W. W.ソーヤー著の「数学へのプレリュード」(みすず書房)は学生の頃に読んで感心した書であったが、これの再版が同じみすず書房から出されている。もうこの書をゆっくりと読んでいる時間はないが、その中で超幾何関数というところがなんとも好奇心をそそる。
普通の学校で学ぶ初等関数はほとんど超幾何関数の一つと考えられるという。また、工学や物理学で出てくる関数の95%は超幾何関数と考えられるともいう。
この書には超幾何関数でない関数について書いてはいないが、超幾何関数でない関数を書き下すのも難しくないという。その記述には好奇心がそそられるではないか。例としてそのような関数を書いてみて欲しいと思う。
ソーヤーの述べている超幾何関数はGaussの超幾何関数といわれるものである。ちょっと調べて見ると、このGaussの超幾何関数を一般化した、Pochhammerの一般化された超幾何関数というのがある。
狭い意味でのGaussの超幾何関数でない関数があるのはわかったが、一般化された超幾何関数でもなく、かつまた普通の超幾何関数でない関数の例を知りたい。これはもちろん解析的な式で表すことのできる関数での話である。(2011.8.24:文章を補足追加)
たとえば、すべての有理数に対して値 1 をとり、すべての無理数に対して値 0 をとる関数を定義できるが、こういう例は除いて考えたいというつもりである。(2011.8.24:文章を補足追加)
犬井鉄郎著「特殊関数」(岩波)の序文のところを覗いてみると’超’超幾何関数というのがあるらしい。それらはもちろん超幾何関数ではないであろう。しかし、それらについてこの「特殊関数」では書かれてはいないようだ。
ごく最近になって、超幾何関数について数学者の間で関心が広がっているようだ。インターネットを検索して見るといくつかのサイトが見られる。これは数学界の話題だが、ソーヤーの書いたことは専門の数学者でなくとも好奇心をそそられる。超幾何関数についての日本語の本も数冊発行されている。