最近、新聞で七つの森書館という出版社が『高木仁三郎著作集』を出版したために社業が傾きかけたが、販売努力とカンパでなんとか生き残ったというのを読んだ。
この『高木仁三郎著作集』の一冊の値段が高いので、購入をためらったが、結局購入している。多分一冊が7、000円くらいはしたのではなかろうか。ちょっとさばを読んだかな。5、000円程度だったかな。
実は、長兄の蔵書にダンネマン(安田徳太郎訳)『大自然科学史』(三省堂)12巻がある。これを12巻全部欠かさずもっている人は珍しいと思う。ごく最近この12巻は私の蔵書になったが、なかなかいろいろと書いてある。しかし、こういう書を通読する人はほとんどいないだろう。
しかし、辞書代わりに使うということはあろうか。そのことを予期したのであろうか。12巻は索引とか参考文献とかになっている。これはもちろん訳者の安田徳太郎氏がつけたものであり、多分その訳業はなかなか大変だったと思われる。
そして、このような書籍はたくさん売れることなど期待できないから、三省堂の収益が悪化したらしい。それでも老舗の出版社の三省堂であるから、倒産とかまでにはならなかったと思われる。
この)『大自然科学史』に四元数のことが出ていないかと昨夜、索引を調べたが、残念ながらハミルトンとか四元数のことは出ていなかった。だから何でも出ているわけではない。
安田徳太郎氏のことをよく知っているわけではない。医師であり、性医学かなにかを専門にしていた医師だったと思う。
原著はドイツ語であり、12巻にはギリシャ語とかラテン語とかオランダ語の対照表とかがあり、外国語も堪能な人であったらしい。
長兄はこの新しいシリーズの前の本である、『大自然科学史』のシリーズの何冊か学生の頃から持っていたようだから、何らかの関心があったのだろう。
それにしても昔の本はそれなりにすごい本があるが、やはりup-to-dateという訳にはいかない。最近バーナルの「歴史における科学」も兄の蔵書から私の所有するところになったが、これはその出版時には有名な本であったが、やはりもう古い話で(1947とか1950年代くらい)終わっているので、新しい話もあるような書がほしい。
そのことで思い出したのだが、第2次世界大戦戦前から戦後のイギリスに活躍したバーナル、ブラケット、それにパウエルらの物理学者の活躍は日本の湯川、朝永、坂田、武谷らの活躍と類似をしている。日本では坂田、武谷らがマルクシズムの立場にたつ学者であったが、イギリスではバーナルは明らかにそういう学者である。
バーナルと書いたが、本当はバナールという発音の方が正しいのだとどこかで読んだ記憶がある。本当のところはわからない。