■新連載:護衛艦FRAMを考える
護衛艦FRAM近代化改修と艦隊維持、という視点から数回に分け海上防衛力の一視点を考えてみましょう、FRAMとはFleet Rehabilitation & Modernization、つまり大規模な近代化改修です。
特集「将来艦隊戦闘と巡航ミサイル」に続く新連載です。海上自衛隊の護衛艦延命について、現在海上自衛隊では老朽護衛艦の延命改修を断続的に実施しています。これは年々高まる南西諸島への大陸からの軍事圧力へ対応するべく、護衛艦勢力を維持する必要があるためで、自衛隊任務は国際任務増大と弾道ミサイル防衛という新任務へ対応するため、充分な護衛艦建造予算を確保出来ないという背景があります。
護衛艦の寿命は24年、と云われてきました。これを長いとみるか短いとみるかは様々な見方がありそうですが太平洋と日本海、世界でも有数の厳しい海象を前に波浪を切って護衛艦を運用する事は様々な部分に老朽化をきたすためで、この為護衛艦の寿命は海上自衛隊草創期から24年程度、とされてきたわけです。24年、と言いますと第二次大戦中の駆逐艦であれば損耗してしまいますが近年はこれを越えるのが普通です。
24年とされた護衛艦の寿命、その背景には蒸気タービンエンジン部分の寿命がどうしても越えられない一線があった為と云われていまして、耐用年数とは、蒸気タービンエンジンを駆動させる配管部分が高圧蒸気の恒常通気により腐食摩耗劣化する為といい、この配管部分の老朽化を放置すれば、破断点と同時に蒸気爆発事故にも繋がる非常に危険なもの。
従って、蒸気タービン艦では延命改修を行う事で32年程度まで運用を継続できるものとなっていました、大規模改修を経まして、はるな型ヘリコプター搭載護衛艦、しらね型ヘリコプター搭載護衛艦、などは延命により40年近い長命を果たし、1981年に就役しましたヘリコプター搭載護衛艦くらま、も来年早春まで現役運用され、海上防衛の第一線を担う。
しかし、護衛艦を水上戦闘艦という武器システムであることをふまえれば、単純な延命改修では必ずしも第一線での哨戒任務や水上戦闘及び対潜戦闘へ対応できるものではありません、護衛艦の寿命は24年とした時代でも24年間を経れば大きな装備体系の世代交代が避けられません、この為、運用期間を延伸する場合には、この近代化もされられません。
FRAM,艦隊近代改修としまして、護衛艦には基幹部分の刷新はもとより、武器関係の能力向上などを数年間の改修期間、護衛艦を造船所に入渠させ本格的に能力再構築を行う施策が執られ、元々はアメリカ海軍が第二次世界大戦型駆逐艦の延命改修と同時に実施した施策なのですが、スプルーアンス級駆逐艦の垂直発射装置VLS搭載に関する近代化改修などが有名で、海上自衛隊も、はるな型ヘリコプター搭載護衛艦等に実施してきました。
たかつき型護衛艦のFRAM等は大規模な改修となっていまして、元々は第二次防衛力整備計画において建造された護衛艦、外洋での対潜戦闘に特に重点を置いて設計されました護衛艦です。個人的には二番艦きくづき、が初めて体験航海で福井港から乗艦しました事で思い出深い護衛艦なのですけれども、このFRAMは規模において特筆すべきものでした。
艦対艦ミサイルハープーン、20mmCIWS、シースパロー短射程艦対空ミサイル、たかつき型護衛艦は、艦尾に向けられた52番砲という1門の5インチ単装砲を撤去し、用途廃止された無人ヘリコプターDASHの搭載区画を転用することで、上記3種類の装備を搭載する事となりました、これにより1990年代へも対応する護衛艦へ生まれ変わっています。ただ、このFRAM改修が広範に行われない背景には相応の理由があったりしまして、次回以降この視点を視てみましょう。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
護衛艦FRAM近代化改修と艦隊維持、という視点から数回に分け海上防衛力の一視点を考えてみましょう、FRAMとはFleet Rehabilitation & Modernization、つまり大規模な近代化改修です。
特集「将来艦隊戦闘と巡航ミサイル」に続く新連載です。海上自衛隊の護衛艦延命について、現在海上自衛隊では老朽護衛艦の延命改修を断続的に実施しています。これは年々高まる南西諸島への大陸からの軍事圧力へ対応するべく、護衛艦勢力を維持する必要があるためで、自衛隊任務は国際任務増大と弾道ミサイル防衛という新任務へ対応するため、充分な護衛艦建造予算を確保出来ないという背景があります。
護衛艦の寿命は24年、と云われてきました。これを長いとみるか短いとみるかは様々な見方がありそうですが太平洋と日本海、世界でも有数の厳しい海象を前に波浪を切って護衛艦を運用する事は様々な部分に老朽化をきたすためで、この為護衛艦の寿命は海上自衛隊草創期から24年程度、とされてきたわけです。24年、と言いますと第二次大戦中の駆逐艦であれば損耗してしまいますが近年はこれを越えるのが普通です。
24年とされた護衛艦の寿命、その背景には蒸気タービンエンジン部分の寿命がどうしても越えられない一線があった為と云われていまして、耐用年数とは、蒸気タービンエンジンを駆動させる配管部分が高圧蒸気の恒常通気により腐食摩耗劣化する為といい、この配管部分の老朽化を放置すれば、破断点と同時に蒸気爆発事故にも繋がる非常に危険なもの。
従って、蒸気タービン艦では延命改修を行う事で32年程度まで運用を継続できるものとなっていました、大規模改修を経まして、はるな型ヘリコプター搭載護衛艦、しらね型ヘリコプター搭載護衛艦、などは延命により40年近い長命を果たし、1981年に就役しましたヘリコプター搭載護衛艦くらま、も来年早春まで現役運用され、海上防衛の第一線を担う。
しかし、護衛艦を水上戦闘艦という武器システムであることをふまえれば、単純な延命改修では必ずしも第一線での哨戒任務や水上戦闘及び対潜戦闘へ対応できるものではありません、護衛艦の寿命は24年とした時代でも24年間を経れば大きな装備体系の世代交代が避けられません、この為、運用期間を延伸する場合には、この近代化もされられません。
FRAM,艦隊近代改修としまして、護衛艦には基幹部分の刷新はもとより、武器関係の能力向上などを数年間の改修期間、護衛艦を造船所に入渠させ本格的に能力再構築を行う施策が執られ、元々はアメリカ海軍が第二次世界大戦型駆逐艦の延命改修と同時に実施した施策なのですが、スプルーアンス級駆逐艦の垂直発射装置VLS搭載に関する近代化改修などが有名で、海上自衛隊も、はるな型ヘリコプター搭載護衛艦等に実施してきました。
たかつき型護衛艦のFRAM等は大規模な改修となっていまして、元々は第二次防衛力整備計画において建造された護衛艦、外洋での対潜戦闘に特に重点を置いて設計されました護衛艦です。個人的には二番艦きくづき、が初めて体験航海で福井港から乗艦しました事で思い出深い護衛艦なのですけれども、このFRAMは規模において特筆すべきものでした。
艦対艦ミサイルハープーン、20mmCIWS、シースパロー短射程艦対空ミサイル、たかつき型護衛艦は、艦尾に向けられた52番砲という1門の5インチ単装砲を撤去し、用途廃止された無人ヘリコプターDASHの搭載区画を転用することで、上記3種類の装備を搭載する事となりました、これにより1990年代へも対応する護衛艦へ生まれ変わっています。ただ、このFRAM改修が広範に行われない背景には相応の理由があったりしまして、次回以降この視点を視てみましょう。
北大路機関:はるな くらま
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