Fusspilz(水虫)という語が私の独和辞典には載っていないと先日のドイツ語のクラスで言ったら、R氏から「いいドイツ語しか載っていない辞典だね」とからかわれた。
隣に座っていたKさんがもっていた電子辞書の独和大辞典にはFusspilz(水虫)が載っているとその画面を見せてくれた。
それで今朝気になって私のもっているシンチンガーさんの編纂の独和辞典(三修社)を引いてみたが、載っていない。それで、ひょっとするとその前の時代の木村・相良の独和辞典(博友社)にも載っていないのではないかと思ってそれも引いてみたが、やはり載っていない。
辞書というものは独自に見出しの語を検討して採用するとは聞いているが、どうしても先行の辞書に採用されている語が優先されるだろう。それで、Fusspilz(水虫)なんて語はこれらの辞書に載っていなかったのであろう。
ちなみに私が今使っている独和辞典(郁文堂)は富山芳正編のもので、収録語数は11万弱である。これは子どもが大学のときに使っていたものであり、その当時は最良ものであったろう。
確かに説明が詳しくて訳語だけではない説明が随所にされている。だが、Fusspilz(水虫)は載っていなかった。
R氏によれば、独和辞典は新しいものが一番いいという。だから、彼の判断の基準はとても簡明でその辞書の発行の年月が最新のものかどうかである。
辞書を発行するときにはそれ以前の辞書を参考にしているので、こういうことになっているというのがR氏の見解である。
念のためにLagnenscheidtsを引いてみたら、この辞書の見出し語は66, 000語とあったが、Fusspilz(水虫)は載っていた。
Eine Hautkrankenheit (ein Pilz) zwischen Zehen (足の指の間の皮膚病)
と書かれていた。Zehen(ツェーエン)は足の指Zehe(ツェーエ)の複数である。さてはたして最新の独和辞典にはFusspilz(水虫)は載っているのだろうか(注)。
ちなみにPilzは普通には食べる茸のことである。
(注:2014.7.20)フロイデ独和辞典(白水社)は収録語数75,000とあるが、Fusspilzは載っている。
クラウン独和辞典(三省堂)には載っていない。新アポロン独和辞典(同学社)には載っている。この辞書は収録語数53,000だという。
どうも収録語数の問題ではなくて辞典編纂者がどの語が重要と考えるかによるのかもしれない。