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ウクライナ情勢:ロシア軍モスクワ軍管区復活と隠された二万両戦車が帰結の欧州通常戦力削減条約ロシア離脱

2023-06-06 07:00:15 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 本日は六月六日でDデイです。もちろんDデイに併せてウクライナ軍の総反撃が始まるというような訳ではないのでしょうが。

 ロシア連邦軍はモスクワ軍管区とサンクトペテルブルク軍管区を年内に新編する方針を示しました。これはロシア連邦軍参謀本部組織動員総局が発表、ソ連時代のモスクワ大軍管区とレニングラード大軍管区に相当するもので、陸軍軍団及び航空軍団を隷下に置くものとしています。この為の新たな動員計画などについては、あきらかにされていません。

 モスクワ軍管区再編について、現在ロシア軍は2010年のセルジュコフ国防相時代の改編により、東部軍管区、西部軍管区、南部軍管区、中央軍管区、北部軍管区、この五個軍管区に区分されています。しかし5月以降相次ぐモスクワへの無人機攻撃など首都防衛を再認識する必要が生じたことから、大都市の軍管区再編に踏み切ったものと推測ができます。
■ロシアCFE条約脱退
 欧州通常戦力削減条約いわゆるCFE条約では廃棄戦車などの解体を示す証拠画像を当時のロシア政府が発表していたのですが。

 ロシア政府は5月29日、欧州通常戦力削減条約からの離脱を表明しました、これはロシア軍が廃棄したとされる大量の戦車等を解体せず保存していた事への説明を免れる為の行動と考えられ、ロシアは1990年の歴史的と云えた条約成立の一方で、ひそかに大量の兵器を隠匿し、またウクライナ戦争のような侵略行動に備えていた事が明るみに出た構図です。

 欧州通常戦力削減条約ではNATOと旧ワルシャワ条約機構軍は共に戦車を20000両まで削減、装甲戦闘車両は共に30000、火砲も共に20000、戦闘用航空機は共に6800、攻撃ヘリコプターを共に2000へ削減するとし、特にロシアは戦車だけでも6400に削減する合意でしたが、2022年に入り突如ロシア国防省が20000両の戦車を保管中と発表していました。
■パルチザン部隊
 隣国との戦争中にその隣国が反撃してこないという不思議な思い込みがあったようです。

 イギリス国防省戦況報告によればロシアパルチザン部隊が6月1日、ロシアのベルゴロド州へ再度攻撃を加え、この攻撃では無人航空機等空からの掩護が加えられたとのこと。またロシアウクライナ国境に近いシェビキノ市ではウクライナ側の砲撃が加えられ、ロシア側のFSB国境警備隊による国境警備体制の低さが露呈する状況となっています。

 戦争中の隣国からの反撃を全く想定していない国境警備体制は理解が難しく、ロシア陸軍はTOS-1A重サーモバリック兵器や戦闘ヘリコプターなどを国境地域警備へ増派しているとしていますが、これらの装備はウクライナ侵略に際し占領地の防衛や次の攻撃作戦などで必要な装備となっていて、侵攻作戦と領域警備二者択一の問題が生じつつあるようです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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