(光文社、2006)という本を友人の数学者 N さんから借りて読んだ。この本は科学なんてほとんど仮説だという意見で終始一貫している。あまり荒唐無稽な話ではなく、けっこう納得できる内容である。一日か二日もあればするする読める本であるが、私の知らなかった話もある。
これはペンタ・クォークの話でこれを発見した(?)大阪大学の中野教授は日本の物理学では定評のある仁科記念賞をもらったというのにその後、ペンタ・クォークの存在が危ぶまれているとか書いてある。この書の出たのが2006年であるから、もうすでにこの件は結着がついているのかもしれないが、私のその辺の事情を知らない。
ハドロンはバリヨンはクォークの3体で、メソンは2体であるというのが定説であったが、それに加えて5体できたハドロンを見つけたというのがペンタ・クォークである。
今年の年賀状で金沢在住の友人から「昨年はペンタ・クォークの凝っていました」とあったのだが、その意味がよくわからなかった。それのいきさつの幾分かがわかった。この本は私が最近このブログで紹介した、サイエンス・ライターの竹内薫さんの著書である。
この本の中にちょっと科学とは違うおもしろいことが書かれてあった。それは彼が住宅ローンを組んでいるある地方銀行は土地バブルのときにも土地神話に踊らず、地道に銀行業を営んでいた数少ない銀行であったという。
竹内さんは会社とか大学には属さないサイエンス・ライターだが、かなりの収入があったので、まさか大手銀行が住宅ローンを組ませてもらえないとは思ってもいなかったらしい。この地バブルとかは銀行家や経済学者等が後で考えると常軌を逸していたと反省したという話を子どもから聞いたことがある。
ところが、それが信じられるという時代があったのである。いまでは人工現象で都会のある特別な地所でなければ、少しづつ値上がりするとは誰も思っていない。最近新聞で読んだところでは土地バブル時代に伊豆半島の別荘地を1600万円だったかで購入したある人は、その税金を納めなくてはならないことに困って100万円だか200万円でどこかの会社に引き取ってもらい、なんとか長期的な負債の生活から抜け出したという。持っているだけ数十万円の税金を払う必要があるのだから、安くても売るしかないであろう。
『99.9%は仮説』にもほかにも面白いことが書いてあるが、それについてのべることはまた別の機会にしよう。