■臨時特集-参院選2022
参議院選挙が公示日を迎えました。今回の参院選はロシアのウクライナ侵攻とロシア軍の日本周辺での活性化を受け防衛も大きな関心を集めているもよう。
参院選では防衛費の問題が与野党論点の一つとなっています。防衛力については認識を高める必要はありますが、防衛費の問題が防衛力整備という論点から先行し、防衛費の増減だけが論点となっている様にも思うのです。そして防衛費を増額したとしても、防衛力整備の方向性が曖昧では結局無駄が生じます、すると防衛力整備の方向性が肝要でないか。
自衛隊ではF-4ファントムこそ遂に昨年完全退役となりましたが、航空自衛隊には1981年から配備開始された、つまり41年前からだ、F-15戦闘機が数の上では主力です。対戦車ヘリコプターAH-1Sは後継機の調達が中断したまま耐用年数を迎え用途廃止、兎にも角にも防衛予算は増えない中で任務だけが増大し、結果、それまでの装備が更新できていません。
防衛費は、そもそも物価上昇が論点になっているのですから防衛費をそのままとした場合は防衛力は自然減となります、つまり減額する選択肢以外に現状維持というだけで防衛力は着実に瓦解してゆきますので、防衛費を増やさない選択肢を採る場合には、有事の事は考えない、その時に国民が命がけで頑張ればよい、という無責任な政治主張となります。
しかし、増額するにしても方向性が重要です。AH-1Sの問題を提示しましたが、政治決定と呼ばれる調達として、防衛省はMV-22可動翼機17機を導入しました、これは優れた装備ではあるのですが、優先度としてはAH-64E戦闘ヘリコプターを先行調達すべきでしたし、また、AH-64D調達を中断した事で違約金351億円が発生した歴史を忘れています。
防衛費増額、最大の課題は島嶼部防衛とミサイル防衛により増大した任務に対し予算を増やさなかった事です、もちろん、原爆なんて打ち込まれても怖くないのでミサイル防衛反対、沖縄なんてどうなっても良いので島嶼部防衛反対、こういう論点はまさか日本の政治家には居ないでしょうが、任務が増えた分、人員と予算を増やす手間を省いていました。
防衛力を支える防衛産業は調達を大幅に削られ生産維持は崩壊し、撤退が相次ぐ事で現行装備品の維持にも苦労しています、唯一の処方箋はせめて1990年代並の数を調達するか、覚悟を決めて政府が輸出を後押しするかです。ただ、こうした論点ではなく、金額だけが論点となっている。予算は必要ですが、何をする予算なのかが本来先に在るべきでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
参議院選挙が公示日を迎えました。今回の参院選はロシアのウクライナ侵攻とロシア軍の日本周辺での活性化を受け防衛も大きな関心を集めているもよう。
参院選では防衛費の問題が与野党論点の一つとなっています。防衛力については認識を高める必要はありますが、防衛費の問題が防衛力整備という論点から先行し、防衛費の増減だけが論点となっている様にも思うのです。そして防衛費を増額したとしても、防衛力整備の方向性が曖昧では結局無駄が生じます、すると防衛力整備の方向性が肝要でないか。
自衛隊ではF-4ファントムこそ遂に昨年完全退役となりましたが、航空自衛隊には1981年から配備開始された、つまり41年前からだ、F-15戦闘機が数の上では主力です。対戦車ヘリコプターAH-1Sは後継機の調達が中断したまま耐用年数を迎え用途廃止、兎にも角にも防衛予算は増えない中で任務だけが増大し、結果、それまでの装備が更新できていません。
防衛費は、そもそも物価上昇が論点になっているのですから防衛費をそのままとした場合は防衛力は自然減となります、つまり減額する選択肢以外に現状維持というだけで防衛力は着実に瓦解してゆきますので、防衛費を増やさない選択肢を採る場合には、有事の事は考えない、その時に国民が命がけで頑張ればよい、という無責任な政治主張となります。
しかし、増額するにしても方向性が重要です。AH-1Sの問題を提示しましたが、政治決定と呼ばれる調達として、防衛省はMV-22可動翼機17機を導入しました、これは優れた装備ではあるのですが、優先度としてはAH-64E戦闘ヘリコプターを先行調達すべきでしたし、また、AH-64D調達を中断した事で違約金351億円が発生した歴史を忘れています。
防衛費増額、最大の課題は島嶼部防衛とミサイル防衛により増大した任務に対し予算を増やさなかった事です、もちろん、原爆なんて打ち込まれても怖くないのでミサイル防衛反対、沖縄なんてどうなっても良いので島嶼部防衛反対、こういう論点はまさか日本の政治家には居ないでしょうが、任務が増えた分、人員と予算を増やす手間を省いていました。
防衛力を支える防衛産業は調達を大幅に削られ生産維持は崩壊し、撤退が相次ぐ事で現行装備品の維持にも苦労しています、唯一の処方箋はせめて1990年代並の数を調達するか、覚悟を決めて政府が輸出を後押しするかです。ただ、こうした論点ではなく、金額だけが論点となっている。予算は必要ですが、何をする予算なのかが本来先に在るべきでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
仮に従業員1万人の企業一つと従業員100人の企業が60あったとして
確かに数では1対60ですが、従業員の人数だと1万人対6千人になってしまいます
どちらを優先するかは政治の判断になりますが
少なくとも単純に1対60とは行かないでしょう
日本の左派は、そういう事を気にしません