「数学の積み上げ」とは数学や物理学では前の知識を理解してつぎへ進めるという意味である。そうなのだが、どうも私にはそれが十分に耐えられないという感じがしている。
というのは級数の和の収束云々で最近昔の微積分のテキストを出してきて級数のところを読もうとしてみたのだが、これが読めない。
どうも気が短くてどうも面白いところだけをつまみ食いをしたいという気が強すぎて一歩一歩進んでいるのに、それを追う気がしないのだ。これでは数学の本は読めないのだが、どうもそれが現状である。
だから、先日級数の和のことを書いたのだが、それについてのことをしらべることができない。ホグベンの「百万人の数学」上、下(筑摩書房)のどこかに級数の和のことについて書いていたように思ってチラッと見たのだが、どうも見つけることができない。
ホグベンの本は面白いもので全体を通読したことはないのだが、一部は読んでいる。一番はじめにこの本に関心をもったのは最初にオイラーが神の存在を示したという言説で百科全書派のディドローを惑わすという話だった。Donc Dieu existe, Repondez! (ドンク ディユー エグジスト、レポンデー) (ゆえに神あり、返答せよ)という文句は真に迫っている。
ところが「数学入門」を書いた遠山啓によれば、これはホグベンのフィクションだろうという。というのはディドローは数学の論文もかいているからだという。ホグベンは唯物論者であり、その論説は小気味がいいが、ときどき困惑を与えている。