■激変する情勢と変容の防衛力
RC-2電子偵察機が本日岐阜基地で初飛行したとのこと、YS-11EB電子測定機の後継を期す。しかし、先月の報道でF-35B,EA-18G導入検討という気になるものがありました。
垂直離着陸可能F-35B戦闘機飛行隊を新田原基地へ新編、電子戦専用機のEA-18G電子攻撃機導入、実現に長い時間を要すると考えられた新装備導入が具体化へ一歩進むもようです。実現するのか、と思われる方もいるかもしれませんが、本日岐阜で初飛行のRC-2からして、巨大なC-2の派生型を調達できるのか、と2014年の防衛装備庁防衛技術シンポジウムにて考えた事を思い出す。
2018年内に画定する新防衛大綱において戦闘機部隊増勢が与党自民党部内で検討されており、新田原基地にF-35B戦闘機飛行隊が新編される方向で調整が進められている、産経新聞が1月21日付記事にて報道しました。F-35B戦闘機はアメリカ海兵隊が岩国航空基地へ前方展開し、強襲揚陸艦艦上で運用する、短距離離離着陸能力を重視し垂直離着陸も可能で、新田原基地へ配備された際には島嶼部防衛への分散運用も視野にある。
EA-18G電子攻撃機を新たに配備し部隊運用を行う方向で政府は新しい中期防衛力整備計画へ盛り込みを検討している、日経新聞が1月1付で報道しました。EA-18GはF/A-18F戦闘攻撃機へ電子戦装備としてALQ-99 TJS戦術妨害装置とALQ-218-V2無線周波受信システムにCCS対通信装置を搭載した派生型でアメリカ海軍が空母航空団で運用しています。
F-35B戦闘機にEA-18G電子攻撃機、自衛隊に必要ではあるが予算面から現実的に難しく、防衛予算を増額する措置を伴わなければ実現できないとされた、垂直離着陸戦闘機と電子攻撃機が、今年一月に入り次々と検討しているとの報道が続き、少々驚いています。ただ、F-35B戦闘機に関しては昨年末にもヘリコプター搭載護衛艦へ艦上運用を行うべく護衛艦の改修の検討、という驚きの報道があり、その可能性は考えられていました。
いずも型ヘリコプター搭載護衛艦へF-35Bを搭載する、昨年12月に読売新聞始め新聞各紙で報道されると共にロイター通信やAFP通信により広く報じられた1か月後の報道です。いずも型ヘリコプター搭載護衛艦は全通飛行甲板を有する満載排水量27000tの大型護衛艦で、満載排水量7200tのヘリコプター搭載護衛艦しらね型2隻の後継に2隻が建造された。
ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦2隻の建造から9年、海上自衛隊は、はるな、ひえい、しらね、くらま、の巡洋艦型ヘリコプター搭載護衛艦から、ひゅうが、いせ、いずも、かが、と全通飛行甲板型ヘリコプター搭載護衛艦へと世代交代を完了し、将来的に航空母艦の運用は考えないものの、固定翼艦載機を搭載の護衛艦運用の可能性は示唆されています、だが艦上運用には、搭載し運用する事は出来るが、操縦要員の練成や弾薬搭載という問題が指摘されていました、ただ、今回のF-35Bは海上自衛隊配備計画ではない。
F-35B戦闘機の導入は、しかし、全通飛行甲板型護衛艦へ発着は勿論可能であるものの、海上自衛隊へ配備するのではなく航空自衛隊が南九州へ配備し、南九州の防空を強化すると共に、九州沖縄の航空基地が弾道弾攻撃や巡航ミサイル攻撃により無力化された際には、短距離離着陸能力を活かし、地方空港や護衛艦から分散運用するという構想のもようです。
EA-18G電子攻撃機については、自衛隊はF-15J戦闘機を電子戦機に改修する構想はありましたが、年々日本領空を蚕食する周辺諸国地対空ミサイル射程の延伸と共にミサイルを迎撃する何らかの手段が必要となります。勿論、電子戦機には策源地攻撃等日本に照準を合わせる弾道ミサイル基地対処という任務もありますが、第一に防空制圧の、つまり延伸を続ける周辺国の地対空ミサイルが我が国基地上空を覆いつつある現状にミサイルの発射を無力化する防御的な要素での重要性が高い。
日本の防衛環境が大きく変容しつつある状況が、F-35BやEA-18Gという装備の必要性増大に反映しているのかもしれません。冷戦時代を通してアメリカの後方基地でありながら直接脅威に曝される事となかった南西諸島沖縄への着上陸脅威、中国空軍ミサイル爆撃機の西日本紀伊半島沖への進出、超著距離地対空ミサイル射程の日本領空への脅威現出、と。
北方への従来型脅威も、ソ連崩壊後に一貫して低下する傾向があったのは2014年のクリミア併合、ウクライナ東部紛争ロシア介入以来一転し、特に北方領土へのロシア軍進駐動向、沿海州地方での演習頻度増大、と展開していまして、西方に脅威が生じているものの北方の脅威もside顕在化している構図で、脅威が西方へ転移したのではなく北方と西方に二方面で脅威が現出、新しい防衛体系が必要となり、結果F-35BとEA-18Gが検討されているのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
RC-2電子偵察機が本日岐阜基地で初飛行したとのこと、YS-11EB電子測定機の後継を期す。しかし、先月の報道でF-35B,EA-18G導入検討という気になるものがありました。
垂直離着陸可能F-35B戦闘機飛行隊を新田原基地へ新編、電子戦専用機のEA-18G電子攻撃機導入、実現に長い時間を要すると考えられた新装備導入が具体化へ一歩進むもようです。実現するのか、と思われる方もいるかもしれませんが、本日岐阜で初飛行のRC-2からして、巨大なC-2の派生型を調達できるのか、と2014年の防衛装備庁防衛技術シンポジウムにて考えた事を思い出す。
2018年内に画定する新防衛大綱において戦闘機部隊増勢が与党自民党部内で検討されており、新田原基地にF-35B戦闘機飛行隊が新編される方向で調整が進められている、産経新聞が1月21日付記事にて報道しました。F-35B戦闘機はアメリカ海兵隊が岩国航空基地へ前方展開し、強襲揚陸艦艦上で運用する、短距離離離着陸能力を重視し垂直離着陸も可能で、新田原基地へ配備された際には島嶼部防衛への分散運用も視野にある。
EA-18G電子攻撃機を新たに配備し部隊運用を行う方向で政府は新しい中期防衛力整備計画へ盛り込みを検討している、日経新聞が1月1付で報道しました。EA-18GはF/A-18F戦闘攻撃機へ電子戦装備としてALQ-99 TJS戦術妨害装置とALQ-218-V2無線周波受信システムにCCS対通信装置を搭載した派生型でアメリカ海軍が空母航空団で運用しています。
F-35B戦闘機にEA-18G電子攻撃機、自衛隊に必要ではあるが予算面から現実的に難しく、防衛予算を増額する措置を伴わなければ実現できないとされた、垂直離着陸戦闘機と電子攻撃機が、今年一月に入り次々と検討しているとの報道が続き、少々驚いています。ただ、F-35B戦闘機に関しては昨年末にもヘリコプター搭載護衛艦へ艦上運用を行うべく護衛艦の改修の検討、という驚きの報道があり、その可能性は考えられていました。
いずも型ヘリコプター搭載護衛艦へF-35Bを搭載する、昨年12月に読売新聞始め新聞各紙で報道されると共にロイター通信やAFP通信により広く報じられた1か月後の報道です。いずも型ヘリコプター搭載護衛艦は全通飛行甲板を有する満載排水量27000tの大型護衛艦で、満載排水量7200tのヘリコプター搭載護衛艦しらね型2隻の後継に2隻が建造された。
ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦2隻の建造から9年、海上自衛隊は、はるな、ひえい、しらね、くらま、の巡洋艦型ヘリコプター搭載護衛艦から、ひゅうが、いせ、いずも、かが、と全通飛行甲板型ヘリコプター搭載護衛艦へと世代交代を完了し、将来的に航空母艦の運用は考えないものの、固定翼艦載機を搭載の護衛艦運用の可能性は示唆されています、だが艦上運用には、搭載し運用する事は出来るが、操縦要員の練成や弾薬搭載という問題が指摘されていました、ただ、今回のF-35Bは海上自衛隊配備計画ではない。
F-35B戦闘機の導入は、しかし、全通飛行甲板型護衛艦へ発着は勿論可能であるものの、海上自衛隊へ配備するのではなく航空自衛隊が南九州へ配備し、南九州の防空を強化すると共に、九州沖縄の航空基地が弾道弾攻撃や巡航ミサイル攻撃により無力化された際には、短距離離着陸能力を活かし、地方空港や護衛艦から分散運用するという構想のもようです。
EA-18G電子攻撃機については、自衛隊はF-15J戦闘機を電子戦機に改修する構想はありましたが、年々日本領空を蚕食する周辺諸国地対空ミサイル射程の延伸と共にミサイルを迎撃する何らかの手段が必要となります。勿論、電子戦機には策源地攻撃等日本に照準を合わせる弾道ミサイル基地対処という任務もありますが、第一に防空制圧の、つまり延伸を続ける周辺国の地対空ミサイルが我が国基地上空を覆いつつある現状にミサイルの発射を無力化する防御的な要素での重要性が高い。
日本の防衛環境が大きく変容しつつある状況が、F-35BやEA-18Gという装備の必要性増大に反映しているのかもしれません。冷戦時代を通してアメリカの後方基地でありながら直接脅威に曝される事となかった南西諸島沖縄への着上陸脅威、中国空軍ミサイル爆撃機の西日本紀伊半島沖への進出、超著距離地対空ミサイル射程の日本領空への脅威現出、と。
北方への従来型脅威も、ソ連崩壊後に一貫して低下する傾向があったのは2014年のクリミア併合、ウクライナ東部紛争ロシア介入以来一転し、特に北方領土へのロシア軍進駐動向、沿海州地方での演習頻度増大、と展開していまして、西方に脅威が生じているものの北方の脅威もside顕在化している構図で、脅威が西方へ転移したのではなく北方と西方に二方面で脅威が現出、新しい防衛体系が必要となり、結果F-35BとEA-18Gが検討されているのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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