■特報:世界の防衛,最新論点
今回は無人機特集です。自衛隊は無人機の配備で後れを取っていますが例えば有れば相当予算を節約できる分野があるのですね。
オーストラリア軍が開発したロイヤルウイングマン無人僚機がMQ-28A無人機として制式化されました。愛称はゴーストバット、完成式典に臨席したオーストラリアのダットン国防相が発表しました。ロイヤルウイングマン無人僚機は、ボーイングオーストラリアが中心となり構想発表による開発開始から初飛行まで三年という短期間で実現しています。
MQ-28A無人機はオーストラリアが開発する50年ぶりの独自航空機とされていますが、技術面では多くがボーイング社の子会社であるボーイングオーストラリア社により提供されています、しかし、オーストラリア政府はボーイングオーストラリア社との間で、安全保障上の観点からオーストラリア企業参画を強く要請し35社の企業連合が製造を担当する。
無人戦闘機とも称されますが、任務は監視及び偵察任務といい、ロイヤルウイングマン無人僚機と称される背景には、例えばF-35戦闘機のような高価な第五世代戦闘機に随伴し、レーダーによる索敵という煩雑な任務や攻撃を受けた際に高価な第五世代戦闘機を損耗から防護するなどの用途が見込まれています。なお本機については輸出も期待されています。
■タルシャマイム係留飛行船型レーダー
無人機は低速で小型でも航続距離が大きい機種が存在し各国がどのように検知するかを一つの課題でしたが。
イスラエル空軍は係留飛行船型レーダーシステムJLENS派生のタルシャマイムを受領しました。これはアメリカのMDAミサイル防衛局とイスラエル国防省が共同開発したもので、高高度滞空型係留式空中センサーのプラットフォームとなり、早期警戒機と同様の任務に当ると共に、巡航ミサイルや無人機による攻撃を迅速に発見する事が可能となります。
JLENSはアメリカのTCOM社により開発されたもので一時は我が国防衛省も沖縄など南西諸島の警戒監視用に調達が検討されていました。JLENSは各型が開発されていますが、標準的な74m型では3.174tのセンサーを搭載し3300mの高度を10000000時間連続し滞空可能で、高山部の山頂にレーダーを設置した場合と同様の警戒監視が可能となるもの。
タルシャマイムはJLENS系統では初めて実用化されたものとなります。この背景にはJLENSは高高度に滞空させる事で550km圏内を常時持続的に監視可能なセンサーとしてアメリカ陸軍がPSS-T計画として本土防衛用に研究されたものの、コスト管理の失敗と開発遅延により開発中止となりました。2015年には係留索が切れ漂流する事故も起きている。
■新無人機システムガムビット
無人機は単体で装備する時代からシステムとして考えて行かないと各国がそろそろ対無人機システムを体系化させる為に運用が難しくなります。
アメリカの軍用無人機大手ジェネラルアトミクス社は新無人機システムガムビットを発表しました。ジェネラルアトミクス社はアメリカ軍始め各国で運用されているMQ-9リーパー無人攻撃機やその非武装型であるガーディアン無人機、またこの種の装備の先行者というべきRQ-1プレデター無人機などを製造しており、深い経験と実績をもつ企業です。
Gambit、このガムビットは単体の無人機ではなく、複数の無人機を複合運用するシステムであり、ACP自律型相互連携プラットフォームを構築しています。自律型とあるように中枢技術はAI人工知能とデータリンクシステムで、有人航空機での作戦にて先鋒を務めます。無人戦闘機ではなく、先ず敵対空域への航空進攻作戦に先行し、情報収集にあたるもの。
レーダーや複合光学情報センサーに加えて電子情報収集装置などを有し、相互に連携する事で例えば地対空ミサイルや敵対戦闘機などの脅威に際しては無理な損耗を避け、集合と分散を行い、脅威情報の標定と戦域情報優位を自己生存に合せて実現するというもの。構想ではジェットエンジンを採用し、相応に高い速度領域にて高い進出速度を有するもよう。
■バンディットプログラム
無人航空機が不可欠な装備である事は認識されても平時の戦闘機の訓練は戦闘機同士という事が多い、それで良いのかという一石です。
アメリカ空軍の空軍研究所航空宇宙システム局は複数の無人航空機によるADAIR敵対航空作戦対処訓練能力構築中です。これはバンディットプログラムと呼ばれるもので中小企業革新研究契約という手法によりアメリカの防衛企業ブルーフォーステクノロジーズが開発を担当します。ブルーフォーステクノロジーズはノースカロライナ州に本拠地を置く。
バンディットプログラムとは、近年無人航空機による情報収集は勿論、航空打撃や将来には対航空戦などの運用が不可欠となる中、無人航空機の操縦は演練されるが、軍事演習を除けば有人戦闘機と無人航空機を連携させる訓練方法などが充分構築されておらず、有人戦闘機の操縦士が無人航空機と演習により信頼関係を構築する方法がありませんでした。
ブルーフォーステクノロジーズはADAIRの開発について4機の無人航空機と運用システムを900万ドルで納入します。これは国防省の中小企業革新研究契約という取り組みであり、巨額契約ではないが先端技術を有する企業、特に新興企業や大学研究室及び個人技術研究者に対してでは小規模契約あっても革新的な技術開発支援を積極的に行うというものです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は無人機特集です。自衛隊は無人機の配備で後れを取っていますが例えば有れば相当予算を節約できる分野があるのですね。
オーストラリア軍が開発したロイヤルウイングマン無人僚機がMQ-28A無人機として制式化されました。愛称はゴーストバット、完成式典に臨席したオーストラリアのダットン国防相が発表しました。ロイヤルウイングマン無人僚機は、ボーイングオーストラリアが中心となり構想発表による開発開始から初飛行まで三年という短期間で実現しています。
MQ-28A無人機はオーストラリアが開発する50年ぶりの独自航空機とされていますが、技術面では多くがボーイング社の子会社であるボーイングオーストラリア社により提供されています、しかし、オーストラリア政府はボーイングオーストラリア社との間で、安全保障上の観点からオーストラリア企業参画を強く要請し35社の企業連合が製造を担当する。
無人戦闘機とも称されますが、任務は監視及び偵察任務といい、ロイヤルウイングマン無人僚機と称される背景には、例えばF-35戦闘機のような高価な第五世代戦闘機に随伴し、レーダーによる索敵という煩雑な任務や攻撃を受けた際に高価な第五世代戦闘機を損耗から防護するなどの用途が見込まれています。なお本機については輸出も期待されています。
■タルシャマイム係留飛行船型レーダー
無人機は低速で小型でも航続距離が大きい機種が存在し各国がどのように検知するかを一つの課題でしたが。
イスラエル空軍は係留飛行船型レーダーシステムJLENS派生のタルシャマイムを受領しました。これはアメリカのMDAミサイル防衛局とイスラエル国防省が共同開発したもので、高高度滞空型係留式空中センサーのプラットフォームとなり、早期警戒機と同様の任務に当ると共に、巡航ミサイルや無人機による攻撃を迅速に発見する事が可能となります。
JLENSはアメリカのTCOM社により開発されたもので一時は我が国防衛省も沖縄など南西諸島の警戒監視用に調達が検討されていました。JLENSは各型が開発されていますが、標準的な74m型では3.174tのセンサーを搭載し3300mの高度を10000000時間連続し滞空可能で、高山部の山頂にレーダーを設置した場合と同様の警戒監視が可能となるもの。
タルシャマイムはJLENS系統では初めて実用化されたものとなります。この背景にはJLENSは高高度に滞空させる事で550km圏内を常時持続的に監視可能なセンサーとしてアメリカ陸軍がPSS-T計画として本土防衛用に研究されたものの、コスト管理の失敗と開発遅延により開発中止となりました。2015年には係留索が切れ漂流する事故も起きている。
■新無人機システムガムビット
無人機は単体で装備する時代からシステムとして考えて行かないと各国がそろそろ対無人機システムを体系化させる為に運用が難しくなります。
アメリカの軍用無人機大手ジェネラルアトミクス社は新無人機システムガムビットを発表しました。ジェネラルアトミクス社はアメリカ軍始め各国で運用されているMQ-9リーパー無人攻撃機やその非武装型であるガーディアン無人機、またこの種の装備の先行者というべきRQ-1プレデター無人機などを製造しており、深い経験と実績をもつ企業です。
Gambit、このガムビットは単体の無人機ではなく、複数の無人機を複合運用するシステムであり、ACP自律型相互連携プラットフォームを構築しています。自律型とあるように中枢技術はAI人工知能とデータリンクシステムで、有人航空機での作戦にて先鋒を務めます。無人戦闘機ではなく、先ず敵対空域への航空進攻作戦に先行し、情報収集にあたるもの。
レーダーや複合光学情報センサーに加えて電子情報収集装置などを有し、相互に連携する事で例えば地対空ミサイルや敵対戦闘機などの脅威に際しては無理な損耗を避け、集合と分散を行い、脅威情報の標定と戦域情報優位を自己生存に合せて実現するというもの。構想ではジェットエンジンを採用し、相応に高い速度領域にて高い進出速度を有するもよう。
■バンディットプログラム
無人航空機が不可欠な装備である事は認識されても平時の戦闘機の訓練は戦闘機同士という事が多い、それで良いのかという一石です。
アメリカ空軍の空軍研究所航空宇宙システム局は複数の無人航空機によるADAIR敵対航空作戦対処訓練能力構築中です。これはバンディットプログラムと呼ばれるもので中小企業革新研究契約という手法によりアメリカの防衛企業ブルーフォーステクノロジーズが開発を担当します。ブルーフォーステクノロジーズはノースカロライナ州に本拠地を置く。
バンディットプログラムとは、近年無人航空機による情報収集は勿論、航空打撃や将来には対航空戦などの運用が不可欠となる中、無人航空機の操縦は演練されるが、軍事演習を除けば有人戦闘機と無人航空機を連携させる訓練方法などが充分構築されておらず、有人戦闘機の操縦士が無人航空機と演習により信頼関係を構築する方法がありませんでした。
ブルーフォーステクノロジーズはADAIRの開発について4機の無人航空機と運用システムを900万ドルで納入します。これは国防省の中小企業革新研究契約という取り組みであり、巨額契約ではないが先端技術を有する企業、特に新興企業や大学研究室及び個人技術研究者に対してでは小規模契約あっても革新的な技術開発支援を積極的に行うというものです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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