物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

分数2

2015-10-22 11:47:50 | 日記
遠山啓『教師のための数学入門』(数量篇)(国土社)を『算数入門』(SB クリエイティブ)に続いて読んだ。とはいっても全部ではなく「分数論」という最後の章だけである。

以前に、とはいってもそれは30年くらい前のことであるが、この書を読んだことがある。そのときには多分「分数論」のところは読まなかったと思う。

今回は分数の話がサークルであった後なので関心をもって読むことができた。遠山さんにはちょっと割合分数を提案をした和田義信さんの分数理論に違和感があったと思われる。

私たちのサークルの長老の S さんはそのことを知ってはいるだろうが、和田理論には遠山さんほどこだわりがないと思うので、量の分数は実践的には導入が難しいと思われているのではなかろうか。

もっともそういう詳しい話を S さんから聞いているわけではないので、別の理由があるのかもしれない。

実践的な分数の導入のことはどうか知らないが、私には遠山さんの主張はごく自然なものと思われた。

『算数入門』は『教師のための数学入門』のあと何十年後かに書かれた書だとは思うのだが、量の分数を第一に考えるという点は遠山さんにおいては変わっていないと思われる。

しかし、その遠山さんが亡くなってから、さらに何十年も経って、量の分数はやはり分数としての導入としては難しいと S さんが思われているのだと判断している。

分数が整数では表せない連続量の半端さを表現する一つの方法としてはじまったというのは歴史的な事実ととしてはそうなのだろう。

量aを単位量bで測るとき量aが量bの整数分であることは一般的には少なかろう。そうだとするとaとbとの差cで全体を測るということになる。こうして残った差で測るという操作はユークリッドの互除法といわれるものである。

これは普通には整数の最大公約数を求める手続きとして知られているが、これで最後に測れるとすれば、それが分数を表す単位となる。このときには最大公約数とは違ってもう整数ではない。

このあたりが難しいところである。