とでも題する数学エッセイを書こうとしている。というか昨日から書き始めた。もっともこれは中西 襄先生の著書『微分方程式』(丸善出版)の受け売りである。これはメールでしばしば先生からこのラプラス演算子の極座標表示についてご教示を頂いていたのだが、なかなか物わかりの悪い私としては理解ができていなかった。
だが、1か月ほど前にこのことをまた調べてみたら、n 次元のラプラス演算子の極座標表示を数学的帰納法で証明できたので先生の言われることの一端がわかった。もっとも新しい疑問が出て来てそれはまだ解けてはいない。
それはなにかというと、一度n 次元のラプラス演算子の極座標表示が得られるとそれを数学的帰納法で証明することはやさしいのだが、元々の「n 次元のラプラス演算子の極座標表示」は多分、数学的帰納法で得られたものではないのではないかという気がするからである。 n 次元の直交曲線座標の方法でこの「n 次元のラプラス演算子の極座標表示」が求められたのではないかと推測するのだが、このことを証明できていない。
だが、その問題はおいておけば、中西先生の意図の一部はちゃんとわかったと思っている。もっとも前に挙げた先生の著書『微分方程式』だが、方々に示唆に富むことが書かれているのだが、簡潔にという編集者の要請のためか私にはわかり難い。
一部だけ私の気のついた箇所をあげておくと、「積分表示は万能兵器」(p.21), 「母関数」(p.26) ,「ドモアヴルの定理」(p.28)等である。それからp.128-130の「ラプラス演算子の極座標表示」の箇所等である。まだなかなか読み進まないので他にも優れた箇所が満載のはずである。こういう話題を読み解いて解きほぐして解説をつけるのは先生のまわりの人の仕事かもしれない。もっとも私が先生のまわりの人の一人というのはおこがましいだろうが。
(2017.9.4付記) 上に書いた n 次元のラプラス演算子の話に直交曲線座標の方法が必要というのはどうも正しくはない。円柱座標系から極座標系への変換をすれば、必ず一つラプラス演算子の次元をあげることができるので、n 次元のラプラス演算子の極座標表示を (n-1) 次元の極座標のラプラス演算子から導ける。そして、発見法的に得られたラプラス演算子を数学的帰納法で証明してやればよい。たったこれだけのことでも数日考えないとわからないとは私の頭にも困ったものだ。