北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

第1回防衛省自衛隊2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会特別行動委員会が開催

2013-09-10 23:41:20 | 防衛・安全保障

◆式典と競技支援から警備まで、オリンピック支援

 防衛省は本日、防衛省本省A棟第一省議室において第1回防衛省自衛隊2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会特別行動委員会を実施しました。

Oimg_1432 第1回防衛省自衛隊2020年東京オリンピックパラリンピック競技大会特別行動委員会は委員長を防衛大臣、委員長代理を防衛副大臣、副委員長を防衛大臣政務官とし、委員に防衛大臣補佐官、事務次官、大臣官房長、衛生監、技術監、報道官、統幕長、陸幕長、海幕長、空幕長、情報本部長が務める会議として開始されました。

Oimg_3508 自衛隊の支援と言いますと、駅伝やマラソン支援の車両などが思い浮かぶところですが、その他にもさまざまな分野で協力を行います。自衛隊のオリンピック支援、最初に思い浮かぶのは武装集団としての能力を活かした競技会場の警備でしょうが、しかし、その他にも、自衛隊でなければ実施できない支援は幾つもあります。

Img_4263 第一に、オリンピック開会式、オリンピックの開会式と言えば、1964年東京オリンピックの開会式ではブルーインパルスが五輪を上空に描きました、カラースモークが今日では使えず、新しい国立競技場は空が見えにくそうなのは少々気になるところですが、このほかにも。

Oimg_2802 開会式こそオリンピックの第一というところですが、開会式そのものよりもその前、その輸送支援に陸上自衛隊が当たります。輸送支援であれば、例えばハイヤー等の手配で民間でも対応できるものと錯覚しがちですが、オリンピック開会式となりますと各国より国家元首級の要人が専用機で来日されますので、空港から会場までの空輸支援が必要となります。

Oimg_0803 VIP空輸任務は、絶対に間違いの許されない飛行であり、陸上自衛隊は要人輸送ヘリコプターを保有していますが、このほか、1989年には各国の要人輸送に第一ヘリコプター団のV-107輸送ヘリコプターが全面支援した事例があり、今回も第一ヘリコプター団のCH-47J/JAが羽田空港や成田空港と場合によっては横田基地からの要人輸送に協力することとなるでしょう。

Oimg_5200 また、国賓の来日に対しては、礼砲の発射も民間には礼砲に用いる事の出来る榴弾砲が無いため、自衛隊の欠かせない支援で、第1特科隊臨時礼砲中隊により、国家元首は21発、副大統領および首相は19発、閣僚と特命全権大使と大将には17発、などなど“自衛隊の礼式に関する訓令”に基づき、国際儀礼上の責務を果たさねばなりません。

Oimg_5013 1964年東京五輪では開会式の旗手は全て防衛大学校学生隊が務めましたが、長野冬季五輪では会場設営にも協力、オリンピックの始まりである開会式には今のところ輸送支援と警備支援が考えられるのですが、このほかにも支援は要請されれば最大限対応するものと考えられます。

Oimg_8553 競技支援ですが、マラソンなどでの車両支援は大会側にも大会側車両で十分対応できるものと考えられますが、資材輸送では輸送能力が足りなくなることも考えられ、日本通運といた民間企業とともに、自衛隊の車両も輸送支援に当たることは考えられます。しかし、その他にもヨット競技支援などに掃海艇を派遣した事例もあり、今回も実施されるかもしれません。

Oimg_8159 更に救急搬送支援、万一の負傷者の発生事案や、熱中症を含めた緊急時には、自衛隊が東京消防庁に協力し広域搬送体制を構築することも考えられるところ。自衛隊には知られている以上に様々な用途の装備がありますので、民生支援に用いることが出来るものは多いため、活用されるでしょう。

Oimg_0078 会場警備ですが、既に綜合警備保障などが株価に好影響を示しており、勿論警察庁と海上保安庁も特別警備体制が採られることは間違いありません。しかし、自衛隊が行う警備は、警察や海上保安庁、綜合警備保障には絶対対応できない分野において実施され、そしてその責任は大きい。

Oimg_8468 自衛隊が行う会場警備は、洞爺湖サミットや九州沖縄サミットなどで実施されましたが、会場へ不審航空機の接近に備える事です。同時多発テロのような旅客航空機、それでなくとも小型機を用いた自爆攻撃をテロリストが計画する可能性は充分あり、海上自衛隊はサミット警備へイージス艦を派遣しました。

Oimg_0256 イージス艦であれば、航空管制に従わない航空機を、多数のVIP輸送航空機や、それ以上に膨大な報道航空機から識別することが可能で、また最悪の場合、イージス艦の防空能力は会場に万一の事態が生じる前に必要な手段を即座に遂行することも可能です。

Oimg_7107 このほか、航空自衛隊のペトリオットミサイルも待機態勢に入り、場合によっては、ロンドン五輪ではロンドン市内の民間ビル屋上にレイピア地対空ミサイルなどが配置され、不測の事態に備えていました。首都圏のビルの屋上に81式短距離地対空誘導弾、ということはさすがに無いとは思いますが。

Oimg_5141 警備とはいえやり過ぎではないか、と思われる方も多いかもしれませんが、国家的行事であるオリンピックは、現在の国際公序、自由公正と機会均等を目指す諸国の協調へ暴力を以て反論する過激派の一部には最大の標的となり得るもので、このため、ロンドン五輪では前述のような警戒態勢が採られました。

Oimg_3180 このほか、広範囲の航空機を同時にその動向を把握し管制する早期警戒機による会場上空の警戒要請への待機は考えられ、実際、東日本大震災でも航空管制に出動しています。加えて万一への戦闘機などの待機も、通常の対領空侵犯措置任務に重ねて実施されることでしょう。

Oimg_3011 日本の警察の警備能力や民間警備会社の警備能力の高さは様々な行事において実証されていますが、航空攻撃に対し万全かと言われれば、流石に打つ手なしで、要撃と防空の両面で航空自衛隊、そして陸上自衛隊にしかできない任務となり、この重要性は改めて強調したいところです。

Oimg_2101 万一の開催中のテロに対しては、警視庁SATや銃器対策部隊とともに、陸上自衛隊も特殊作戦群等を待機態勢に置くことが考えられます。1988年のソウル五輪では海上保安庁の特殊部隊が創設され、2002年日韓ワールドカップでは都道府県警察の銃器対策部隊が装備と人員面で大きく強化されており、自衛隊も特殊作戦群のほか、臨時の待機部隊を編成する可能性もあるでしょう。

Oimg_9505 首都圏には第1師団のほか、中央即応集団の特殊作戦群、第1空挺団、中央即応連隊など、多くの部隊が駐屯しています。雑踏警備などは駐屯地祭や航空祭のような経験のみですので、警察と民間警備会社に分がありますが、それ以外の事態へは頼るところが大きいというわけです。

Oimg_1410 更に、会場警備には、オリンピック選手村などが臨海地区に配置されるため、1972年のミュンヘン五輪におけるテロ攻撃事案のような状況を阻止する観点から、海上保安庁とその虎の子特殊部隊SSTとともに海上自衛隊の特殊警備隊も警備支援に当たることが考えられ、平和の祭典への暴力の持ち込みを毅然として拒否します。

Oimg_2104 また、オリンピック期間中における防衛力の偏りを生じさせないよう、調整を行う必要性は言うまでもありませんが、本日、2020年の東京五輪にむけた、防衛省の準備の第一歩は始まりました。七年は長いようで、やはり長いですが、準備はこれから着実に進めてゆかねばなりません。

北大路機関:はるな

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国籍不明無人機が東シナ海南西諸島方面へ飛来、航空自衛隊緊急発進、初の無人機対処

2013-09-09 23:22:58 | 防衛・安全保障

◆WZ-2000と類似、東シナ海は電子情報収集最前線

 本日午前、国籍不明の無人航空機が東シナ海の我が国防空識別圏内へ侵入、航空自衛隊が緊急発進しました。

Rimg_3612 無人機であった場合、この空域での活動が恒常化すれば、我が国対領空侵犯措置任務が飽和状態となる可能性があるほか、無人機情報の収集で我が国は優位に立てる事でしょう。無人機であると判断されたのは、緊急発進を行った航空自衛隊戦闘機が目視確認した際に、操縦席などが確認できず、これをもって無人機であると判断されています。

Gimg_2634 航空自衛隊の発表した国籍不明機の写真では、V字型尾翼と胴体上部のエンジン配置、不鮮明ですが後退翼形状を採用した航空機で、中国軍が開発し2007年頃より中央軍事委員会直轄無人機隊で運用を開始していたWZ-2000/無偵2000型無人偵察機と共通しており、同機は珠海航空展での公表データを見る限り、重量1.7t、行動半径800km、上昇限度18000m、一応我が国周辺までその行動圏内に含んでいます。

Rimg_0580 防衛省の発表では国籍不明の無人機は中国大陸方面から飛来し、国連海洋法条約に基づく我が国排他的経済水域との日中境界線を突破、尖閣諸島北方100km空域まで飛行したのち、本土へ引き返しました。今回の緊急発進において、領空侵犯事案は発生しませんでしたが、仮に領空侵犯事案が発生した際、進路変更要求や強制着陸などを行う際の警告通信などの受信能力を持たない無人機にたいしては、有人偵察機に対して実施するような手法は用いられません。

Rimg_3510 既存の国籍不明機への対処が不可能である今回の無人機侵入事案ですが、WZ-2000無人機の滞空時間は3時間程度とされますので、長時間の領空侵犯事案が将来発生する可能性はありません。しかし、現在中国では10時間の長時間飛行を可能とする無人偵察機翔龍を開発中です。性能としてはRQ-4,米空軍が運用中で航空自衛隊も中期防衛力整備計画で導入を計画しているRQ-4の飛行時間48時間には及びませんが、将来的に更に滞空時間の大きな無人機が開発された際、我が国領空上空を長時間滞空し続けることも可能となるのでしょう。

Rimg_2300 特に、滞空型無人機が我が国周辺空域を常時遊弋するようになった場合、航空自衛隊の緊急発進能力が、飽和状態となってしまう可能性があります。航空自衛隊の要撃機は270機、1990年代の350機と比較し、実に四個飛行隊に匹敵する80機が縮小されています。周辺空域での無人機飛行が恒常化した場合、例えば1973年の第四次中東戦争直前のように、訓練か武力攻撃事態の兆候なのか、が判別できなくなるわけです。航空自衛隊は次期戦闘機として高価なF-35戦闘機を採用しており、仮に戦闘機定数を元に戻す場合にも、安易に更に80機のF-35を上乗せすることはできませんので、こちらも無人機を、例えば取得費用がF-35の五分の一というMQ-9無人機を導入するなど、考えねばならないのでしょうか。

Rimg_9393 対して、無人機の沖縄周辺への飛行が恒常化した場合には、沖縄周辺空域が電子航空戦の最前線と成る可能性があります。言い換えれば、無人機に対する電子戦訓練支援機など、電子戦能力を有する航空機、航空自衛隊のEC-1等がこれに当たりますが、これにより電子妨害を行い、例えば無人機を我が方の統制下に置き、強制着陸を行うことが対処法として考えられるところで、特にWZ-2000の自律飛行能力の高さ、電子妨害を受け通信機能と航法装置の能力が喪失した場合の対処能力が低ければ、航空自衛隊の対領空侵犯措置任務においての退去の応じない場合の対処、強制着陸を行うことが可能かもしれません。

Rimg_0712 ただし、現時点での急務は情報収集です。特に無人機は飛行空域が防空識別圏に入っていても、領空侵犯事案が発生しているわけではありませんので、強制着陸を行うような方法を行うべきではありません、そういうのも、これを実施する場合、手の内をさらすことに他なりませんので、懸念される領空侵犯事案の恒常化、それまでには海上自衛隊のEP-3や航空自衛隊のYS-11Eのような電子情報収集機を以て、電子航空戦を有事の際に有利に進めるべく我が国周辺空域で行動する無人機に関する電子情報収集を行うことが重要でしょう。

Rimg_9366 率直な印象としては、無人機はステルス性を有する航空機でない限り、特に航空自衛隊のように国土全域を警戒管制網で網羅し、その管轄権の及ぶ範囲内全域へ戦闘機を緊急発進し、対領空侵犯措置任務を展開可能な防空網を構築している空域へ展開させる意味はありません、アフガニスタンやイラクでRQ-4無人偵察機が最大限能力を発揮できているのは、武装勢力が警戒管制網と防空体制を構築していないところに起因するもので、無人偵察機が簡単に捕捉され、必要ならば排除可能な空域への侵入は示威行動以外何物でもないわけですから。

Rimg_8552 そして、電子情報収集能力を保有する自衛隊と、なによりもこの種の無人機動向に最大の関心を払う米軍基地近傍を行動するわけですので、当然その付近を飛行すれば、電子情報を収集されることは避けられません。日本の無人機開発も、硫黄島を拠点として実施しているのは電子情報収集機の接近が難しいりっちとして遠隔地で行っているのです。今回の国籍不明機、仮に示威行動が主眼であったとすれば、示威行動が破綻した際の切り札となる電子情報を自ら暴露させる行為ですので、我が国としては逆に、という印象は無いでもないところ、というべきでしょうか。

北大路機関:はるな

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精鋭第14普通科連隊 金沢駐屯地創設63周年記念行事展開PowerShotG-12第一報

2013-09-08 22:43:51 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆先ほど帰ってきました

 金沢駐屯地創設記念行事へ行ってまいりました、G-12の写真ですがとりあえずご報告までに。

Psgimg_4097 百里基地航空祭や八戸展示訓練に帯広駐屯地第5旅団創設記念行事と自衛隊行事が広く実施された今週末ですが、当方は六年ぶりに金沢駐屯地へ展開しました。前日から金沢にて夜の豪雨の最中少々不安も感じましたが、万全の防滴装備で行事へ臨んだものの、雨は上がり本日は晴天行事で実施です。

Psgimg_4228 六年ぶりの金沢駐屯地祭ですが、装備面で改善したものもあり、なるほど、と思ったものも。帰路、金沢から福井で少し散策し、さきほど。金沢は今年二度目、国鉄急行型も見ることが出来ましたし、485系も現役特急で活躍、やはり北陸本線は長大で奥深いですね。

北大路機関:はるな

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浜松基地航空祭2012詳報④ 外来機展示飛行!、静浜基地第11飛行教育団T-7練習機

2013-09-07 11:21:02 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆外来機展示飛行とともに機動展開準備へ

 浜松基地航空祭、地上展示機の撮影と共に、浜松基地第1航空団のT-4練習機が飛行展示を行い、先ほど着陸しました。

Himg_2913 静浜基地第11飛行教育団のT-7練習機三機編隊が、T-4練習機に続いて飛行展示へ展開しました。静浜基地は浜松基地と同じ静岡県の航空自衛隊基地、静岡県には航空自衛隊の飛行場が二か所あり、加えて静岡空港が開港し、三か所の飛行場がある、という事に、ちなみに新幹線の駅も6駅あります。

Himg_2921 静浜基地航空祭は東海道本線藤枝駅から少し離れた場所に位置し、毎年五月上旬にあり、ここ浜松を基点に戦闘機やブルーインパルスのリモートフライトも実施、中々の活況のようです。しかし実は当方一度も行ったことがありません。何故なら、ほぼ毎年、同日に千僧駐屯地第3師団創設記念行事があり、そちらの方へ行ってしまうため。

Himg_2904 さて、浜松基地航空祭をメイン会場から撮影していますが、元々は早い時間帯にこの地上展示機を撮影し終えて次の撮影位置へ展開するという目的で基地を散策してきましたが、飛行展示が始まり、T-4練習機は飛行展示を終えて着陸し、今しもT-7練習機は頭上を編隊飛行、プログラムはどんどん進んでゆきます。

Himg_2925 少々見づらいでしょうが、三機編隊のT-7と浜松基地の格納庫、このメイン会場は常時逆光なのですけれども、滑走路方向の正面が逆光なので、メイン会場の背後に回ってくれると、こうした順光の構図で撮影できます、ただ、滑走路反対側に写れば、常時この順光の条件で撮影できるのですから、急がねば。

Himg_2911 地上展示機、T-4練習機、浜松基地の機体です。双発で安定した性能とともにエンジンを含め国産化でき、生産数も200機を越えるT-4練習機の量産は日本の防衛航空産業に一つの自信をつけるに至りました。また、双発としたことでエンジンの量産数も増加させることが出来、他方双発機は整備費用が増大するのですが、全体的なコストとしてはかなり低く抑えられている、とのこと。

Himg_2898 そのT-4練習機の増槽ですが、なにやら非常にカラフル、子供たちの寄せ書きと言いますか、アート、というところでしょうか。この機体はブルーインパルスでも使用されているため、我が国での知名度は、機体のT-4を知らずとも映像で一度は見たことがある、という高いものではないでしょうか。

Himg_2903 さて、この並んだ二機のT-4練習機の撮影を以て、地上展示航空機は全て、多分ですが、撮影し終えました。なんとなくとってない機体や格納庫の装備品もありそうですが、それはま、そういうもの。駆け足ではありましたが、メイン会場での撮影を完了し、いよいよ次の撮影位置へ移動しましょう。

Himg_2944 編隊を組みかえて飛行展示を続けるT-7練習機、航空自衛隊では戦闘機はもちろんのこと、ヘリコプター要員も輸送機要員も政府専用機要員も、最初の初等練習飛行はT-7練習機で始まり、そして操縦課程に進む適性検査もこのT-7練習機から、始まりの練習機というところでしょう。

Himg_2936 前述したように静浜基地航空祭は、千僧駐屯地祭と重なるため、中々行けないのですが、同じくT-7練習機を運用する防府航空祭ならば日程的に行けそうで、毎年行こうとも考えつつも、しかし所要時間が大きく、踏ん切りの付かないところ。また、海上自衛隊の初等練習機の配備されている小月航空基地祭も行きたいところ。

Himg_2934 管制塔と三機編隊、思い入り接近して映画のトップガンのような、状況になったりはしませんが、ちなみにこちらは旧管制塔のようで、新管制塔はより高くなり、先ほどのT-4練習機の背景に大きくその姿を見せています。エプロン地区から、移動してゆく最中の一枚です。

Himg_2638 滑走路の反対側、航空自衛隊広報館があり、そして駐車場として広く航空祭当日は開放されています。そこへは、ここメイン会場とシャトルバス多数で結ばれていますが、少々混雑の極み、乗車人数よりも降車人数が多く、手間取っている、という状況のようです。次の飛行展示も近い、さて、どうしたものか。

Himg_2943
 こういう時こそ、タクシーです。何やらこの写真では警察化自衛隊に御厄介になったようなキャプションですが、静岡県警と航空自衛隊の協同警備の向こう、会場入り口付近にはタクシー乗り場があり、ここは意外と混雑していません、帰路シャトルバスが混雑し過ぎていた場合には最寄の遠鉄線遠州曳馬駅まで、ここからタクシー、とも考えていましたが、本日は早速タクシー利用です。

北大路機関:はるな

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名護市が借地料収入低下と再利用困難を理由に米軍用地返還延期を要請、防衛省は難色

2013-09-06 23:21:58 | 国際・政治

◆基地返還後の利用計画や財投計画不在

 米軍基地返還を求めてきた沖縄県ですが、米軍敷地返還の日米合意に対し名護市の稲嶺市長が難色を示してきました。

Img_3539 名護市の海兵隊キャンプハンセンの一部返還は以前より決定しており、何時返還されるのかというその具体的時期が模索されてきましたが、昨日、この具体的時期が日米合意により決定しました。しかし、この返還について、意外なところから反対の声が上がりました、地元の名護市です。

Nimg_2125 名護市としては、返還されたとしても傾斜地等で再利用できない土地が少なからずあり、加えて急に返還された場合、米軍用地の借地料収入が消滅してしまうため、延期を申し入れてきた、というかたちです。元々、こうした議論はあったのですが、これに合わせ、既に過去三回、返還の延期が行われてきました。

Img_0155a 他方、米軍用地は米軍用地としての運用が終了すると同時に日本側へ返還するとの日米地位協定における明示があり、少なくとも米軍用地としてのしようは米軍の使用終了とともに返還されるわけですので、例えば防衛省用地としてでも移管されない限り、現場の勝手な運用で維持する、ということはできません。

Iimg_1166 そしてこのほか、傾斜地など再利用に限界がある地域でも借地料の対象となっているため、仮に返還された場合、傾斜地であることからそのままでは再利用不可能で大変な財投が必要となりますし、返還されても利用できない、という事は困惑する要素ではあるでしょう。

Img_7046  防衛省としては難色を示しています。ある意味当然で、返還要請があるため返還しようとすると反対である、というのも少々不可思議ですが、同時に用地返還を土地の利用価値に応じて返還時期や借地料支払継続を行うことは、逆に問題を複雑化させ、利用価値を構築するよりも現状維持の補助金を望ん声の方が大きくなってしまい、これは難しい。

Gimg_9744 もちろん、返還されることはもとより決定していたのだから、何故返還後の再利用計画の検討を先送りとしてきたのか、という疑問はありますし、そもそも傾斜地という利用価値の無いところでも税金から借地料を払っていたのか、という憤りにようなかたちではある疑問は残るところではありますが。

Img_1802 他方、米軍用地は地元にとっては重要な現金収入源であり、重工業基盤が、特に港湾設備に限界があることから発展できなかった沖縄県にとり、その大きな意味は理解できるところです。しかし、返還要請を一つの民意として醸成し、日本政府もこうした長期的展望の下、返還計画についての日米交渉を続けてきました。

Simg_8666 実のところ、例えば返還後の利用計画を明示している普天間基地を例に挙げますと、宜野湾市は再利用計画にリゾートホテル化やショッピングモール建築、公園整備などを提示し、嘉数高台公園にも明示してあるのですが、リゾートというには海から距離が大きく、ショッピングモールも公園なども近傍にあり、実現性はどうなのか、と疑問には残るところ。

Cimg_9091 そして現実として、嘉手納基地近傍で既に返還された読谷補助飛行場跡地は、2006年の返還前こそ工業団地やリゾートホテル群に巨大ショッピングモールの建設という壮大な計画が提示されていたのですが、出資者が現れず、滑走路跡地をそのまま直線道路とした公園として再整備し、それも除草費用などを捻出できないため、ハブの繁殖地となり、立ち入ることが危険な地域となった事例があります。

Iimg_2562 もっとも、米軍用地跡地利用として定番化しているショッピングモール化やリゾートホテル化計画ですが、そもそも米軍基地が縮小されると同時に中国軍の沖縄周辺での活動がさらに活性化した場合、これは韓国への観光客が朝鮮半島情勢の影響を大きく受けたように沖縄県への観光客誘致にも影響が及ぶことも忘れてはならないでしょう。

Nimg_0554 さて、今回の名護市の米軍用地返還延期要請は、沖縄県の基地反対という建前と基地経済依存という本音が難しい部分で折り重なっている厳しい現実といえるでしょう。産業構築一つとっても、港湾整備や造成工事など、環境負荷が大きなものはありますので、安易に進められるものではありませんが、討議は必要です。

Gimg_8737 特にこの借地料ですが、今年6月13日の日米共同委員会合意において嘉手納基地以南米軍施設全面返還の方針が明示されましたので、嘉手納基地以南の米軍用地地主は今後、返還後、持っているだけで課税対象ともなるわけですので、その再活性化計画を考えてゆかねばなりません。

Img_8706 嘉手納以南返還は、今回の名護市の返還よりはかなり先とはなるのですが、用地の再活用、そのための諸経費算出、財投への出資者の算段、借地料に依存しない経済基盤の構築を考えてゆかねばなりません。しかし、これも前述の建前と本音の関係もあり、論議が進められなかった経緯もあるでしょう。

Img_6592 建前と本音は使い分けるべきではありますが、行動が真逆となっては対応できません。もちろん、前述のように米軍の抑止力を維持するという要素と中国からの軍事圧力増大に両立する回答は、日本は日本人が守る、という体制の構築の必要性に他ならないのですが、併せて跡地利用について、理念と主張だけではなく、現実的な算段も必要である、今回の事例はこれを端的に示しているといえるかもしれないでしょう。

北大路機関:はるな

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平成二十五年度九月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2013.09.07・08)

2013-09-05 23:24:00 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 異常気象が毎年続くので極端気象という新しい造語で気象庁が対応する中、一挙に豪雨とともに秋の気配が伝わる今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか。

Gimg_3050 今週末の自衛隊関連行事は、陸海空と強力行事が揃い踏み、もちろん天候如何では行事にも英起用が出る事となりましょうが、航空祭に展示訓練と旅団祭が並び、ここまで揃うことは中々稀有なことでして、少々遠い場所も含めてお時間のある方は足を運ばれては、と思います。

Gimg_9885 陸上自衛隊行事で、今週末最も大きなものは、土曜日に行われ、道東地区を防衛警備管区とする第5旅団創設記念、帯広駐屯地祭でしょう。写真は道北の旭川第2師団ですが、第5旅団は隷下普通科連隊全てが一部装甲化、戦車隊は90式戦車で充足し、特科隊は99式自走榴弾砲を装備する重装備旅団で、少々札幌から距離がある帯広ではありますが、対戦車ヘリコプター隊もあり、迫力の行事が期待できるでしょう。

Gimg_7950 大湊地方隊八戸展示訓練、マリンフェスタ八戸。大湊地方隊創設60周年記念行事として実施されるもので、土曜日と日曜日に実施されます。イージス艦3隻を中心とした艦隊が観閲式と祝賀飛行、訓練展示に飛行展示を実施するもので、艦艇の任務が南西諸島警備と海賊対処で厳しい中の実施です。ただ、こちらは乗艦券が必要です。

Diimg_8526 なお、八戸港ですが、日曜日については、体験航海と共に一般公開用艦艇があり、こちらは乗艦券は不要です。詳細は下記の行事関係部隊URLにてご確認をお願いします。また、当日悪天候時には実施情報を大湊地方隊HPではなく、八戸テレビ放送HTVがテロップで通知するとのこと、ご注意ください。

Gimg_2350 百里基地航空祭、航空自衛隊今週末最大の行事は、茨城県にある第7航空団と偵察航空隊等が展開し、首都防空の重責を担う基地航空祭が挙げられます。日曜日に航空祭ですが、土曜日に近隣住民と隊員家族や関係者を招いての特別公開が行われ、これを基地フェンス沿いから撮影することも可能、ただ、百里基地航空祭は最寄りのJR石岡駅から15kmの遠距離にある通称隔離基地で、航空祭当日は大渋滞となりますので、帰路には時間余裕の面でご注意を。

Gimg_2711 このほかの行事は陸上自衛隊駐屯地祭が南恵庭駐屯地、金沢駐屯地、川内駐屯地で実施されます。南恵庭駐屯地は、千歳空港から少し離れた位置にあり、北部方面施設隊本部と第73戦車連隊などが駐屯しています。土曜日に帯広駐屯地祭へ行き、日曜日に南恵庭駐屯地祭、という行程も面白いかもしれませんね。

Gimg_1626 金沢駐屯地祭、北陸の石川富山福井を防衛警備管区とし、余りにも広い日本海沿岸を警備することから連隊は別名北陸方面隊と呼ばれるほどの駐屯地ですが、豪雪地帯で対岸に北朝鮮とロシアを睨み、加賀百万石と北陸第九師団の歴史と伝統を引き継ぐ精鋭連隊として知られており、訓練展示の迫力はなかなかのもの。

Gimg_6037 川内駐屯地は、鹿児島県薩摩川内市にある駐屯地で、第8師団隷下の第8施設大隊などが駐屯しています。第8師団は現在、沖縄の在沖米軍海兵隊へ要員を派遣し、両用戦研究を実施中ですが、管区には鹿児島県島嶼部が含まれることもあり、そういった意味で注目の部隊と言えるかもしれません。

Gimg_6814 自衛隊関連行事は以上で、大湊地方隊と共に今週末は佐世保地方隊60周年記念行事が行われますが、こちらは音楽祭で、残念ながら今年度の展示訓練は予定されていないようです。また、現在、名古屋港弥富埠頭に米海軍イージス艦ヒギンズが停泊していますが、一般公開は行われません、伊勢湾海上交通センター大型船情報によれば7日に出港するようです。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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雷神2013 福岡第四師団、アメリカ本土で平成25年派米訓練・日米共同実動演習開始

2013-09-04 22:20:16 | 防衛・安全保障

◆番匠総監指揮下、ワシントンヤキマ演習場展開

 防衛省によれば、本日9月4日から24日まで、米本土ワシントン州ヤキマ演習場において派米実動演習“雷神2013”が開始されたとのことです。

Fimg_5372 派米実動演習は、1998年より陸上自衛隊が保有する長射程火砲や行進間射撃などを我が国国内での最大射程を活かした演習について、その演習上の制約より実施できなかった装備を米本土の演習場で実施するという目的で開始され、四国に匹敵する面積のワシントン州ヤキマ演習場において実施されてきました。

Fimg_5433 日本国内にも多くの演習場がありますが、最大の演習場は北海道の矢臼別演習場で、しかし、ここでも火砲は最大14kmまでの射撃しか行うことが出来ず、かつて行われていた北富士演習場から東富士演習場までの長射程射撃も現代では安全上から実施不能、30km以上の射程を有する現用火砲は最大射程射撃ができません。

Fs_img_3819 これは意外と深刻で、過去に陸上自衛隊がまだM-1榴弾砲などを使用していた時代、東富士演習場にて米陸軍のM-198榴弾砲と共同訓練を行ったところ、陸上自衛隊の火砲は大戦中の旧式ながら百発百中、米陸軍の最新M-198榴弾砲は全く当たらない、ということがありました。

Fimg_6424_1 単純に自衛隊を持ち上げたいだけの記者や識者ならば自衛隊は優秀、と一言で片づけるのでしょうが、日本側の師団長が訝しんで米砲兵大隊長に尋ねると、東富士演習場の最大射程は3kmでM-198の実弾射撃では、こんな短距離射撃を想定した設計になっていない、自衛隊は長距離射撃訓練を行わないのか、ちゃんとした演習地は無いのか、と逆に尋ねられた、とのこと。

Fimg_5637 これでは、六畳間でフルマラソンの練習をするようなもの、と陸上自衛隊内部でも長年懸念されていたものであり、確かに琵琶湖の小鮎の如く連隊や大隊の規模も演習場の大きさに合わせ小型化している印象も否めず、結果、最大限の効果を発揮するには、海外の演習場を用いるしかない、との結論に達しました。

Gimg_2524 ヤキマ派遣の演習は、その当初こそ、特に日本国内の演習場では跳弾の危険性があるため実施できなかった90式戦車の行進間射撃の訓練、そして長射程の多連装ロケットシステムMLRSの実弾射撃訓練が大きな目玉として実施され、とくに北部方面隊の戦車が優先されてきました。

Mimg_1866 しかし、国内の演習場においても運用可能な00式演習弾の開発により、富士総合火力演習での90式戦車行進間射撃展示のように、国内でも演習が可能という条件がそろう反面、本土師団や旅団についての能力向上の必要性が、脅威の西方シフトと共に高まり、第8師団や第6師団など、派米訓練へ参加するようになった流れになった、というものです。

Img_0226 蛇足ながら、初めてアメリカの地を踏んだ74式戦車、第6戦車大隊の精鋭74式戦車を観たアメリカ軍将校が一言、日本陸軍はT-62戦車使ってたのか、と。90式戦車が日本の評論家にレオパルド2と似ていると揶揄されることは過去にあったようですが、74式戦車はそんなに宿敵T-62戦車と似ていますかね。

Img_0392 日米共同訓練の重要性は相互理解というものがあり、T-62の一件は別としましても、日米は同盟国、日本有事の際に日米は協同するわけなのですから、同盟国日本はどういう装備を以て任務に向かっているのか、という事を理解してもらうことは重要なのだ、といえるところでしょうか。

Fimg_6347 今回の雷神2013演習には、陸上自衛隊西部方面隊の番匠総監が担任官として参加し、訓練実施部隊として福岡の第4師団より、第16普通科連隊を中心に、第4特科連隊、第4戦車大隊、西部方面隊第3対戦車ヘリコプター隊などの諸職種連合部隊として500名が派遣されています。

Gimg_2663 派遣装備は、89式小銃、120mm重迫撃砲、155mm榴弾砲FH-70、74式戦車、戦闘ヘリコプターAH-64D,対戦車ヘリコプターAH-1S,多用途ヘリコプターUH-1J,無人偵察機システムFFRS等が派遣され、諸職種協同要領を実演習により演練し、総合戦闘力発揮のための連携と相互運用性の向上を図る、とのこと。

Bimg_0786 今回の訓練は日米共同訓練ということで、日米間での相互連携と協同運用の能力を向上する観点から米陸軍部隊の参加が決定しており、米陸軍からはワシントン州ルイスマッコード基地に駐屯する第3-2ストライカー旅団戦闘団第5歩兵大隊基幹の300名との協同訓練を実施します。

Gimg_6048 昨年、饗庭野演習場において第10師団と日米共同訓練を行ったストライカー装甲車や、AH-64E戦闘ヘリコプターが参加します。昨年の演習では第25軽歩兵師団、ハワイ駐屯の第2ストライカー旅団戦闘団第1-14歩兵大隊が参加し、部隊は異なるようですが、米軍と自衛隊の多くの部隊が協力を行う事の方が意義深いという事でしょう。

Nimg_2369 特にストライカー装甲車とともに米軍はAH-64E戦闘ヘリコプターを参加させるとの発表ですので、ストライカー装甲車には陸上自衛隊の装甲車が第2師団などで研究を進めている戦闘ヘリコプターとの情報連携能力が標準装備されており、この能力を西部方面総監とともに有用性と発展性などを考える上でこちらも重要と言えるものです。

Fimg_6469_1 特に、情報優位が戦域優位に直結する将来戦闘を考える場合には、電子通信環境も重要であり、陸上自衛隊の方向性と新旧折衷の装備体系と運用体系の中で、どこまでが通用し、どこからが不足するのか、これらは日本国内での演習場ではなかなか実現できません。

Fimg_6708 他方、第4師団には光ファイヴァー誘導方式により既存の対戦車誘導弾と比較し、射程が大きい96式多目的誘導弾が第4対舟艇対戦車隊へ装備されていますので、特に情報伝送と情報優位獲得こそが、その長射程を活かしての戦域精密火力優勢獲得に繋がる装備なのですし、今回の訓練へ参加を考えてほしかった。

Fimg_5296 また、到底自衛隊の輸送能力と予備部隊の配置では実現はかなわないのですが、可能ならば師団等協同転地演習、とはいかずとも、連隊戦闘団規模の2000名と方面隊支援部隊を含めた2500名規模の部隊を米本土に派遣し、米陸軍の対抗部隊派遣を要請し、本格的な連隊戦闘団の実動訓練の必要性は無いのか、と考えるところ。

Fimg_6404 さて、第4師団は対馬壱岐地区という島嶼部防衛を担う師団であり、併せて番匠総監率いる西部方面隊は沖縄県を中心とした南西諸島の防衛警備を担う、自衛隊で最も軍事的圧力を受け、緊張する地域を防衛警備管区とする方面隊であり、この方面隊が保有する装備の能力を最大限活かすことが可能な態勢を整える意義は大きく、その成果を期待したいところです。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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江田島第62期一般幹部候補生・第64期飛行幹部候補生課程修了式詳報③ 機関始動

2013-09-03 23:26:09 | 海上自衛隊 催事

◆江田島を行き交う船とともに

 江田島第62期一般幹部候補生・第64期飛行幹部候補生課程修了式詳報、前回の掲載から少々間が空いてしまいましたが、江田島の詳報再開です。

Esimg_0085 出航時間まで、広島の宇品港から江田島へ四時間半も前に展開しましたが、この関係で江田島を行き来する様々な船舶を見ることが出来ました。江田島は二つの橋梁を経て呉と陸路で繋がっているのですが、おお回りとなるので呉港から江田島の小用港まで船では20分ほどですが、陸路では38kmほどあり、京阪本線に匹敵する長さ。

Esimg_0086 そして広島からも高速船だと非常に早く行けるわけです。しかし、早めに江田島に到着したのは、土地勘が無いことで撮影に最適な位置が分からず、僅かに世界の艦船誌の特集写真からこのあたりでこうした写真が撮れるはずだから、という曖昧な情報限り、これでは早く展開せねばなりません。

Esimg_0073 また、高速船を交通手段とする交通文化圏に経験が無いので、荒天の際にはどの程度で欠航になるのか、という情報もなく、万一の際には宇品から広島市電で広島駅へ回れ右して呉線から江田島へ展開する、という可能性も考慮しての展開となりました。無論、広島で一泊して朝食を済ませてからの移動というゆったり時間ではありましたが。

Esimg_0079 しかし、水上交通の文化、先日舞鶴展示訓練で、戦後に京阪に入社し、琵琶湖汽船の航路発展という一時代の第一線という方から話を聞きましたが、興味深く面白い、と思いつつ、どうしても非日常といいますか、市バスや地下鉄とは違う交通機関、という印象を持ったりしました。しかし日本は海洋国家、もっと海に親しまなければ、とも思ったところ。

Esimg_0097 逆に考えれば、古くから海運と縁がある呉だからこそ、此処に海軍兵学校が置かれたのでしょうか、横須賀や舞鶴ですと海運や漁業の拠点ではあっても、バス替わりや電車替わりに通勤通学の足に船舶、という印象はありません。佐世保は、呉と同じように高速船や連絡船が生活の足になっていましたが、ね。

Esimg_0101 時間が充分あるので、さきほど、前回の掲載で撮影した位置の近く、旧かんぽの宿のあった高台を望見する。ここから江田島が望見出来る、とガイドブック的な本で聞いたのですが取り壊し中で立ち入り禁止です。しかし、そもそも取り壊し前でも宿泊施設の敷地で撮影なんか大丈夫なのかな、と。

Esimg_0102 そのガイドブックを元にいつもご一緒する方が佐世保の撮影に向かったところ、入り口で立ち入り禁止のような雰囲気を感じ、聞けば立ち入り禁止&危険区域だったらしく、絶対入らないように、と教えていただいたとのこと。同書では、撮影マナーを厳しく守るように記載していたのですが、ううむ。

Esimg_0114 停泊艦艇の全景。この時間帯となりますと、自動車で撮影へ集まってくる方が多くなりました、逆に高速艇で撮影へ展開したのは殆ど無く、参考までに当方が利用した高速船では、それらしい人は当方一人のみ、まあ、確かに先ほどタクシーを利用しましたし、撮影位置を自由に検討する上では自動車が一番の選択なのかも。

Esimg_0102_2 広島と言えば牡蠣ですが、ここ江田島も牡蠣が名産です。海上自衛隊の基地は横須賀に佐世保、舞鶴や大湊に呉とありますが、牡蠣筏はここくらいのもので、海を往く護衛艦や潜水艦の背景に牡蠣筏が浮かんでいる情景こそ呉基地の風物詩というべき情景で、出港準備を待つ最中、牡蠣筏の作業は粛々と進みます。

Esimg_0145 停泊していた練習艦と護衛艦の機関部から順次白煙が昇ります、機関部の潤滑油が機関始動と共に燃焼して発した白煙で、いよいよ出港に向けて準備が本格化した、という事ですね。江田島基地の大講堂では修了証書が手渡され、候補生が3尉へ任官するまさにその最中というところでしょう。

Esimg_0146 牡蠣筏の輸送、家屋がそのまま海を進んでいるような情景です。ちなみに、今年知ったのですが牡蠣をそのまま食べさせてくれる鉄板焼き食堂がこの撮影位置から250mほどのところにあり、とりあえず牡蠣バター炒めを注文しますと500円で物凄い量の牡蠣が出てきました。来年は、もう一時間早く展開し、美味しい牡蠣で、出来れば一杯やりつつ待ちたいところ。

Esimg_0091 タグボートが進んでいますが、これも牡蠣筏を運ぶためのものです。最初は出港のための支援かな、とも思ったのですが護衛艦も練習艦も沖留で接岸していませんので、考えてみれば牡蠣筏は大きなもので一定以上の距離を運ぶ場合、必要になる。

Esimg_0133 牡蠣筏と護衛艦くらま、ですが期間が動き始めると共に江田島全体に動きのようなものが感じられてきます。機関始動とともにエンジンの鼓動が伝わってきます、此処まで聞こえるわけではないと思いつつ、レンズで音源を探しますと飛ぶ鳥と共に動く影のようなものが近づくの気気付いたところ。

Esimg_0147 高速で動く複合艇のようなものが、一瞬舞鶴でよく見かける水中処分隊のボートなのだろうと思ったのですが、それにしては動きが、と。これは昨年撮影した写真の中で、観艦式と並び個人的に一番驚いた瞬間の一つですが、江田島基地にはあの部隊がいたことを思い出した瞬間でもありました。

Esimg_0149 海上自衛隊特殊警備隊、北朝鮮武装工作船浸透事案を契機に長年の必要性が具現化することとなり、近年は中国海軍の軍事的圧力が顕在化するなかで注目を集めている部隊で、イギリス海軍特殊舟艇部隊SBSの支援なども受け創設された海上自衛隊の特殊部隊は江田島基地に展開しています、近づく高速艇はその特殊警備隊なのでしょうか、それとも水中処分隊なのでしょうか、こちらは次回に。

北大路機関:はるな

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アメリカ軍シリア軍事介入検討、化学兵器施設無力化を想定し地中海に空母機動部隊展開

2013-09-02 23:41:38 | 国際・政治

◆シリア内戦でのサリン大量使用に対する行動

 明後日は新月ですが、アメリカ政府はシリア内戦でのサリン使用疑惑への対応として地中海の第六艦隊へ艦艇の集中を進めています。

Rimg_4461_1 これは8月21日にシリア国内の反政府勢力拠点に対し、かなりの集中した神経剤搭載ロケット攻撃が行われ、多数の死傷者が出たことに対する介入準備で、内戦勃発から二年間を経てシリアへの軍事介入の準備が進められていることとなります。地中海へは先週までに第六艦隊のミサイル駆逐艦3隻へ更に2隻を増派し、シリア領内の化学兵器関連施設やその運搬手段をトマホーク巡航ミサイルの射程内へ収めています。また1日には国防総省発表で空母ニミッツへ地中海東部への移動命令が出されました。

Mdimg_1967 シリア内戦は2011年のアラブの春と共に民主化運動へ戦車を投じて弾圧したことで内戦へ展開、その後、多くの難民が周辺国へ脱出すると共に政府軍部隊と武装勢力との間で激烈な戦闘が展開されました。この緊張の中で公海上での情報収集に当たっていたトルコ空軍のRF-4偵察機がシリア軍に撃墜され、トルコ領内の難民キャンプへシリア軍が砲撃を行い、トルコ軍が反撃、イスラエル領内へ攻撃が行われ反撃するなど、緊張の激化への兆しは常にあったところですが、周辺国のシリアへの本格的な人道介入は行われていません。

Himg_1186 人道的介入が出来ないのは何故か、これは大っくふたつ理由があります。一つはシリア政府が対外直接投資や政府借款などを通じロシア政府との関係が大きく現行シリア政府の崩壊はロシアに大きな影響を与えるため国連安保理決議での国際平和維持部隊派遣への道筋が立てられない事。もう一つはシリアはゴラン高原を経てイスラエルと国境を接しているため安易に軍事行動を行った場合、シリアはイスラエルを攻撃し第五次中東戦争へ展開する可能性がある、ということ。

Himg_1020 しかし、アメリカ政府としては譲歩に限度があります。それはシリア政府が大量保有しているという大量破壊兵器の一つ、神経剤の使用で、これが一旦使用されたならば恒常的に用いられる可能性へと繋がる分岐点であり、使用を強く自制するようシリア政府へ求めてきました。特に大量に使用された場合、シリア領内ゴラン高原付近等でも使用されたならば、イスラエル軍が予防措置として自衛権を行使する可能性があり、これが実施されたならば第五次中東戦争へ展開してしまう可能性も高い。

Img_3656f シリア内戦で神経剤が使用されたことは初めてではなく、初期には武装勢力が使用を疑われた事例もありましたが、今回は運搬手段と使用状況から政府側が組織的に使用したという点が濃厚とアメリカ政府が判断しており、介入の準備が進められています。介入は地上軍の大規模侵攻によるものではなく、主として艦艇からの巡航ミサイル攻撃と航空攻撃によるものと考えられており、このほかドック型揚陸艦サンアントニオが通常任務から編入、海兵隊員とともに地中海へ展開しており、限定的な化学兵器貯蔵施設の破壊行動も実施されるでしょう。

Img_7167 今回の行動は、シリアのアサド政権を直接打倒するものではないと考えられていますが、化学兵器の運搬手段として航空機が挙げられていることから航空基地に対しての攻撃が行われることを意味しており、これは政権側が航空優勢を喪失することを意味します、無論反政府側は航空部隊を有していませんので、決定的とはなりませんが打撃とはなるでしょう。また、周辺国、例えばトルコ領内へシリア軍が攻撃を加えた場合、北大西洋条約に基づく集団的自衛権が行使される可能性も少なくはありません。

Img_06_18 ただ、課題はあります。一つはシリア軍が保有する大量の地対空誘導弾群で、世界最高水準の実戦能力と評されるイスラエル空軍の打撃力に繰り返し曝された中東戦争の教訓から航空攻撃へ対処する地対空ミサイルを常にロシア製の新型へ更新し続けてきています。このため、航空攻撃を行う際にも防空制圧を行う必要があり、結果、巡航ミサイルなど、シリアの防空圏内外から打撃する装備でなければ対応できないという事で、特にアメリカ以外のNATO諸国では対応に限界があります。

Img_7751 このほか、欧州NATO諸国は不確かな情報に基づき実施した2003年イラク戦争の教訓があり、イギリス議会は原潜からの巡航ミサイル攻撃とキプロス島からの航空攻撃を検討するも攻撃へ賛成272反対285で否決しており、カナダ軍とドイツ軍も参加せず、現在のところフランス軍がアメリカ軍との共同作戦の協議を行っているとされます。現時点で、恐らくシリア政府は保有しているとされてはいますが、国連調査団が回収した化学剤サンプルの分析が続いているようです。しかし、今のところ介入への参加へは二の足を踏んでいます。

北大路機関:はるな

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関東大震災から九〇年 我々は強大災害とどう向き合うか? 地震と日本列島、震災と日本史

2013-09-01 23:50:51 | 北大路機関特別企画

◆巨大地震は必ず再来する国土での日本の繁栄

 関東大震災から90年、この地震は理科年表の周期から60年周期と呼ばれ、70年周期とよばれ、今日へ至るところ。

Img_2992 幾度記載したかは忘れましたが、日本列島は火山活動により誕生した大陸周縁部の弧状列島であり、大陸周縁部は大洋と大陸からのプレート移動に関する影響を最大限受けることから、これはこの立地にある以上、地震被害と津波被害、それに火山被害から逃れることは叶いません。

Img_7168 地震から逃れられないことは理科年表が周期的に発生する地震を示しており、地質調査は周期的に地殻の変動を今日示しています。もちろん、日本書紀にあるように、神々が洋上に点々と突いた後に島々が生まれたように、地殻がプレートの衝突で割れ岩塊が列島を形成したわけで、地殻の活動が無ければ日本列島そのものが海上に姿を現すことは無かったのではありますが。

88img_1292 そして、間の悪いことに地震が集中する地域に人口が集中し都市が形成されるようになっています。これは九州以外と北海道の都市部意外に共通するもので、理由は峻険な山岳地帯だけで誕生した火山性列島において都市を創ることが出来る平野部は、繰り返し地震が発生し、山岳地帯が崩壊し、洪水により押し流され、沖積平野を構成する場合しかありません。

Mimg_2066 九州や北海道の都市部は、地震に対しては、というよりも地震が平野部を創るよりも以前に、白老や洞爺湖に阿蘇と姶良と加久藤に喜界といった巨大火山が繰り返し火砕流を引き起こし、火山性堆積物が降り積もり平野部を構成していますので、地震以外の災害と縁が深いところですが。

Bimg_1034 しかし、日本列島と日本史を俯瞰すれば、人が居住する前の巨大災害の記録は多々あるのですが、対して、人々がこの日本列島に営みを広げたのちにもあまたの災害が日本列島を襲いながら、その都度復興を果たし、更に繁栄をつづけ今に至りました。災害は多いにもかかわらず、成長を続けてきたわけです。

Img_1366 日本人は何故、そこまで勤勉なのか、無理をして労働に価値を見出すのか、改善の努力を続けるのか、という問いは我が国では疑問にさえなりませんが、世界の関心を集めるようです。また、日本人は宗教への依存が低い割には倫理観や価値観が社会と個々人とを共栄させる望ましい姿となっているのか、という問いもあるようです。

Dimg_7592 農耕民族だから社会的相互行為が成熟しやすいのだ、島国であるので生産性を挙げなければ自前で算出しうる資源が乏しいため社会が成り立たないためだ、儒教文化が根底にあるため倫理観が宗教を通じる前の社会常識として規範化されている、などなど、いろいろと視点はあるようですが、ここに地震と日本史の関係があるとかき加えるべきではないか、と考えているところ。

Aimg_0276 日本人の勤勉さとは、繰り返し襲来する災害に備え、財産を散逸した際に備えた蓄えの重要性を社会観や価値観の深層部分から理解しているからではないのか。日本人の知識欲と改善努力に教育への情熱は、元々災害により既存の財産が破壊される危険に曝されているゆえの人的財産への価値観に反映されているのではないのか、ということ。

Nimg_5472 あまり日本特殊論のようになってしまいますと、優生学のように転用されてしまう危惧があるので注意が必要ですけれども、しかし、勤勉でなければ次の災害の際に淘汰されてしまう可能性があるための価値観形成、という、この理念には上記の日本に関するステレオタイプな理解に対する一つの回答となるのではないか、と気づいた次第です。

Timg_9052 南海トラフ地震、想定死者数は最大で32万と、これは広島や長崎への核攻撃や東京大空襲のような数百機の戦略爆撃機による無差別絨毯爆撃よりも多くの犠牲者を出す想定で、先の大戦の犠牲者の一割に相当する人命が瞬時に、という意味でもあり、戦慄すべき数字ではありますが、努力と準備を怠らなければ、これは日本史の繰り返した歴史の一幕なのだ、と考える事も出来るかもしれません。

Img_6706 なお、日本には強大な火山が大きく、富士山が歴史上最大の噴火を起こしたという864年富士山貞観噴火は1k?の火山性堆積物をまき散らしました。計算式にもよりますが、TNT換算で15メガトンから60メガトンに換算する破壊力だったとされています。これだけで、かなり大きな噴火という印象を持ちますが、日本列島で発生した過去最大の噴火は阿蘇山の8万7000年まえの噴火で、600k?となります。好むと好まざるとに関わらず、如何に災害と共存するか、という視点も必要なのかもしれません。

北大路機関:はるな

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