPN-P20着陸誘導装置でした、申し訳ない。
次回の中央観閲式ですが、登場が期待される装備品の筆頭にAAV-7水陸機動装甲車でしょう。アメリカ海兵隊の車両が富士総合火力演習や前々回の中央観閲式装備品展示に参加していますが、既に佐世保の水陸機動団創設に向け九州では運用試験から部隊編成準備へ移行しています、調達数も52両と数の上で89式装甲戦闘車並の調達数が立てられています。
三年後の中央観閲式ですが、陸上自衛隊では様々な新装備が完成している事でしょう、新多用途ヘリコプター然り火力戦闘車然りです。しかし最大の変革は、組織改編のほうで、三年後には既に朝霞駐屯地に新編の陸上総隊司令部が置かれ、座間駐屯地の中央即応集団改編や東部方面総監部と全国の方面隊に関する大きな変革が行われていることでしょう。
三年に一度の中央観閲式、三年後の世界と我が国の情勢が見通す事が出来ないほど、我が国周辺情勢や欧州と中東を挟んだ米ロの対立、厳しいものはありますが、世界の平和、それが不可能ならば我が国だけでも平和である道筋を拓ける国を、現状では勿論一国平和主義と専守防衛は両立が難しいものではあるのですが、官民一致として創り上げたいものですね。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
自衛隊観閲式、二回に分けて掲載する予定でしたが三回目、今回が最終回となります。
中央観閲式、予行では装備品展示において16式機動戦闘車は展示されませんでした、元々観閲行進への参加は予定されていませんでしたが、装備品展示へ予定されていたものです。今年夏までは機動戦闘車と呼ばれていた車両が来年度予算概算要求に際して16式機動戦闘車という制式名称が初めて示された新装備、既に習志野や富士にて一般公開されています。
16式機動戦闘車は毎年30両以上が調達されていまして現段階で約200両が残る74式戦車を次期中期防衛力整備計画までに代替されることとなります、今回の中央観閲式では74式戦車が遂に観閲行進に参加しませんでしたが、次の2019年中央観閲式には、機動連隊へ配備が完了し参加する事ができるのでしょうか、その頃には100両以上が配備されている。
74式戦車の観閲式参加は、装備品展示で第1機甲教育隊の車両が参加していました、驚くのは掩体から射撃姿勢を採って展示されていたもので、5日間の陣地構築期間を採ったという。着上陸まで三週間あれば充分な防御陣地を構築できるという事ですが、地下に構築の掩砲所と主陣地に予備陣地と前哨陣地の構築を考えれば三週間という意味が理解できます。
戦車と掩体という部分ですが、今回の陸上自衛隊中央観閲式は朝霞駐屯地朝霞訓練場へ陣地構築し、射撃陣地の様子を展示するという凝った趣向でした。なにしろ、74式戦車を筆頭にMINIMI分隊機銃に120mmRT重迫撃砲から果てはFH-70榴弾砲まで射撃陣地となる掩体へ配置され、MINIMI機銃に至っては天蓋も厳重に掩蔽されている力の入れよう。
自衛隊はどのように海外任務が増えようとも、アメリカとの集団的自衛権行使の法整備が進もうとも、専守防衛の平和憲法の下、国土が敵に蹂躙されるまで平和的解決に努め、止むを得ず平和主義の看板を下げる瞬間は既に本土決戦という、国土と国民財産を危険に曝す徹底した平和主義、国民と一体となりこのように国土を要塞化する、という展示でした。
ただ、陣地構築は全国に均一の連隊戦闘団を配置する基盤的防衛力があって初めて、着上陸の三週間前から防衛出動待機命令発令一下全土を防御陣地化し、決意を示す事ができます、が、統合機動防衛力として全国から部隊を緊急展開させる新しい防衛戦略への転換は、平時から陣地を維持する訳にはいかず、装甲機動部隊へ収斂してゆかねばなりません。
本番でのストライカー装甲車の参加、陸上自衛隊は現在将来装輪装甲車を開発中ですが、先行して量産する96式装輪装甲車の改良型と16式機動戦闘車派生の装輪装甲車を開発する将来装甲車と二類型となる模様、ストライカーですが車体間データリンクと遠隔操作銃搭を採用した新世代の装甲車です、ただし、日本では車幅が道路運送車両法に引っかかる。
ストライカーですが、2-2 ID 4-23IN、と表記されていたようです。 第2歩兵師団第2旅団の第23歩兵連隊第4大隊、という意味です、第23歩兵連隊は既に解体されていまして実質2個大隊が独立、しているのですが連隊旗と伝統呼称は捨てられずこの名称になっています 、在日米軍の車両ではなく在韓米軍の車両の自衛隊式典も初参加となりました。
将来装輪装甲車はどの方向で開発されるかは未知数ですが、16式機動戦闘車の時点で道路運送車両法の車両限界を超えまして、基本的に平時の自走には法的制約が加わるという感覚を所轄警察署長と国土交通省への申請を迅速に行うという課題を抱えても、車幅を充分に採り戦闘車両としての能力を優先しました、人員輸送用装輪装甲車も同発想となるのか。
自衛隊向きの装輪装甲車といいますと、陸軍のストライカー装甲車よりは海兵隊のLAV-25の方が車幅も2.5mに収まっていますので最適ではないかな、と思う次第ですが。ちなみにどちらもスイスのモワク社製ピラーニャ装輪装甲車で、LAV-25は初期型のピラーニャⅠ原型、ストライカー装甲車は改良型LAV-Ⅲが原型、現在の最新型はLAV-Ⅴとなっています。
新装備の話題、今回の中央観閲式、輸送防護車等新装備の中で微妙に注目度が薄れましたが、新師団通信システム師団等指揮システムの構成車両、初参加の新装備で注目の装備といえるものでした、サーバ計算機室装置と中央処理装置、これで最前線でも戦術インターネットが可能となっています。制式化から三年後に参加という実情に則っていますね。他方訂正、対迫レーダーと思ったもの、よく見たらJTPN-P20着陸誘導装置でした、申し訳ない。
次回の中央観閲式ですが、登場が期待される装備品の筆頭にAAV-7水陸機動装甲車でしょう。アメリカ海兵隊の車両が富士総合火力演習や前々回の中央観閲式装備品展示に参加していますが、既に佐世保の水陸機動団創設に向け九州では運用試験から部隊編成準備へ移行しています、調達数も52両と数の上で89式装甲戦闘車並の調達数が立てられています。
三年後の中央観閲式ですが、陸上自衛隊では様々な新装備が完成している事でしょう、新多用途ヘリコプター然り火力戦闘車然りです。しかし最大の変革は、組織改編のほうで、三年後には既に朝霞駐屯地に新編の陸上総隊司令部が置かれ、座間駐屯地の中央即応集団改編や東部方面総監部と全国の方面隊に関する大きな変革が行われていることでしょう。
三年に一度の中央観閲式、三年後の世界と我が国の情勢が見通す事が出来ないほど、我が国周辺情勢や欧州と中東を挟んだ米ロの対立、厳しいものはありますが、世界の平和、それが不可能ならば我が国だけでも平和である道筋を拓ける国を、現状では勿論一国平和主義と専守防衛は両立が難しいものではあるのですが、官民一致として創り上げたいものですね。
北大路機関:はるな くらま
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