これはドイツ語の名詞の冠詞類の格変化の話である。
女性の冠詞類と複数の冠詞類は1,2,4格は一致しているが、3格だけ違っている。それで、女性と複数は似ていると思う。
そういうことでいえば、男性と中性もよく似ている。これは、男性と中性も2,3格で一致しているからである。定冠詞では1、4格では男性der, denと中性はdasでもちろん違っているが、不定冠詞では4格では男性がeinenであり、中性のeinであり、違っているが、1格はeinで一致している。
だから、現在アンコール放送されている毎日ドイツ語では男性、中性、女性、複数の順序に並べて格変化を覚えさせているであろう。
普通には冠詞類は格変化では1格、4格が同じだが、男性の4格は1格と冠詞類の形が違っている。「男性に注意」とよくいわれる。
名詞の性については長年まったく覚えられなかったが、具体的なものの名詞についてはようやく最近になって自然に口から出てくるようになった。しかし、抽象的な名詞の性はまだなかなか間違うことが多いが、これはしかたがない。
(名詞の)「複数3格 n 終わり」と覚えなさいとは以前にラジオ講座を担当されていた、境一三先生の口癖だったが、なかなかこの複数3格の n と複数名詞の変化語尾で n がつく場合との区別が私には難しいと前にもこのブログで書いたことがある。
これは複数の形をきちんと覚えていれば、まったく問題がないのだが、そこがしっかりとしていないからである。まあ、素人の私などにはしかたがない。
(2012.10.24付記)
単数の2格では名詞の語尾にsまたはesがつくが、昔ドイツ語を学び始めた1958年頃には3格にもeという語尾がつくことがあった。
しかし、1976年にフライブルクのゲーテ・インスティチュートでドイツ語を学んだときには先生から慣用的なものを除いて単数3格にはもうeをつけないと教わった。つけるとsehr alt modisch(ゼア アルト モーディシュ)だと。
よく使われる慣用表現にzu Hause sein (在宅している)があるが、いまではzu Haus seinでもどちらでもいい。これは
Nachmittag bin ich zu Hause (午後には在宅しています)というように使われる。
das Kind, des Kindes, dem Kinde, das Kindと変化したときのdem Kindeのeはいまではなくなり、dem Kindと言わないと100歳くらいのおじいさんかおばあさんのように思われるだろう。([2020.12.14付記]これはフライブルクのゲーテInstitutで学んだことである。そのとき1976年だが、それからでも44,5年経った)
これらのドイツ語の冠詞類の変化で思い出したことがある。もうずっと以前だが、NHKのラジオのドイツ語講座のテキストだったと思うが、不定冠詞と定冠詞の格変化で
男性 中性 女性 男性 中性 女性 複数
N 格 ein(%) ein(%) eine der das die die
A格 einen ein(%) eine den das die die
D格 einem einem einer dem dem der den
G格 eines eines einer des des der der
上の表で左から縦に不定冠詞の格変化を男性のN格(1格)、A格(4格)、D格(3格)、G格(2格)、中性の・・・とみていくと、今上に示した不定冠詞の変化表で3箇所だけ私が (%) で表したところに四角の箱 □ が描かれていた。これは □のところは何も語尾がつかないということを意識させるために示したものである。
IMEパッドではこの四角が正方形のきれいなものが描かれているが、ここに取り込むと小さな長方形になってしまい、迫力に欠けるのは残念である。それで(%)で代用をした。
そういう工夫を誰が思いついたのか知らないが、数学教育協議会での数学の教え方の一つとしてゼロを教えるのに団子がお皿の上に4つ、3つ、2つ、1つ載っているが、最後のお皿には皿の上には団子はなにもなく、お皿だけの絵が描いてある、という風な工夫がされている。
こうやって、小学生に皿の上のあるべきところ団子がない状態をゼロと教えている。これと同じ類の工夫だとそれを見たときに思った。
ちなみに言うとこういう表で冠詞類の変化を覚えていてもなかなか使えるようにはならない。それで最近はもちろん先生がまとめでこれらの表を示すことはあるが、文章の中で格の役割とともに覚えさせるという指導法がされている。