物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

反数

2020-06-24 17:05:58 | 本と雑誌
反数(はんすう)という用語を知っている人はあまりいないのではないか。これについてはずっと前にもこのブログで書いたことがある。それがいつだったかは覚えていない。

私が反数という用語を知ったのは遠山啓『数学入門』(岩波新書)読んでだったと思う。遠山さんは私たちがあまり使わない、いろいろな用語を使う人だったので、これはてっきり遠山さんの作った用語だと思っていた。

ところが、Bellの『数学をつくった人々』(東京図書)を読んでいたら、反数という言葉を見かけた。それで一般的用語であることを知った(注1)。

もっともそれが英語でもともとどういうのかはそのときはわからなかった。しかし、Bellがつかっているのだから、それに対応した英語があるには違いないとは思った。

どういう機会だったかもう覚えていないが、「反数」の元の英語はoppositesというのだと知ったのはそれからどれくらいたっていたのだろう(注2)。

反数とは足し算や引き算で出てくる用語であり、もしある数  a があると、それの符号を変えた -a のことである。

掛け算や割り算であれば、a に対して b をかけて1になる数があり、この数を逆数とよぶ。ab=1となる b は b=1/a である。加減算での逆数ともいえるものが反数だった。

(注1) ちなみにBellの『数学をつくった人々』の原題は"Men of Mathematics"だったと思う。

(注2) 反数をopposite numbersと書いていたが、英和辞典を引いてみたら、これはもっと別な意味らしい。武藤、三浦『算数・数学用語辞典』(東京堂出版)で反数を引いたら、そこには対応した英語がなぜか書かれてなかったが、私がボールペンの赤字でoppositesと書き入れていた。

これは銀林浩・純 父子の著書『数・数式と図形の英語』(日興企画)で知った用語であった。ちなみにBellの『数学をつくった人々』(東京図書)の訳者の一人は銀林浩さんである。

また余計のことだが、銀林さんの名前は「ひろし」ではなく、「こう」というらしい。銀林さんは一度だけ高知での数教協全国大会でお見かけしたことがあるが、貴公子のようなとてもハンサムな方であった。

(2020.6.26付記) 反数をopposite numbersという訳語も正しいらしい。ただ、opposite numberで英和辞典を引くと「反数」という訳語はでて来ない。



本の中の雑談

2020-06-24 13:55:07 | 物理学
今日、大学生協の書籍部に行って、今月の雑誌をとってきた。

その中に1冊だけだが、数学関係の本があった。これは『微分積分学演習』(岩波書店)である。

これは微分積分学の演習問題を取り扱った本である。その中にcoffee breakとtippsというコラムが載っていたので、そこだけ拾い読みをしていた。

それで、毎日のこのブログを書くのが遅くなった。これらのコラムを二人の著者のうちどちらが書かれたのかは知らないが、その中に定積分の話題が二つあった
一つはガモフの定積分というものであり、ガモフが量子力学での原子核のアルファー崩壊の理論の論文を書いたときに必要だった定積分のことである。こちらは私たちに親しいテーマの定積分である。

もう一つはオンサガーの定積分と題されたものである。こちらの定積分は数値積分でもその値をあたることができるが、これをオンサガーは複素関数の方法で解いたようであった。その詳しい説明はないので、わからない。

もう一つの話題はランダウは彼の門下になるために試験をしたそうだが、そのときに物理の問題を数題と定積分の問題を一ついつも出したと、この本のコラムのどこかに書かれていた。

それにしてもFeynmanも定積分を上手に計算したというし、物理学者が成功するためには定積分を上手に計算できなくてはならないようである。